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タムロン 17-50mm F/4 Di III VXD レンズレビュー 完全版

このページではタムロン「17-50mm F/4 Di III VXD」のレビューを掲載しています。

17-50mm F/4 Di III VXDのレビュー一覧

管理人の評価

ポイント 評価 コメント
価格 お手頃価格
サイズ 小さくはない
重量 重くはない
操作性 必要最低限
AF性能 非常に快適
解像性能 接写時以外は良好
ボケ 玉ボケが見苦しい
色収差 倍率色収差が目立つ
歪曲収差 広角側は補正必須
コマ収差・非点収差 良好な補正状態
周辺減光 広角以外は良好
逆光耐性 大きな問題なし
満足度 唯一無二だがコスパ良好

評価:

費用対効果の高い便利な広角ズーム

唯一無二の「17-50mm」をカバーするF4ズームレンズ。この特殊なズームレンジを適度なサイズと重量、良好な光学性能とAFで仕上げています。手ごろな販売価格も考慮するとコストパフォーマンスは非常に良好。

注意点は「接写時は周辺部の画質低下」「倍率色収差」「広角側の周辺減光・歪曲収差」など。特にFE 20-70mm F4 Gと比べると、接写時の周辺画質低下が顕著であり、小さな被写体をクローズアップで撮影する機会が多いのであれば注意が必要です。

被写体の適正

被写体 適正 備考
人物 ボケが得にくい
子供・動物 画角と高速AFで接近に強い
風景 便利な画角と高い解像性能
星景・夜景 大口径ではないが補正状態は良好
旅行 サイズは少し大きめだが非常に便利
マクロ 接写時の画質が低下する
建築物 歪曲収差を処理できるなら高性能
17-50mm F/4 Di III VXD
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まえがき

2023年10月に発売されたタムロンのフルサイズ対応Eマウントズーム。広角17mmから標準50mmまでの焦点距離を開放F値「F4」でカバーしている便利なレンズです。

レンズの仕様
発売日 2023年10月19日 初値 89,100円
マウント E 最短撮影距離 0.19-0.3m
フォーマット フルサイズ 最大撮影倍率 1:4.6 - 1:3.8
焦点距離 17-50mm フィルター径 67mm
レンズ構成 13群15枚 手ぶれ補正 -
開放絞り F4 テレコン -
最小絞り F22 コーティング BBAR-G2
絞り羽根 9枚
サイズ・重量など
サイズ φ74.8×114.4mm 防塵防滴 対応
重量 460g AF VXD
その他 USB-C/TAMRON Lens Utility
付属品
フード・キャップ

特徴は前述した17-50mmの特殊なズーム域。ここ最近は20mm始まりのズームレンズが増えてきたものの(ソニー、パナソニック、タムロン)、20mmよりも焦点距離も短いミラーレス用標準ズームはこれが初めて。広角側が拡張した標準ズームと言うべきか、望遠側が拡張した広角ズームと言うべきか悩むところですが、タムロンは「広角ズームレンズ」と明記しています。高倍率の広角ズームレンズと呼ぶのが妥当のようです。
二つ目の特徴はズームにより全長の変化がないインナーズーム構造を採用していること。17mmでも50mmでも全長は一定で、どの焦点距離で固定した状態でも携帯性や収納性に変化はありません。重心の変動も少なく、ジンバルなどに搭載した際は調整の手間が少ないはず。

価格のチェック

売り出し価格は8.9万円で「20-40mm F/2.8 Di III VXD」とほぼ同じ。大口径でコンパクトですがショートズームの20-40mmを選ぶか、17mmやズーム域が広いものの大きく中口径な17-50mmを選ぶか悩ましいところ。どちらにせよ、選択肢が用意されてるぶん、他のマウントよりも自由度が高いのは間違いありません。「FE 20-70mm F4 G」の半値に近い価格設定と考えるとだいぶ安い。

レンズレビュー

外観・操作性

箱・付属品

タムロンらしい白を基調としたデザインの箱。マウント部と同じように箱の底面にルミナスゴールドのカラーを採用。レンズ本体は段ボールの仕切りで前後を固定された状態で梱包。レンズ本体の他に花形レンズフードと説明書、保証書、シリアルナンバー記載のシールが付属しています。

