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タムロン「17-70mm F/2.8 Di III-A VC RXD」は欠点もあるが優れたトラベルズームレンズ

DPReviewがタムロン「17-70mm F/2.8 Di III-A VC RXD」のレビューを公開。いくつか欠点があるものの、全体的にシャープでオートフォーカスは高速で静かと評価しています。

欠点もあるが高性能で便利なレンズ

DPReview:Tamron 17-70 F2.8 Di III-A VC RXD field review

  • レンズの紹介
    ・2020年後半に発表されたタムロン製ズームレンズだ。同社初のAPS-Cミラーレス用F2.8ズームレンズである。そして光学4.1倍としては初の大口径ズームでもある。
    ・Eマウント用のコンパクトな便利ズームだ。フルサイズの24-105mm F4とほぼ同等である。
    ・APS-C用レンズだが、フルサイズミラーレスでクロップして使うことも出来る。
  • ビルドクオリティ
    ・外観はタムロン最新モデルらしい典型的なデザインだ。軽量だがビルドクオリティは良好である。
    ・フィルター径は67mmである。
    ・インナーフォーカスのためフォーカシングによる全長の変化は無い。ただし、ズーム操作でレンズ内筒が前後する。
  • 携帯性
    ・524gと非常に軽量だ。
  • 操作性
    ・コントロールはズームリングとフォーカスリングのみだ。カスタマイズボタンや各種スイッチは存在しない。このため、他のレンズと比べて操作に時間がかかる。
    ・ズームリングはとても滑らかに動作する。
    ・フォーカスリングは抵抗量が小さく、かなり緩めだ。しかし、このカテゴリのレンズとしては一般的なものである。
  • オートフォーカス
    ・リニアモーター駆動では無く、ステッピングモーター駆動だ。にもかかわらず、AFは非常に印象的だ。
    ・α7R IVと組み合わせると、ピントの大幅な移動時も一瞬で完了する。
    ・マクロレンズでは無いが、広角では0.19mまで寄ることが出来る。撮影倍率は0.21倍だ。望遠側では0.39m、0.19倍までクローズアップすることが出来る。
    ・フォーカスブリージングはほとんど見られない。ビデオグラファーにとって魅力的な選択肢となるだろう。
  • マニュアルフォーカス
    ・記載なし。
  • 手ぶれ補正
    ・基本的にとても良好な性能だ。
  • 解像性能
    ・17mmはF2.8からフレーム全域でとてもシャープだ。F5.6まで絞ったとしても、四隅に大きな改善は見られない。
    ・70mmでもほぼ同じくらい良好だ。F2.8から全体的にシャープで、F5.6まで絞ると僅かに改善が見られる。
  • 像面湾曲
    ・記載なし。
  • ボケ
    ・アマチュアは許容範囲かもしれないが、最高の画質を求めていると少し不満と感じるかもしれない。
    ・特に問題は強めの玉ねぎボケだ。同心円状の模様が玉ボケに現れ、望ましくない騒がしい描写となる。
    ・口径食は比較的穏やかで、F4まで絞るとほぼ解消する。ただし、絞り開放では四隅において切り欠きが発生する。
  • 色収差
    ・倍率色収差は自動補正されるため大きな問題とならない。
    ・補正が難しい軸上色収差は決して酷くはないが残存していることが分かる。
  • 球面収差
    ・記載なし。
  • 歪曲収差
    ・ズーム全域で強い歪曲収差が見られる。
    ・17mmでは樽型歪曲が大きく、ズームすると糸巻き型歪曲へと変化する。
    ・後処理が簡単な収差だが、補正量が多いので四隅の画質に影響を与える可能性がある。
  • 周辺減光
    ・ズーム全域できちんと抑えられている。
  • コマ収差
    ・記載なし。
  • 逆光耐性
    ・絞ると明瞭な18本の光条が発生する。
    ・フレアが発生しやすい。

総評

究極の画質を求める場合はいくつか小さな問題があるものの、手ごろな価格で素晴らしいレンズだ。選択肢が少ないAPS-C用レンズとしては嬉しい存在に違いない。たまに騒がしくなるボケやフレアは重大な問題とならず、スイッチ類が無いことを許容できるのであれば、おススメするポイントは数多い。

絞り開放からズーム全域・フレーム全域でシャープな描写には驚かされた。AF性能も見事なものだ。E 16-55mm F2.8は優れた光学性能だが、価格はより高く、ズームレンジは狭い。そして高価である。
いくつか欠点もあるが、このようなレンズはソニーEマウントにこれまで存在しなかった。APS-C Eマウント用のトラベルズームを探しているのであれば、優先順序の高いレンズになることだろう。

長所:絞り開放からシャープ・最小限の周辺減光・良好なビルドクオリティ・光学倍率・F2.8・小型軽量・驚くほど静かで高速なAF・フォーカスブリージングがほぼゼロ・手ごろな価格

短所:強い歪曲収差・強めの玉ねぎボケ・口径食のある玉ボケ・ゴーストが発生しやすい・軸上色収差が残っている・AF/MFスイッチやVCスイッチが無い・フォーカスリングの操作性が最高ではない

とのこと。
α7R IVのクロップモードα6600で撮影した作例を公開しているので参考になると思います。

確かにボケは少し騒がしく、歪曲収差は強めに発生しているように見えます。しかし、それ以外は高水準な大口径ズームに仕上がっているみたいですね。望遠端でもまずまずシャープで、広角四隅まで良好な解像性能。そして玉ねぎボケが目立たない場合、前後のボケは滑らかで使いやすそうです。ただし、夜景ではコマ収差がいくらか発生しているので、夜間の撮影を意識しているのであれば作例を要確認。

価格は8万円台であり、APS-C用のサードパーティ製ズームとしては少し高価です。とは言え、ソニーよりも遥かに安く、競合するレンズが存在しないことを考えると妥当な値付けのように感じます。

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