DPReviewがニコン「Z 9」に関するインタビュー記事を公開。Z 9に関する開発秘話から今後の方向性、パンデミックの影響、生産体制などなど、多岐にわたってボリュームのある内容となっています。
DPReview:Nikon interview: 'Z 9 will exceed expectations for every genre of photography and video'
気になったポイント
かなりボリュームのあるインタビューなので、個人的に気になったのは以下のポイント。
- Z 9はニコンがシェアを回復した「D3」の再来となる
- 今後は中上位機種のミラーレスに集中を目指す
- 使い動画機能を備え、価格を抑えたモデルも重要
- 3D トラッキングを様々なレベルのユーザーへ
- Z 9はD6よりもAFエリアが広く、追従性もより優れている
- Z 9の電子シャッターはメカニカルと比べて違いはない
- 動画撮影時にスキャン速度が低下するのは画質や消費電力とのバランスによるもの
- サードパーティとの互換性にも力を入れる
- 仙台工場の閉鎖は無い、栃木工場でレンズを引き続き生産
- ステッピングモーターを使うのには理由がある
ニコンは2008年の年次報告書で「D3」などにより増収増益、シェア拡大などを強調しています。この時と同じように「Z 9」で出遅れたミラーレス市場で存在感を増すことができるのか注目ですね。確かに魅力的なカメラに見え、予約販売の出だしも好調のようです。
今後は中上位機種へ集中すると言及しており、「EXPEED 7」を搭載したZ 7IIやZ 6IIの後継機種がそのうち登場するかもしれません。個人的に初代「Z 7」を使い続けているので、「Z 7III」あたりで買い替えを検討中。3Dトラッキングや被写体認識を実装したら、人気の機種になるのではと予想しています。
DPReview:Nikon interview: 'Z 9 will exceed expectations for every genre of photography and video'
ニコンの担当者がZ 9を「D3の再来」と表現しているのを聞いたことがある。これはどのような意味か?
- Z 9を使用している何人かのプロの写真家が、このカメラを「D3の再来」と表現しているのを聞いたことがある。
- D3が発売された当時、高感度画質の性能が飛躍的に進化したことが評価され、ニコンがシェアを回復し始めたと言っても過言では無い。
- Z 9は、映像のプロがこれまでにない創造を可能にする革新的なレベルと先進的な機能を備えている。
- プロを満足させる高画質、耐久性のある構造、高速性能を備えたニコン初のフルサイズミラーレスのフラッグシップカメラボディとして、高い評価を得られると確信している。
D3が発売された2007年と比較して、ニコンにとってプロカメラマンの重要性は増しているのか、それとも減っているのか?
- プロフォトグラファーは、ニコンの歴史を支えてきた。フラッグシップモデルは、我々がどのような存在で、どのように彼らのニーズに応えていくのかを決定づけるものだ。
- プロフェッショナルは日々の仕事のために最新の技術を求め、常に競争力を求めている。
- Z 9をプロの方々に手に取っていただき、1世紀以上にわたって当社を定義してきたエンジニアリングを実証できることを大変うれしく思う。
- プロにとっては、スピードだけでなく、撮影、保存、画像の現像、撮影現場から新聞社などへのデータ転送などのワークフローも非常に重要だ。我々は、プロフェッショナルのニーズに応えるソリューションも提供している。
- NX Fieldの導入により、新たな視点での撮影が可能となり、東京オリンピックなどの現場で多くのプロユーザーから好評を博している。
- ニコンはフォトグラファーを直接サポートする。カメラマンが現場で決定的な瞬間を逃さないように、NX MobileAirやNX Tetherなどのソリューションを提供し、特に情報(画像)の即時性を最大限にサポートする。
読者の間では、ニコンはミラーレス市場で他社に遅れをとっているという認識がある。これに対しての考えは?
