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シグマ 50mm F1.4 DG DN レンズレビュー Vol.2 外観・操作・AF編

シグマ「50mm F1.4 DG DN」のレビュー第二弾を公開。今回はレンズの外観や操作性、カメラに装着してAF/MFの使いやすさなどを確認しています。

50mm F1.4 DG DNのレビュー一覧

外観・操作性

箱・付属品

シグマらしい白と黒を基調としたお馴染みのデザインです。右上のEditionナンバーはリリースした西暦の下三桁を取ったもの。この数字はレンズにも印字されています。ロットの製造年月日を示している訳ではないので注意。

レンズ本体のほかにキャップ・フード・レンズケース・説明書・保証書が付属します。

Artシリーズにはしっかりとしたパッド入りのレンズケースが付属します。正直に言うと使っていませんが、人によっては運搬や収納時に重宝することでしょう。ないより、あったほうが選択肢が増えます。

外観

外装は他のDG DN Artと同じく、多くの金属パーツを採用した頑丈な作り。フォーカスリングはゴム製でしっかりとしたグリップが得られ、絞りリングは金属製ながら指のかかりが良いローレット加工が施されています。

マウント付近の金属製鏡筒は従来通り光沢のある塗装を採用。艶があっていいと思いますが、油汚れや指紋が付きやすいのが悩ましいところ。製造国は日本(シグマ会津工場)で、マウント付近にはEditionナンバー「023」がプリントされています。

ハンズオン

50mm F1.4としてはサイズ大きめですが、手に取ってみると見た目ほど重くありません。ただし、軽いわけでもなし。質感はArtシリーズらしく上々で、携帯性と操作性のバランスを取りつつ、上質なビルドクオリティを実現しているように感じます。ただし、携帯性はソニーの新型モデル「FE 50mm F1.4 GM」やサムヤン「AF 50mm F1.4 II FE」と比べると厳しい戦いとなるのは間違いない。

前玉・後玉

大口径レンズらしく大きな前玉はフッ素コーティング処理が施されています。水滴や油汚れの際にメンテナンスが容易。とは言え、傷などが予想されるシーンではプロテクトフィルターを装着したほうが良いでしょう。フィルター径は72mmに対応しており。サムヤン II型と同じで、ソニーGMと比べると少し大きい。

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真鍮製のレンズマウントは4本のビスで固定。後玉はマウント付近にあり、周囲をフレアカッターが覆っています。周辺は反射防止のためにマットブラックの塗装で処理されており、内側に光を強く反射する要素は無いように見えます。

フォーカスリング

ゴム製カバーを装着した金属製の幅広いフォーカスリングを搭載。電子制御でフォーカスモーターを駆動するタイプですが、このような方式としては回転の抵抗感が強い。強い抵抗ながらも微調整に対応できる滑らさを備え、上質なヘリコイド式フォーカスリングのように操作できます。

フォーカスリングのレスポンスは回転速度に依存するタイプ。素早く回転してもピント全域のストロークは180度あるので、フルマニュアルで操作するには不向きです。その一方、F1.4の浅い被写界深度でも微調整は簡単。

絞りリング

1/3段刻みで動作する金属製絞りリングを搭載。ソニー純正レンズの絞りリングと比べると抵抗感が少し弱めですが、それでもしっかりとしたクリック感が得られ、誤操作の心配はありません。Aポジションであればロックすることも可能。

スイッチ類

レンズ側面にはAF/MFスイッチやクリック切替スイッチ、AFLボタンを搭載。AFLボタンはソニー第二世代のように2か所の配置ではありませんが、程よいサイズで押しやすいボタンです。スイッチ類は程よい指のかかりで、誤操作の心配がない程度に強めの抵抗がかかっています。スイッチはそれぞれ「オン」の場合に白色表示となり、「オフ」の場合は黒色表示となるので一目で判断することができるのはGood。

左側面には絞りリングをAポジションで固定するスイッチを搭載しています。

レンズフード

プラスチック製の花形レンズフードが付属します。一か所にロック構造/解除ボタンを備え、バヨネット付近は滑り止めのコーティングが施された立派な作りのフード。滑り止めの部分はゴミが付きやすいのが難点でしたが、今のところ綺麗な状態を維持しています。(以前と比べて材質が少し変わった?)

