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シグマ 50mm F1.4 DG DN レンズレビュー Vol.4 ボケ編

シグマ「50mm F1.4 DG DN」のレビュー第四弾を公開。今回は前後のボケ質差や玉ボケの形状と絞り羽根の影響、撮影距離を変化した場合のボケ質などをチェックしています。

50mm F1.4 DG DNのレビュー一覧

前後ボケ

綺麗なボケ・騒がしいボケとは?

ボケの評価は主観的となりがちですが、個人的には「滲むように柔らかくボケる」描写が綺麗と評価し、逆に「急にボケ始めたり、ボケの輪郭が硬い」描写は好ましくない(もしくは個性的な描写)と定義しています。ただし、感じ方は人それぞれなので、ひょっとしたら逆のほうが好ましいという人もいることでしょう。参考までに「滲むボケ」「輪郭の硬いボケ」のサンプルが以下のとおり。

描写傾向の違いは主に球面収差の補正状態によるもの、前後どちらかのボケが柔らかい場合はもう片方のボケが硬くなる傾向があります。

実写で確認

前後の描写に大きな違いは見られず、球面収差は良好に補正されているようです。個性的なボケとは言えませんが、前景・後景どちらをボケに取り入れても扱いやすいと思われます。ただ、軸上色収差の補正が完璧とは言えず、ボケに色づきが発生。状況によっては目障りと感じるかもしれません。この色収差は後処理による補正が難しいので、光学的にしっかりと抑えてほしかったところ。

玉ボケ

口径食・球面収差の影響

口径食が強いと、フレーム四隅のボケが楕円状に変形したり、部分的に欠けてしまいます。この問題を解消するには絞りを閉じるしか方法がありません。しかし、絞るとボケが小さくなったり、絞り羽根の形状が見えてしまう場合もあるので状況に応じて口径食を妥協する必要あり。

口径食の影響が少ないと、絞り開放から四隅まで円形に近いボケを得ることが可能。できれば口径食の小さいレンズが好ましいものの、解消するには根本的にレンズサイズを大きくする必要があります。携帯性やコストとのバランスを取る必要があり、どこかで妥協が必要。

球面収差の補正が完璧では無い場合、前後のボケ描写に差が発生します(前後ボケのレビューで示した通り)。この場合はどちらかが滲みを伴う滑らかな描写になり、反対側で2線ボケのような硬い描写となってしまいます。

実写で確認

複数の非球面レンズを使用しているにも関わらず、玉ボケの内側は滑らかな描写で研磨ムラと思われる粗は目立ちません。ただし、口径食と思われる玉ボケの変形が隅に向かって目立ちます。絞ることで改善しますが、F2.8くらいまでは絞る必要があります。

軸上色収差の影響も見られるので、バランスの良いボケが得たい場合はF2.0-2.8まで絞るのがおススメ。ただし、軸上色収差は改善するものの、倍率色収差によるボケの色づきが発生することがあるので注意が必要です。

ボケ実写

接写

接写時はボケが大きく、全体的に滑らかな描写。絞りで被写界深度を調整する場合はF2.8くらいまで違和感なく使うことができます。F4まで絞るとボケが僅かに角ばり、縁取りも少し目立つようになります。

近距離

撮影距離が少し長くなっても滑らかな描写を維持。フレーム周辺部や隅まで良好なボケが得られます。輪郭は若干残りますが、ボケが大きいので目障りと感じることは少ないはず。やはりF4以降から少し騒がしさを感じる後ボケとなる。

中距離

さらに撮影距離が長くなると、当然ながらF1.4でもボケが小さくなります。この距離でもボケは滑らかで綺麗に見えますが、接写時と比べると後ボケが硬く見えます(もともと硬いですが、大きなボケでは目立たなかった)。

また、口径食の影響があり、隅に向かって騒がしい描写に変化。隅の画質は絞ると改善しますが、絞る過ぎると騒がしい描写になるので注意が必要。

撮影距離

全高170cmの三脚を人物に見立てて、F1.4絞り開放で撮影距離を変化させながら撮影した作例が以下の通り。

ポートレートの撮影距離でも背景をうまく分離することができるようです。軸上色収差の影響は皆無ではないものの、テストシーンでは目立ちません。サムヤンAF 50mm F1.4 FE IIと比べると撮影距離全域でより良好な結果を期待できます。

まとめ

撮影距離に依らず扱いやすいボケ描写。さらに前景・後景の質感に大きな違いがなく、写真に自然とボケを取り入れることが出来ます。滲みを伴う柔らかいボケとは言えないものの、万人向けの綺麗なボケと言えるでしょう。

撮影シーンによって軸上色収差による色づきが発生する場合もありますが、ボケが必要なシーンにおける影響は僅か。特に心配する必要はないと思われます。(遠景をF1.4で撮影する場合はちょっと気になる場合あり)

Eマウントで競合するサムヤン「AF 50mm F1.4 FE II」と比べてどうか?
サムヤンは僅かに後ボケ寄りのボケ質で、後ボケに関して言えば少し柔らかい描写が得られます。(見比べると分かる程度の差ですが…)ポートレートのようなシーンではサムヤンのほうが的している可能性あり。現在の販売価格(5万円前後)を考慮するとバーゲンプライスと言えるでしょう。ただし、撮影距離や絞りによって画質の振れ幅が大きく、意図せず緩めの描写となってしまう場合もあります。

シグマは撮影距離や絞りによる画質の変動が少なく、おおよそイメージ通りの結果が得られる印象です。これをつまらないと感じる人はサムヤンのほうが適していますが、あくまでもツールとしてレンズを使いたい場合はシグマと相性が良いと感じると思います。

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作例

オリジナルデータはFlickrにて公開

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