Amateur Photographerがニコン「Z 9」のレビューを公開。一眼レフライクの物理操作が電子制御に干渉していると指摘しつつも現在手に入る中で最も印象的で高性能なカメラと高く評価しています。
Amateur Photographer:NIKON Z9 REVIEW
(訳注:カメラの仕様に関する説明や見て分かる説明は割愛しています)ビルド・外観:
- ニコン「D6」を少しだけ縮小したようなデザイン。
- 従来のZモデルよりも一眼レフカメラに近いスタイル。
- 非常に堅牢で、耐候性にも優れていると感じる。
- ケンジントンロックコネクタがあり、離れた場所にあるカメラを安全にセットアップする必要があるカメラマンには便利だ。
- 電源スイッチを入れた瞬間に起動し、物理的な操作とタッチスクリーンの両方が即座に反応する。
バッテリー:
- EN-EL18dの撮影枚数は720枚であり、D6の3580枚に比べるとかなり後退している。
インターフェース:
- 記載なし。
携帯性:
- 堅牢性と引き換えに、1340gという重さが際立っている。
- D6に比べれば約100g軽いものの、EOS R3に比べれば300g以上、グリップを装着していないソニーα1に比べれば約2倍の重量だ。
グリップ:
- 記載なし。
操作性:
- ニコンのプロ用デジタル一眼レフカメラをお使いの方ならば、操作方法はすぐにわかると思う。
- 背面のレイアウトは、従来のZシリーズとほぼ同じだ。
- Fn1、Fn2、Fn3の3つのファンクションボタンは、撮影メニューバンクと呼ばれ、カメラの設定を素早く変更できる便利な機能だ。しかし、レリーズモードが含まれていないため、気をつけないと120fpsで風景を撮影してしまうことになる。
- 設定にカスタム名をつけることができるが、Fn1ボタンで設定を選択しても、ファインダーに表示されない。
- 「撮影機能の呼び出し」を使えば、ボタンを押すだけで一括して設定を変更することも可能だ。例えば、AF-ONボタンを押すと、3Dトラッキング、被写体認識、連写、速いシャッタースピードでのSモードへの切り替えなどができる。動いている被写体に素早く対応するには最適だが、不思議なことに、AF-SからAF-Cへの切り替え機能がない。
- 操作性で一つだけ気になる点があるとすれば、カメラを横向きに持ったときに、縦位置グリップのボタンを誤って押してしまいやすいことだ。
手ぶれ補正:
- ニコンのボディ内手ぶれ補正機構は、手持ち撮影時の手ぶれをしっかりと補正してくれる。
- Z 24-70mm F2.8 Sのワイド側の設定では、1秒程度の遅いシャッタースピードでも問題なく撮影できた。
- 一般的なシャッタースピードであれば、手ぶれによって画像が損なわれることはないと思う。
ファインダー:
- Z 9のEVFは、ニコンが「世界で最も明るい」と謳うだけあって、明るく、連写時にもブラックアウトしないようになっている。その代わり、撮影時にはプレビュー画像の周囲の枠が明滅し、視覚的な合図となる。
- 実際に使ってみると、この電子ビューファインダーは非常に優秀で、非常に明るく、詳細な情報を得ることができる。
- ソニーα1の944万ドット、0.9倍には及ばないが、その目的は達成されている。
- 初期設定では、ビューファインダーで色処理や被写界深度をプレビューし、露出は±3EVの範囲でシミュレートされている。
モニター:
- 背面モニタも大幅に改良され、縦位置撮影時には上方向に90°、横位置撮影時には上下方向にチルトできるようになった。
- パナソニックや富士フイルムのカメラのいくつかと同様のアプローチであり、厄介な角度での撮影を容易にするという点で、静止画撮影者にとって最高のデザインだと思う。
- モニターを正面に向けることはできないが、Z 9のユーザーが気にすることはないだろう。
- ビューモードの設定に影響されず、常に色と露出をプレビューしてくれる。
メニューシステム:
- ニコンのメニューシステムは、プロ用カメラに求められるような長くて複雑なものだが、幸いにも内蔵のヘルプ機能でほとんどの機能について説明を見ることができる(すべてではない)。
- 頻繁に設定を変更する場合は、マイメニューを設定することができるが、これはかなり手間のかかる作業だ。