フードは逆さ付けに対応していますが、その場合はフォーカスリングにほとんどアクセスできません。

装着例

α7R Vに装着。大きな単焦点レンズに違いありませんが、長時間の手持ち撮影が苦になると感じるほどの重量感ではありません。また、レンズのバランスも良く、重心はカメラ側にあるのでフロントヘビーとは感じません。とは言え、さらに小型軽量なサムヤン「AF 50mm F1.4 II FE」と比べると分が悪い。ハンドストラップよりは、ショルダーストラップで携帯したほうが負担は少ないと思われます。

AF・MF

フォーカススピード

新開発のリニアモーター駆動「HLA」方式を採用。従来のステッピングモーターが遅い訳ではありませんが、HLA駆動は明らかに高速化しています。従来通りAF-S時はピント精度優先のためか僅かに低速、AF-C時にキビキビとした動作が得られます。ソニーのXDリニアモーターやタムロンのVXDに匹敵する性能と言えそうです。このような高速駆動のAFに対応した大口径サードパーティー製 単焦点レンズは、ソニーEマウントレンズ数あれど、これが初めてかもしれません。

ブリージング

ブリージングとはピント位置によって画角が変化することを指します。画角の変化が大きいと、フォーカシングで画角が広がったり狭くなったりするので気が散ったり、AFが不安定化する原因となります。出来ればフォーカシングブリージングは無い方が良い。今回はブリージングの影響を確認するために、レンズを最小絞りまで絞り、最短撮影距離・無限遠で撮影した結果が以下の通り。

スライドショーには JavaScript が必要です。

ご覧のように、かなり目立つ画角の変化が発生します。動画撮影でこのような激しい画角変化を好まない人もいることでしょう。静止画撮影でも、AF時の画角変化が騒がしいと感じるかもしれません。ソニー純正レンズであれば「フォーカスブリージング補正」が有効ですが、サードパーティー製のシグマレンズは自動補正に対応していません。

精度

α7R Vとの組み合わせでAFの精度に大きな問題はありませんでした。ただし、α1やα9などの電子シャッターを使った高速連写時は撮影速度に制限がかかるので注意が必要です。

MF

前述したとおり、操作性が良いフォーカスリングに加え、幅広いストロークで微調整が可能です。素早い操作には不向きですが、風景撮影・夜景・星空などのシーンでしっかりピントを合わせたい場合と相性が良い。

まとめ

満を持して登場したシグマのミラーレス版50mm F1.4 Art。85mm F1.4 Artほど驚きの小型化は実現できていないものの、期待通りのビルドクオリティと操作性のレンズに仕上がっています。特にフォーカスリングは良質な撮影体験を得られる心地よい抵抗感と滑らかさで、個人的にはかなり好みの操作性。

レンズサイズはソニー「FE 50mm F1.4 GM」やサムヤン「AF 50mm F1.4 II FE」と比べると大きく重いものの、妥協できる範囲内に収まっています。そして「Planar T* FE 50mm F1.4 ZA」と比べると軽い。ただし、最近はボディ側が重くなってきているので、ボディと組み合わせると「やや重い」と感じるかもしれません。

最も印象的だったのはAF性能。60-600mm Sportsに続いて採用されたHLA駆動はリニアモーターらしく超高速で非常に静か。「50mm F1.4」でこのような高速性と静粛性を両立するレンズはそう多く無いはず。ステッピングモーター駆動で培ってきたフォーカス群の小型化がここにも活かされているのでしょうか。今後もHLA駆動を採用したレンズが続くと面白い展開となりそう。

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作例

オリジナルデータはFlickrにて公開

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