このページでは「VILTROX AF 26mm F2.8 EVO」のレビューを掲載しています。
VILTROX AF 26mm F2.8 EVOのレビュー一覧
- VILTROX AF 26mm F2.8 EVO レンズレビュー完全版
- VILTROX AF 26mm F2.8 EVO レンズレビューVol.6 周辺減光・逆光編
- VILTROX AF 26mm F2.8 EVO レンズレビューVol.5 ボケ編
- VILTROX AF 26mm F2.8 EVO レンズレビューVol.4 諸収差編
- VILTROX AF 26mm F2.8 EVO レンズレビューVol.3 遠景解像編
- VILTROX AF 26mm F2.8 EVO レンズレビューVol.2 解像チャート編
- VILTROX AF 26mm F2.8 EVO レンズレビューVol.1 外観・操作・AF編
レンズの評価
| ポイント | 評価 | コメント |
| 価格 | 高すぎず安過ぎず | |
| サイズ | とてもコンパクト | |
| 重量 | 26mm F2.8としては軽量 | |
| 操作性 | 小型ながら絞りリング搭載 | |
| AF性能 | 必要最低限 | |
| 解像性能 | 撮影距離に関わらず優れた性能 | |
| ボケ | この種の製品としては後ボケが滑らか | |
| 色収差 | 全体的に良好 | |
| 歪曲収差 | 穏やかな樽型 | |
| コマ収差・非点収差 | 全体的に軽微 | |
| 周辺減光 | 絞り開放でやや目立つ | |
| 逆光耐性 | 逆光時のフレアが目立つ | |
| 満足度 | 欠点もあるが優れた光学性能のパンケーキレンズ |
評価:
ポイント
欠点もあるが優れた光学性能のパンケーキレンズ
Eマウントでは貴重なパンケーキ26mmレンズ。(社外製としては少し高めですが)手頃な価格設定で、(逆光フレア以外は)優れた光学性能を発揮する製品。前述2点の短所を許容できるのであれば、小型軽量でコストパフォーマンスの高い広角レンズとなることでしょう。
絞りリングを装着しているので、コントロールが少ないカメラとの相性が良好。防塵防滴仕様のため、適切なボディと組み合わせることで使用する機会が多くなるのも魅力的。
競合製品も要検討ですが、特にEマウントでは検討する価値の高い選択肢。
A rare 26mm pancake lens for the E-mount. (While it’s a bit pricey for a third-party lens,) it’s reasonably priced and delivers excellent optical performance (aside from backlight flare). If you can overlook the two shortcomings mentioned earlier, this is a compact, lightweight, and highly cost-effective wide-angle lens.
Since it features an aperture ring, it works well with cameras that offer limited manual controls. Its dust- and moisture-resistant design is another appealing feature, as it will see more use when paired with a compatible camera body.
While the competing products listed below are also worth considering, this lens is a particularly strong option for the E-mount system.
まえがき
- 発売日:2026.7.15
- 公式:299ドル
- Amazon:52,800円
- データベース
- 管理人のFlickr
2026年7月に登場したVILTROXの26mm広角単焦点。
厚さ30mm未満、130gの小さな鏡筒に2つのコントロールリングを搭載した非常にコンパクトなパンケーキレンズ。Zマウントでは「NIKKOR Z 26mm f/2.8」が競合製品となりますが、Eマウントに直接競合する製品は存在しません。(焦点距離やF値が少し異なる製品はあります)
小型軽量ながら、良好な光学性能で定評のあるEVOシリーズ。レンズ構成は非球面レンズ2枚と高屈折率レンズ1枚を含む6群8枚構成。ステッピングモーター駆動のAFに対応しており、最短撮影距離0.2m、最大撮影倍率0.2倍を実現しています。
販売価格は「26mm F2.8」というパラメータを考慮すると少し高めですが、携帯性と操作性、光学性能のバランスを考慮すると高すぎることは無いのかなと。
主な仕様
| レンズマウント | E / Z |
| 対応センサー | フルサイズ |
| 焦点距離 | 26mm |
| レンズ構成 | 6群8枚 |
| 開放絞り | F2.8 |
| 最小絞り | F16 |
| 絞り羽根 | 7枚 |
| 最短撮影距離 | 0.2m |
| 最大撮影倍率 | 0.2倍 |
| フィルター径 | 43mm |
| 手振れ補正 | - |
| テレコン | - |
| コーティング | HD Nano |
| サイズ | Φ66mm × 23.8mm E Φ69.4mm × 25.8mm Z |
| 重量 | 約130g E 約170g Z |
| 防塵防滴 | 対応 |
| AF | STM |
| 絞りリング | 搭載 |
| その他のコントロール | - |
| 付属品 | レンズフード |
価格のチェック
国内での販売価格は5万円前半。
ニコン「NIKKOR Z 26mm f/2.8」が6.5万円、ソニー「FE 24mm F2.8 G」と比べると安価ですが、社外製のF2.8レンズとしては少し高め。
AliExpressでの個人輸入で少し安くなりますが、それでも4.9万円(セール価格の場合はもう少し安い)。それでもVILTROXを選ぶ価値があるかどうか、これから色々とチェックしたいと思います。
| VILTROX AF 26mm F2.8 EVO | |
| 楽天市場 | Amazon |
| カメラのキタムラ | |
| AliExpress | |
レンズレビュー
外観・操作性
箱・付属品