外観

ぱっと見た外観は一眼レフ用のSPシリーズとよく似ていますが、他のタムロンDi IIIシリーズと同じくプラスチック製の外装を採用。ミラーレス用レンズは競合他社もプラスチック製の外装を採用するメーカーが多く、特に違和感はありません。安っぽさは感じず、しっかりとした質感に加えて、旧デザイン(28-75mm F2.8 Di III RXDなど)と比べて傷や指紋に強くなっているように見えます。

ズームリングとフォーカスリングはどちらもゴム製カバーを装着。リング表面に粘性は感じず、ゴミの付着は少ないと思われます。外装の文字は全てプリントで、エッチングなど芸が細かい加工は無し。この辺りはタムロンらしく割り切った感があります。ちなみに「設計 日本」「製造 ベトナム」と記載を確認。
Di IIIシリーズの新世代らしく、USB-Cポートを搭載。パソコンやスマートフォンと接続することで、レンズのファームウェアを更新したり、カスタマイズすることが可能です。ただし、カスタムスイッチは搭載していないので、できることは限られています。

実質的にインナーズーム構造(後述)となっているので、ズーム操作によるレンズ全長の変化はありません。17mmでも50mmでも全長は一定です。そのぶん鏡筒がやや長めですが、これを長所と見るか、短所と見るかは個人差があると思います。

ハンズオン

光学3倍のF4ズームレンズとしては大きめ。「FE 20-70mm F4 G」と比較しても全長が少し長めですが、20-70mmを50mmまでズームすると同程度の全長となります。収納性が良いとは言えませんが、50mmのままでも出し入れしやすいのが特徴と言えるでしょう。

前玉・後玉

前玉は防汚コート処理されているので水滴や油汚れが付着した際にメンテナンスが(比較的)容易。とは言え、何らかのダメージが予想できるシーンでは保護フィルターを装着するのも一つの手。フィルター径は従来通り67mm径を採用しているので、タムロンDi IIIシリーズを揃えているのであれば所有している人も多いはず。他のレンズとND・C-PLフィルターを使いまわしやすいのもGood。

 

完全なインナーズーム構造ではなく、使用する焦点距離によって前玉が前後します。17mmや50mmで前玉が繰り出し、28mm付近をピークとして後方へ引っ込みます。

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金属製のレンズマウントは4本のビスで固定。後玉の周囲にはフレアカッターを装備しています。前玉と同じく、焦点距離を変更する際にレンズ群が前後に動作。17mmで最も後方へ、50mmに向かって前方へ移動します。鏡筒内部は反射を抑えるためにマットブラックの処理が施され、光を反射するような部位はありません。マウント周囲は防塵防滴用のゴムシーリングあり。

フォーカスリング

ゴム製フォーカスリングをレンズ先端に搭載。タムロンDi IIIシリーズは前方にズームリング、後方にフォーカスリングを配置する製品が多く、本レンズの配置は比較的珍しいほう。ソニー純正や「FE 20-70mm F4 G」と同じ配置ですが、一般的なタムロンの配置に慣れていると混乱するかもしれません。個人的には本レンズの配置が好み。
リングは適度な抵抗で滑らかに回転します。ソニー純正のゆるゆる過ぎるリングと比べると適切。フォーカス操作のストロークは初期設定でノンリニア(回転速度に応じて変化する)ですが、ゆっくり回転しても全域のストロークが45度未満と非常に短くなっています。この状態で正確なMFは難しいと思われるので「TAMRON Lens Utility」を使用して「リニア 90/180/270/360」のいずれかに設定変更するのがおススメ。

ズームリング

フォーカスリングと比べると、少し幅の広いゴム製ズームリングを搭載。適度な抵抗で回転します。引っかかるようなポイントは無く、90度未満のストロークで素早く滑らかに操作可能。

レンズフード

プラスチック製のシンプルなレンズフードが付属。しっかりとした作りですが、フィルター操作窓やボタンを使用したロック構造などはありません。逆さ付けも可能ですが、その際はフォーカスリングが隠れてしまいます。

 

フィルターのケラレ耐性

手持ちの保護フィルターを重ね付けしたところ、フィルター2枚目で17mmの最短撮影距離側にてケラレが発生。無限遠側ではギリギリ回避できるかどうかと言ったところ。これは歪曲収差を補正した状態で撮影しているので、未補正のRAWではさらにケラレが発生しやすくなります。

 

 

