2023年11月2日付けでキヤノンの気になる特許出願が公開。複数のカメラを搭載したスマートフォン等の装置で、複数の撮影モードでシームレスにカメラ間ズームを実現するシステムに関する特許となっている模様。
概要
- 【公開番号】P2023160089
- 【公開日】2023-11-02
- 【発明の名称】撮像装置及びその制御方法
- 【出願日】2022-04-21
- 【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社- 【課題】複数の撮像モードで並行して撮像する場合に、撮像を中断することなく、広角から望遠までシームレスに画角を切り替えることができる。
- 【背景技術】
【0002】
従来、撮像装置が備える静止画撮影用の撮像部と、動画撮影用の撮像部との両方を用いて同時に被写体を記録する撮影方法はよく知られていた。また近年では、スマートフォン等の撮像装置は、焦点距離の異なる複数の撮像部を搭載し、それぞれの撮像部で同時に被写体を記録することを実現している。また、スマートフォンは、画角を切り替える場合、切り替えたい焦点距離の撮像部を使用する。特許文献1には、静止画撮影用の撮像装置のズーム操作に連動して、動画撮影用の撮像装置のズーム位置を自動的に移動させる技術が開示されている。- 【0004】
特許文献1では、各撮像装置はレンズ駆動による光学ズームを行うことで、それぞれ任意の画角に切り替えることができる。これに対し、スマートフォンは、焦点距離が異なる複数の撮像部(レンズ)を用いて画角を切り替える。例えば、スマートフォンで静止画と動画の2つの撮像モードで並行して撮像する場合、動画用のレンズを静止画で使用中のレンズに切り替えるためには、静止画用の撮像部の使用を一度停止してから、動画撮影の画角を切り替えることになる。このため、撮像を中断することなく、広角から望遠までシームレスに画角調整をすることは困難である。- 【0005】
そこで、本発明は、複数の撮像モードで並行して撮像する場合に、撮像を中断することなく、広角から望遠までシームレスに画角を切り替えることを目的とする。- 【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る撮像装置は、
画角が互いに異なる複数のレンズを有する撮像装置であって、
第1撮像モードと第2撮像モードとで並行して画像を撮像しているときに、撮像に使用されるレンズを切り替える切替操作を受け付ける受付手段と、
撮像に使用されるレンズの切替操作を受け付けたことに応じて、撮像に使用されるレンズを切り替えるように制御する制御手段と、を有し、
前記制御手段は、前記第1撮像モードと前記第2撮像モードとで、異なるレンズが使用されるように、前記第1撮像モード及び前記第2撮像モードで使用されるレンズを切り替えるように制御する、
ことを特徴とする。- 【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、複数の撮像モードで並行して撮像する場合に、撮像を中断することなく、広角から望遠までシームレスに画角を切り替えることができる。
キヤノンでは珍しい、スマートフォン向けのカメラユニットに関する特許。今回の実施例では3つのカメラ(広角・標準・望遠)を搭載しており、静止画や動画でのズーム操作に対応している模様。動画撮影を継続しながら、静止画の撮影に対応。1つのカメラユニットで静止画と動画の撮影を両立することはできませんが、うまく使い分けることで並行して撮影できるシステムを意識しているようです。ざっと見た限りでは
- ズームイン:動画撮影中はより画角広いレンズでズームインを続行
(例:標準動画・広角静止画) - ズームアウト:広い画角を動画で使用中はズームアウトを制限
(例:広角動画・標準静止画) - 使用カメラの静止画/動画 切替操作に対応
- 優するレンズを設定できる
と言った具合に3つのカメラユニットを上手く使い分けながら撮影を継続できるシステムのようです。スマートフォン一つで動画と静止画を柔軟に記録できるのは魅力的ですね。子供の学芸会や運動会など、静止画/動画どちらも撮影したい場合に便利な機能となりそう。
この特許の存在でキヤノンが将来的にスマートフォンのような撮像装置を提供しようとしているのかどうかは分かりません。検討しているのがスマートフォンのような形状のデジタルカメラである可能性も無きにしも非ず。PowerShotがスマートフォンになる未来を見てみたい気もしますが、過度な期待は禁物です。(過去にスマートフォンメーカーとの協業が噂されたことはあります)
補足説明
- 既存のスマートフォンは複数のカメラユニットを使用して疑似的なズーム操作を実現しています(デジタルズーム&焦点距離の異なる単焦点の切替)。
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