このページではタムロンのフルサイズミラーレス用交換レンズ「20mm F/2.8 Di III OSD M1:2 Model F050」の解像力テストとレビューを掲載しています。
レンズのおさらい
2019年後半に「24mm F/2.8 Di III OSD M1:2 Model F051?」「35mm F/2.8 Di III OSD M1:2 Model F053」と共に発表されたタムロン初の「Di III」単焦点レンズ。レンズサイズ・撮影倍率・フィルターサイズ・防塵防滴などが統一され、使い回しやすいレンズ群となっています。さらに価格は(市場相場で)4万円以下に抑えられ、国産のソニーFE用AFレンズとしてはかなり安い。
ただし、フォーカス駆動はステッピングモーターでもリニアモーターでも無く、今となっては少し古臭いDCモーターを利用しています。ミラーレスのライブビュー撮影とは比較的相性が悪く、レスポンスはお世辞にも良いとは言えません。また、ブリージング(ピント位置による画角の変化)が大きく、特に接写時にフォーカス速度が低下します。
さらに開放F値が「F2.8」と単焦点としては暗く、低照度性能やボケ量はあまり期待できません。
マイナス面も十分に検討する必要はありますが、20mmの広い画角を備えたAFレンズとしてはソニーEマウントで最も安い。24mm F2.8や35mm F2.8は競合レンズがいくつか存在するものの、20mmレンズで同価格帯のライバルは不在。さらに防塵防滴・接写性能などを考慮すると価格以上の価値はあると言えるでしょう。
20mm F/2.8 Di III OSD M1:2(Model F050) | |||
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モデル名 | F050 |
---|---|
焦点距離 | 20mm |
F値 | F2.8 |
レンズ構成 | 9群10枚 |
最短撮影距離 | 0.11m |
最大撮影倍率 | 1:2 |
フィルター径 | 67mm |
全長 | 64mm |
最大径 | 73mm |
質量 | 220g |
絞り羽根 | 7枚 |
最小絞り | F22 |
標準付属品 | フード キャップ |
対応マウント | Eマウント |
撮影環境
テスト環境
- カメラボディ:α7 III
- 交換レンズ:20mm F/2.8 Di III OSD M1:2 Model F050
- パール光学工業株式会社「【HR23348】ISO12233準拠 8K解像力テストチャート(スチルカメラ用)」
- オリンパス HYRes 3.1 解析ソフト
- 屋内で照明環境が一定
- 三脚・セルフタイマー10秒・電子シャッター
- α7 IIIのRAWファイルを使用
- ISO 100 固定
- Adobe Lightroom Classic CCでRAW現像
・シャープネス オフ
・ノイズリダクション オフ
・色収差補正オフ
・格納されたレンズプロファイルオフ - 解析するポイントごとにピントを合わせて撮影
(像面湾曲は近接で測定が難しいので無限遠時にチェックしています) - 近接でのテストであることに注意(無限遠側はさらに良好となる可能性あり)
補足
今回はRAW出力を元にしてシャープネスをオフの状態で検証しています。ボディ出力のJPEGやRAW現像でシャープネスを整えるとより数値が向上する可能性があります。今回の数値はあくまでも「最低値」とお考え下さい。
テスト結果
「1:2(0.5倍)」のマクロ性能を備えているためか近接する解像力チャートでも高い解像性能を発揮。
ほぼ接写の撮影距離で四隅まで良好な解像性能を維持している超広角レンズは貴重な存在と言えるでしょう。
2400万画素のα7 IIIに装着した時の良像と言える数値はおよそ「2500」前後。絞り開放から四隅まで「2500」を超え、「3000」前後の高い数値です。絞ってもあまり変化は見られず、F16まで良好なパフォーマンスを維持、F22で回折の影響を受け僅かに低下しています。それでも良像と言える数値を維持しています。
全体的に見て弱点は存在せず、フレーム全域・絞り値全域で良像となるとても良好な光学性能です。拍手喝采。
買い方次第で3万円チョイの20mm超広角レンズとしてはコストパフォーマンス抜群。
参考:テスト結果の数値
F値 | 中央 | 周辺部 | 四隅 |
F2.8 | 4270 | 3186 | 2967 |
F4 | 3523 | 3523 | 3101 |
F5.6 | 4220 | 3493 | 3368 |
F8 | 3588 | 3451 | 3301 |
F11 | 3393 | 3702 | 3268 |
F16 | 3283 | 3226 | 3062 |
F22 | 2931 | 2834 | 2568 |
実写で確認
数値から分かるように、中央と周辺・四隅では僅かに解像性能の差があります。ローパスフィルタ搭載の2400万画素センサーではあまり違いが明確となりませんが、α7R IIIやα7R IVを使用するとさらに一貫性が低下すると思われます。(四隅まで安定した画質ではありますが)
周辺減光の影響がいくらか見られるものの、「20mm F2.8」の小型軽量レンズとしては許容範囲内。絞ると徐々に改善し、F8でほぼ完全に減光を抑えることが出来ます。
倍率色収差は僅か。それよりもセンサー由来と思われる偽色のほうが気になるところ。やはりそろそろα7R IIIなり、α7R IVを導入する頃合いか…。
シリーズ比較
20mmの中央解像が少し飛びぬけているものの(ひょっとしたら測定結果の誤検出かもしれない)、全体的に似たような解像性能です。画質差なくレンズ交換を楽しむことが出来るでしょう。
どのレンズも絞り開放から四隅まで安定しており、これはF2.8広角ズーム・標準ズームよりも良好。接写を重視するのであればおススメのレンズ群。
17-28mm F2.8 Di III RXDとの比
開放付近(F2.8~F4)は周辺・四隅の解像性能に差があるものの、F5.6まで絞ると差が縮まります。さらにF8まで絞るとほぼ互角となるので、絞れる環境ならば汎用性の高いズームレンズのほうがおススメ。(少なくともα7 IIIでは)
17-28mm F/2.8 Di III RXD (Model A046) | |||
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雑感
満足度:99点
”このカテゴリでは”ほぼ満点。少なくともα7 IIIとの組み合わせで不満と感じるポイントはありません。マクロレンズと比べると少しキレが足らないかな?と感じるくらい。広角レンズと考えると満点をあげても良いくらい。
冒頭で指摘したフォーカス速度を考慮に入れなければ、コストパフォーマンスは抜群。これと言った弱点が存在せず、絞り開放から四隅まで良好な画質をキープ。絞ってもあまり改善しませんが、それだけ絞り開放から良好な画質と言うことが出来るでしょう。
特に接写で四隅の良好な解像性能を発揮する広角レンズは貴重。画角の広いマクロに需要は少ないと思いますが、広角マクロが好きならば検討すべきレンズ。
逆に絞ってパンフォーカスを狙うのであればズームレンズ「17-28mm F/2.8 Di III RXD」とあまり変わらないかも。撮影倍率が問題無く、より快適なフォーカス速度を重視するのであればズームがおススメ。
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