Airシリーズと同じく、白を基調としたデザイン。ただし、「EVO」のみ青色背景で強調されています。
コンパクトなレンズ用らしく、箱もかなり小さい。

内箱の底面に封印テープあり。
これを剥がすと粘着質の跡が残るので、テープを剥がさずにカッターで切るのがおススメ。

レンズ本体のほか、レンズフードやポーチ、保証書などが付属。販売価格を考慮すると十分。
外観

前面外装とフォーカスリングはプラスチック製(と思われます)。絞りリングのみ金属の質感。主に触れる絞りリングが金属製であるため、プラスチッキーな印象はありません。シグマのI Seriesほど凝った造りではないものの、良好で堅牢な質感。
フォーカスレンズの駆動にはステッピングモーターを使用しているので、Proシリーズレンズのような「カタカタ」と異音は発生しません。
コントロール以外の意匠は最小限。側面に「EVO」のバッジを配置しているのみ。マウント付近にはシリアルナンバーなどのシールが張り付けられています。

レンズはインナーフォーカス構造ではなく、繰り出し式フォーカスを採用。
近距離にピントを合わせる際に内筒が前方へ繰り出します。付属のレンズフードを装着すると保護可能。さらに、フードにフィルターを取り付けると、実質的にインナーフォーカスのような密閉状態となります。
ハンズオン

| サイズ | Φ66mm × 23.8mm E Φ69.4mm × 25.8mm Z |
| 重量 | 約130g E 約170g Z |
- FE 24mm F2.8 G:φ68×45mm・162g
- Z 26mm F2.8:φ70.0×23.5mm・125g
- RF28mm F2.8:φ69.2mm×24.7mm・120g
多少の差はあるものの、競合製品と同じく小型軽量なレンズ。フルサイズミラーレス対応の広角単焦点レンズとしては、驚くほど携帯性が高い。ソニーは全長が少し長いものの、インナーフォーカス構造のため内筒が伸びない仕様です。
前玉・後玉

本体にフィルターを装着するソケットはありません。必要に応じて43mmフィルターに対応する付属レンズフードを装着します(後述)。フードとフィルターを装着することで、繰り出す前玉を保護することが可能。

金属製レンズマウントが4本のネジで本体に固定。周囲には耐候性を確保するシーリングあり。ファームウェアアップデート用のUSB-Cポートも備えています。
フォーカスリング

先端に適度な幅のプラスチック製フォーカスリングを搭載。一般的なソニーレンズよりも抵抗が強く、比較的重めの操作感。小さなフォーカスリングのわりに重めのトルクであり、最初は戸惑うかもしれません。
回転速度による変化がないリニアレスポンスで動作。ストロークは180°を少し超えるくらい。
絞りリング

金属製と思われる絞りリングを搭載。
クリック切替に非対応。感触はシグマのI Seriesとよく似ており、心地よい操作性。抵抗感はソニー純正ほど強くないものの、フォーカスリングと比べると強い。
他のVILTROXレンズは「絞り値」がプリントされたリングを操作しますが、本レンズは逆。絞り値用マーカーがプリントされたリングを操作します。このため、通常の操作とは反対方向にリングを回転する必要あり。絞り操作には少し慣れが必要です。
レンズフード

ドーム状のレンズフードが付属。
スペック上は非常に薄いレンズですが、レンズフードを装着した状態が基本のサイズになると思います。(フード無しの場合、伸びる内筒を保護できない)
プラスチック製ですが、しっかりとした作りで安っぽさはありません。ただし、フード前面に白字でプリントされた「VILTROX」「43mm」の主張が強め。フードにプリントするくらいであれば、隠れる前玉周辺に全てプリントしてほしかったところ。