- フルサイズミラーレス市場への参入が遅かったこともあり、レンズやボディの製品ラインアップについては、「追いつく」必要があった。
- しかし、今回発表した新しいレンズロードマップをご覧いただければわかるように、超望遠レンズをはじめとする重要なNIKKOR Zレンズのラインナップは、これまでにないスピードで急速に拡大し続けている。
- 我々は、お客様の声に真摯に耳を傾け、ニコンZマウントシステムに何を求めているのかを具体的に聞いてきた。Z 9はその答えだ。
ニコンはエントリーレベルのILC(レンズ交換式カメラ)市場から事実上撤退したのか?
- No、ニコンはエントリー市場から撤退したわけではない。ユーザーの裾野を広げるためにエントリー市場が重要だと考えており、さまざまなユーザーに向けて強力な製品を提供する。
- 今後は、ミラーレスの中上位機種に集中することを目指しているが、ユーザーの裾野を広げるためには、DXのエントリーモデルも重要だと考えている。
- また、強い動画機能を持ちながら、価格を抑えたモデルも重要だと考えており、Z fcのようなスタイリッシュでデザイン性の高い、お客様のライフスタイルにシームレスにフィットする製品も検討している。
- 最近発表した数多くのレンズを見てもわかるように、小型・軽量で使いやすく、価格も手頃なレンズを拡充している。
- ZシステムはフルサイズとAPS-Cのレンズが交換可能であるという利点があり、汎用性の高いDX 18-140のようなレンズや、40mm F2のような超小型の単焦点レンズも含まれる。
Z 7IIやZ 6IIの後継モデルを主軸として、Z 5やZ 50・Z fcの後継機種も期待できそうですね。EXPEED 7を搭載した次世代モデルの登場を期待したいところ。また、小型軽量システムの拡充も意識しているようで、ロードマップ上には既に新しい小型軽量レンズの登場が示唆されています。
- 26mm
- DX 24mm
- DX 12-24mm
Z 9の動画機能は、既存のスポーツ/フォトジャーナリストのユーザーに向けたものなのか、それとも映像制作者という新たなユーザーを獲得したいと考えているのか。
- Z 9は、ニコン史上で最も先進的な動画機能を備えている。このクラスでは他に類を見ないものであり、幅広いユーザーに最適だ。
- スピード、多様なフレームレートと解像度、そして堅牢な構造を備えたこのモデルは、スポーツやジャーナリストだけでなく、映像制作者やイベントの動画撮影、あらゆる規模のプロダクションにとっても魅力的なモデルとなっている。
- ジャーナリズムやスポーツの現場では、映像のニーズが高まっている。また、ファッションや広告の分野でも動画のスペックが求められており、Z 9を通じてそのようなユーザーにアプローチできると考えている。
- ファームウェアのアップデートで、12bit RAW動画や8K60pなど、映像クリエイター向けの機能を大幅に追加していく予定だ。
- ニコン初の8K動画記録、最大125分までの撮影時間延長、フルサイズ4K120p、さらにHLGやN-Logの内部記録など、多彩で強力なスペックで動画ニーズにしっかりと応えるモデルだ。
- また、静止画と動画で利用できる9種類の被写体検知機能なども搭載している。
- それ以外にも、最小限のスタッフで最高品質の動画を制作したいという映像クリエイターにもアピールできる。
- NIKKOR Zレンズのラインアップが増え、FTZアダプターで360本以上のFマウントレンズにアクセスできるようになっている。ディレクターは作品に合わせて、あるいはプロジェクトに個性的なヴィジュアルのため、さまざまなレンズを使用可能だ。
ニコンは、3D AFトラッキングをプロ用カメラだけの技術と考えているのか?