フォーカスシステム:
- Z 9の最も重要な新機能は、AIによる被写体検出オートフォーカスだ。キヤノンのEOS R3やソニーのα1にも同様の技術が採用されているが、大きな違いは、カメラに認識させたい被写体(人、動物、鳥、乗り物)を事前に選択する必要がないことだ。
- 目で見たものを選んでファインダー内でアウトライン化し、フレーム内でトラッキングフォーカスしていく。複数の被写体が写っている場合は、ジョイスティックで被写体を選ぶことができるが、EOS R3の視線入力AFのようなシームレスな直感性はない。
- もちろん、常に被写体認識を使わなければならないわけではない。AFモードが充実しているので、手動でAFポイントを設定することもできるし、デジタル一眼レフユーザーにはおなじみの、3Dトラッキングを使うことも可能だ。
- どんな使い方をしても、Z 9のオートフォーカスシステムは、ほぼ完璧に動作する。被写体が静止していようが動いていようが、フレームの中央や隅にいようが、20fps、30fps、120fpsで撮影しても、驚異的なヒット率でピントを合わせることができる。
- もちろん、完璧ではない。他のシステムと同様に、AIによる被写体検出は完全に正確ではない。例えば、100-400mmで鳥を撮影した場合、小枝などの細かい部分にピントを合わせてしまう癖があり、後ろにいるはっきりと認識できる鳥にピントを合わせようとしないので、イライラした。
- しかし、Z 9を購入するほとんどの人にとって、そのAFシステムは今まで使っていたものよりもはるかに速く、信頼性の高いものになるだろう。
連写性能:
- メカニカルシャッターがないため、静音性にも優れている。
- フェイクのシャッター音を再生することで、撮影時に安心感を与えることができる。
- Z 9で撮影した数千枚の画像で、ローリングシャッター歪みなどの電子シャッターに起因する弊害は見られなかった。
- 連写に関して、私のテストではニコンが約束した20fpsの1000コマを達成することは出来なかった。しかし、それに劣らず素晴らしい性能を発揮した。
- 定格書き込み速度1000MB/sのLexar Professional 64GB CFexpressカードを使用したところ、フル解像度のRAWで6秒間20コマ/秒を維持した後、わずかに減速して16.5コマ/秒を維持した。その後、カードがいっぱいになるまで撮影を続け、最終的に159秒間で2638フレームを記録した。
- 高効率RAWファイルフォーマットでファイルサイズは25MB以下に抑えられており、同じセンサー解像度を持つZ 7の55MBよりも小さくなっている。
- 高効率RAWは高速性を維持するために非常に重要であり、画質の面では明らかな欠点は見られない。
- ただし、サイズよりも画質を優先する「高効率RAW★」に切り替えると、平均ファイルサイズが約35MBになり、撮影速度が低下することは把握しておきたい。
解像性能:
- 低ISOでは、見事なディテールと広大なダイナミックレンジが得られる。
高感度ISOノイズ:
- Z 7IIとの違いがあるとすれば、それは数値でしか判断できない程度の差だ。
- 高ISO感度では当然ディテールが損なわれるが、標準的な最高設定のISO25,600でも十分満足できる画質だ。
- 4570万画素のセンサーを搭載したZ 9は、非常に多くのディテールを記録することができる。
- ISO64では、ノイズが全く見られず、非常に優れた画質を実現。
- ISO1600になると輝度ノイズが目立つようになるが、それでも等倍で凝視しないとわからない。
- ISO6400では細かい部分がぼやけ、ISO25,600まで感度を上げると、ノイズの影響が大きくなる。この時点では、ニコンのJPEGはAdobeのRAWよりもノイズを抑え、色を保持する点でかなり優れている。
- ISO 51,200とISO 102,400の設定では、シャドー部のディテールがほとんど失われてしまうので、できれば避けたほうがいいだろう。
ダイナミックレンジ:
- 記載なし。
画質・仕上がり機能:
- 測光に関しては、マルチ測光以外を使う必要がほとんどないほど、Z9は非常によくできている。