前述したように、フードを装着することで、伸びる内筒を衝撃から保護することができます。
前方に保護フィルターも装着可能。

フィルターを装着することでレンズ部分を密閉することが可能。
レンズキャップ

マグネット式の金属製レンズキャップが付属。
Sigma I Series に付属するキャップと似ていますが、フード装着状態で着脱できる本製品のほうが実用的。

磁力はとても強く、本体に装着したままキャップを掴んでも本体が脱落することはありませんでした。

フードを装着したままキャップを利用可能ですが、フィルター使用時は少し干渉します。外れやすくなるので、通常の43mmキャップを用意したほうがいいでしょう。
装着例

α7R Vに装着。
FE F2.5 G や VILTROX Airシリーズより携帯性が高く、操作性とビルドクオリティが良好。鏡筒の直径はレンズマウントと同程度。グリップとレンズの間には十分な余裕があります。
α7C・α6700とも相性が良さそうです。

電子レンズアダプター経由でニコンZカメラに装着しても問題なく動作しました。APS-Cカメラに装着してもバランスは良好です。
AF・MF
フォーカススピード
ステッピングモーター駆動で動作。ただし、レンズ繰り出し式のため、他のVILTROX ステッピングモーター駆動レンズと比べてAF速度が遅い。同じような構造のニコンZ 26mm F2.8 より遅く、スナップ撮影のように軽快さが求められるシーンには合わないかもしれません。
ただし、風景や街並み、ポートレートなど動きが限定されるシーンでは特に不満を感じない程度。
ブリージング
ブリージングとはピント位置によって画角が変化することを指します。画角の変化が大きいと、フォーカシングで画角が広がったり狭くなったりするので気が散ったり、AFが不安定化する原因となります。出来ればフォーカシングブリージングは無い方が良い。今回はブリージングの影響を確認するために、レンズを最小絞りまで絞り、最短撮影距離・無限遠で撮影した結果が以下の通り。
ピント位置によって画角が大きく変化します。繰り出し式フォーカスの弱点の一つ。


精度
α7 V・α7R Vとの組み合わせでほぼ問題ありませんでした。
従来のVILTROXレンズで互換性が低かった拡大AFもまずまず良好に動作します。
MF
フォーカスリングの操作性に慣れる必要があるものの、リング操作に対して滑らか、高応答で動作します。ギア式ステッピングモーター駆動のため、VCMやリードスクリューほど滑らかではありません。
クローズアップ

| 最短撮影距離 | 0.2m |
| 最大撮影倍率 | 0.2倍 |
小さな被写体をクローズアップしやすいレンズではありません。ただし、競合製品も同程度の仕様であり、本レンズがクローズアップに弱いとは言えません。接写時も球面収差は良く補正され、像面湾曲も問題無し。扱いやすい描写です。
解像力チャート
撮影環境

テスト環境
- カメラボディ:ILCE-7RM5
- 交換レンズ:VILTROX AF 26mm F2.8 EVO
- パール光学工業株式会社
「【HR23348】ISO12233準拠 8K解像力テストチャート(スチルカメラ用)」
- オリンパス HYRes 3.1 解析ソフト
- 屋内で照明環境が一定
- 三脚・セルフタイマー10秒・電子シャッター
- RAW出力
- ISO 100 固定
- Adobe Lightroom Classic CCでRAW現像
・シャープネス オフ
・ノイズリダクション オフ
・色収差補正オフ
・格納されたレンズプロファイル(外せない) - 解析するポイントごとにピントを合わせて撮影
(像面湾曲は近接で測定が難しいので無限遠時にチェック) - 近接でのテストであることに注意(無限遠側はさらに良好となる可能性あり)
補足
今回はRAW出力を元にしてシャープネスをオフの状態で検証。ボディ出力のJPEGやRAW現像でシャープネスを整えるとより数値が向上する可能性あり。今回の数値はあくまでも「最低値」とお考え下さい。
テスト結果

広角レンズと相性の悪い定型チャートテストでもF2.8から良好な結果。中央はチャートテストの上限値に達しており、優れた解像性能であることが分かります。周辺部や隅は中央と比べると低下しますが、それでも像の乱れが少ない良像と言える結果です。
周辺部は絞ることで徐々に改善、F8で中央と同じくチャートテストの上限値に達しています。隅は絞っても数値が伸び悩む模様。それでも十分に良好な結果ですが。
中央

F2.8からコントラストが高く、細部までシャープです。少なくとも6000万画素では絞りによる改善効果が得られません。細部のコントラストが少し改善するくらい。
周辺

F2.8から良好ですが、絞ることで細部の解像度が向上します。6000万画素機ならば、F8まで絞る価値があると言えるでしょう。3000万画素前後であれば、解像度のために絞る必要性は高くありません。
四隅

