PhotographyBlogが富士フイルム「GF80mmF1.7 R WR」のレビューを公開。GFXレンズで最も明るく、優れたレンズと評価しつつも、色収差やDCモーター仕様のAFが弱点になると言及しています。
GF80mmF1.7 R WR
PhotographyBlog:Fujifilm GF 80mm F1.7 R WR?Review
レンズの紹介:
- GF 80mm F1.7 R WRは、富士フイルムの中判ミラーレスカメラシステム「GFX」用の大口径単焦点レンズだ。
- 35mmフルサイズ判換算で63mmに相当する焦点距離である。
- 開放F1.7を実現している。これは、中判ミラーレスカメラ用のAFレンズとしては世界最高の明るさである。
- 非球面1枚、スーパーED2枚を含む9群12枚で構成され、9枚の円形絞りの絞り羽根により、より滑らかなボケ味を実現している。
- レンズは、防塵・凍結・耐候性に優れた物理的構造を備え、-10℃までの寒冷環境における使用が可能だ。
- 前面にはフッ素コーティングが施されており、ほこりや汚れ、湿気をはじく。
ビルドクオリティ:
- 他のGFレンズと同様に、優れたクオリティだ。防塵防滴・耐寒仕様で、金属製のバヨネットを備えている。
- 77mm径のフィルターに対応している。
- レンズには柔らかいポーチとプラスチック製の円形フードが付属する。
携帯性:
- 最大径94.7mm、全長99.2mm、重量795gの「GF 80mm F1.7 R WR」は、開放F値がF1.7と非常に大口径であることを考えると、比較的コンパクトで軽量だ。
- GFX 100Sに装着しても特に扱いにくいとは感じず、片手での使用も問題ない。
操作性:
- ゴム製フォーカスリングはとても幅広く、バターのように滑らかで、素晴らしく良好な減衰性を備えている。
- 絞りリングを備えており、絞りを1/3段階で設定できる。
- レンズには絞り値が表示され、絞り値を変更するとファインダーや液晶モニタにも表示される。
- 絞りリングの減衰は良好で、設定を変更すると独特のクリック音がする。
- 絞りリングは、自動絞り制御(リングをAに設定)と手動絞り制御(スイッチを絞り値のいずれかに設定)、または「C」の位置を切り替えることで、レンズではなくカメラボディで絞りを設定することが可能だ。
オートフォーカス:
- オートフォーカスはこのレンズの弱点だ。
- GF 110mm F2に見られるような高速で静かなリニアモーターは搭載されておらず、代わりにDCモーターを使用している。
- オートフォーカスの動作音が非常に大きい。
- 70cmから無限遠までのピント移動にはかなりの時間を要する。
- 低照度の条件下でも、正確にピントを合わせることができた。ハンチングの傾向はあまり見られなかった。
- インナーフォーカス式である。
マニュアルフォーカス:
- フォーカスリングは非常に大きな回転角を持っている。このため、正確なピント合わせが可能で、遊びなく滑らかに動作する。
- 自動拡大とフォーカスピーキングを利用可能だ。
- GFX 100Sの高解像度電子ビューファインダーと組み合わせることで、マニュアルフォーカス時にピントを簡単に確認することができる。
手ぶれ補正:
- 光学式手ぶれ補正が内蔵されていない。このため、適度な速さのシャッタースピードを選ぶようにしたい。
解像性能:
- 頑丈な三脚に取り付けたうえで、GFX 100Sに装着して撮影した。
- 中央は大部分の絞り値で非常に高水準だ。F2?F16でピークの性能となる。
- 四隅も非常に良好だ。F2.8?F16でピークの性能を得ることが出来る。
像面湾曲:
- 記載なし。
ボケ:
- とても滑らかだ。
色収差:
- コントラストの高い画像で、特に開放F値「1.7」で撮影した場合、紫や青のフリンジのような色収差が目立つ。
球面収差:
- 記載なし。
歪曲収差:
- 焦点距離が63mm(35mm換算)という標準レンズであり、歪曲収差の問題はあまりないと思う。
- 樽型や糸巻き型の歪曲はほとんど見られない。
周辺減光:
- F1.7では光量落ちがやや目立つ。これはPhotoshopで簡単に修正可能だ。
- F4まで絞ると光量落ちは目立たなくなるが、フレームを埋め尽くすような淡いシーンを撮影した場合には、まだ目に付く。
コマ収差:
逆光耐性:
- F22まで絞るととても良好な光条となる。
- 直射日光をフレームに入れるとフレアが発生しやすい。必ず付属のレンズフードを使用するようにしたい。
総評
GF 80mm F1.7 R WRは、GF 110mm F2を抜いて、「GFXカメラシステムで最もF値が小さなレンズ」の称号を得た。オートフォーカスが遅く、動作音が大きく、F1.7で色収差が目立ちすぎ、焦点距離が50mmと85mm(35mm)の間にあることなどの理由で、110mm F2ほど良くない。どちらか選べと言われたら110mmを取るだろう。
とは言え、ゴージャスなボケを生み出すことができるレンズだ。110mm F2よりも20cmほど近くでピントを合わせることができ、ポートレート撮影や小さな被写体を切り離す撮影に適したレンズとなっている。
F1.7の絞り開放で撮影すると、画像の中央と周辺部のシャープネスが若干失われていることがわかるが、その分、被写体には少し寛容になる。中心部はF2、周辺部はF2.8まで絞るとかなりシャープになり、F16まで性能は維持される。歪曲収差は目に付かず、F1.7で周辺減光は見事に補正されている。
光学的に最大の問題は、緑と紫のフリンジと色収差だ。絞り開放付近での撮影時はハイコントラストな領域で色づきやすい。
画質的な問題と並び、GF 80mmにおけるもう一つの難点はオートフォーカスだ。GF 110mmに搭載されている高速リニアモーターでは無いので、AFが鈍く、特に近接から無限遠への動きが鈍い。音も大きいので、動画撮影にはあまりお勧めできない。
このレンズで気を付けたいポイントは、異常な焦点距離だ。古典的な50mm標準レンズよりわずかに長く、同じように古典的な85mmポートレートレンズよりわずかに短い画角である。63mmは2つの古典的な焦点距離の間で驚くほど多目的で中途半端な画角となる。50mmレンズの画角と85mmレンズのボケ効果を組み合わせたようだ。
全体的に見て、GF 80mm F1.7 R WRは成長し続けるGFXシステムにおける良好なレンズだが、GF 110mm F2ほど優れているわけでは無い。
とのこと。
このセンサーサイズで「80mm」は定番の焦点距離だと思うのですが、PhotographyBlogとしては使い慣れない画角となってしまった模様。確かにフルサイズやAPS-Cで65mm付近の単焦点レンズは珍しいですね。フルサイズからGFXシステムへ移行する場合は気を付けたほうが良いかもしれません。
レンズの描写は、絞り開放から良好なシャープネスを備え、ボケは綺麗な光学設計に仕上がっている模様。開放付近の色収差が残存しているのは残念ですが、程よくコントラストを落とすには役立ちそうですね。と言っても、ハイコントラストのパープルフリンジなどは避けたいところですが…。
DCモーター仕様のAFも好みが分かれそうなポイント。(おそらく画質優先で採用したであろう)大口径のフォーカスレンズを動かすにはリニアモーターではトルクが足らなかったのでしょうか?XF50mm F1.0のような比較的新しいレンズでも大きなフォーカスレンズを動かすのにDCモーターを採用しています。大口径化とAF駆動のバランスを取るのは難しそうですね。
魅力的なボケ描写だけに、弱点となる色収差とAFは悩ましい問題となりそうです。Flickrでは専用ページにユーザー投稿が始まっているので、併せて確認しておくと良いでしょう。
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