装着例

α7R Vに装着。片手持ちも可能と感じますが、やはりレンズの全長が長めで携帯性や収納性はあまり良くありません。コンパクトさを重視するのであれば20-40mm F2.8や20-70mm F4 Gなども検討してみると良いでしょう。感覚としては「28-75mm F/2.8 Di III VXD G2」のサイズ感にかなり近いです(重さは100gほど軽量ですが)。

 

AF・MF

フォーカススピード

最近のタムロンレンズらしく、VXD駆動のAFを利用可能。最短撮影距離から無限遠まで電光石火の合焦速度を実現しています。RXD駆動のレンズと比べても違いを体感しやすいはず。特にAF-C時にとても高速。

ブリージング

ブリージングとはピント位置によって画角が変化することを指します。画角の変化が大きいと、フォーカシングで画角が広がったり狭くなったりするので気が散ったり、AFが不安定化する原因となります。出来ればフォーカシングブリージングは無い方が良い。今回はブリージングの影響を確認するために、レンズを最小絞りまで絞り、最短撮影距離・無限遠で撮影した結果が以下の通り。

全体的に、最短撮影距離で画角が少し広くなり、無限遠に向かって画角が少し狭くなります。どの焦点距離でも画角変化が極端に目立つことはありません。許容範囲内に収まっているように見えます。

精度

α7R Vと組み合わせた限りでは良好に動作しており、大部分のAF-S・AF-C撮影で問題なく利用可能。参考までにズーム操作中のピントズレを確認した動画を掲載。無限遠側にピントを固定してズーム操作する場合、大きなピントのズレは無いように見えます。

MF

前述したように、初期設定の「ノンリニア」レスポンスではストロークが短すぎると感じます。「リニア」レスポンスに設定を変更することで微調整や滑らかな操作が可能。

解像力チャート

撮影環境

テスト環境

  • カメラボディ:α7R V
  • 交換レンズ:17-50mm F/4 Di III VXD
  • パール光学工業株式会社「【HR23348】ISO12233準拠 8K解像力テストチャート(スチルカメラ用)
  • オリンパス HYRes 3.1 解析ソフト
  • 屋内で照明環境が一定
  • 三脚・セルフタイマー10秒・電子シャッター
  • RAW出力
  • ISO 100 固定
  • Adobe Lightroom Classic CCでRAW現像
    ・シャープネス オフ
    ・ノイズリダクション オフ
    ・色収差補正 オン
  • 解析するポイントごとにピントを合わせて撮影
    (像面湾曲は近接で測定が難しいので無限遠時にチェック)
  • 近接でのテストであることに注意(無限遠側はさらに良好となる可能性あり)

補足

今回はRAW出力を元にしてシャープネスをオフの状態で検証。ボディ出力のJPEGやRAW現像でシャープネスを整えるとより数値が向上する可能性あり。今回の数値はあくまでも「最低値」とお考え下さい。

17mm

中央は絞り開放から非常に良好な結果。その一方、周辺はコントラストが低く、隅は甘めの結果。F5.6-8まで絞ると改善しますが、中央に近い解像性能やコントラストは得られません。遠景の解像性能と比べると、隅に向かって画質低下が大きい模様。接写時にシャープなピント面を得たい場合、できるだけフレームの中央に配置するのがおススメです。

中央

周辺

四隅

数値確認
中央 周辺部 四隅
F4.0 4443
F5.6 4397 3458
F8.0 4429 3567 2958
F11 4414 3259 3192
F16 3889 3349 2932
F22 3416 2824 2882
実写確認

20mm

周辺部や隅の絞り開放は依然としてソフトですが、F5.6まで絞ると改善します。コントラストは完璧と言い難いものの、画像処理次第ではシャープな結果を得ることができそうです。周辺や隅はF5.6以降に大きな改善は見られません。

中央

周辺

四隅

数値確認
中央 周辺部 四隅
F4.0 3958 2204
F5.6 4466 3798 3093
F8.0 4466 3774 3223
F11 4461 3512 3191
F16 3927 3185 2944
F22 3275 2930 2591
実写確認

24mm

基本的に20mmと同じ傾向が続きます。F5.6で周辺や隅は改善しますが、それ以上絞っても大きな変化はありません。

中央

周辺

四隅

数値確認
中央 周辺部 四隅
F4.0 3919 2980
F5.6 4508 3848 3017
F8.0 4519 3819 3149
F11 4539 3550 3364
F16 3745 3047 2739
F22 3285 2795 2530
実写確認