周辺部と比べると若干ソフトな結果。それでも十分良好です。絞ると徐々に改善しますが、倍率色収差の影響が僅かにあります。
数値確認
| Center | Mid | Corner | |
| F2.8 | 4761 | 3683 | 3433 |
| F4.0 | 4761 | 3855 | 3697 |
| F5.6 | 4761 | 4440 | 3892 |
| F8.0 | 4761 | 4715 | 3892 |
| F11 | 4677 | 4474 | 4033 |
| F16 | 4171 | 3872 | 3415 |
競合製品比較
各社の似たようなレンズや28mmカバーのレンズと見比べてみました。テスト機が異なるので傾向の参考までに。
直接競合するニコン Z 26mm と言い勝負のように見えます。周辺や隅のパフォーマンスはニコンが少し良好で、中央はVILTROXが有利。ニコン Z 28mm は近距離で隅の性能が大幅に低下しています。
ズームレンズの28mmは絞り開放こそ単焦点に見劣りするものの、絞ることで大幅に向上する製品が複数あります。VILTROX 26mmの強みは小型軽量かつF2.8から良好な結果が得られる点と言えそうです。
遠景解像力
テスト環境

- 撮影日:2026.7.21 晴れ 微風
- カメラ:ULCE-7RM5
- 三脚:SIRUI AM324
- 雲台:アルカスイス Z1+
- 露出:ISO 100 絞り優先AE
- RAW:Adobe Camera RAW
- シャープネスオフ
- ノイズリダクションオフ
- レンズ補正オフ
中央

F2.8から優れた解像性能ですが、1段絞るとコントラストが改善します(フレアの影響かもしれません)。絞っても細部の描写に劇的な変化はありません。これはF2.8から優れた性能であることを意味しています。
周辺

中央と同じくF2.8から良好ですが、細部の描写は僅かに甘め。F5.6-8.0まで絞ると少し改善しますが、F2.8から実用的な画質に違いありません。
四隅

F2.8から像の乱れが少なく、良像と言える範囲内だと思います。ただし、6000万画素を活かせる細部の解像性能ではありません。絞ると徐々に改善し、F5.6-8.0で非常に良好な結果が得られます。薄型のパンケーキ26mmと考えると健闘。
像面湾曲
像面湾曲とは?
像面湾曲とは、本来は平らなはずのピント面が、レンズの特性によって曲面になってしまう収差。
理想的なレンズでは、平らな被写体を撮影した際に画面全体へ同じようにピントが合う。しかし、像面湾曲があると、中央にピントを合わせたときに周辺がぼやけたり、逆に周辺へピントを合わせると中央がぼやけたり。
例えば、壁や新聞、建物の正面など平面的な被写体を撮影すると、中央はシャープなのに四隅だけ甘く見えることがあります。この場合、レンズの解像性能が低いのではなく、ピント面が湾曲していることが原因の可能性あり。また、像面湾曲には内側へ曲がるものと外側へ曲がるものがあり、レンズによって傾向が異なる。
像面湾曲は画面の隅に向かうほど影響が大きくなるため、風景や建築写真では重要な性能項目の一つ。一方、ポートレートや近接撮影では必ずしも欠点とは限らず、被写体の立体感や独特の描写に寄与することも。
なお、像面湾曲はピント位置の問題であり、色収差や歪曲収差とは異なります。また、レンズを絞ると被写界深度が深くなるため影響が目立ちにくくなる。レンズレビューで「像面湾曲が少ない」と評価される場合、画面中央から周辺まで均一なピント面を維持しやすく、風景や建築物をシャープに撮影しやすいことを意味する。

