LenstipがOMデジタル「M.ZUIKO DIGITAL ED 90mm F3.5 Macro IS PRO」のレビューを公開。全体的に良好なパフォーマンスを発揮するマクロレンズですが、4/3センサー用のレンズとしてはF値が大きすぎると指摘しています。
Lenstip:OM System M.Zuiko Digital ED 90 mm f/3.5 Macro IS PRO
(基本的なスペックなどの紹介は割愛しています)
外観・構造:
- このクラスのマクロレンズとしては「F3.5」と暗いが、最大撮影倍率2.0倍に対応した唯一のレンズだ。
- レンズマウントは金属製だ。
- 外装は金属製である。
- S MACRO時の実効開放F値は「F5.6~F8」である。等倍でF6.3、2倍マクロでF8だ。
携帯性:
- フルサイズの100mm F2.8 マクロと同程度のサイズである。
操作性:
- AFリミッターは「S MACRO」「0.25-0.5m」「0.25-∞」に対応している。
- 手振れ補正のスイッチを搭載している。
- L-Fnボタンを搭載している。
- 幅37mmのフォーカスリングは2系統のMF操作に対応している。リングをスライドして決められた回転角で操作する場合のストロークは100度を少し超える。
フォーカス:
- AFはノイズレスで動作する。
- ピント全域(0.25m-無限遠)を約1秒で迷いなく移動する。
- MC-20装着時は、うまくいけば1秒以内で合焦するが、ピントが外れる場合もあった。
- OM-1に装着したところ、AFは少し早くなり、テレコンとの相性も良くなった。
- 通常のマクロモード時のワーキングディスタンスは12cmだ。S MACROモードでは6cmまで減少する。
手ぶれ補正:
- 実際のテストで4.3-4.5段分の補正効果が得られた。
- 公称値よりも低い数値だが、それでも優れた結果だ。
解像性能:
- E-M5 Mark IIのRAWを計測している。
- 良像の基準値は48-50lpmmだ。
- 最高の単焦点で96lpmmに達する。
- 絞り開放から60lpmmを超え、非常にシャープな結果が得られる。F5.6まで絞るとピークの80lpmmとなる。
- 4/3センサーにおけるレンズのピークはF2.8付近で得られるので、このレンズはF値が大きすぎる。
- MC-20装着時は開放F値がF7.1となる。絞り値全域で良像を下回る結果だ。
像面湾曲:
- 記載なし。
ボケ:
- F3.5における口径食は明らかだ。
- ボケは心地よい描写である。
色収差:
- 軸上色収差の問題はほとんどない。MC-20装着時には色づきが発生する。
- 倍率色収差はテレコンのうむに関わらず良好な補正状態だ。
球面収差:
- 球面収差の問題は見られない。
歪曲収差:
- JPEGでもRAWでも歪曲収差は完璧に補正されている。
- テレコン装着時は-0.89%の穏やかな樽型となる。
周辺減光:
- JPEGでもRAWでも周辺減光は目立たない。
コマ収差:
- コマ収差に関する問題は全くない。拍手喝采の結果だ。
- 非点収差の平均値は4.2%と非常に低く抑えられている。テレコン装着時も大幅な変化は見られない。
逆光耐性:
- 逆光耐性は完璧ではないものの、太陽がフレームに入っている場合のみだ。フレーム外にある時はコントラストを維持している。
総評
絞り開放から良好な結果が得られる、期待通りの性能を発揮するレンズだ。ただし、マイクロフォーサーズシステムで「F3.5」は解像性能のピークを得るには暗すぎる。
- 長所:
・頑丈で防塵防滴
・とても良好な中央画質
・良好な周辺画質
・わずかな軸上色収差
・わずかな倍率色収差
・球面収差の問題なし
・わずかな歪曲収差
・コマ収差の補正状態
・非点収差の補正状態
・周辺減光が穏やか
・効果的な手振れ補正
・ボケ- 短所:
・MC-20装着時の性能
・マクロ撮影時の実効F値
とのこと。
全体的に見ると大きな欠点のない、マクロレンズらしい期待通りの性能が得られるようです。ただし、F1.2やF1.8のような大口径レンズと比べると、解像性能のピークはやや低めとなっている模様。期待通りだけど、期待以上ではないと述べています。抄訳では抜粋しましたが、本文ではF値についてさらに辛口のコメントあり。ベンチマークテストとしてみると、確かに解像性能のピークは低いかもしれませんね。
とは言え、中央と周辺部の画質差が少なく、諸収差で気になるポイントがないのも確か。これで2倍マクロまで安定した結果が得られるのであれば、これはこれで良いのかなと。MC-20装着時の性能低下が気になるところですが、実写でどのような結果が得られるのか、もう少しサンプルを見てみたいですねえ。ちなみにピント距離と実効F値の関係は以下の通り(Lenstipより)
S-MACROモードの最大撮影倍率における実効F値はF8となる模様。解像ピークなどを考慮しないにしても、マクロフラッシュなどで光を追加する必要がありそうです。また、S-MACROモードと通常モードで実効F値が異なるのは興味深いですね。
ちなみに私もこのレンズを予約しているので、手元に届いたらOM-1と組み合わせて使ってみる予定です。
OM SYSTEM M.ZUIKO DIGITAL ED 90mm F3.5 Macro IS PRO 最新情報まとめ
M.ZUIKO DIGITAL ED 90mm F3.5 Macro IS PRO | |||
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レンズの仕様
レンズの仕様 | |||
---|---|---|---|
発売日 | 2023年2月24日 | 初値 | 166,320円 |
マウント | MFT | 最短撮影距離 | 0.224m |
フォーマット | 4/3 | 最大撮影倍率 | 2.0倍 |
焦点距離 | 90mm | フィルター径 | 62mm |
レンズ構成 | 13群18枚 | 手ぶれ補正 | 搭載 |
開放絞り | F2.8 | テレコン | 対応 |
最小絞り | F22 | コーティング | Zero |
絞り羽根 | 7枚 | ||
サイズ・重量など | |||
サイズ | φ69.8×136mm | 防塵防滴 | 対応 |
重量 | 453g | AF | STM |
その他 | S Macro・AFリミッター・L-Fn | ||
付属品 | |||
レンズフード |
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