28mm

20mmと24mmと同じ傾向ですが、中央のピーク値が低下しているのか絞った際の画質低下が早い。

中央

周辺

四隅

数値確認
中央 周辺部 四隅
F4.0 3812 2228
F5.6 4546 3807 2917
F8.0 4497 3802 2858
F11 4052 3624 2934
F16 3642 3184 2829
F22 3183 2722 2409
実写確認

35mm

中央のピークが低下し、絞っても改善は期待できません。周辺や隅は広角側と比べると安定しており、結果的に均質性の高い結果を得ることができます。

中央

周辺

四隅

数値確認
中央 周辺部 四隅
F4.0 3894 2777 1877
F5.6 3707 3526 2659
F8.0 3932 3509 2792
F11 3668 3408 3075
F16 3624 3047 2762
F22 2958 2477 2460
実写確認

50mm

中央のピークは低いものの、周辺や隅の絞り開放はズーム全域で最も良好。ただし、絞っても改善することはなく、ピークの性能は35mmのほうが良好。

中央

周辺

四隅

数値確認
中央 周辺部 四隅
F4.0 4042 3139 2519
F5.6 3861 3155 2774
F8.0 3812 3225 2567
F11 3877 3243 2551
F16 3208 2883 2502
F22 2755 2441 2232
実写確認

競合レンズとの比較

遠景解像のテストではソニーと比べて特に周辺部や隅が良好に見えましたが、接写時は全体的にソニーのほうが優れているように見えます。特に周辺や隅の安定感が圧倒的に異なり、接写時に被写体を中央以外に配置してもシャープなピント面を得やすいレンズとなっています。

遠景解像力

テスト環境

  • 撮影日:2023-10-19 晴れ 微風
  • カメラ:α7R V
  • 三脚:Leofoto LS-365C
  • 雲台:SUNWAYFOTO GH-PRO II
  • 露出:ISO 100 絞り優先AE
  • RAW:Lightroom Classic CC
    ・シャープネス オフ
    ・ノイズリダクション オフ
    ・レンズ補正 オフ

17mm

中央から隅まで極端な画質低下が無く、F4から快適に利用可能。フレーム隅の端に若干の非点収差・コマ収差のような像の甘さが見られるものの、少し絞る改善します。全体的なピークはF5.6-F8で、この際はフレーム全域で均質性の高い結果を得ることができます。

中央

周辺

四隅

20mm

基本的には17mmと同じ傾向ですが、17mmよりも画質の均質性が向上しているように見えます。絞りによる変化はほとんどありません。敢えて言えばF5.6-8がピーク。

中央

周辺

四隅

24mm

17mmや20mmと同じ傾向が続きます。全体的に良好ですが、隅の端のみF4で若干甘い。ピークはF5.6-8で、隅の端でも良好な結果を得ることができます。

中央

周辺

四隅

28mm

中央が少し低下したかな?と感じるものの、概ね良好な結果が続きます。F5.6-8、まで絞ればベストな結果を得ることが可能。

中央

周辺

四隅

35mm

F4の隅に僅かな甘さが見られるものの、F5.6まで絞ると大幅に改善。6100万画素でも問題ない結果。

中央

周辺

四隅

50mm

隅の端がやや甘いものの、35mmと同じくF5.6まで絞ると改善します。ズーム全域でこれと言った弱点がなく、絞り開放から均質性の高い、風景撮影に適したレンズと感じます。

中央

周辺

四隅

倍率色収差

倍率色収差とは?

主にフレームの周辺部から隅に現れる色ずれ。軸上色収差と異なり、絞りによる改善効果が小さいので、光学設計の段階で補正する必要があります。ただし、カメラ本体に内蔵された画像処理エンジンを使用して、色収差をデジタル補正することが可能。これにより、光学的な補正だけでは難しい色収差の補正が可能で、最近では色収差補正の優先度を下げ、他の収差を重点的に補正するレンズも登場しています。特にミラーレスシステムでは後処理に依存する傾向あり。

参考:ニコン 収差とは

17mm

フレーム隅を拡大すると残存する色収差が発生していることに気が付きます。これは絞っても残存しており、気になる場合はソフトウェアによる補正が必要。実際の撮影(撮影距離)で目くじらを立てるほどの影響度合いではありませんが、大きくクロップする場合には補正しておいたほうが良いでしょう。

20mm

基本的に17mmと同程度か少し少ない程度の色収差が発生しています。

28mm

超広角域と比べるとかなり良好な補正状態です。追加の修正はほぼ必要ありません。

35mm

28mmと同じく良好な補正状態。

50mm

28mmと同じく良好な補正状態。

軸上色収差

軸上色収差とは?