- 3Dトラッキングは非常に人気の高いAF機能だ。お客様からの強いご要望にお応えして、ミラーレスカメラとしては初めて3Dトラッキング機能を搭載した。
- これは非常に強力なプロ仕様の機能だが、この技術はプロ用カメラだけのものではなく、様々なレベルのユーザーに楽しんでいただけるものだと考えている。
- 3Dトラッキング機能の基本的な機能は、動いている被写体を撮影し、取得した被写体にピントを合わせ続けるというもので、プロや愛好家が撮影するスポーツシーンだけでなく、一般のユーザーが動く犬や鳥などの被写体を撮影するシーンでも有効な機能である。
- 技術の進歩により、3Dトラッキングを支える大きな技術要素である「被写体検出技術」を搭載することがでた。Z 9では、世界で最も多い9種類の被写体を同時に検出することが可能だ。
- この同時検出を20コマ/秒の高速連写で実現するためには、ディープラーニング技術を用いてアルゴリズムを高速化する必要があった。このチューニングには時間がかかり、開発の最終段階まで続いた。
- また、一眼レフカメラよりもAFエリアが広く、追従性もD6よりも優れている。
- また、他社にはない、被写体の種類を判断する自動検出という機能もある。今後、市場動向やターゲットユーザーに合わせて、他機種への搭載も検討していく。
Z 9に3Dトラッキングを搭載できたのは、どのような技術の変化によるものか。
- 高性能な3Dトラッキングをミラーレスカメラに導入するためには、複数の技術開発が必要だった。
- イメージセンサーからの高速読み出しによる基本性能の向上、新開発の画像処理エンジン「EXPEED 7」による画像処理の大幅な高速化によって実現している。
- 本来、3Dトラッキングは、さまざまな高性能技術と、それらを効率的に連携させることで実現するものだ。3Dトラッキングの効果が発揮される秒間20コマの高速連写では、撮影フレーム間でより正確なAF情報や被写体の位置情報が必要になる。
- Z 9は、高速AF情報演算とディープラーニング技術を用いたアルゴリズムにより、フレーム間でも高性能な被写体位置検出が可能となり、120fpsの高フレームレートで途切れることなく撮影することが出来る。
Zカメラで3D-トラッキングの普及は期待大。一眼レフと異なり、Zカメラの3D-トラッキングは被写体認識とセットで真価を発揮するように見えるので、下位機種にも被写体認識が実装されると良いですねえ。せめて中上位機種には搭載して欲しいところ。
ただ、「イメージセンサーからの高速読み出し」も重要となっているらしいので、古いセンサーを継承するカメラには実装されない可能性がありそう。(もしくはZ 9と同等の検出性能・追従性能を引き出せない可能性が高い)
積層型CMOSセンサー技術は、どのようにしてセンサーのデコードレートを高速化するのか?
- 積層型CMOSセンサーは、多くの可能性を秘めた技術だ。
- 大容量メモリと高速処理回路を積層領域に配置することで、転送速度を上げるための回路に余裕ができる。高速スキャンが実現できるだけでなく、パイプラインに組み込まれた高速メモリにより、より高速な読み出しが可能となり、メカニカルシャッターと同等のフレームレートを実現できる。
- また、開発段階で行われるイメージセンサーのテストでは、イメージセンサー単体の性能評価だけでなく、カメラやレンズとの相互作用の評価も重要視される。プロユースを想定した幅広い環境温度でのテストなど、ニコン独自の厳しい基準を設け、過酷な環境下での使用性を検証している。
コンサートなどでは、カラーLEDを高速で点滅させることがあるが、これは電子シャッターや電子先幕シャッターで問題となる。この問題にはどのように対処したか?
- メカニカルシャッターとZ 9の電子シャッターに違いはない。
- LEDの周波数にもよるが、シャッタースピードを遅くすると問題は目立たなくなる。
- Z 9は電子シャッターの走査速度が非常に速いので、電子シャッターでバンディングが発生しやすくなるということは無い。
キヤノンやソニーが実装している高周波フリッカーへの言及は無し。将来的に実装するのか気になるところですね。現状で「シャッタースピードを遅くすると問題は目立たなくなる」と述べるに留まっており、この問題が気になる人は少し注意が必要かもしれません。
ベースISOを64にしたことで、高感度画質の性能はトレードオフになるのか?
- デュアルコンバージョンゲイン技術を採用することで、低ISO感度から高ISO感度までの各ISO感度でノイズを極限まで抑え、ダイナミックレンジを拡大することができる。
- Z 9では、最低ISO64を継承するだけでなく、1/32,000秒の拡張シャッタースピードを実現し、NoctやZ 50mm F1.2 Sなどの大口径レンズの創造性をさらに高めている。
積層型CMOSセンサーには、高速なデコードレート以外にも、将来的に期待できるメリットがあるのか?
