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M.ZUIKO DIGITAL ED 20mm F1.4 PRO レビューVol.3 近距離解像編

このページではOM SYSTEM「M.ZUIKO DIGITAL ED 20mm F1.4 PRO」の近距離解像性能についてレビューを掲載しています。

M.ZUIKO DIGITAL ED 20mm F1.4 PROのレビュー一覧

解像力チャート

撮影環境

テスト環境

  • カメラボディ:OM-D E-M1 Mark III
  • 交換レンズ:M.ZUIKO DIGITAL ED 20mm F1.4 PRO
  • パール光学工業株式会社「【HR23348】ISO12233準拠 8K解像力テストチャート(スチルカメラ用)
  • オリンパス HYRes 3.1 解析ソフト
  • 屋内で照明環境が一定
  • 三脚・セルフタイマー10秒・電子シャッター
  • RAW出力
  • ISO 200 固定
  • Adobe Lightroom Classic CCでRAW現像
    ・シャープネス オフ
    ・ノイズリダクション オフ
    ・色収差補正オフ
    ・格納されたレンズプロファイル(外せない)
  • 解析するポイントごとにピントを合わせて撮影
    (像面湾曲は近接で測定が難しいので無限遠時にチェック)
  • 近接でのテストであることに注意(無限遠側はさらに良好となる可能性あり)

補足

今回はRAW出力を元にしてシャープネスをオフの状態で検証。ボディ出力のJPEGやRAW現像でシャープネスを整えるとより数値が向上する可能性あり。今回の数値はあくまでも「最低値」とお考え下さい。

テスト結果 2000万画素

「絞り開放からピークの性能」というわけでは無く、F1.4付近は少しソフトな描写。絞ることで解像性能は改善するが、中央から隅にかけてパフォーマンスの改善幅が異なる。抜群の解像性能とは言えないが、絞り開放でも隅まで安定感のある画質は肯定的に評価できると思う。

中央

F1.4では球面収差・軸上色収差の影響が残っているように見える。ディテールのコントラストが低く、解像感が少し低い。F2まで絞ると改善するが、それでも収差の影響が抜けきっていない。
F2.8まで絞ると画質が大きく改善し、F4以降に大きな変化は見られない。

周辺

中央とほとんど同じ画質に見える。遠景解像では非点収差か像面湾曲の影響が強かったものの、近距離で似たような傾向は見られない。完璧からは程遠いが、中央から一貫性のある画質と言える。やはり絞ると徐々に改善し、F4前後でピークを迎える。中央ほど数値が伸びないのは、おそらく僅かに非点収差の影響が残っているため。

四隅

絞り開放は基本的に中央や周辺部と同じ画質。F1.4の開放F値を考慮すると安定感のある画質に見える。ただし絞っても画質は大きく改善しない。これは倍率色収差と非点収差の影響が残っているように見え、実際に数値上で低い結果となる。

数値確認

中央 周辺部 四隅
F1.4 2679 2727 2514
F2.0 3211 2858 2462
F2.8 3384 3184 2618
F4.0 3562 2937 2779
F5.6 3504 3016 2618
F8.0 3141 2806 2748
F11 2758 2543 2359
F16 2306 2123 1996

実写確認

テスト結果 8000万画素

絞り開放付近はハイレゾショットの恩恵が低い。F2.8からF5.6まで絞って撮影することでフレームの大部分で非常に良好な結果を得ることが可能。

中央

絞り開放は通常時と同じく収差が強めで少しソフトな描写。F4まで絞るとコントラストやシャープネスがグッと改善して解像性能が大きく伸びる。ピークはF4~F5.6で達成され、F8以降は回折の影響で急速に低下する。

周辺

絞り開放は中央と同程度で、絞ると改善する。ただし、F2.8以降は伸び悩み、中央ほど改善しない。解像感は悪くないが、ハイレゾショットの恩恵は薄い。

四隅

ハイレゾショットを使用した隅の画質としてはF1.4から安定している。絞ると周辺減光や色収差は改善するものの、解像性能の数値としては伸び悩んでいるように見える。

数値確認

中央 周辺部 四隅
F1.4 3088 3152 2841
F2.0 3787 3681 3140
F2.8 4356 3774 2972
F4.0 4626 3883 2844
F5.6 4678 3817 2780
F8.0 3930 3633 2844
F11 3285 2897 2371
F16 2426 2226

実写確認

競合レンズ比較

決して悪くない性能だが、「M.ZUIKO DIGITAL 25mm F1.8」「LEICA DG SUMMILUX 25mm / F1.4 II ASPH.」などと比べるとコストパフォーマンスが悪い。やはり周辺部から隅にかけて残存している非点収差が解像性能を足を引っ張っているように見える。

中央 F1.4

どのレンズにしても色収差の影響が僅かに残っている。

中央 F4

どのレンズもF4付近まで絞ると非常にシャープな結果を得ることが出来る。

周辺 F1.4

20mm F1.4 PROはLEICA DG 25mmよりも安定感があるものの、25mm F1.8が最も安定している。

周辺 F4.0

絞った時に大きく改善するのはLEICA DG。20mm F1.8 PROや25mm F1.8は非点収差の影響が残っているように見える。

隅 F1.4

20mm F1.4 PROは隅まで安定感のある絞り開放だが、それは25mm F1.8も同じ。比較してLEICADG 25mmは少しソフトな画質となる。

隅 F4

LEICA DG 25mmは絞ると画質が改善する。20mm F1.4 PROや25mm F1.8は絞りによる画質の変化が少なく、非点収差が少し残っているように見える。

まとめ

遠景解像と比べると絞り開放の性能が遥かに安定している。抜群の解像性能とは言えないが、安定感のある画質に間違いない。とは言え、絞り開放には収差の影響が残っており、期待していたよりも少し甘い描写である。コストパフォーマンスは最高と言えず、解像性能だけで言えば「M.ZUIKO DIGITAL 25mm F1.8」のほうが良好だ。絞った際の結果で言えば「LEICA DG SUMMILUX 25mm / F1.4 II ASPH.」のほうがカリッとした結果を得ることができる。

決して低解像と言うわけでは無く、等倍でチェックでもしない限り不快と感じることは少ないと思う。実用上は十分な解像性能は備えている。ただ、OMデジタルが商品ページで記述している「美しくにじむボケ」と解像力を高次元で両立とまではいかないように感じる。この点でF1.2 PROシリーズは上手くやってのけていた(25mm F1.2 PROを除く)。その実績があるからこそ、20mm F1.4 PROに対する期待度が高すぎたのかもしれない。

このレンズの醍醐味は意図的に設計した「美しく滲むボケ」だと思うので、次はこのレンズのボケ味についてじっくり検証したいと思う。

購入早見表

M.ZUIKO DIGITAL ED 20mm F1.4 PRO
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作例

オリジナルデータはFlickrにて掲載

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