軸上色収差とはピント面の前後に発生する色ずれ。ピントの手前側は主にパープルフリンジとして、ピントの奥側でボケにグリーンの不自然な色付きがあれば、その主な原因が軸上色収差と考えられます。F1.4やF1.8のような大口径レンズで発生しやすく、そのような場合は絞りを閉じて改善する必要があります。現像ソフトによる補正は可能ですが、倍率色収差と比べると処理が難しく、できれば光学的に収差を抑えておきたいところ。ただし、大口径レンズで軸上色収差を抑える場合は製品価格が高くなる傾向があります。軸上色収差を完璧に補正しているレンズは絞り開放からピント面のコントラストが高く、パンチのある解像感を期待できます。

参考:ニコン 収差とは

17mm

極端な状況で確認すると、F4で僅かに残存。ただし、これも2段絞るとほぼ解消。実写で色収差が問題と感じるシーンは少ないと思われます。

50mm

広角側と比べると収差がやや強めに見えますが、やはり影響は軽度。イルミネーションなど極端なコントラスト環境下で目に付く機会があるかもしれませんが、基本的にボケが小さいので悪目立ちすることは少ないはず。

歪曲収差

歪曲収差とは?

歪曲収差とは、平面上で直線的に写るはずが直線とならずに歪んでしまうこと。特に直線が多い人工物や水平線が見えるような場合に目立ちやすく、魚眼効果のような「樽型歪曲」と中央がしぼんで見えてしまう「糸巻き型歪曲」に分かれています。

参考:ニコン 収差とは

比較的補正が簡単な収差ですが、「陣笠状」など特殊な歪みかたをする歪曲は手動での補正が難しい。この場合はレンズに合わせた補正用プロファイルが必要となります。

17mm

スライドショーには JavaScript が必要です。

かなり目立つ樽型歪曲が発生。陣笠状に歪んでいるので、リニアな手動補正で修正するのは難しいと思われます。レンズプロファイルを使ったカメラ内補正や現像ソフトでの修正がおススメです。

20mm

スライドショーには JavaScript が必要です。

17mmと同じく強めの樽型歪曲。

24mm

スライドショーには JavaScript が必要です。

超広角域と比べると穏やかな樽型。周辺部がトリミングされる割合は比較的少ない。

28mm

スライドショーには JavaScript が必要です。

ズーム中間域は歪曲収差がほとんどありません。

35mm

スライドショーには JavaScript が必要です。

28mmよりも収差がゼロに近い状態。

50mm

スライドショーには JavaScript が必要です。

35mmあたりを折り返しとして、50mmでは若干の糸巻き型歪曲が発生。特に目立つ収差ではありませんが、直線的な被写体を周辺に配置すると気になるかもしれません。

コマ収差

コマ収差・非点収差とは?

コマ収差・非点収差とは主にフレーム四隅で点像が点像として写らないこと。例えば、夜景の人工灯や星、イルミネーションなど。日中でも木漏れ日など、明るい点光源で影響を受ける場合あり。この問題は後処理が出来ないため、光学的に補正する必要あり。

参考:ニコン 収差とは

絞ることで改善するものの、夜景や天体撮影など、シャッタースピードが重要となる状況では絞ることが出来ず、光学的な補正が重要となる場合もあります。

17mm

F4から特に大きな問題はありません。

20mm

17mmと同じく問題なし。

24mm

17mmと同じく問題なし。

28mm

超広角と比べると、点光源が僅かに変形しているように見えます。とは言え、全体像で問題と言えるような量ではなく、心配するほどの収差ではありません。

35mm

28mmよりもやや目立ちます。

50mm

35mmよりも良好で28mmと同程度。

球面収差

前後のボケに大きな違いは見られず、球面収差は良好に補正されているように見えます。
(玉ボケのレビューは別で掲載)

前後ボケ

綺麗なボケ・騒がしいボケとは?

