DPReviewがニコン「Z 6II」のレビューを公開。競合カメラとの差別化が難しいものの、Z 6よりもAFや機能性が改善していると言及し「銀賞」と評価しています。スペックは地味ですがなかなか良さそうなカメラですね。
地味だが非常に高性能なカメラ
- カメラの紹介:
・既存のZ 6のマイナーチェンジモデルだ。機能性を少し拡張しているが、ほぼ同様のバランスの取れた静止画・動画を備えている。
・ハードウェアの主な違いはデュアルEXPEED 6プロセッサを搭載し、処理能力向上によるパフォーマンスと機能の改善がある。
・比較的マイナーなアップデートだが、競争力のあるカメラだ。- ビルド・外観:
・従来通り頑丈な防塵防滴ボディだ。マグネシウム合金のボディは堅牢性と重量のバランスが取れている。
・最新のEN-EL15cバッテリーを使用する。従来より20%ほど容量が増加しているモデルだ。従来のバッテリーとも互換性があるものの、最新バッテリーのbタイプ・cタイプではUSB充電に対応している。
・バッテリーは1回の充電で背面モニタで410枚、ファインダーで340枚の撮影が可能だ。週末フォトグラファーなどには十分な性能だが、ウェディングフォトのようなシーンでは予備バッテリーが必要かもしれない。
・USB-Cポート経由で給電動作に対応している。
・MB-N11バッテリーグリップ装着時はホットスワップに対応している。- 携帯性:
・記載なし。- グリップ:
・従来通り快適なグリップを備えている。- 操作性:
・基本的に前モデルと同等の操作性だ。
・フロント、リアダイヤルはとても適切な配置で、簡単にアクセスできる。
・前面にはFnボタンを2つ搭載している。- 手ぶれ補正:
・記載なし。- ファインダー:
・従来通り、368万ドットのOLEDファインダーだ。
・光学系とコーティングは従来通りだが、リフレッシュレートとブラックアウトの時間が改善していると言われている。
・スペックだけを見ると特に優れていないが、光学系はパネルの解像度を最大限活用しているように見える。- モニター:
・ファインダーと同じく変更点は無い。
・解像度はきちんとしており、チルト式の可動方式を採用している。
・チルトは富士フイルムのような3Wayが良かった。
・動画ユーザーとしてはバリアングルモニタが良かった。- メニューシステム:
・過去10年間のニコン製カメラと同様のシステムだ。
・非常に密集したシステムだが、カテゴリで適切に分けられているのでナビゲートは簡単だ。
・ユーザーインターフェースの主な変更点は「i」メニューのAFモードにワイドエリアの検出モードが追加されたことである。- オートフォーカス:
・ニコンによると、AFは元のZ 6から段階的に改善している。
・最も注目すべき変更は「ワイドAF」に顔検出・瞳検出モードが追加されたことだ。これにより、顔検出の範囲を絞り込むことが可能だ。
・ワイドAFの検出モードはAFモードリストから選択可能だ。検出機能を個別にオンオフする必要はない。
・低照度AFが1EV改善している。ローライトAFを使うことでさらに2EV暗い環境でAFを利用可能だ。
・AFの性能と使いやすさは良好だが、それでもクラス最高のカメラと比べると少し見劣りする。
・トラッキングモードはオートエリアでボタンを押すとアクティブとなる。半押しで追従開始するが、この際に顔検出や瞳検出は連動しない。
・Z 6と比べて追従AFの追従性が改善している。
・顔検出や瞳検出が外れてしまっても、同じ位置を粘り強く捕捉し続ける。ただし、顔・瞳検出とトラッキング機能は連携出来ないため、しばらく検出できないと乗り移りが発生してしまう。
・瞳AFは瞳ではなくまつ毛にピントが合ってしまうことがある。他のシステムと同様、眼鏡装着時はピントが合わない時がある。しかし、全体的に見ると、ピンポイントAFやMFよりも瞳AFのほうが確実な結果を得ることが出来ると感じる。
・大部分の場合、瞳AFはまつ毛では無く瞳にピントが合うようになっている。Z 6よりも改善しているように見える。
・トラッキングAFは非常に信頼性が高く、AF速度を適切にコントロールしている。大部分のZレンズで使用しているステッピングモーター駆動は内部録音でチャタリングを発生する可能性がある。しかし、最も信頼性の高い動画AFの一つと言えるだろう。
・様々な状況で良好に機能するAFだと思われる。- 連写性能・ドライブ:
・最大で14コマ秒の見事な連写速度を実現しているが、これはAF-S・12Bit RAWに限られる。
・追従AF時も立派な12コマ秒の連写速度に対応している。
・シャッター方式「自動」があり、シャッターショックが問題となりそうな場合は自動的にシャッター方式を変更してくれる。高速シャッター時は電子先幕の問題を回避するため、自動的にメカシャッターへ切り替わる。- 高感度ISOノイズ:
・低照度や高感度ISOの画質はZ 6と見分けがつかない。つまり十分なディテールを持ち、ノイズレベルは競合他社と同等だ。- ダイナミックレンジ:
・Z 6と同様、デュアルゲインISO回路を持つセンサーだ。つまり高感度ISOでノイズが少なくなる。このため、回路が切り替わる直前はより高感度を使うよりノイズが増える。ただし、違いはそれほど目立たない。
・Z 6のように、深いシャドウに現れるバンディングノイズの兆候は見られない。- 仕上がり機能:
・JPEGの色は暖色系で豊かな黄色と緑の見栄えが良い。キヤノンのような心地よい肌色では無く、少しマゼンダに傾いている。しかし、ソニーやパナソニックほどではない。
・シャープネスはライバルよりも粗がある。
・ノイズリダクションはとても良好だが、競合モデルよりもエッジの処理が甘い。見かけ上のディテールが低くなる。- 動画:
