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70-300mm F4.5-6.3 Di III RXD Z-mount レビューVol.4 ボケ編

タムロン「70-300mm F4.5-6.3 Di III RXD Z-mount」のレビュー第四弾を公開。今回は前後のボケ質差や玉ボケの形状と絞り羽根の影響、撮影距離を変化した場合のボケ質などをチェックしています。

70-300mm F/4.5-6.3 Di III RXDのレビュー一覧

前後ボケ

綺麗なボケ・騒がしいボケとは?

ボケの評価は主観的となりがち。個人的には「滲むように柔らかくボケる」描写が綺麗と評価し、逆に「急にボケ始めたり、ボケの輪郭が硬い」描写は好ましくないと感じる。ただし、感じ方は人それぞれなので、ひょっとしたら逆のほうが好ましいという人がいてもおかしくない。
参考までに「滲むボケ」「輪郭の硬いボケ」のサンプルを以下に示す。

描写傾向の違いは主に球面収差の補正状態によって変化し、前後どちらかのボケが柔らかい場合はもう片方のボケが硬くなる傾向がある。
特殊な方法として「アポダイゼーション光学素子」などを使って強制的に滑らかなボケ描写を実現しているレンズも存在する。

実写で確認

ここ最近のレンズとしては珍しく、後ボケがやや硬調で、前ボケが少し滑らかなボケ質となっています。このため、背景のボケは輪郭が残りやすく、状況によっては2線ボケなど騒がしい描写に繋がる可能性があります。

玉ボケ

口径食・球面収差の影響

ここで言う「口径食」とはレンズ口径がボケへ影響していることを指す。
口径食が強いと、フレーム四隅のボケが楕円状に変形したり、部分的に欠けてしまったりする。この問題を解消するには絞りを閉じるしか方法が無い。しかし、絞ると羽根の形状が見えてしまう場合もあるので状況に応じてF値を変化させる必要あり。

逆に口径食の影響が少ないと、絞り開放から四隅まで円形に近いボケを得ることが出来る。これは玉ボケに限った話ではなく、一般的な四隅のボケ描写の質感にも繋がる。口径食が強いと、ボケが小さく感じたり、場合によってはボケが荒れてしまう場合もある。
できれば口径食の小さいレンズが好ましいが、解消するには根本的にレンズサイズを大きくする必要がある。携帯性やコストとのバランスを取る必要があり、どこかで妥協が必要。

球面収差の補正が完璧では無い場合、前後のボケ描写に差が発生する(前後ボケのレビューで示した通り)。この場合はどちらかが滲みを伴う滑らかな描写になり、反対側で2線ボケのような硬い描写となってしまう。

70mm

玉ボケの内側の描写、ボケのアウトラインと色づき、隅における口径食などなどを考慮すると、70mmの玉ボケは良好な描写には見えません。F5.6まで絞ると口径食と色収差が改善しているように見えるので、露出が問題なければ少し絞ったほうが心地よい見栄えとなる可能性あり。

100mm

引き続き口径食と色収差が目立ちます。また、最短撮影距離がやや長めのためボケを大きくするのは苦手です。70mmほどではありませんが、ボケが騒がしいと感じたらF5.6くらいまで絞ると改善する可能性あり。

200mm

接写性能の高いレンズではありませんが、焦点距離が長いぶんボケを大きくしやすくなっています。部分的にブレているボケがありますが、これは風で光源が揺れていた可能性あり。基本的には広角側と同じで、口径食と色収差の影響が強く、アウトラインもやや目立ちます。

300mm

これまで通り、口径食と色収差の影響が強く、ボケが小さくなるにつれて粗が目立ちやすくなります。

ボケ実写

状況にもよると思いますが、いつものテストシーンでは色づきや口径食が目立ちません。べた褒めするほど良くもありませんが、酷評するほど悪くもない感じ。

撮影距離

全高170cmの三脚を人物に見立てて絞り開放で撮影した結果が以下の通りです。

70mm

70mm F4.5の絞り開放では後ボケを大きくすることはできません。それでも背景から少し分離しているように見えます。アウトラインと色づきの強い後ボケですが、全体的にボケが小さいので目立ちません。

135mm

135mm F5でも、ポートレートシーンで後ボケを得ることができそうです。完璧なボケ質とは言いませんが、70mmと同じく悪目立ちはしていないように見えます。

300mm

300mm F6.3を使えば、被写体を背景から分離することができているように見えます。もちろん背景の輪郭を溶かすのは難しいですが、被写体を強調するには十分かなと。ボケには色収差や強めのアウトラインが発生しているのでお世辞にも褒められた質感ではありませんが、極端に悪い描写でもなく、実用的な画質は維持しているように見えます。

まとめ

単焦点レンズやハイエンドズームレンズほど綺麗なボケではありませんが、実写でボケ質が不満と感じるシーンはそう多くありませんでした。開放F値が大きいうえ、最短撮影距離が長いのでボケを大きく表現できるレンズではありませんが、一般的に被写体を背景から分離するには十分なボケ量を得ることができます。

気を付けるべきはピント面前後の微ボケ領域における線状の物体。この際はアウトラインが強調されやすく、2線ボケとなる傾向が見られます。さらにコントラストが高い環境では色収差の影響も目に付くと思われるので注意が必要となります。

個人的に後ボケが騒がしいと感じたシーンは動物園でのショット。酷評するほどではありませんが、背景が騒がしいのは否めないと感じました。このあたりが気になるのであれば、高級単焦点やハイエンドズームレンズを検討したほうが良いかもしれません。

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作例

オリジナルデータはFlickrにて公開

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