ボケの評価は主観的となりがちですが、個人的には「滲むように柔らかくボケる」描写が綺麗と評価し、逆に「急にボケ始めたり、ボケの輪郭が硬い」描写は好ましくない(もしくは個性的な描写)と定義しています。ただし、感じ方は人それぞれなので、ひょっとしたら逆のほうが好ましいという人もいることでしょう。参考までに「滲むボケ」「輪郭の硬いボケ」のサンプルが以下のとおり。描写傾向の違いは主に球面収差の補正状態によるもの、前後どちらかのボケが柔らかい場合はもう片方のボケが硬くなる傾向があります。

実写で確認

前後のボケ質に大きな違いはありません。どちらかと言えばニュートラルなボケ味です。

玉ボケ

口径食・球面収差の影響

口径食が強いと、フレーム四隅のボケが楕円状に変形したり、部分的に欠けてしまいます。この問題を解消するには絞りを閉じるしか方法がありません。しかし、絞るとボケが小さくなったり、絞り羽根の形状が見えてしまう場合もあるので状況に応じて口径食を妥協する必要あり。

口径食の影響が少ないと、絞り開放から四隅まで円形に近いボケを得ることが可能。できれば口径食の小さいレンズが好ましいものの、解消するには根本的にレンズサイズを大きくする必要があります。携帯性やコストとのバランスを取る必要があり、どこかで妥協が必要。

球面収差の補正が完璧では無い場合、前後のボケ描写に差が発生します(前後ボケのレビューで示した通り)。この場合はどちらかが滲みを伴う滑らかな描写になり、反対側で2線ボケのような硬い描写となってしまいます。

17mm

F4の隅を拡大してみると、玉ボケが変形。さらに色収差による色づきや非球面レンズの研磨ムラと思われる玉ねぎボケの兆候あり。完璧な玉ボケからは程遠い状態。絞ると口径食は改善するものの、色収差の色づきが解消することはありません。

20mm

20mmを17mmと同様のサイズでクロップすると、口径食が緩和していることが割ります。色収差や玉ねぎボケは引き続き。

24mm

20mmと同じ傾向で、ボケはさらに大きくなります。同時に玉ねぎボケが目立つようになるので、少しざわついた印象を受けます。

28mm

24mmと同じ傾向。

35mm

口径食はほとんどありませんが、玉ねぎボケが目立ちます。

50mm

35mmよりも口径食が強くなるものの許容範囲内。それよりも玉ねぎボケが目に付きます。

ボケ実写

17mm

口径食や玉ねぎボケの兆候は否定できませんが、イルミネーションのように極端なシーンと比べると悪目立ちしません。絞るとコンパクトカメラのズームレンズような醜い玉ボケとなるので、ボケを得たい場合はF4の絞り開放がおススメ。

35mm

ボケの縁取りが目立つものの、ボケが十分に大きい場合は良好。ただし、撮影距離が長い場合はフレーム隅に向かって縁取りが目立つ玉ボケに注意が必要です。

50mm

基本的には35mmと同じ。接写時は悪くない描写ですが、撮影距離が長くなると見苦しい描写となる場合あり。

ポートレート

全高170cmの三脚を人物に見立て、絞り開放(F2.8)で距離を変えながら撮影した結果が以下の通り。

17mm

17mm F4の全身ポートレートは被写体を背景から分離することが出来ません。大きなボケを得るには少なくともバストアップくらいまで近寄る必要があります。

50mm

17mm F4ほどではないものの、やはり背景をぼかすのが難しい。少なくとも上半身くらいまで近寄る必要があります。

周辺減光

周辺減光とは?

フレーム周辺部で発生する不自然な光量落ち。
中央領域と比べて光量が少なく、フレーム四隅で露出不足となります。主に大口径レンズや広角レンズで強めの減光が発生。

ソフトウェアで簡単に補正できる現象ですが、露出不足を後処理の補正(増感)でカバーするため、ノイズ発生の原因となる点には注意が必要。特に夜景や星空の撮影などで高感度を使う場合はノイズが強く現れる可能性あり。

