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LUMIX S 18-40mm F4.5-6.3 レンズレビューVol.3 解像チャート編

パナソニック「LUMIX S 18-40mm F4.5-6.3」のレビュー第三弾 解像チャート編を公開。小型軽量な18mm始まりのズームレンズとしては良好な結果が得られました。少なくとも中央はハイレゾモードでも非常にシャープ。

今回のまとめ

18mmの超広角をカバーするコンパクトなレンズであり、さぞ妥協点が多いだろうと予想していたのですが…。思っていたよりも良好な結果が得られました。解像性能が破綻している領域がなく、どの焦点距離でもきちんとした結果を得ることができます。

I had expected that it would be a compact lens with a 18mm super-wide angle coverage and that there would be many compromises, but... I was able to get better results than I had expected. There is no area where the resolution performance breaks down, and you can get good results at any focal length.

LUMIX S 18-40mm F4.5-6.3のレビュー一覧

解像力チャート

撮影環境

テスト環境

  • カメラボディ:LUMIX S9
  • 交換レンズ:LUMIX S 18-40mm F4.5-6.3
  • パール光学工業株式会社
    【HR23348】ISO12233準拠 8K解像力テストチャート(スチルカメラ用)
  • オリンパス HYRes 3.1 解析ソフト
  • 屋内で照明環境が一定
  • 三脚・セルフタイマー10秒・電子シャッター
  • RAW出力
  • ISO 100 固定
  • 通常 / ハイレゾモード(クロップの実写作例で使用)
  • Adobe Lightroom Classic CCでRAW現像
    ・シャープネス オフ
    ・ノイズリダクション オフ
    ・色収差補正オフ
    ・レンズ補正オフ
  • 解析するポイントごとにピントを合わせて撮影
    (像面湾曲は近接で測定が難しいので無限遠時にチェック)
  • 近接でのテストであることに注意(無限遠側はさらに良好となる可能性あり)

補足

今回はRAW出力を元にしてシャープネスをオフの状態で検証。ボディ出力のJPEGやRAW現像でシャープネスを整えるとより数値が向上する可能性あり。今回の数値はあくまでも「最低値」とお考え下さい。

18mm

この種のコンパクトなズームレンズは小さいわりに高性能であることが多く、本レンズも例にもれず良好な結果。もちろん単焦点レンズのような性能を期待できるわけでは無いものの、少なくとも中央では非常に良好な結果が得られています。広角域は定型チャートと相性が悪いものの、それでもフレーム隅まで測定可能な結果。

中央

絞り開放からシャープな結果。良好なコントラストで、絞りによる変化が目立ちません。LUMIX S9のクロップズームやハイレゾモードからの中央クロップにも余裕で耐えられる性能。

周辺

周辺部に向かって画質が低下。18mmの接写時と考えると悪くない結果ですが、絞っても大幅な向上は期待できません。

四隅

周辺部と同じ傾向でさらに画質低下。絞り開放付近のソフトさに起因している収差は大きく絞ることで改善可能。中央と同等にはなりませんが、周辺部くらいの画質まで改善します。

数値確認

中央 周辺
F4.5 3231 2727 2165
F5.6 3268 3161 2191
F8.0 4062 2908 2332
F11 3880 2789 2598
F16 3374 2882 2600
F22 2953 2696 2187

ハイレゾ

ハイレゾモードでは隅の画質がソフトで測定不可。ただし、中央は絞り開放から非常にシャープで、周辺もF5.6まで絞るとまずまずの結果が得られました。4500万画素や6100万画素でも十分に楽しめるレンズだとおもいます。

中央 周辺
F4.5 4653 3353
F5.6 4765 3919
F8.0 4805 3888
F11 4720 3768 3742

20mm

18mmとほぼ同じ傾向。良好な中央画質と、18mmよりも少し改善傾向の周辺・隅の画質が得られます。引き続き隅のパフォーマンスが伸び悩むものの、周辺は絞ることでシャープな結果。

中央

18mmと同じく非常にシャープ。F4.7の開放F値は暗いと言わざるを得ませんが、開放でも十分な性能。

周辺

18mmと同じく開放がややソフトですがF8-F11、まで絞ると非常に良好な結果。

四隅

倍率色収差の影響で測定値は伸び悩むものの、実写では良好な結果が得られているように見えます。コントラストが低下していますが、レンズ補正次第では気にならない程度の影響。

数値確認

中央 周辺
F4.7 3179 2273 2375
F5.6 3537 2779 2602
F8.0 3493 3166 2360
F11 3464 2994 2346
F16 3137 2601 2287
F22 2847 2482 2235

ハイレゾ

少なくとも中央から周辺までは絞ることでハイレゾモードを活かす結果が得られます。

中央 周辺
F4.7 4347 2901 2998
F5.6 4563 3836 3172
F8.0 4711 4261 3920
F11 4716 4069 2751