- 積層型CMOSセンサーの利点は他にもたくさんあるが、Z 9ではデュアルストリーム技術を実現している。
- これは、ライブビュー(EVF表示を含む)用と静止画記録用の2つのデータを、イメージセンサーから独立して同時に出力できるものだ。これにより、エンジン側でデータを最適に処理しながら、リアルライブビューファインダーの滑らかな見え方と黒つぶれのないバースト撮影が可能となっている。
ニコンのデジタル一眼レフユーザーが、Z 9に移行する最も説得力のある理由は何か?
- Z 9は、ニコン史上最もパワフルなフラッグシップモデルであり、写真や動画のあらゆるジャンルにおいて、D6の性能を上回る期待値を提供する。
- 9種類の被写体(人、犬、猫、鳥、車、バイク、自転車、飛行機、電車)を検出できる。また、画面内に異なる被写体がある場合、設定を変更することなく検出する被写体を選択することができる。
- さらに、画面内で遠くにいる人や小さくなっている人、顔が横を向いている人や逆さまになっている人でもAFが可能だ。
- デジタル一眼レフカメラで好評の「3Dトラッキング」を、ニコンのミラーレスカメラで初めて搭載した。
- 一眼レフカメラに比べて小型・軽量なシステムだ。
- 縦位置グリップによる縦位置操作などの優れた操作性や、ワークフローをサポートする機能がこれまで以上に充実している。
- リアルライブビューファインダーは、光学ファインダーよりも技術的に優れた見え方を実現し、慣れ親しんでいながらも現代的なファインダー体験を提供できる。
- レンズ設計の自由度を高める大口径Zマウントの優位性と光学技術を活かし、小型・軽量かつ高性能なNIKKOR Zレンズをラインアップしている。
- 小型・軽量の単焦点レンズから超望遠レンズまで、非常に性能の高いレンズを揃えている。さらに、操作性の向上に対応したFTZIIとの組み合わせで、これまでのFマウントレンズも継続してお使いいただける。
リアルビューファインダーはニコンが強調しているZ 9のファインダー機能に関する名称。連写中もライブビューと静止画用のデータを分けて処理することで、最適なファインダー像が得られる模様。他社ではAFや連写中にファインダーの画質が低下するカメラもあるので、Z 9のファインダー像は魅力的と感じるかもしれません。
ただし、流し撮り(スローシャッター)時のブラックアウトフリー・ライブビューには対応していないらしいので、自分の使用環境に適しているのか要確認。
既存の一眼レフユーザーに親しみを感じてもらうために、Z 9で工夫したことは?
- グリップや操作部材の配置などを考慮し、お客様がすぐに馴染みのある感触やバランスを認識できるようにし、快適でありながら高い操作性を実現している。
- ミラーレスなので、カメラボディを含めたシステムの小型・軽量化(D6比20%減)、背面モニターの大型化、新チルト機構の採用による視認性の向上を実現している。
- 片手で操作できるようにレイアウトを変更した。
- 光学ファインダーに慣れたお客様が、リアルタイムで被写体を把握できる「リアルライブビューファインダー」を開発したことで、黒つぶれすることなく被写体を見ることができ、疲れない撮影が可能になった。
Z 9のお客様にとって、動画の重要性はどのくらいか?
- 動画の必要性は今とても重要で、ますます高まっている。Z 9のタグラインである「Unstoppable」に込められたメッセージは、パワフルな動画機能にも表れている。
- 一瞬の動きを見逃さず、決定的な瞬間を継続的かつ確実に捉えることを実現。ソーシャルメディアの拡大により動画のニーズが高まり、オンラインの動画コンテンツ(全般)が増えたことで、動画を制作する人の数も増えている。
- さらに、ニュースやイベントのカメラマンは、マルチメディアの役割を求められることが多くなっている。
- 8Kに対応することで、ユーザーは動画と静止画の境界から解放されると考えている。
- Z 9は、厳しい環境下でも決定的な瞬間を止めることなく撮影できることを目指して開発した。Z 9のターゲットユーザーである映像クリエイターが、決定的な瞬間(例えば、動物の予測不能な行動)を自信を持って撮影できるように、8K 30pの記録時間は最大約125分を実現。
- また、動画から静止画を切り出したいというニーズもありますが、8Kに対応することで、動画と静止画の垣根を取り払うことができると考えている。また、動画から静止画を切り出す際の操作性も非常にスムーズになっており、これは我々がこだわったポイントだ。
Z 9の開発で最も苦労した点はどこか?
