Dustin Abbottがサムヤン「AF 85mm F1.4 II」のレビューを公開。光学系は従来通りですが、前モデルから軽量化を実現しつつ、良好な操作性やAFを備えているとのこと。強みで競い合えるレンズと言及。
Dusin Abbott:Samyang AF 85mm F1.4 Series II Review
(基本的なスペックなどの紹介は割愛しています)
外観・構造:
- AF 50mm F1.4 IIとよく似た新しいデザインのレンズだ。特徴的なローレット加工のフォーカスリングと隠しカラーリングを備えている。すっきりとしてモダンな外観である。
- 7点の防塵防滴仕様だ。
- ファームウェアアップデートやカスタマイズに対応するUSB Dockが別売り品として存在するが、このようなアイテムが不要となるUSB-Cポートをレンズに搭載してほしいものだ。
- レンズフードはプラスチック製の一般的な作りだ。
- 外装はエンジニアリングプラスチックだが、良好な質感だ。抜群のビルドクオリティではないものの、価格帯を考慮すると妥協できる範囲内だ。
携帯性:
- 85mm F1.4としては最小・最軽量クラスだ。
- シグマと比べても軽量であるうえ、GMより310gも軽い。
- シグマとよく似たサイズだが、レンズフードの直径はシグマのほうが大きくかさばってしまう。
操作性:
- カスタムスイッチを搭載しており、フォーカスリングの機能をカスタマイズすることができる。
- カメラ側でカスタマイズすることができるAFLボタンを搭載している。
- 幅広いフォーカスリングは素晴らしい抵抗感で滑らかに回転する。
- フォーカスリングのレスポンスはリニアで再現性が優れているものの、動画用としてはストロークが長すぎる。(約380度)
フォーカス:
- リニアSTM駆動を採用。(前モデルは超音波モーター)
- シグマDG DNと同程度の速度と精度で動作する。現行のGMよりも良好だ。
- フォーカスブリージングがいくらか見られる。
- 駆動音は完全に無音とはいかず、わずかな音が聞こえる。
- バスケットボールの撮影で良好な結果が得られた。
- 前モデルから最短撮影距離がわずかに改善し、最大撮影倍率が少し向上している。
手ぶれ補正:
- 記載なし。
解像性能:
- 間違いなくシャープなレンズだ。
- F1.4から隅々まで5000万画素のα1でも完璧な画質だ。
- シグマのようにF1.4から並外れたコントラストではないが、隅の画質はサムヤンのほうが少し良好だ。
- F2まで絞ると全体的にとてもシャープになる。
- F2.8まで絞れば完璧だ。
像面湾曲:
- 記載なし。
ボケ:
- F2.8以降で緩やかに絞り羽根の形状が現れ始める。
- 玉ボケは素敵な柔らかさで、周辺に色づきは全くない。
- 最もボケ質が低下する状況でもかなり良好な結果が得られる。
色収差:
- 軸上色収差に大きな問題は見られなかった。
球面収差:
- 記載なし。
歪曲収差:
- カメラ内のレンズ補正には対応していない。
- 僅かな糸巻き型歪曲が発生する。
周辺減光:
- カメラ内のレンズ補正には対応していない。
- 約2段分の光量落ちが発生する。
- 影響はリニアで見栄えはよい。
コマ収差:
- 記載なし。
逆光耐性:
- 逆光時はフレアが発生する場合もあるが、芸術的な描写だ。
- 絞ると強めのゴーストが発生するが、コントラストは維持されている。
総評
価格のみならず、長所で競い合えるレンズに仕上がっている。光学系は前モデルを継承しているが、外装やAFに改善が見られ、完璧なレンズに近づいている。光学系は従来通りだが、非常に強力な光学性能であり、優れたシャープネスや良好な収差補正、美しいボケを備えている。価格を考慮すると間違いなく価値があり、自然と人気の出るレンズとなることだろう。
- 長所:
・防塵防滴
・滑らかなMFリング
・カスタムスイッチとAFLボタン
・小型軽量
・効果的なAF
・開放から良好な中央シャープネス
・絞ると全域で優れたシャープネス
・ボケが美しい
・逆光耐性
・コストパフォーマンス- 短所:
・MFのストロークが長すぎる
・AFのトルクがもう少し強いと良かった
とのこと。
光学系は前モデル「AF 85mm F1.4 FE」を継承しつつ、外装や機能性を改善した第二世代のサムヤンAFレンズですね。「AF 50mm F1.4 II」のように新しい光学系ではないが残念ですが、定評のある光学系だと記憶しています(シグマよりも先に登場し、ソニーGMよりも良好な解像性能だった)。従来通り良好な光学性能を発揮するようですが、強力なライバルであるシグマ「85mm F1.4 DG DN」が登場した現在は厳しい戦いとなりそう。とはいえ、前モデルや競合製品と比べて軽量化を実現しているので、長時間の撮影では携帯性が強みになると感じるかもしれません。
私はサムヤンの初期モデルとシグマをどちらも使ったことがありますが、シグマが多くの点で優れていると感じました。抜群のシャープネスに加え、APOレンズのように色収差が補正され、絞り開放から非常に高いコントラストを得ることが出来ます。外装の作りも良く、AFは静かで高速。価格差を考えてもシグマも選ぶのが妥当かなと。
ただ、サムヤンも残存する球面収差により個性的なボケが得られるので、人によっては替えのきかないポートレートレンズになるのかなと思います。この辺りは多くの写真を確認して、好みの描写であるか確認すると良いでしょう。
AF 85mm F1.4 FE II | |||
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レンズの仕様
レンズの仕様 | |||
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発売日 | 2022年8月 | 初値 | 799.00ドル |
マウント | E | 最短撮影距離 | 0.85m |
フォーマット | 35mm | 最大撮影倍率 | 0.12倍 |
焦点距離 | 85mm | フィルター径 | 72mm |
レンズ構成 | 8群11枚 | 手ぶれ補正 | - |
開放絞り | F1.4 | テレコン | - |
最小絞り | F16 | コーティング | UMC |
絞り羽根 | 9枚 | ||
サイズ・重量など | |||
サイズ | φ83.4×99.5mm | 防塵防滴 | 対応 |
重量 | 509g | AF | STM |
その他 | |||
付属品 | |||
レンズフード・キャップ |
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