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シグマ「35mm F1.4 DG DN」レンズレビュー 解像力チャート編

シグマ「35mm F1.4 DG DN」のレビュー第三弾を公開。6100万画素のα7R IVと組み合わせて、恒例の解像力チャートテストを実施し、結果とレビューを記事にしています。

まえがき

概要
レンズの仕様
マウント ソニーE/ライカL 最短撮影距離 0.3m
フォーマット フルサイズ 最大撮影倍率 1:5.4
焦点距離 35mm フィルター径 67mm
レンズ構成 11群15枚 手ぶれ補正 -
開放絞り F1.4 テレコン -
最小絞り F16 コーティング 防汚/SMC
サイズ・重量など
サイズ φ75.5×111.5mm 防塵防滴 対応
重量 640g AF STM
その他 絞りリング/絞りロック/絞りクリック/AFLボタン
付属品
フード/レンズケース/説明書/保証書

12本目となるシグマDG DNシリーズのレンズ。競合多いソニーEマウントと、まだまだラインアップが少ないライカLマウントに対応。ミラーレス専用設計ながら、光学設計はSGVの元祖「35mm F1.4 DG HSM」と同じで、10年来のベテランエンジニアが担当(他にも18-35mm F1.8や85mm F1.4 DG DNなどの銘玉を手掛けている模様)。特殊レンズを贅沢に使用し、DG HSMと比べてコマ収差や軸上色収差を良好に補正。さらに、フォーカスレンズは1枚と軽量で、ステッピングモーター駆動による軽快なAF性能を実現している模様。

レンズサイズは「35mm F1.2 DG DN」より小さいものの、ソニー「FE 35mm F1.4 GM」と比べると大きく、「EF 35mm F1.4 ZA」と同程度です。携帯性でベストは言えませんが、そのぶん価格やパフォーマンスに期待したいところ。

価格のチェック

売り出し価格は9万円台ですが、買い方次第で8万円前後となるはず。ソニーGMの半値程度までコストが抑えられているのでコストパフォーマンスは良好。これ以上安い35mm F1.4となると、サムヤン「AF 35mm F1.4 FE」くらいしかないはず。

解像力チャート

撮影環境

テスト環境

  • カメラボディ:α7R IV
  • 交換レンズ:35mm F1.4 DG DN Art
  • パール光学工業株式会社「【HR23348】ISO12233準拠 8K解像力テストチャート(スチルカメラ用)
  • オリンパス HYRes 3.1 解析ソフト
  • 屋内で照明環境が一定
  • 三脚・セルフタイマー10秒・電子シャッター
  • α7RIVのRAWファイルを使用
  • ISO 100 固定
  • Adobe Lightroom Classic CCでRAW現像
    ・シャープネス オフ
    ・ノイズリダクション オフ
    ・色収差補正オフ
  • 解析するポイントごとにピントを合わせて撮影
    (像面湾曲は近接で測定が難しいので無限遠時にチェックしています)
  • 近接でのテストであることに注意(無限遠側はさらに良好となる可能性あり)

補足

今回はRAW出力を元にしてシャープネスをオフの状態で検証しています。ボディ出力のJPEGやRAW現像でシャープネスを整えるとより数値が向上する可能性があります。今回の数値はあくまでも「最低値」とお考え下さい。

テスト結果

中央

絞り開放から「4000」に近い非常に良好なパフォーマンスを発揮。6100万画素のローパスフィルターレスでは細部に偽色が発生するため(下の掲載画像を参照)、これを処理するともう少し良好な結果が期待できるかもしれません。
絞るワンランク画質が向上し、この解像力チャートの限界値に近い結果を得ることが出来ます。その後はF11まで同程度の性能となり、最小絞りであるF16でも「4000」を超えています。ソニーGMと比べると絞り開放の性能で劣るものの、それ以外は遜色のない結果を期待できます。

周辺

絞り開放で若干のコントラスト低下が見られるものの、解像性能のテストは「4000」を超える良好な結果。絞ると徐々に画質が改善し、F4以降は「4500」を超える優れた結果を得ることが出来ます。最小絞りでは「4000」を下回るものの、非常に良好な結果に違いありません。絞り値全域で実用的な画質であり、ケチのつけようがない。

四隅

絞り開放は「2000」を下回るややソフトな画質です。極端に収差が目立つ画質ではありませんが、6100万画素を活かせる光学性能とは言えません。1段絞ると状況は大きく改善し「3500」に近い良好な結果を得ることができます。 ただし、F2.8以降は絞ってもあまり変化がなくソニーGMのように隅から隅まで一貫した解像性能を得られるわけではありません。

結果は驚くべきものではなく、SIGMA社の社長が新製品のプレゼンテーションで接写時の性能低下を示唆しています。無限遠を使った際はより良好な結果となるので、あくまでも「接写時にパフォーマンスが低下する」と理解しておくと良いでしょう。

さらに言うと、接写時に四隅の解像性能が必要となるシチュエーションは少ないと思われます。過度に心配する必要はありません。とはいえ同じテスト環境でソニーGMはさらに良好な結果でした。価格差は考慮しなければなりませんが、このカテゴリーでベストを尽くすのであればソニーGMが最有力候補です。

数値確認

中央 周辺部 四隅
F1.4 3821 4051 1985
F2.0 3941 4207 3442
F2.8 4406 4421 3641
F4.0 4578 4866 3868
F5.6 4860 4509 3814
F8.0 4767 4707 3512
F11 4440 4404 3485
F16 4041 3779 3304

実写確認

絞り開放では中央から隅にかけて徐々に画質が低下しているのが分かります。1段絞ると周辺部まで画質安定しますが、隅まで品質的な画質を求める場合は少なくともF2.8まで絞った方がいいでしょう。

競合レンズ比較

35mm単焦点レンズとしてはトップクラスのパフォーマンスですが、ソニーGMと比べると四隅のパフォーマンスが伸び悩んでいます。ここに妥協したくないのであれば、このレンズの倍近い価格でソニー「FE 35mm F1.4 GM」を購入する必要あり。個人的な見解として、大部分の人はシグマ35mmで満足できると思います。
同じ35mm単焦点レンズである「35mm F2 DG DN」と比べると、接写時の光学性能はより安定。35mm F1.4 DG DNより2万円ほど安い「FE 35mm F1.8」と比べても全体的に良好な結果を期待できます。

今回のまとめ

ソニーGMほどではありませんが、大部分の領域でそれに近い解像性能を備えたレンズです。進みの絞り開放の画質は妥協する必要があるものの、価格はほぼ半値で、コストパフォーマンスは非常に良好。同社の「85mm F1.4 DG DN」と比べると軸上色収差がわずかに残存しており場合によっては少しコントラストが低いと感じるかもしれません。絞り開放の隅における解像性能の低下はあまり心配する必要がないと思いますが、近距離でフラットな像面で被写体を撮影する場合には注意が必要です。

まだまだ使い込んでいるとは言えないものの、このレンズのシャープネスやコントラストにはとても満足しています。「85mm F1.4 DG DN」ほどの傑作と感じるキレ味ではありません。しかし、それに近い描写と感じます。

購入早見表

作例

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