- リアルライブビューファインダーの開発だ。
- 大きく向上したAF性能の開発過程でチューニングやテストにおける大量の実写画像が必要だった。COVID-19のパンデミックで、スポーツイベントがあまり開催されていなかったため、いくつかの困難に直面した。
- その代わり、会場を借りて大学の選手を招待し、実写撮影だけを安全に行うことができた。
Zマウントのボディとレンズの通信速度が速くなったことで、どのようなメリットがあったか?
- 高速連写のコマ間で、より多くのレンズデータを高速に交換できるので、主にAF精度の向上に貢献している。
Z 9の画素数はZ 7IIと同じだが、同じような画質が得られるのか?
- Z 9の画質は、いくつかの点でZ 7IIよりも優れている。
- 静止画では、スキャン速度が速くなったことで、ローリングシャッター歪みを最小限に抑えることが出来る。
- オートホワイトバランスの安定性が向上し、自然光オートWBの性能向上で夕景の描写が向上している。
- また、各種スピードライトを使用した際のフラッシュコントロールの向上や、積層型センサーとEXPEED 7によるダイナミックレンジやノイズの抑制などの効果がある。
- Z 7IIの高感度に比べて、特にフラットエリアのノイズが少ない。
- 多くのスポーツカメラマンが使用しているD6に比べて、Z 9は画素数が多く、トリミングを必要とする撮影をするスポーツカメラマンのニーズに適している。
- 高感度ノイズリダクションを「強」に設定すると、画像の粗さを抑えることができる。
- 動画では、8K UHDからのオーバーサンプリングにより、高精細な4K UHD 30pの画質を実現するとともに、ピクチャーコントロールオート機能により、カメラ出力の映像は最適化されている。
DPReviewのファーストインプレッションでは「Z 7よりもダイナミックレンジが1EV狭い」と言った評価もあり、RAW画質がどうなっているのか気になるところ。EXPEED 7を絡めた画質向上(おそらくJPEG?)に言及していますが、センサー由来の画質について言及していないように見えます。この辺りは実機テストの結果待ち。
12bitの動画モードでは、14bitの静止画モードに比べて、カメラがセンサーを読み出す速度が遅いのはなぜか?
- 静止画ではスキャン速度を優先し、動画では各動画モードに応じて適切に設定している。
- 適切な設定を行うため、スキャン速度、画質、記録時間(消費電力)のバランスをとる必要がある。
今後、デジタル一眼レフカメラの生産能力はどの程度になると予想しているか?(ミラーレスに比べて)
- 市場の状況から、現在は市場で急成長しているミラーレス製品の開発に注力している。
- デジタル一眼レフ製品の開発は、今後の市場動向を見て判断する。もちろん、既存のデジタル一眼レフユーザーの皆様にご満足いただけるよう、レンズやアクセサリーなど、しっかりとした生産・サポートを継続していく。
パンデミックが発生した1年半の間、オペレーション上の最大の課題は何か?
- COVID-19のパンデミックとチップ不足は、世界中のほぼすべての産業に影響を与えている。
- 生産の遅れは、世界的な半導体供給不足の影響やCOVID-19の蔓延など、様々な要因が重なり、必要な部品の入荷や流通が滞っている。
- 今年は多くのメーカーで問題が続くことが予想されるが、我々は消費者の皆様のご要望にお応えできるよう、鋭意努力している。
COVID-129以前に比べて、今のニコンはより強い立場にあると感じているか?