ピント面が分かりやすいように加工しています。
実写で確認
以下の画像は「中央で遠景にピントを合わせ(左)」「隅で遠景にピント合わせ(右)」したもの。
テスト結果に大きな違いは見られず、少なくとも遠景で像面湾曲は無視できる程度に抑えられています。近距離でも解像チャートテストの結果を見るに、良く補正されています。
倍率色収差
倍率色収差とは?
倍率色収差とは、レンズが光の色によって異なる倍率で像を結んでしまう現象。その結果、画像の色ごとの大きさがわずかに異なり、被写体の輪郭部分に色のずれが発生。
軸上色収差がピント位置の前後で起こるのに対し、倍率色収差は主に画面周辺で目立つ。例えば、建物の輪郭や電線、木の枝などの境界部分に、赤や紫、青、緑などの色の縁取りなど。画面中央ではほとんど見えないものの、周辺へ行くほど目立ちやすくなるのが特徴。
倍率色収差は絞りを変えてもほとんど改善しないため、レンズ設計による補正が重要。一方で、軸上色収差と異なり、デジタル補正との相性が良く、多くのミラーレスカメラや現像ソフトでは自動補正容易。そのため実際の撮影では大きな問題になりにくい場合も多い。
ただし、高解像モデルで風景や建築物を撮影する際には解像感の低下につながる可能性あり。レンズレビューで「倍率色収差が良好に補正されている」と評価される場合、画面周辺でも色の縁取りが少なく、被写体の輪郭をより正確かつシャープに描写できることを意味しています。
- 良好な補正
- 倍率色収差あり
実写で確認
絞り全域で倍率色収差の影響が僅かに残っています。ディテールを損なうような影響度合いではなく、現像ソフトなどで簡単に修正可能。無視できる程度の影響です。
軸上色収差
軸上色収差とは?
軸上色収差とは、レンズが光の色ごとに異なる位置へピントを結んでしまう現象。光には赤や緑、青などさまざまな色が含まれており、レンズを通ると色によって曲がり方がわずかに異なる。そのため、ある色にピントが合っていても別の色は前後にずれ、画像に色のにじみが発生。
軸上色収差は主にピント面の前後に現れ、ピントより手前では紫色やマゼンタ色、奥側では緑色のにじみとして見えることが多い。特に開放F値の明るいレンズや望遠レンズで目立ちやすく、金属の反射部分や白い文字、逆光の被写体など高コントラストな場面で確認しやすい。
また、画面中央でも周辺でも発生するため、絞りを開けた状態では画面全体の解像感やコントラストを低下させる原因となる。一般的にはレンズを1~2段ほど絞ると大幅に改善。近年の高性能レンズでは特殊低分散ガラスなどを使用して補正されているものの、完全にゼロにすることは難しい。レンズレビューで「軸上色収差が少ない」と評価される場合は、ピント面前後の色にじみが少なく、よりシャープな描写が期待できるという意味。

実写で確認
極端な状況で色収差が僅かに残存していることが分かります。実写でこの収差が目立つ場面は非常に少なく、過度に心配する必要はありません。F4.0-5.6でほぼ解消します。
歪曲収差
歪曲収差とは?
歪曲収差とは、被写体の形そのものが変形して写る現象。レンズの解像力やピントとは別の問題で、直線であるはずのものが曲がって記録されるのが特徴。
- 糸巻き型歪曲
- 適切な補正
- 樽型歪曲
代表的なものは「樽型歪曲」と「糸巻き型歪曲」。樽型歪曲では画面中央から外側へ向かって線が膨らみ、建物の壁や地平線が外側へふくらんで見える。一方、糸巻き型歪曲では線が内側へ引っ張られたように曲がる。また、ズームレンズでは広角側で樽型、望遠側で糸巻き型になることも多い。
歪曲収差は特に建築物や室内、風景写真など、直線が多い被写体で目立ちやすい。人物撮影では気付きにくい場合もありますが、画面周辺に人物を配置すると体形や顔の形がわずかに変形して見える可能性あり。
他の収差と異なり、歪曲収差は画面のシャープネスや色にじみにはほとんど影響しません。そのため、近年のミラーレスカメラや現像ソフトではデジタル補正が広く利用されており、多くのレンズで自動的に補正されています。
レンズレビューで「歪曲収差が少ない」と評価される場合は、建物や水平線などの直線を自然な形で再現できることを意味しています。一方、歪曲収差をソフトウェア補正する前提で設計されたレンズも多く、実写では大きな問題にならない場合も少なくない。
実写で確認
未補正RAWで穏やかな樽型歪曲。このままでも無視できる程度ですが、直線的な被写体を撮影する場合は修正が必要となります。


