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キヤノン「RF15-35mm F2.8L IS USM」優れた光学性能だが周辺減光には注意が必要

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Dustin Abbottがキヤノン「RF15-35mm F2.8L IS USM」のレビューを掲載。高速AFや手ぶれ補正など高機能な点を評価し、ズームレンジ全域・フレーム全域で一貫したシャープネスと言及。その一方、周辺減光はかなり目立つとのこと。

高性能で機能的な広角ズーム

Dustin Abbott:Canon RF 15-35mm F2.8L IS Review

  • 第一印象は「大きなレンズ」だ。同時に「RF70-200mm F2.8L IS USM」も貸し出してもらったが、根本的なサイズに違いはないような気がする。とは言え、広いズームレンジと光学手ぶれ補正を搭載するレンズと考えると小さいと思う。「EF16-35mm F2.8L III USM」と非常に良く似たサイズであり、「SP 15-30mm F/2.8 Di VC USD G2」よりも遥かに小さい。
  • 印象的だったのはタムロンのような出目金レンズではなく、82mmの円形フィルターを利用できる点だ。非常に高価な角形フィルターを使わなくても良いのは大きい。
  • 撮影倍率はキヤノンEFやタムロンSPとよく似ている。ただし、接写時の解像性能は私の期待には及ばなかった。
  • ビルドクオリティは期待通りだ。エンジニアリングプラスチックを使用しているが、良好な作りと感じる。さらにレンズは徹底的な防塵防滴処理と前後のフッ素コーティング処理が施されている。
  • インナーズーム方式ではなく、15mmの焦点距離でレンズが数センチ伸びる。28mm付近で最も短くなる。
  • コントロールリング・フォーカスリング・ズームリングはそれぞれ触感が異なり、ファインダーを覗きながら操作するのに役立つ。
  • コントロールリングは様々な機能を割り当てることが可能だ。有料でクリックレスに換装することも出来る。
  • レンズにはポーチとフードが付属している。フードは浅すぎるので遮光性は期待できないだろうが、前玉の保護としては有効だ。
  • 手ぶれ補正は非常に効果的だが1秒を超える撮影には限界がある。どちらかと言えば動画撮影で特に役立つと感じる。
  • ナノUSM駆動のオートフォーカスは静かで高速に動作する。そして正確だ。いくつかのソニー製レンズはAF-Cでハンチングが目立つモデルもあるが、このキヤノンレンズでそのような傾向は見られなかった。一般的にフォーカスは電光石火、そして無音だ。
  • 10段分のNDフィルターを装着した状態でもオートフォーカスは動作する。
  • ここ最近のキヤノン製カメラは4K動画のクロップが無くなり、ボディ内手ぶれ補正を搭載したことで広角レンズでの動画撮影が飛躍的に快適となった。唯一の欠点は大きく重いため、大部分のジンバルと合わないことだ。
  • 広角端で重度の周辺減光が見られ、Lightroomの補正では修正しきれない。このため、高感度ISOで撮影後に補正するとノイズが増える可能性がある。出目金レンズのタムロンSPは半分程度の減光で済んでいることを考えると、前玉を平坦にした結果なのかもしれない。
  • 15mmでは大きな樽型歪曲が残っているものの、プロファイルで簡単に補正可能だ。35mmでは軽度の糸巻き型歪曲へと変化する。
  • 35mmの周辺減光はまだ強いが、広角側と比べると1段程度改善している。
  • シャープネスはフレーム全域・ズームレンジ全域でとても均質だ。20mmで少し落ち込み、24mm前後でピークとなる。
  • 15mmは適度に良好なコントラストとシャープネスを備えている。サムヤン「AF 14mm F2.8 RF」は僅かにコントラストが良好だが、中央のパフォーマンスは似ている。中間域はサムヤン有利だが、四隅はキヤノンが優れている。単焦点レンズと比べて倍率色収差が僅かに残っているが、ズームレンズだからしかたのないことだ。F5.6まで絞ればキヤノンは全域でシャープとなり、F8でコントラストも強くなる。
  • 20mmはズームレンジ全域で最も性能が低下するポイントだ。F5.6まで絞ればシャープネスとコントラストは四隅の端を除いて改善する。
  • 24mmは絞り開放から強力だ。F5.6まで絞ると見事なシャープネスとなる。
  • 35mmはEFレンズと比べて最も改善幅の大きなポイントである。絞り開放はキレのあるシャープネスではないが、F5.6まで絞るとフレーム全体で非常に強力なシャープネスを得ることが出来る。
  • 接写でシャープネスとコントラストがイマイチだ。ボケも少し騒がしい。
  • 逆光耐性の評価は良いところと悪いところがある。光条はシャープでとても良好な描写だが、ゴーストがかなり目立つ。
  • コマ収差の影響は極僅かで非常に優れた結果である。

円形フィルターに対応しつつ、一眼レフ用の広角ズームをより機能的で高性能なレンズに仕上げている。大きく重いレンズだが、プロフェッショナル向けの仕様と言えるだろう。

非常に高い価格設定が購入の障壁となり、15mmでの重い周辺減光と歪曲は注意する必要がある。しかし、優れたフォーカス性能と手ぶれ補正を搭載しており、優れた色とコントラストで鮮明な描写を得ることが出来る。それでも高すぎると感じる場合はF4ズームを待つ必要があるが、全てを備えた広角ズームが必要であればこのレンズを選ぼう。

長所:堅牢なビルドクオリティ・耐候性・高速で静かなAF・効果的な手ぶれ補正・円形フィルター対応・優れたズームレンジ・ズームレンジ全域でフレーム全域が一貫した性能

短所:非常に目立つ周辺減光・逆光耐性・接写でいくらかソフトな描写・高価

とのこと。
競合他社を含め、フルサイズミラーレスの大口径広角ズームとしては唯一光学手ぶれ補正を搭載しているレンズですね。さらに広角15mmをカバーしつつ、フラットな前玉で円形フィルターに対応しており、高い機能性を実現しています。

歪曲収差や周辺減光はいくらか残存しており、レンズ補正を加味した光学設計のように見えます。ミラーレス時代のレンズ設計と言ったところでしょうか?周辺減光の補正でノイズ増加が気になるところですが、作例を見る限りでは、影響は四隅の端のみだと思われます。

ざっと見て、F2.8における解像性能の均質性、もしくはF8まで絞った時の全体的なシャープネスやコントラストを重視するのであれば面白い選択肢となりそう。手ぶれ補正や円形フィルターの必要性が高い場合も価値のある一本。

悩ましいのは20万円台後半の価格設定。一眼レフ用と比べてやや高いので、乗り換えるにしても、それなりの追加投資が必要。とは言え、競合他社のF2.8広角ズームも同程度の価格設定となっており、キヤノンRFが顕著に高価というわけでは無さそうですね。アダプターで一眼レフ用レンズを利用できるので、コストパフォーマンス重視であればサイズ度外視でシグマやタムロンも要検討。

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