- 私は、COVID-19が流行する前よりも強い立場にあると確信している。
- 我々は、市場の変化に適応し、お客様からのニーズに応えるために、多くの戦略的選択を行った。
- 新しいユーザーをターゲットにした新しいヘリテージモデル「Z fc」は大きな成功を収めている。
- 消費者の皆様の利益のため、動画やサードパーティとの互換性にも力を入れている。動画アクセサリーの提携に引き続き注力することで、エコシステム全体の拡大を目指す。
- 年内に発売されるZ 9は、ミラーレスのフラッグシップ機として、最新の映像革新で競争に打ち勝つ強力なモデルであり、特にニコン史上最もパワフルな動画性能を生み出すことを意識している。
- さらに、無料の教育コンテンツ「Creator's Hour」や、「ニコン フォトコンテスト」の審査・表彰式をオンラインで実施したり、受賞作品を街頭展示したりするなど、オンラインと対面の両方で消費者との関わりを深める努力をしてきた。その結果、新しいタイプのユーザーを獲得することができた。
サードパーティとの互換性に言及していますが、おそらくこれは動画向けだと思われます。サードパーティ製レンズの登場はあまり期待しないほうが良いかなと。個人的には登場して欲しいですが、Zレンズも充実してきたので、必要性は下がってきているように見えます。
フルサイズミラーレス市場におけるニコンのシェアをどのように高めていくのか?
- ニコン史上最高の性能を誇るミラーレスのフラッグシップモデル「Z 9」で存在感を高める。
- Z 9は、強力なAFをはじめとする新技術に加え、捕捉性能、動画性能、エルゴノミクスなどを備えている。これらはすべて、今後のモデルにも展開されるメリットとイノベーションだ。
- また、Z 7II、Z 6II、Z 5などの既存モデルの機能や性能は、ハードウェアの制限内で継続的にファームウェアをアップデートすることで、進化・強化していく。例えば、10月19日には、Z 7IIとZ 6IIのファームウェアアップデートを行い、ユーザーの皆様のご意見に基づいて機能を追加した。
- 今後も、フルサイズミラーレスカメラの高度な動画機能・性能を強化し、フルサイズ市場でのシェア拡大を目指していきたい。
生産の大半がタイや中国に移っている中、今後、ニコンが日本に生産拠点を残すことはあるのか?
- タイの生産拠点であるNikon (Thailand) Co., Ltd.に生産が集中しているが、品質は変わりはない。「Made by Nikon」の品質を保証する。
- タイのニコン工場は1990年に設立され、約30年にわたってカメラや交換レンズを製造してきた。
- 交換レンズの生産は、日本の株式会社栃木ニコンで継続する。
- 仙台ニコンを閉鎖する予定は無い。仙台ニコンは今後も、高機能・高精度のカメラ部品の製造、部品製造技術や高難易度設備の開発などを通じて、ニコンとイメージング事業に貢献していく。
Z 9に合わせたハイエンドレンズのニーズと、一般的なZ 5ユーザーのニーズとのバランスをどのように考えているか?優先すべきことは何か?
- 最優先事項の一つは、市場のニーズに合わせてレンズの種類を増やし続け、プロ用とカジュアル用のレンズを用意することだ。
- Z 9に加えて、消費者の皆様からは、超望遠の選択肢を求める声をいただいている。我々はこれに応え、10月28日に発表したテレコンバーター内蔵の400mm F2.8や、新たにロードマップに追加された800mm超望遠レンズなど、Z 9に適したレンズを用意した。
- また、エントリークラスのフルサイズカメラとDXフォーマットのカメラの両方で撮影される方のために、よりカジュアルでお求めやすい価格のレンズのご要望もいただいている。
Zレンズにリニアモーターではなくステッピングモーターを採用しているのはなぜか?また、将来のSシリーズのレンズでは、フォーカスグループの高速化が期待できるのか?
