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シグマ 50mm F1.4 DG DN レンズレビュー Vol.1 解像チャート編

シグマ「50mm F1.4 DG DN」のレビュー第一弾を公開。今回は恒例の解像力チャートを使い、α7R Vと組み合わせた際の近距離解像性能をチェックしています。

50mm F1.4 DG DNのレビュー一覧

まえがき

2023年2月に登場した待望のシグマ製ミラーレス用 50mm F1.4 レンズ。ソニーE・ライカLマウント用の50mm F1.4レンズとしては後発ですが、手ごろな価格で高い光学性能を実現しているようです。

概要
レンズの仕様
発売日 2023年2月23日 初値 123,750円
マウント E / L 最短撮影距離 0.45m
フォーマット フルサイズ 最大撮影倍率 1:6.8
焦点距離 50mm フィルター径 72mm
レンズ構成 11群14枚 手ぶれ補正 -
開放絞り F1.4 テレコン -
最小絞り F16 コーティング F
絞り羽根 11枚
サイズ・重量など
サイズ φ78.2×109.5mm 防塵防滴 対応
重量 670g AF HLA
その他 絞りリング
付属品
レンズフード・ケース

同時期に登場したソニー「FE 50mm F1.4 GM」と比べると大きく重いレンズですが、パナソニック「LUMIX S PRO 50mm F1.4」よりも小型軽量。絞りリングやAFLボタン、防塵防滴に対応した今どきらしい高級単焦点レンズに仕上がっています。

レンズ構成は11群14枚と非常に複雑で、LUMIX S PRO 50mm F1.4よりも多くのレンズを使用。特殊レンズはSLDガラスを使ったレンズが1枚と少ないものの、非球面レンズはフォーカスユニットの両面非球面を合わせて3枚使用しています。MTFチャートを見る限りではフレーム周辺部まで非点収差をよく抑えた均質性の高い光学性能が特徴のようです。

注目すべきは「60-600mm F4.5-6.3 DG DN OS」で初めて採用した新しいAF駆動方式「HLA」を本レンズも導入していること。リニアモーター駆動で高速かつ静かで滑らかな動作を実現しています。ポテンシャルは未知数ですが、海外のレビュー動画を見る限りでは快適に動作するようです。

価格のチェック

売り出し価格は123,750円。一眼レフ時代の50mm F1.4 DG HSMと比べると少し高くなりましたが、それでもソニー GMやパナソニック S PROと比べると非常に手ごろな価格と言えるでしょう。「半値に近い価格でGMやS PROと同等!」は期待しすぎかもしれませんが、ミドルレンジの価格帯における選択肢としては、とても価値のあるレンズになるのではないかと予想しています。

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解像力チャート

撮影環境

テスト環境

  • カメラボディ:α7R V
  • 交換レンズ:SIGMA 50mm F1.4 DG DN|Art
  • パール光学工業株式会社「【HR23348】ISO12233準拠 8K解像力テストチャート(スチルカメラ用)
  • オリンパス HYRes 3.1 解析ソフト
  • 屋内で照明環境が一定
  • 三脚・セルフタイマー10秒・電子シャッター
  • RAW出力
  • ISO 100 固定
  • Adobe Lightroom Classic CCでRAW現像
    ・シャープネス オフ
    ・ノイズリダクション オフ
    ・色収差補正オフ
    ・レンズプロファイルオフ
  • 解析するポイントごとにピントを合わせて撮影
    (像面湾曲は近接で測定が難しいので無限遠時にチェック)
  • 近接でのテストであることに注意(無限遠側はさらに良好となる可能性あり)

補足

今回はRAW出力を元にしてシャープネスをオフの状態で検証。ボディ出力のJPEGやRAW現像でシャープネスを整えるとより数値が向上する可能性あり。今回の数値はあくまでも「最低値」とお考え下さい。

テスト結果

中央は至近距離でも絞り開放から非常に良好な解像性能を発揮します。軸上色収差の補正が完璧ではなく、若干の色づきが見られるものの解像性能は抜群。一方、フレーム周辺部や隅は無限遠側のMTFとは異なり、至近距離でパフォーマンスが低下するようです。像面湾曲も見られるので、パンフォーカスを得たい場合は十分に絞る必要がありそう。周辺部も絞ると急速に改善し、F4付近で中央に近いピークの結果を得ることが出来ます。隅も周辺部とほぼ同じパフォーマンスを維持し、絞ることでとても良好な結果を期待できます。

中央

F1.4で色収差の影響を受けているものの、F2でほぼ解消します。細部までシャープでコントラストの高い結果を得ることができます。

周辺

中央と比べるとF1.4における性能低下が顕著で、ピント面をシャープに写したい場合は少なくともF2、理想的にはF2.8~F4くらいまで絞ったほうが良いでしょう。絞ることで中央に近いシャープな結果を得ることが出来ます。

四隅

周辺部と同じく絞り開放付近は甘め。F2まで絞れば許容範囲内まで改善しますが、ベストを尽くすのであればF2.8~F4まで絞りたいところ。

数値確認

中央 周辺部 四隅
F1.4 4913 2507 2965
F2.0 4991 3457 3584
F2.8 4932 3869 3938
F4 4972 4525 4442
F5.6 4935 4641 4565
F8 4972 4591 4228
F11 4729 4020 3889
F16 3649 3457 3164

実写確認

全体的なピークはF4からF8にかけて。開放は周辺部がやや甘めですが、絞った際の改善速度が速く、隅までしっかりとした性能が得られるのは魅力的。

AF 50mm F1.4 IIとの比較

小型軽量で手ごろな価格のサムヤン「AF 50mm F1.4 FE II」と組み比べてみると、違いは一目瞭然。サムヤンも遠景は良好な性能ですが、至近距離で性能が急激に低下します。比べてシグマのパフォーマンスは良好で、絞ればフレーム隅までしっかりと性能を伸ばすことができます。

まとめ

至近距離で(遠側で測定していると思われる)MTFのような結果は得られませんが、それでも中央はF1.4からとても良好な結果を得ることができます。周辺部や隅も絞れば急速に改善するので、被写体を中央から離して撮影する場合はF2~F2.8くらいまで絞るのが良さそうです。F4~F5.6までしっかり絞ると、フレーム全域でシャープかつ均質的な結果を得ることが可能。より手ごろな価格の大口径レンズとの差は明らかで、近距離でも安定したパフォーマンスが欲しい場合は検討する価値がありそう。

今回はあくまでも「至近距離での解像性能」をチェックしただけです。このような撮影距離は収差変動で性能が低下するレンズが多く、このレンズも少なからず影響を受けているように見えます。後日、遠景での解像性能をチェック予定なのでこうご期待。

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作例

オリジナルデータはFlickrにて公開

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