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タムロン 17-50mm F/4 Di III VXD レンズレビューVol.5 諸収差 編

タムロン「17-50mm F/4 Di III VXD」のレビュー第五弾を公開。今回は色収差や歪曲収差など各収差を恒例のテスト環境でチェックしています。

17-50mm F/4 Di III VXDのレビュー一覧

レビュー 諸収差編

倍率色収差

倍率色収差とは?

主にフレームの周辺部から隅に現れる色ずれ。軸上色収差と異なり、絞りによる改善効果が小さいので、光学設計の段階で補正する必要があります。ただし、カメラ本体に内蔵された画像処理エンジンを使用して、色収差をデジタル補正することが可能。これにより、光学的な補正だけでは難しい色収差の補正が可能で、最近では色収差補正の優先度を下げ、他の収差を重点的に補正するレンズも登場しています。特にミラーレスシステムでは後処理に依存する傾向あり。

参考:ニコン 収差とは

17mm

フレーム隅を拡大すると残存する色収差が発生していることに気が付きます。これは絞っても残存しており、気になる場合はソフトウェアによる補正が必要。実際の撮影(撮影距離)で目くじらを立てるほどの影響度合いではありませんが、大きくクロップする場合には補正しておいたほうが良いでしょう。

20mm

基本的に17mmと同程度か少し少ない程度の色収差が発生しています。

28mm

超広角域と比べるとかなり良好な補正状態です。追加の修正はほぼ必要ありません。

35mm

28mmと同じく良好な補正状態。

50mm

28mmと同じく良好な補正状態。

軸上色収差

軸上色収差とは?

軸上色収差とはピント面の前後に発生する色ずれ。ピントの手前側は主にパープルフリンジとして、ピントの奥側でボケにグリーンの不自然な色付きがあれば、その主な原因が軸上色収差と考えられます。F1.4やF1.8のような大口径レンズで発生しやすく、そのような場合は絞りを閉じて改善する必要があります。現像ソフトによる補正は可能ですが、倍率色収差と比べると処理が難しく、できれば光学的に収差を抑えておきたいところ。ただし、大口径レンズで軸上色収差を抑える場合は製品価格が高くなる傾向があります。軸上色収差を完璧に補正しているレンズは絞り開放からピント面のコントラストが高く、パンチのある解像感を期待できます。

参考:ニコン 収差とは

17mm

極端な状況で確認すると、F4で僅かに残存。ただし、これも2段絞るとほぼ解消。実写で色収差が問題と感じるシーンは少ないと思われます。

50mm

広角側と比べると収差がやや強めに見えますが、やはり影響は軽度。イルミネーションなど極端なコントラスト環境下で目に付く機会があるかもしれませんが、基本的にボケが小さいので悪目立ちすることは少ないはず。

歪曲収差

歪曲収差とは?

歪曲収差とは、平面上で直線的に写るはずが直線とならずに歪んでしまうこと。特に直線が多い人工物や水平線が見えるような場合に目立ちやすく、魚眼効果のような「樽型歪曲」と中央がしぼんで見えてしまう「糸巻き型歪曲」に分かれています。

参考:ニコン 収差とは

比較的補正が簡単な収差ですが、「陣笠状」など特殊な歪みかたをする歪曲は手動での補正が難しい。この場合はレンズに合わせた補正用プロファイルが必要となります。

17mm

スライドショーには JavaScript が必要です。

かなり目立つ樽型歪曲が発生。陣笠状に歪んでいるので、リニアな手動補正で修正するのは難しいと思われます。レンズプロファイルを使ったカメラ内補正や現像ソフトでの修正がおススメです。

20mm

スライドショーには JavaScript が必要です。

17mmと同じく強めの樽型歪曲。

24mm

スライドショーには JavaScript が必要です。

超広角域と比べると穏やかな樽型。周辺部がトリミングされる割合は比較的少ない。

28mm

スライドショーには JavaScript が必要です。

ズーム中間域は歪曲収差がほとんどありません。

35mm

スライドショーには JavaScript が必要です。

28mmよりも収差がゼロに近い状態。

50mm

スライドショーには JavaScript が必要です。

35mmあたりを折り返しとして、50mmでは若干の糸巻き型歪曲が発生。特に目立つ収差ではありませんが、直線的な被写体を周辺に配置すると気になるかもしれません。

コマ収差

コマ収差・非点収差とは?

コマ収差・非点収差とは主にフレーム四隅で点像が点像として写らないこと。例えば、夜景の人工灯や星、イルミネーションなど。日中でも木漏れ日など、明るい点光源で影響を受ける場合あり。この問題は後処理が出来ないため、光学的に補正する必要あり。

参考:ニコン 収差とは

絞ることで改善するものの、夜景や天体撮影など、シャッタースピードが重要となる状況では絞ることが出来ず、光学的な補正が重要となる場合もあります。

17mm

F4から特に大きな問題はありません。

20mm

17mmと同じく問題なし。

24mm

17mmと同じく問題なし。

28mm

超広角と比べると、点光源が僅かに変形しているように見えます。とは言え、全体像で問題と言えるような量ではなく、心配するほどの収差ではありません。

35mm

28mmよりもやや目立ちます。

50mm

35mmよりも良好で28mmと同程度。

球面収差

前後のボケに大きな違いは見られず、球面収差は良好に補正されているように見えます。
(玉ボケのレビューは別で掲載)

まとめ

テストシーンではわずかな軸上色収差が残存しているものの、それが実写で目立つことはほぼありません。もしも色収差が発生していたとしたら、それは倍率色収差である可能性が高い。基本的にはカメラや現像ソフトで補正することができるものの、ボケに色が付く場合は補正されないことも多いです。歪曲収差は他のタムロンレンズと同じくカメラ側で補正する前提の光学設計となっています。特に広角側の樽型歪曲が目立つので、レンズ補正は常時オンにしておくのがおススメ。風景撮影はオフでも収差が目立ちにくいものの、補正時に四隅がトリミングされるので意図しないクロップが発生する可能性あり。コマ収差は良好に補正されているのでF4の絞り開放から悪目立ちする領域は無し。明るいレンズではありませんが、F4で十分なら快適に撮影できるはず。

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