24mm

引き続き中央は優れた結果。周辺や隅は伸び悩みますが、実写作例を見る限りではコントラストに改善あり。

中央

ズーム中間域でも性能の低下はありません。絞り開放からシャープ。

周辺

超広角域と比べると絞り開放から良好な結果。絞ることでさらに改善します。作例における色づきはレンズ由来の色収差ではなく、センサー由来の偽色と思われます。

四隅

周辺と同じく良好な画質。倍率色収差の影響も少なく、絞り開放から快適に利用できます。

数値確認

中央 周辺
F5.0 3594 2701 2772
F5.6 3516 2815 2654
F8.0 3750 3038 2621
F11 3542 2853 2859
F16 3296 3038 2654
F22 2681 2455 2370

ハイレゾ

ハイレゾモードにおける周辺や隅の数値が超広角域よりも良好であることが分かります。中央は引き続き非常に良好。

中央 周辺
F5.0 4638 3489 3785
F5.6 4623 3730 3801
F8.0 4687 4665 3756
F11 4760 4042 4027

28mm

中央の絞り開放に数値の低下が見られるものの、絞ることでフレーム全体の画質向上が期待できます。

中央

数値上はいくらかの低下が見られるものの、実写作例ではほとんど影響ないように見えます。

周辺

中央ほどではないものの、隅も実用的な画質。F8まで絞ると中央に近い高水準な結果。

四隅

絞っても改善しなかった隅も、この焦点距離ではいくらか改善が見られます、

数値確認

中央 周辺
F5.4 3049 2697 2479
F5.6 3179 2947 2533
F8.0 3412 3194 2827
F11 3620 2810 2886
F16 3049 3030 2562
F22 2763 2564 2216

ハイレゾ

中央 周辺
F5.4 4255 3687 3098
F5.6 4467 3970 3487
F8.0 4742 3950 3724
F11 4622 4095 3783

35mm

中央の画質は低下傾向ですが、全体の均質性が向上。さらに、絞ると全体的な画質向上を期待できます。

中央

広角側と比べると絞り開放のコントラストが少し低下。F8まで絞ると改善しますが、僅かに色収差の影響が残存しています。

周辺

中央と同程度の画質で均質性は良好。絞りによる改善も期待できます。

四隅

中央や周辺と比べると少しソフト。それでも細部までよく解像しています。

数値確認

中央 周辺
F6.0 3067 2827 2578
F8.0 3268 2960 2847
F11 3479 3227 3360
F16 2847 3200 3005
F22 2637 2452 2584

ハイレゾ

ハイレゾモードでは絞ることで性能が向上。F11まで絞ると全体的にピークの結果が得られます。

中央 周辺
F6.0 4024 3494 3197
F8.0 4400 4440 3755
F11 4757 4548 3880

40mm

絞り開放は若干ソフトですが、フレーム全体の均質性がとても良く、絞れば改善します。これと言って大きな欠点はありません。

中央

開放がややソフトですが、絞りや現像処理でどうにかなる水準。特に心配する要素はありません。

周辺

中央とほぼ同じ画質。

四隅

倍率色収差の影響が僅かにある以外は中央とよく似ています。

数値確認

中央 周辺
F6.3 2724 2427 2271
F8.0 3265 3227 3110
F11 3319 3227 2926
F16 3184 2827 2711
F22 2859 2693 2242

ハイレゾ

絞り開放の数値が伸び悩むものの、絞った際は周辺や隅まで大きく伸びる。

中央 周辺
F6.3 3523 3213 2695
F8.0 4661 4130 3890
F11 4742 4765 4089

競合製品の比較

小型軽量な高倍率ズーム「LUMIX S 28-200mm F4-7.1 Macro O.I.S.」の28mm・35mm・50mmと比較。比較して広角域の周辺や隅の画質が安定しています。40mm・50mmまで伸ばすと、ほとんど差はありません。

まとめ

18mmの超広角をカバーするコンパクトなレンズであり、さぞ妥協点が多いだろうと予想していたのですが…。思っていたよりも良好な結果が得られました。解像性能が破綻している領域がなく、どの焦点距離でもきちんとした結果を得ることができます。

より一般的な焦点距離のレンズ、例えば「NIKKOR Z 24-50mm f/4-6.3」ほぼ高性能ではありませんが、十分以上に実用的。もちろん、巨大な歪曲収差補正時に隅の画質が低下する可能性があります。しかし、元の画質が悪くないため、補正後も許容範囲内となる場合が多いかなと。

特に中央はハイレゾモードにも耐えうる性能を備えているため、クロップズームのようにあとから大幅なトリミングを実施することも可能。(撮影時に併用はできません)
9600万画素でも十分な中央解像であり、APS-Cクロップやそれ以上までそぎ落としても実用的な画質となるはず。ただし、望遠側でベストな結果を得たい場合はF8-F11まで絞るのがおススメです。

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作例

オリジナルデータはFlickrにて公開

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