- ほとんどのNIKKOR ZレンズにリニアモーターではなくSTMモーターを採用しているのには、多くの理由がある。
- まず第一に、STMモーターは小型・軽量にもかかわらず、応答性と静粛性に優れていることだ。小型・軽量であることは、機構設計の自由度を高めるとともに、動画撮影時には音を最小限に抑えられるというメリットもある。
- STMモーターの応答性を最大限に引き出すため、ニコンは専用のドライブIC(集積回路)を独自に開発した。これにより、複数のモーターをミクロン単位で同期させる同期制御駆動が可能になった。
- 製品の大きさに関わらず、マルチフォーカスを実現し、高いフォーカス精度とスムーズなフォーカス駆動を確保し、魅力的な動画撮影や接写を可能にしている。
- リニアモーターは、大きくて重いレンズ群を高速で駆動するには有効な動力装置だが、小型・軽量の製品では、別途センシング機能が必要となるため、小型製品やマルチフォーカスの製品ではスペース的に非効率だ。
- 今後のS-Lineレンズでは、制御・機構・パワーデバイスを徹底的に最適化することで高速AFを実現し、撮影対象や環境に応じた最適な駆動方式との組み合わせを目指していく。
ソニーが小型軽量なレンズにXDリニアモーターを実装しているので、ニコンの言い分が全面的に正しいかどうかは不明。とは言え、小型軽量なZ 28mm F2.8でマルチフォーカスを実現しているのは確かであり、小型レンズでフローティング構造を導入するにはステッピングモーターのほうが良いのかもしれません。
ニコンのミラーレスカメラにAFマイクロアジャスト機能があるのはなぜか?
- ミラーレスは、センサー側でAFが行われるため、基本的にはAFマイクロアジャスト機能を使う必要は無い。
- しかし、お客様の中には、自分の好みに合わせて微調整したいというニーズがある。Zシリーズでは、お客様の声を取り入れ、カスタマイズ性を最大限に高めたいという思いから、この機能を搭載した。
今後のニコンにとっての最大のチャンスは何か?
- スマートフォンを使ってソーシャルメディアで制作する人が増え、特に志の高い若者を中心に、静止画・動画ともにクリエイティブな表現が多様化している。そのため、より良い映像へのニーズが拡大・顕在化しており、ニコンにとっては非常に大きなチャンスだと考えている。
- カメラの使い方や動画への注力などターゲットが多様化していることから、作り手をサポートするソフトウェアやアプリの提供を通じて、トータルソリューションを提供する戦略にシフトしている。これには、新製品の「NX MobileAir」、「NX Tether」、「NX Field」、「NX Studio」が含まれている。
- 我々は、お客様が根本的に望んでいるのは、撮影の先にあるプロセスをワクワクしながら楽しみ、臨機応変にこなしていくことだと考えている。ニコンは、Z 9のAFや動画の進化に見られるように、機能的な価値を強化しつつ、信頼性や光学的なノウハウなどの強みを活かして、プロユーザーのニーズに応えていく。
- また、お客様のライフスタイルに合わせて、楽しい映像体験を提供していく。例えば、Z fcのヘリテージデザインや満足度の高い物理的な操作性が目指す、親しみやすい懐かしさだ。
- 手頃な価格で動画に強いフルサイズカメラをお探しの方、究極の高画質をお求めの方など、お客様のニーズに合わせたカメラとレンズを多角的にご用意している。
- 最終的に、お客様と一緒にイメージング体験を高め、お客様に支持されるブランドになることを目指している。そうすることで、イメージングマーケット全体を活性化できると信じている。
Z 7登場時は一抹の不安を抱えるデザイン・性能でしたが、ブラッシュアップを重ね、「Z 9」で飛躍的に進化した印象があり。Z 9のテクノロジーを普及価格帯のカメラに実装することで、競合他社に負けず劣らずのシステムが構築されるように見えます。今後の動向が気になるところですねえ。
Z 9 | |||
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ビックカメラ | ヤマダ | PREMOA | |
FTZ II | |||
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ソフマップ | e-BEST | ノジマ | PayPay |
ビックカメラ | ヤマダ | PREMOA | |
NIKKOR Z 24-120mm f/4 S | |||
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ソフマップ | e-BEST | ノジマ | PayPay |
ビックカメラ | ヤマダ | PREMOA | |
NIKKOR Z 100-400mm f/4.5-5.6 VR S | |||
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ビックカメラ | ヤマダ | PREMOA |
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