- ハイライト部分が過度に白飛びされないようにうまく処理されており、全体的に露出アンダーになりすぎることもない。補正が必要な場合は、ファインダーではっきりと確認することができる。
- 主に「自然光オート」を使用したが、ほとんどの場合、完璧な色が得られた。かつては黄金色の光の中でニュートラルになりすぎていたのが、今では現実離れした色にならないように見事に調整されている。
- JPEGモードでの撮影でも優れた結果が得られる。これは、プロが仕上げたファイルをニュースデスクに直接提供するために必要なカメラとして、非常に重要なことだ。
- ニコンの演色性は、業界トップの富士フイルムには及ばないものの、概ね魅力的だ。
- カメラ内の高ISOノイズリダクションが特に効果的で、アドビのRAW処理(今となっては明らかに時代遅れだが)よりもはるかにきれいな画像と強い色が得られる。
動画:
- 記載なし。
総評
Z 9ほど大きな反響を呼んだカメラはないだろう。プロ用のフルサイズ一眼レフカメラの完全な代替品として名乗りを上げた、間違いなく最初のミラーレスモデルだ。ずっしりとした頑丈なボディ、大型レンズを使用する際の一体型縦位置グリップ、そしてもちろん、長年のニコンユーザーにとって馴染みのあるデザインと操作性だ。もちろん、FTZ IIアダプターを介して、ニコンのFマウントデジタル一眼レフカメラ用レンズにも対応していることは言うまでもない。
実際に使ってみると、Z 9はその大きな約束を見事に果たしている。高い解像度、息を呑むようなスピード、そしてプロフェッショナルな操作性を、銃弾を受け止められるような頑丈なボディに収めている。D6よりもはるかに速く、D850と同等かそれ以上の画質を実現しながら、ファイルサイズは大幅に小さくなっている。そして、これまでに見たこともないような素晴らしいオートフォーカスシステムを搭載している。
実際、Z 9の最大の特徴は、フレーム内の最も重要な被写体を識別してフォーカスし、構図を決めて写真を撮るという作業を1つ減らすことができる点にあると思う。また、RAWで20コマ/秒の高速撮影が可能で、確実なAF追従性があるため、最高の瞬間を撮影できる可能性が高くなる。つまり、プロ用デジタル一眼レフカメラの最後の砦とも言える。
しかし、Z 9は大きく、重く、高価なカメラだ。今回使用した「Z 24-70mm F2.8」と「100-400mm」を入れると、3.5kgにもなる。これでは、過酷な仕事をするための専門的な道具であり、写真を撮ることを楽しむために持ち歩くようなカメラではない。また、ニコンは、ファームウェアのアップデートによって、さまざまなカスタムセットアップオプションの動作を大幅に改善することができると考えている。しかし、これは現在購入できるカメラの中で最も印象的で高性能なカメラに対する些細な批判である。
- 長所:
・並外れた連写性能
・JPEG/RAWで優れた画質
・画期的なAI被写体検出AF
・堅牢なビルドクオリティ
・優れたファインダーとモニタ
・高効率RAW- 短所:
・大きく重い
・高価なメモリーカードが必須
とのこと。
正式発表から注目され続けているニコンのハイエンドミラーレスですね。海外の老舗販売店にして「これほど予約注文が入ったのは初めて」と言わしめるほど注文が殺到しているらしく、「納品まで半年かかる」とまで噂されています。
ニコン初となる4500万画素 積層型CMOSセンサーと新プロセッサー「EXPEED 7」を搭載し、ブラックアウトフリーの高速連写や鬼のようなバッファを備えた高速連写を実現。さらに被写体認識AFや3Wayアングルモニタ、3Dトラッキングの復活など、見どころが多いカメラとなっていますね。
的確に長所と短所を指摘するAmateur Photographerにおける評価も上々で、些細な欠点こそあるものの、今後のファームウェアアップデートで改善は可能だろうと言及しています。
非常に高性能ですが、物理ボタンやダイヤルを組み込んでいるので、電子的に制御する設定のように瞬間的な切り替えに対応していないのが悩ましいところですね。一眼レフフレンドリーなデザインで、デジタル一眼レフからの乗り換えを促す機種となりそうですが、将来的にはすべて電子制御となるのかもしれません。
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