17mm

最短撮影距離

17mmの絞り開放では非常に目立つ周辺減光が発生。歪曲収差補正時のトリミングで最も暗い部分は切り取られるものの、絞りで解消する場合は3段ほど絞る必要があります。

無限遠

最短撮影距離と同程度ですが、さらに周辺部に薄っすらと減光効果が発生。

35mm

最短撮影距離

17mmと比べると周辺減光はほとんどありません。F4の絞り開放から補正の必要性は皆無。

無限遠

最短撮影距離と同じく、35mmでは周辺減光がほとんど発生しません。

50mm

最短撮影距離

望遠端の50mmも35mmと同じく影響は軽微。F4から問題なく利用することができます。

無限遠

僅かに影響が増すものの、問題は軽微。

逆光耐性・光条

17mm

フレアやゴーストが良く抑えられています。ただし、RAW現像で露出補正を+側に調整したり、暗部を持ち上げるとフレアが薄っすらと発生。全体的に広角ズームレンズとしては良好。海外のレビューでは逆光耐性を指摘する声もありますが、個人的にはそう思いません。

50mm

望遠端では17mmよりもフレアやゴーストが良く抑えられています。絞り開放でも、小絞りでも大きな問題はありません。

光条

絞ることで先細りするシャープな光条が得られます。

まとめ

良かったところ

ココがおすすめ

  • 類を見ない17-50mmのズームレンジ
  • 手ごろな価格設定
  • 実質的なインナーズーム
  • 防塵防滴
  • TAMRON Lens Utility対応
  • 高速AF
  • 全体的に良好な遠景解像性能
  • 軸上色収差がほぼ問題なし
  • コマ収差補正が良好
  • 逆光耐性が良好
  • 光条が綺麗

兎にも角にも広角17mmから標準50mmまでを利用できる便利な高倍率広角ズームレンズ。この点で競合するレンズは他にありません。望遠側をクロップするのであれば「16-35mm」で似たような使い勝手となるものの、50mmでも高解像な結果を得たいのであれば唯一無二の選択肢と言えるでしょう。画質は全体的に良好。歪曲収差や色収差などカメラ・ソフトウェアの補正に依存している部分もありますが、それらを込みで考えると優れた光学性能。インナーズーム構造や応答性の良いVXD駆動のAFなど、使い勝手の面でも優れています。

悪かったところ

ココに注意

  • 小さいレンズではない
  • コントロールが少ない
  • 接写時の隅の画質が低下する
  • 倍率色収差がやや目立つ
  • 広角側で目立つ樽型歪曲
  • 玉ねぎボケが目立つ
  • 広角端の周辺減光が目立つ

前述したように、いくつかの点でカメラやソフトウェアの補正が必須となっています。補正を利用できる環境であれば問題ありませんが、社外製ソフトなどで補正プロファイルを利用できない現像ソフトでは歪曲収差を綺麗に補正するのが難しいと思われます。また、F4ズームとしてはレンズサイズが大きめで、収納性や携帯性が良いとは言えません。「17-50mm F4」で過度に心配する必要はないものの、玉ねぎボケがやや目立つ点にも注意が必要です。イルミネーションなどの点光源をはじめ、水面の照り返し、朝露の煌めき、木洩れ日など、コントラストの高いシーンで問題と感じる場合があります。

総合評価

満足度は95点。
いくつか欠点があるものの、コストパフォーマンスの高い高倍率の広角ズームレンズ。似たような選択肢はいくつか存在するものの、唯一無二のズームレンジは必見。ソニー「FE 20-70mm F4 G」は要検討ですが、価格差が大きいため、コストパフォーマンス重視であればタムロンレンズを選ぶのも大いにあり。

競合レンズの紹介

FE 20-70mm F4 G

タムロンよりもズーム域が少し望遠よりのF4ズームレンズ。広角端は20mmまでですが、望遠側は70mmまで利用でき、接写性能も高くボケもそれなりに大きめ。さらに、タムロンよりも接写時の画質が安定しており、玉ねぎボケも目立ちにくい。鏡筒はズーム操作で伸びるものの、絞りリングや2か所のFnボタン、AF/MFスイッチなど機能的。

価格はタムロンよりも大幅に高いため、単純にコストパフォーマンスで言えば厳しい戦いとなります。とは言え、純正らしく20fps以上の高速連写やフォーカスブリージング補正、などに対応している点で有利。互換性を重視するのであれば高価でもソニーを検討したほうが良いでしょう。

20-40mm F/2.8 Di III VXD

ズームレンジは狭いものの、F2.8の大口径を実現。さらに小型軽量で携帯性が高く、17-50mm F4と同程度の価格で手に入れることができます。風景撮影や利便性を重視するなら17-50mmですが、背景をぼかす機会が多いのであれば20-40mm F2.8も要検討。

購入早見表

作例

 

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