PENTAX FORUMSがVenus Optics「Laowa 100mm F2.8 Ultra-Macro APO」Kマウント版のレビューを公開。良好な中央解像性能と色収差補正を備えた2倍マクロレンズとして評価しています。
2倍マクロと絞りリングが特徴のLAOWAレンズ
PENTAX FORUMS:Laowa 100mm F2.8 2x Ultra Macro APO
- レンズの紹介:
・Venus Opticsは比較的新しいレンズメーカーだが、短期間でハイクオリティなレンズメーカーとして名をとどろかせた。
・この100mm F2.8マクロレンズはキヤノン・ニコン用としてリリースされたが、2020年11月にKマウント用がリリースされた。
・無限遠にもピントが合う2倍マクロレンズだ。MFレンズだが、自撮り絞りに対応している。- ビルドクオリティ:
・レンズにはフードとキャップ、UVフィルター、説明書が付属する。フィルターが付属するのは珍しい。
・前玉は前後するが、鏡筒内部で完結する。UVフィルターを装着することで内部を密閉することが可能だ。
・絞り羽根は7枚だ。
(訳注:過去に13枚という話もありましたが、写真を見る限りでは7枚です)
・レンズマウントは金属製だ。防塵防滴用のシーリングは見当たらない。
・レンズフードは大きなプラスチック製だ。
・レンズは67mmフィルターに対応している。
・外装は金属製だ。緩みやガタツキは全くない、頑丈なレンズだ。
・表示はプリントに見えるが、実は刻印したうえで色づけられている。
・自動補正には対応していないが、EXIFにレンズ情報の記録が可能だ。- 携帯性:
・smc PENTAX 100mm F2.8 MACROと比べるとサイズが大きい。しかし、PENTAX 100mmは等倍マクロである。
・PENTAX 100mmと比べると遥かに大きいが、最短撮影距離付近は全長が同等となる。
・K-1とK-3どちらに装着しても少しフロントヘビーである。- 操作性:
・絞りリングにAポジションのロック機構が無い。このため誤操作で絞りリングがずれないように気を付ける必要がある。
・フォーカスリングにはピント距離と被写界深度の表示がある。- オートフォーカス:
・記載なし。- マニュアルフォーカス:
・フォーカスリングは見つけやすく、滑らかに動作する。
・抵抗量は適切だが、予想よりも重い。誤操作の可能性は少ないはずだ。
・回転角は60°であり、マクロレンズとしては短い。しかし、重い回転動作のおかげで操作性は優れている。マクロ時の回転角は十分に確保されている。1mを超える場合はもう少し精度を高くしてほしかった。
・最短撮影距離付近では被写界深度が非常に狭くなる。浅い被写界深度はクリエイティブに使える場面もあれば障害となる場面もある。被写界深度が欲しい場合は複数の写真を使い深度合成する必要がある。- 手ぶれ補正:
・記載なし。- 解像性能:
・APS-C中央は絞り開放からとても良好だ。絞るとさらに改善する。F22を除き、大部分の絞り値で実用的な画質である。
・APS-C端や隅は絞り開放で目に見えてソフトとなる。絞ると着実に改善し、F8-16で均質的なシャープネスとなる。
・フルサイズでも中央はF2.8から十分にシャープだ。中央はF8まで着実に改善する。
・フルサイズ端や隅は中央に追いつくことは無い。良好な結果だが、小絞りを使っても追いつかない。
・実写でも同様の傾向だ。- 色・コントラスト:
・少しパンチのある色だ。
・心地よい描写でマクロに適している。- 像面湾曲:
・記載なし。- ボケ:
・絞り羽根は7枚と比較的少ない。
・優れたボケ描写であり、マクロレンズとしては望ましいものだ。
・玉ボケは円形で基本的に心地よい。絞ると7枚羽根の形状がハッキリと現れる。- 色収差:
・色収差はデジタル補正無しで完璧に抑えられている。これは素晴らしい結果だ。- 球面収差:
・記載なし。- 歪曲収差:
・フルサイズで-0.9%だ。実写への影響は最小限だが100mmレンズとしては少し目立つ。- 周辺減光:
・フルサイズの絞り開放で-1.8EVほどの光量落ちが発生する。これは補正を適用しないと目立つ光量落ちだ。
・1段絞ると-0.8EVまで改善する。
・APS-Cでは1段絞ればほぼ問題ない。- コマ収差:
・記載なし。- 逆光耐性:
・F11まで絞るとシャープな光条が発生する。
・絞り開放ではハロが強く彩度が低下する。小絞りではコントラストが低下し、いくらか紫色の色付きが発生する。完璧では無いが許容範囲内だ。
・光源がフレーム端にある場合、開放でレンズフレアが発生する。絞ると解消するが、代わりにゴーストが発生する。- 作例集
総評
このレンズは、ペンタックスのラインアップに加えられた歓迎すべきレンズである。Kマウントでは数少ないマクロ倍率を実現したレンズであり、自動絞り機能を搭載したことで、さらに魅力的なレンズとなっている。
機械式の絞りリングを採用しているため、これまでのKマウントカメラすべてに対応している。AFは非対応だが、滑らかなマニュアルフォーカスを体験可能だ。微調整のためにもう少し長い操作距離が欲しいところだが、比較的短い操作距離でも使用に支障はない。
マクロレンズは一般的にシャープネスが高く、一般的には平均以上の性能を発揮する。この点で、このレンズはほとんど期待通りの性能を備えている。中央シャープネスは、市場に出回っている他のマクロレンズに匹敵し、中絞りでスイートスポットに達し、フレーム端と隅も優れている。
歪曲収差は残存しているが少ない。ボケは滑らかで心地良い描写だが、7枚の絞り羽根の形状が玉ボケに現れやすい。最近ではあまり見られなくなってきたが、写真の質を低下させるものではないと我々は考えている。色収差の補正はとても優れており、その影響はほとんどない。
市場に出回っている他の製品と比較してどうなのか?どれも完璧なものではなく、理想的な選択はそれぞれのユーザーのニーズによって異なる。このレンズは、Aポジション付きの絞りリングと2倍マクロが特徴だ。その光学性能は競合他社とほぼ一致しており、説得力のある選択となっている。
長所:確かなビルドクオリティ・2倍マクロ・優れた中央シャープネス・心地よいボケ・歪曲収差の補正・APS-Cで周辺減光が少ない・色収差が無い
短所:フルサイズで強い周辺減光・開放付近のフレーム端のシャープネス・逆光耐性・フォーカスリングの回転角が小さい・Aポジションのロックが無い
とのこと。
今では珍しくなってきているKマウント用のサードパーティ製レンズですね。Kマウント用の100mmマクロはいくつか選択肢(後述)があるものの、2倍マクロに対応した中望遠マクロレンズは珍しい。光学性能は際立ったものでは無いようですが、マクロレンズとしては快適に利用できそうですね。色収差が少なく、歪曲収差も良く抑えられている模様。逆光耐性が低いのはLAOWAらしいと言えばらしいですが、マクロ撮影で問題となるケースはそう多くないはず。
国内代理店における取り扱いはまだ始まっていません。他マウントの価格設定を見る限りでは5~6万円程度となることでしょう。「smc PENTAX-D FAマクロ100mmF2.8WR」がより安価で手に入る純正AFマクロレンズであることを考慮すると、社外製MFマクロレンズに手を出し辛いのは確か。それでも2倍マクロや高度な色収差補正は強みとなるかもしれません。
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