コマ収差
コマ収差・非点収差とは?
コマ収差とは、画面周辺の点光源が彗星(Comet)のように尾を引いた形に変形して写る現象。名称の「コマ」は英語の Coma(彗星)に由来。
本来、星や街灯のような点光源は丸い点として写るべきところ、コマ収差が大きいレンズでは画面周辺で三角形や鳥が羽を広げたような形に崩れる。特に画面の隅に近づくほど目立ちやすい。
コマ収差は星景写真や夜景撮影で重要な性能項目。例えば、画面中央の星はきれいな点に写っていても、四隅の星が流れたような形に。昼間の撮影では気付きにくいものの、夜間の点光源では容易に確認可能。
一般的にはレンズを少し絞ることで改善。レンズレビューで「コマ収差が良好に補正されている」と評価される場合、画面周辺の星や街灯も点に近い形で再現できることを意味しています。
- 良好な補正状態
- 悪い補正状態
実写で確認
完璧とは言えませんが、F2.8からまずまず良好な補正状態です。全体像からすると影響は軽微。F5.6付近まで絞るとほぼ解消します。
球面収差
球面収差とは
球面収差とは、レンズの中心を通る光と周辺を通る光が異なる位置でピントを結んでしまう収差。その結果、ピントが合っているはずの部分でも像がわずかににじみ、シャープさやコントラストが低下。
理想的なレンズでは、すべての光が同じ位置に収束。しかし実際のレンズは、中心付近を通る光と周辺部を通る光の集まり方が異なるため、一点に完全には集まりません。
球面収差が大きいレンズでは、開放F値で撮影した際に全体が少し柔らかく見えたり、光がにじんだような描写。特にポートレート用レンズでは、この特性を活かして肌をなめらかに見せる場合もあります。一方、風景や建築写真では解像感の低下につながるため、できるだけ少ないことが望ましい。
球面収差は前ボケと後ボケの見え方にも大きく影響。球面収差の補正状態によってボケの柔らかさや輪郭の強さが変化するため、レンズごとの描写の個性を生む要素の一つ。
一般的にはレンズを絞ることで周辺光線が制限され、球面収差は大幅に改善。レンズレビューで「球面収差がよく補正されている」と評価される場合は、開放F値から高い解像感とコントラストを得やすいことを意味します。一方で、あえて球面収差を少し残すことで、柔らかく自然なボケ描写を実現しているレンズも存在。
実写で確認
前後のボケ質に大きな差はありません。ただし、後側はボケの縁取りが弱く、前側のボケは縁取りが少し硬め。
前後ボケ
綺麗なボケ・騒がしいボケとは?
綺麗なボケとは、輪郭が目立たず、背景がなめらかに溶けるような描写。被写体が背景から自然に浮かび上がり、見る人の視線を主題へ導きやすい。ポートレートや花の撮影で好まれることが多く、「柔らかいボケ」「なめらかなボケ」と表現される場合もある。
騒がしいボケとは、背景の輪郭や模様が強調されて見えるボケ。木の枝や葉、フェンスなど細かな模様が二重線になったり、ざわついた印象になったりする。背景が目立ちすぎるため、主題への視線が分散することがあります。
ボケの良し悪しは単純に明るいレンズほど優れるわけではなく、球面収差の補正状態やレンズ構成、絞り羽根の形状などによって変化します。また、撮影距離や背景との距離によっても印象は大きく変わります。
ボケの評価には好みも大きく関係。一般的にはなめらかなボケが高く評価されることが多いものの、被写体や作品の雰囲気によっては、少し騒がしいボケが独特の立体感や個性を生む場合もあります。そのため、ボケの質はレンズの性能だけでなく、写真表現の一部として捉えることが重要。

後ボケ
球面収差のテスト結果と同じく、後ボケは縁取りが弱く滑らかな描写。広角レンズで前ボケが重要となるシーンはほとんど無いため、後ボケ寄りのバランスが好適。色収差の影響も少なく、心地よいボケ質です。
前ボケ
後ボケと比べると描写が硬め。ただし、2線ボケが目立つ極端な描写ではありません。
玉ボケ
口径食・球面収差の影響
玉ボケとは、背景や前景にある小さな光源が、丸い光の円として写るボケ表現のこと。夜景のイルミネーションや木漏れ日、水面の反射などでよく見られる。一般的に、明るいレンズほど大きな玉ボケを作りやすく、背景を印象的に演出できるため、ポートレートやスナップ撮影で人気がある。
理想的な玉ボケは、円形で輪郭が目立たず、内部の明るさが均一な状態で。しかし実際にはレンズ設計の影響により、さまざまな特徴が現れることがある。例えば、輪郭が明るく縁取られた玉ボケは背景が騒がしく見えやすく、内部に同心円状の模様が現れるものは「玉ねぎボケ」と呼ばれる。
- 影響が強い
- 影響が弱い
また、画面周辺では玉ボケが円形を保てず、楕円形や猫の目のような形に変形することがある。これは周辺部で光が一部遮られるためで、「口径食」と呼ばれる現象によるもの。
- 前ボケ
- 後ボケ
実写で確認
カメラの設定ミスでフリッカーの影響あり。
非球面レンズの研磨ムラのような痕跡はあるものの、玉ねぎボケの兆候はありません。口径食の影響は強めですが、小型軽量な26mm F2.8としては許容範囲内。口径食は1段絞るとほぼ解消します。