・Z 6の強力な動画機能を継承している。
・2021年2月に予定されている無料のファームウェアアップデートで4K 60p UHDへの対応が確定している。これはAPS-Cクロップ時の内部記録で利用可能だ。
・N-Logに加えてHLGを外部出力可能となっている。
・有料アップグレードにより12Bitの4K RAW(ProRes RAW)を外部出力可能だ。さらに2021年2月にはBlackmagic RAWを利用することが出来るようになる。
・EOS R6やLUMIX S5と異なり、内部記録で10Bit動画の撮影が出来ない。Log・HDR・RAW動画を撮影する際は外部レコーダーが必要だ。
・静止画と動画で設定値を共有するか、分離するか選ぶことが可能だ。
・高性能なAFを加えると、カジュアルな撮影やハイクオリティなハイブリッドユーザーのためのカメラとなる。
・画質は従来通り、非常にディテールのある4Kだ。ただし、FullHDは見事とは言えず、モアレが発生しやすい。
・APS-C 4K 60pがどのような画質となるかは来年2月までは分からない。
・ローリングシャッターは4K 24p/30pどちらも22msだ。これはEOS R6よりも遥かに優れており、LUMIX S5に匹敵する。ただし、α7S IIIやLUMIX GHのような10?15msよりも遥かに下回る数値だ。
・RAW動画は6Kからラインスキップで4Kが出力される。総評
非常に高性能なカメラであり、あらゆる状況に対応する。使いやすく、非常に効果的なAFシステムを備え、優れた動画撮影も可能だ。従来のZ 6から飛躍的な改善とはいかないが、バッテリーグリップの追加やデュアルカードスロットは役に立つと思う。さらに様々な小さい改善点を備えている。これにより家族写真からウェディング・スポーツ撮影まで、あらゆるジャンルでおススメできる。
ほとんどの点でうまくいくカメラだが、さらに優れたAFシステムや動画機能を備えた競合カメラが存在することは考慮しておく必要があるだろう。
エルゴノミクスは素晴らしく、メニューは全体的に良く整理されている。撮影がとても楽しいカメラだ。バッテリーライフは長時間の撮影や動画利用で影響を与える可能性があるものの、一般的には使いやすい。BluetoothやWi-Fiは一度設定すればとてもスムーズに動作する。
Z6 IIは検討する価値のあるカメラだが、ライバルとの差別化が図られているわけではない。機能の幅の広さにより、D750やD780(発売当時は最高のデジタル一眼レフカメラとして名を馳せていた2機種)を凌駕しているが、同程度の性能を持つ競合他社と比較しても、金賞を獲得するのに必要なほどの眩しさは感じられない。
長所:優れた画質・エルゴノミクスに基づいたコンパクトボディ・豊富なコントロール・強力な動画機能・様々な状況で安定したAF性能・一貫した動画AF性能・良好なビルドクオリティ・自動シャッター方式モード・USB充電と給電・外部バッテリーチャージャー付属
短所:AF機能は最高のインターフェースではない・焦点距離を大きく変えるとAFがハンチングする・バッテリーライフが中途半端・メニューや再生画面ではジョイスティックが使えない・10Bit動画やLog動画は外部レコーダー必須・RAW動画はサブサンプリングで品質が低下する・一部のメニューセクションが多すぎる
競合モデル
- EOS R6:
R6はZ6 IIよりも高価で、直接的なコントロールポイントは少ないが、よりシンプルなAF体験、印象的な手ブレ補正、10Bit動画の内部記録、より広いエリアでの4K/60p撮影、そしていくつかの高速で静かなフォーカスのナノUSMレンズが存在する。
ニコンの動画は非常に良好で、ローリングシャッターが少なく、AF性能は大まかに匹敵し、F1.8レンズ群はキヤノンの初期製品よりも魅力的かもしれない。決定的な性能差と言うよりも、個々のニーズや人間工学的な好みに左右されると思う。- α7 III:
ソニーは幅広いレンズラインアップと優れたバッテリーライフだ。しかし、Z 6IIのような最新の便利なAFシステムを備えていない。
我々は全体的にZ 6IIが好みだ。優れたファインダー、優れた動画AF、優れた人間工学のボディである。α7Cはよりコンパクトだが、携帯性が本当に必要な場合を除いてZ 6IIがおススメである。- LUMIX S5:
価格・機能・センサー性能の点で多くの類似点がある。大きな違いはAF性能だ。特に動画のAFはS5が見劣りする。手ぶれ補正はパナソニックのほうが強力だが、我々は万能なZ 6IIを選ぶだろう。
とのこと。
一見するとZ 6からのマイナーチェンジモデルに見えますが、AF性能の改善やデュアルカードスロット、バッテリーグリップ対応、動画機能の強化など、よりバランスの良いカメラに仕上がっている模様。DPReviewでは言及されていませんが、連写時のバッファが改善しているのも大きいように感じます。
第一世代のZユーザーとしてはボタン配置とカスタマイズ性をもう少し改善して欲しかったところですが、デュアルカードスロット化やAF性能・機能の改善、そして連写時のバッファ改善は気になります。
画質やファインダー・モニターに改善が見られないのは悩ましい…。DPReviewが言うように、富士フイルムのような3Wayチルトやファインダーの高解像化が見られたのであれば、何も迷わず突撃していた可能性あり。いや…でもやっぱり、カメラ右下に密集したボタン4つやDISPボタンの位置は改善して欲しいのです。せめてカスタマイズ可能にして欲しいところ。
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