PhototrendがOMデジタル「M.ZUIKO DIGITAL ED 90mm F3.5 Macro IS PRO」のレビューを公開。MFT用レンズとしては大きく高価ながら、2倍マクロでも優れた画質が得られると高く評価しています。
(基本的なスペックなどの紹介は割愛しています)
外観・構造:
- OM SYSTEM初となるマクロレンズだ。
- 「PRO」らしい堅牢な鏡筒に、複雑な光学設計で、画期的な2.0倍マクロに対応している。
- レンズフードを逆さ付けするとフォーカスリングにアクセスできなくなる。
- 外装はポリカーボネートと金属のパーツを組み合わせている。
- IP53の防塵防滴仕様に加え、-10度までの耐寒仕様でもある。
携帯性:
- フルサイズ用の180mmマクロと比べると遥かに軽量である。
- マイクロフォーサーズ用のレンズとしては大きなレンズである。
- バランスは良好でフロントヘビーではない。
操作性:
- フォーカスリングはクラッチ構造を備え、AF/MFを素早く切り替えることができる。
- 3ポジションのAFリミッターを搭載している。
・0.25m~∞
・0.25m~0.5m
・S-MACRO- マニュアルフォーカスでもAFリミッターの範囲は適用される。2倍の撮影倍率を使う場合はS-MACROモードへの移行が必要だ。
- 手振れ補正のオン/オフスイッチを搭載している。
フォーカス:
- 応答性が良く、正確なAFだ。
- C-AFを利用することで、手持ち撮影でも簡単にマクロでピントを合わせることができる。
- 動作音は最も静かとは言えないが、目立つことはない。
- 多くのマクロレンズは「1:1」までだが、このレンズは「2:1」の倍率まで対応している。
- テレコンバージョンレンズを装着することで、さらに倍率を高めることが可能だ。
- 最短撮影距離は0.224mだ。フルサイズ換算で等倍(実際には0.5倍)まで寄りたい場合の撮影距離は約0.3mだ。十分なワーキングディスタンスを維持することができる。
手ぶれ補正:
- シンクロISで最大7段分の補正効果が得られる光学手振れ補正を搭載している。
- 2倍マクロ時に1/100秒のシャッタースピードを維持できた。
- 手振れ補正ユニットはわずかに駆動音がする。
解像性能:
- 特に最大撮影倍率の画質が優れている。被写界深度は浅いが、ピントは非常にシャープである。
- 中央はF3.5から非常に良好で、F5-6.3でピークを迎える。F10を超えると低下し始める。
- 均質性がとても良好で、フレーム端は中央から僅かに低下するだけだ。
像面湾曲:
- 記載なし。
ボケ:
- ボケはとても滑らかだ。
- ただし、いくらか非球面レンズの影響が見られる。
- 玉ボケはフレーム端に向かってわずかに口径食の影響が見られる。
色収差:
- 一般的に、マクロ撮影時は色収差が目立つことが多い。しかし、このレンズは色収差をよく抑えている。
- 至近距離で最高の画質を得られるように設計しているようだ。
球面収差:
- 記載なし。
歪曲収差:
- 歪曲収差は目立たない。
周辺減光:
- F3.5で影響が見られるが、F4で改善し、F5.6で解消する。
コマ収差:
- 記載なし。
逆光耐性:
- 逆光耐性は良好だ。
総評
マイクロフォーサーズ用として最上級のマクロレンズだ。高価なレンズだが、プロやマクロ写真愛好家向けの高性能なレンズである。
主な強みは「90mm(換算180mm)」「2:1(換算 4:1)マクロ」「高速AF」「効果的な手振れ補正」だ。遥かに手ごろな価格のマクロレンズもあるが、このレンズはマクロ撮影の労力を最小限に抑え、簡単にしてくれる。
- 長所:
・とても良好な画質
・2倍マクロ
・テレコンバージョンレンズ対応
・ビルドクオリティが良好
・効果的な手振れ補正
・防塵防滴
・望遠マクロとしては小型軽量
・AFリミッター
・高速AF- 短所:
・ボケに色づきが見られる
・MFT用レンズとしては大きい
・やや高価
・7段分の補正効果は得られない
とのこと。