ボケ実写
至近距離
小型軽量な「26mm F2.8」としては滑らかで綺麗な後ボケ。ニコンZ 26mm F2.8のような目立つ縁取りが無く、心地よい描写です。

近距離
至近距離と同じく、広い範囲で滑らかで綺麗なボケ。フレーム隅で倍率色収差の影響があるものの、影響は穏やかで無視できる程度。

中距離
撮影距離が長い場合でも中央から広い範囲で滑らかな描写。周辺部や隅でボケがざわつくものの、過度に悪目立ちする描写ではありません。1段絞ると軽減します。

ポートレート
全高170cmの三脚を人物に見立て、絞り開放(F2.8)で距離を変えながら撮影した結果が以下の通り。
26mm F2.8 でフレームに全身を入れる場合、背景から被写体を分離するのは難しい。ボケは硬めの描写ですが、サイズが小さいので目立ちません。
背景から被写体を分離したい場合、上半身やバストアップくらいまで近寄る必要があります。この際のボケは広い範囲で滑らか。
周辺減光
周辺減光とは?
周辺減光とは、画面の中央に比べて四隅や周辺部分が暗く写る現象。英語では「ビネッティング(Vignetting)」とも呼ばれる。
本来は画面全体が同じ明るさで写るのが理想ですが、レンズの構造上、周辺部へ届く光の量が中央より少なくなることがあります。その結果、写真の四隅がわずかに暗くなり、特に青空や白い壁など均一な被写体を撮影すると目立ちやすい。
周辺減光は広角レンズや大口径レンズで発生しやすく、開放F値付近で最も強く現れることが多い。レンズを1〜2段ほど絞ると改善する場合が多く、近年のミラーレスカメラではソフトウェア補正によって自動的に軽減。
一般的には欠点として扱われるものの、必ずしも悪い現象とは限りません。画面の四隅が暗くなることで視線が中央へ集まりやすくなり、ポートレートやスナップ写真では雰囲気作りに役立つ場合もあります。そのため、あえて補正せずに利用する写真家もいるくらい。
- 良好
- 周辺減光
ソフトウェアで簡単に補正できる現象ですが、露出不足を後処理の補正(増感)で補うため、センサー由来のノイズが発生する原因となる点には注意。特に夜景や星空の撮影などで高感度ISOを使う場合はノイズが強く現れる可能性あり。
最短撮影距離
最短撮影距離でも周辺減光の影響が目立ちます。絞りによる改善効果はほとんどありません。
無限遠
最短撮影距離よりも強めの減光効果が発生します。絞っても減光効果が軽減しない点は同じ。風景撮影などでは後処理が必要と感じるかもしれません。
逆光耐性
逆光耐性とは
逆光耐性とは、太陽や強い照明が画面内、または画面のすぐ外にある状況で、画質をどれだけ維持できるかを示す性能。
逆光下では、レンズ内で光が反射・散乱することで「フレア」や「ゴースト」が発生。フレアは写真全体が白っぽくなってコントラストが低下する現象で、ゴーストは光源の形をした模様や色付きの像が画面内に現れる現象。
逆光耐性が高いレンズは、強い光源が画面内にあってもコントラストや色の再現性を維持しやすく、フレアやゴーストの発生も少ない。近年のレンズでは特殊コーティングの採用により大幅改善。
ただし、逆光耐性が優れていても完全にフレアやゴーストをなくすことは難しい。特に超広角レンズやズームレンズでは光学設計上の制約から発生しやすい場合があります。
レンズレビューで「逆光耐性が優秀」と評価される場合、太陽を画面に入れた撮影でも画質の低下が少なく、安定した描写が期待できることを意味しています。
中央
ここ最近のVILTROXレンズは中国レンズメーカーの中で良好な逆光耐性でしたが…。残念ながら本製品は逆光時のフレアが目立ちます。絞ると軽減しますが、その代わりに悪目立ちする光条の主張が激しい。実写でも影響を受けるシーンが多く、画角が広いので手でハレ切りするのも難しい。
隅
光源をフレーム隅に移動した場合も同様。絞り開放では目立つフレアが発生します。絞った際の光条は控えめですが、それでもフレアとゴーストの影響あり。
全体的に、逆光耐性はNIKKOR Z 26mm F2.8と比べて弱点となる部分。
光条
光条とは
光条とは、太陽や街灯などの強い点光源から放射状に伸びる光の筋のこと。英語では「サンスター(Sunstar)」とも呼ばれる。
光条は主にレンズを絞ったときに発生しやすく、絞り羽根の枚数や形状によって見え方が変化。例えば、夜景の街灯が星のように見えるのは光条の効果によるもの。
光条がシャープで均一なレンズは、風景写真や夜景写真を好む撮影者から高く評価されます。一方、光条が太かったり不揃いだったりすると、見栄えがやや不自然。
一般的に開放F値では光条はほとんど目立たず、F8〜F16程度まで絞ると現れやすくなる。ただし、絞りすぎると回折の影響で解像感が低下するため、光条の強さと画質のバランスを考慮する必要があります。
レンズレビューで「美しい光条が得られる」と評価される場合、夜景やイルミネーション撮影で点光源を印象的に表現しやすいことを意味しています。逆に「光条が不規則」と評価される場合、光の筋の長さや形が揃わず、やや雑然とした印象になることを示しています。
実写で確認
興味深いことに、光条の描写は小絞りよりF5.6付近のほうが良好。回折の影響が少ない絞り値で、解像性能と光条のバランスを取ることが出来ます。
まとめ

