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70-300mm F4.5-6.3 Di III RXD Z-mount レビューVol.5 諸収差編

タムロン「70-300mm F4.5-6.3 Di III RXD Z-mount」のレビュー第五弾を公開。今回は色収差や歪曲収差など各収差を恒例のテスト環境でチェックしています。

70-300mm F/4.5-6.3 Di III RXDのレビュー一覧

倍率色収差

倍率色収差とは?

主にフレーム四隅に現れる色ずれを指す。絞り値による改善効果が小さいため、この問題を解決するにはカメラボディでのソフトウェア補正が必要。ただしボディ側の補正機能で比較的簡単に修正できるので、残存していたとして大問題となる可能性は低い。特にミラーレスシステムでは後処理に依存する傾向がある。

参考:Wikipedia 色収差

70mm

6100万画素のα7R IVでクロップしても目立ちません。少なくとも70mmは良好に補正しているようです。

100mm

70mmと同じく良好に補正されています。

200mm

70-100mmと比べるとわずかに色づきが目に付き始めますが、依然として最小限に抑えられています。

300mm

200mmと同程度で問題ありません。70mmからの状態を考慮すると、ズーム全域で倍率色収差の心配をする必要はなさそうです。

軸上色収差

軸上色収差とは?

軸上色収差とはピント面の前後に発生する色ずれを指す。ピントの手前側は主にパープルフリンジとして、ピントの奥側でボケにグリーンの不自然な色付きがあれば、その主な原因が軸上色収差と考えられる。簡単な後処理が難しく、できれば光学的に収差を抑えて欲しいところだが、大口径レンズでは完璧に補正できていないことが多い。

軸上色収差を完璧に補正しているレンズはピント面のコントラストが高く、パンチのある解像感を期待できる。

参考:Wikipedia 色収差

70mm

小口径の望遠ズームレンズとしては、高コントラストな領域に少し目に付く色収差が発生しています。F8まで絞るとほぼ完全に抑えることが可能ですが、絞り開放付近を使う際は色収差が目立つ場合があるかもしれません。

100mm

70mmよりも僅かに色収差の影響が強くなります。やはりF8まで絞るとほぼ改善。

200mm

広角側よりも色収差の影響が強くなります。これがボケの色づきとなり、騒がしい描写の一端となっている可能性あり。

300mm

望遠端の300mmでは軸上色収差が最も目立ちます。F8まで絞ると改善しますが、完全に抑えたい人はF11まで絞る必要があり。

球面収差

ボケの縁取りに補正差を感じるものの、極端な描写の差は見当たりません。

歪曲収差

歪曲収差とは?

歪曲収差とは、平面上で直線的に写るはずが直線とならずに歪んでしまうことを指す。特に直線が多い人工物や水平線が見えるような場合に目立ちやすい。主に魚眼効果と似た形状の「樽型歪曲」と中央がしぼんで見えてしまう「糸巻き型歪曲」に分かれる。

参考:Wikipedia 歪曲収差

比較的補正が簡単な収差だが、「陣笠状」など特殊な歪みかたをする歪曲は手動での補正が難しい。この場合はレンズに合わせた補正用プロファイルが必要となる。

70mm

スライドショーには JavaScript が必要です。

ほぼ無視できる程度の樽型歪曲です。レンズプロファイルを適用することで綺麗に補正できますが、プロファイルなしでも十分良好に補正されています。

100mm

スライドショーには JavaScript が必要です。

70mmから一転して、やや目立つ糸巻き型歪曲が発生。このままでは直線的な被写体を入れると中央に向かって歪んで見る可能性あり。幸いにもニコンのRAWにはレンズプロファイルが格納されているので、特殊な現像ソフトを使用していない限りは自動補正が有効となるはず。

200mm

スライドショーには JavaScript が必要です。

100mmよりも少し強めの糸巻き型歪曲が発生。これを修正するためには4辺を少し引き延ばす必要があります。

300mm

スライドショーには JavaScript が必要です。

200mmと同じく強い目の糸巻き型歪曲が発生。自動補正が有効なので心配する必要はありませんが、補正を適用できない環境では手動補正が必要となる可能性があります。

コマ収差

コマ収差・非点収差とは?

コマ収差・非点収差とは主にフレーム四隅で点像が点像として写らないことを指す。例えば、夜景の人工灯や星、イルミネーションなど。日中でも木漏れ日など、明るい点光源で影響を受ける場合あり。この問題は後処理が出来ないため、光学的に補正する必要がある。

参考:Wikipedia コマ収差

絞ることで改善するものの、夜景や天体撮影など、シャッタースピードが重要となる状況では絞ることが出来ず、光学的な補正が重要となる。

70mm

絞り開放から周辺部まで特に大きな問題は見当たりません。

100mm

70mmと比べると影響が僅かに目に付きますが、それでも大きな問題とは言えない量に抑えられています。

200mm

100mmと同じく、完璧ではないものの、無視できる範囲内に抑えられています。

300mm

200mmと同程度の補正状態です。

まとめ

テスト環境だと軸上色収差が少し目に付くものの、実写で色収差が問題と感じることはありませんでした。過度に心配する必要はないと思います。高コントラストな領域でも問題なし。

球面収差は状況によって微ボケに騒がしさを感じるものの、色収差と同じく大問題と感じることはありません。手ごろな価格の望遠ズームに美ボケを求めなければ許容範囲内の描写が得られます。望遠側でボケを大きくすることで、滑らかで柔らかい描写を得ることも可能。

このレンズで注意すべき収差があるとしたら、それは歪曲収差。直線的な被写体をフレームに入れた際にレンズプロファイルが適用できない現像方法でJPEGに出力すると、やや目立つ歪曲が発生する可能性が高いです。基本的にRAWに格納されたプロファイルを利用できる環境にあると思いますが、古い現像ソフトや無料ソフトを使用する場合にプロファイルを適用できない可能性があります。そのような場合は手動で補正しなければならず注意が必要です。

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作例

オリジナルデータはFlickrにて公開

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