珍しい2倍(35mm判換算で言えば4倍)の撮影倍率に対応するマクロレンズですね。マイクロフォーサーズ用としては他の選択肢として「LAOWA 50mm F2.8 2X ULTRAMACRO APO」があるものの、AFに対応しているのはセンサーサイズが異なる他社を含めてこのレンズのみ。さらにテレコンバージョンレンズまで対応している興味深い仕様となっています。もちろん、マクロ領域での実効F値やテレコンバージョンレンズによるF値の増大を考慮すると、フラッシュやマクロライトの併用は必須と思われます。
Phototrendのレビューによると、最大撮影倍率でも優れた画質を維持しているとのこと。テレコンバージョンレンズにも対応していますが、装着時の画質に関して言及はしていません。ボケに色づきが発生すると指摘しているものの、実写サンプルを確認する限りでは許容範囲内に収まっているように見えます。
これと言った弱点のないマクロレンズですが、ネックとなるのは販売価格でしょうか。マイクロフォーサーズ用レンズとしては非常に高価であり、APS-Cやフルサイズの100mm F2.8と同等かそれ以上の価格設定。撮影倍率の高い望遠マクロレンズが必要なければ60mm F2.8や40-150mm F2.8+MC-20で十分と言えるかもしれません。
OM SYSTEM M.ZUIKO DIGITAL ED 90mm F3.5 Macro IS PRO 最新情報まとめ
M.ZUIKO DIGITAL ED 90mm F3.5 Macro IS PRO | |||
楽天市場 | Amazon | キタムラ | Yahoo |
キタムラで中古在庫を探す |
レンズの仕様
レンズの仕様 | |||
---|---|---|---|
発売日 | 2023年2月24日 | 初値 | 166,320円 |
マウント | MFT | 最短撮影距離 | 0.224m |
フォーマット | 4/3 | 最大撮影倍率 | 2.0倍 |
焦点距離 | 90mm | フィルター径 | 62mm |
レンズ構成 | 13群18枚 | 手ぶれ補正 | 搭載 |
開放絞り | F2.8 | テレコン | 対応 |
最小絞り | F22 | コーティング | Zero |
絞り羽根 | 7枚 | ||
サイズ・重量など | |||
サイズ | φ69.8×136mm | 防塵防滴 | 対応 |
重量 | 453g | AF | STM |
その他 | S Macro・AFリミッター・L-Fn | ||
付属品 | |||
レンズフード |
関連レンズ
- M.ZUIKO DIGITAL ED 30mm F3.5 Macro
- M.ZUIKO DIGITAL ED 60mm F2.8 Macro
- LUMIX G MACRO 30mm/F2.8 ASPH./MEGA O.I.S.
- LEICA DG MACRO-ELMARIT 45mm/F2.8 ASPH./MEGA O.I.S.
- LAOWA 50mm F2.8 2X ULTRAMACRO APO
関連記事
- M.ZUIKO DIGITAL ED 90mm F3.5 Macro IS PRO レンズレビュー 完全版 2023年7月2日
- OM SYSTEM ED 90mm F3.5 Macro IS PROレンズレビュー Vol.7 マクロ編 2023年6月22日
- OM SYSTEM ED 90mm F3.5 Macro IS PROレンズレビュー Vol.6 周辺減光・逆光編 2023年4月18日
- OM SYSTEM ED 90mm F3.5 Macro IS PROレンズレビュー Vol.5 諸収差編 2023年4月15日
- OM SYSTEM 90mm F3.5 Macro PROは計り知れない可能性を秘めた理想的なマクロレンズ 2023年4月12日
- OM SYSTEM ED 90mm F3.5 Macro IS PROレンズレビュー Vol.4 ボケ編 2023年3月11日
- OM SYSTEM ED 90mm F3.5 Macro IS PROレンズレビュー Vol.3 遠景解像編 2023年3月7日
- OM SYSTEM ED 90mm F3.5 Macro IS PROレンズレビュー Vol.2 外観・操作・AF編 2023年3月4日
- DPReviewがED 90mm F3.5 Macro IS PROのサンプルギャラリーを公開 2023年3月2日
- DPReviewがED 90mm F3.5 Macro IS PROのハンズオンを公開 2023年3月1日