良かったところ
ココがおすすめ
- 小型軽量かつ防塵防滴
- マグネット式で使いやすいレンズキャップ
- 絞りリング搭載
- 撮影距離を選ばず良好な解像性能
- 像面湾曲が小さい
- 倍率色収差が軽微
- 軸上色収差が軽微
- 歪曲収差が穏やか
- コマ収差が軽微
- 球面収差が穏やか
- 後ボケが滑らか
- 玉ボケが滑らか
- 光条のピークがF5.6
少なくとも、逆光耐性以外は文句なしの光学性能を実現した薄型26mmレンズ。携帯性の高い優れた広角レンズを探しているのであれば、検討する価値のある製品です。
撮影距離に関わらず、F2.8の絞り開放から優れた解像性能を発揮し、広角レンズとしては滑らかで欠点が目立たないボケが得られます。特に点像の再現性や後ボケの滑らかさの観点でNIKKOR Z 26mm F2.8より良好。
悪かったところ
ココに注意
- 社外製の26mm F2.8としては少し高め
- AFがやや遅め
- 繰り出し式フォーカス
- フォーカスブリージングが目立つ
- 周辺減光がやや強め
- 逆光時のフレアが目立つ
優れた光学性能のレンズですが、無視できない欠点がいくつか存在します。非ライセンスの「26mm F2.8」としてはやや高めで、AFはお世辞にも高速とは言えません(競合するニコンより遅い)フォーカスブリージングや繰り出し式フォーカスは許容するとしても、フォーカス速度がもう少し速いとと良かった。
もう一つの欠点は逆光時にフレアが出やすいこと。フレアは時として官能的な描写となりますが、このレンズのフレアは発生頻度と影響度合いから美的と言うには少し過剰です。
結論

Eマウントでは貴重なパンケーキ26mmレンズ。(社外製としては少し高めですが)手頃な価格設定で、(逆光フレア以外は)優れた光学性能を発揮する製品。前述2点の短所を許容できるのであれば、小型軽量でコストパフォーマンスの高い広角レンズとなることでしょう。
絞りリングを装着しているので、コントロールが少ないカメラとの相性が良好。防塵防滴仕様のため、適切なボディと組み合わせることで使用する機会が多くなるのも魅力的。
下記の競合製品も要検討ですが、特にEマウントでは検討する価値の高い選択肢。
| VILTROX AF 26mm F2.8 EVO | |
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購入を悩んでいる人
NIKKOR Z 26mm f/2.8

Zマウントにおける競合製品の筆頭。
レンズ仕様や繰り出し式フォーカス、フィルターソケット付きレンズフードなど共通点が多い。
販売価格は少し高めですが、ニコン純正品として互換性は高め。逆光耐性も良好。ニコンユーザーであれば、素直にこちらを選んだほうが間違いありません。
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VILTROX AF 28mm F4.5

VILTROX 26mm F2.8よりも薄い広角単焦点レンズ。
価格も26mm F2.8の半値以下ですが、絞りはF4.5固定、絞りリングやMFリングはありません。かなり割り切った仕様のレンズです。光学性能も同等とは言えません。
これはこれでアリですが、26mm F2.8とは切り離して考えるべきレンズ。
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| PERGEAR | |||
24mm F3.5 DG DN

光学性能はVILTROXに及ばないものの、接写能力や外装の造り、AFなどはより良好。ライセンス下で設計・開発されているため、互換性は比較的良好。ただし、パンケーキとは言えない厚みのあるレンズです。価格も少し高め。
新モデル
| 24mm F3.5 DG Leica L Black | |||
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| 24mm F3.5 DG Leica L Silver | |||
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| 24mm F3.5 DG Sony E | |||
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旧モデル
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| 24mm F3.5 DG DN Sony E | |||
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FE 24mm F2.8 G
未使用につき紹介まで。
VILTROXほど薄型ではないものの、小型軽量な24mm F2.8レンズ。絞りリングに加え、FnボタンやAF/MFスイッチまで搭載している全部入り。良好なAF性能を考慮すると、VILTROXよりもスナップ撮影向けと言えそうです。
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購入早見表
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作例
関連レンズ
- NIKKOR Z 26mm f/2.8
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- 24mm F3.5 DG DN
- 24mm F/2.8 Di III OSD M1:2
- AF 24mm f/2.8 FE
- VILTROX AF 28mm F4.5


















