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70-300mm F4.5-6.3 Di III RXD Z-mount レビューVol.1 外観・操作性編

タムロン「70-300mm F4.5-6.3 Di III RXD Z-mount」のレビュー第一弾を公開。今回はレンズの外観や操作性、カメラに装着してAF/MFの使いやすさなどを確認しています。

70-300mm F/4.5-6.3 Di III RXDのレビュー一覧

まえがき

2020年にソニーEマウント用のフルサイズ対応望遠ズームとして発売されたタムロンレンズです。このレンズをベースとして、2022年にタムロン初となるニコンZマウント用レンズが登場。ニコンとライセンス契約の下で開発・製造されており、一眼レフ時代と比べて互換性の高いレンズに仕上がっていると思われます。基本的な光学設計はソニー版と同じですが、レンズ単体でファームウェアアップデートが可能となるUSB-Cポートが追加されています。

概要
レンズの仕様
マウント Z 最短撮影距離 0.8-1.5m
フォーマット 35mm 最大撮影倍率 1:9.4-1:5.1
焦点距離 70-300mm フィルター径 67mm
レンズ構成 10群15枚 手ぶれ補正 -
開放絞り F4.5-6.3 テレコン -
最小絞り F22-32 コーティング BBAR
絞り羽根 7枚
サイズ・重量など
サイズ φ77×150.3mm 防塵防滴 簡易防滴
重量 580g AF RXD
その他 Lens Utility
付属品
レンズフード

タムロンDi IIIシリーズのレンズとしては最短撮影距離や最大撮影倍率が平凡以下なのが残念。手ごろな価格を考慮すると妥協すべきポイントかもしれませんが、出来ればもう少し接近して撮影できると良かったです。

LDレンズを含む10群15枚構成の光学設計を採用。MTFを見る限りでは中央から隅に向かってパフォーマンスがいくらか低下しているように見えますが、実写でどのように反映されるのか、これからのテストで確認してみましょう。

価格のチェック

売り出し価格は7万円程度。ソニーE用が5万円台だったことを考えると少し割高と感じますが、他に選択肢が無い現状を考慮すると妥協すべき点と言えそうです。競合レンズの登場で価格が落ち着くと良いですねえ。

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外観・操作性

箱・付属品

タムロンらしい白を基調としたデザインの箱。マウント部と同じように箱の底面にルミナスゴールドのカラーを採用。レンズ本体は発泡樹脂で前後を固定して梱包されています。

レンズ本体の他に円筒型レンズフードと説明書、保証書、シリアルナンバー記載のシールが付属しています。

外観

外装は光沢の残る黒色の塗装が施されています。一見すると一眼レフ用レンズSPシリーズのような金属外装にも見えますが、触ってみるとプラスチック製の外装だと分かる質感です。ミラーレス用レンズは競合他社もプラスチック製の外装を採用するメーカーが多く、特に違和感はありません。しっかりとした作りで、旧デザイン(28-75mm F2.8 Di III RXDなど)と比べて傷や指紋に強くなっているように見えます。

ズーム・フォーカスリングはどちらもゴム製カバーを装着。リング表面に粘性は感じず、ゴミの付着は少ないと思われます。タムロン最新のDi IIIシリーズと比べるとコントロールポイントが少なく、FnボタンやAF/MFスイッチなどはありません。

外装の文字は全てプリントで、エッチングなど芸が細かい加工は無し。この辺りはタムロンらしく割り切った感があります。ちなみに「設計 日本」「製造 中国」と記載を確認。最近はベトナム製のタムロンレンズも増えてきましたが、このレンズは従来通り中国製となっています。

内筒もプラスチック製ですが、300mmまで伸ばしても顕著なガタツキはありません。

マウント付近にはソニーEマウント版になかったUSB-Cポートを搭載。防水構造のためキャップは不要とのこと。パソコンとケーブル接続することで手軽にファームウェアアップデートが可能となりました。残念ながら最新設計のタムロンレンズと異なり各種カスタマイズには対応していません。

ハンズオン

全長150.3mm、重量580gと、70-300mm 望遠ズームとしては一般的なサイズです。Fマウントアダプター経由で一眼レフ用70-300mmを使うよりもずっとコンパクト。「NIKKOR Z 70?200mm f/2.8 VR S」と比べると半分以下の重量であり、現状でニコンZマウントの望遠ズームレンズとしては最小・最軽量の選択肢(DX 50-250を除く)。携帯性を重視しつつ望遠域を使いたいのであれば、真っ先に検討するレンズとなるでしょう。

前玉・後玉

タムロンDi IIIシリーズらしく67mm径のねじ込み式フィルターに対応。Zマウントは他にもタムロンOEMと思われるF2.8ズームレンズが充実しているので、各種67mmフィルターを揃えるのもアリ。このレンズは前面にフッ素コーティング処理が施されていないので、汚れや水滴の付着が想定されるシーンではプロテクトフィルターの装着をおススメします。

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金属製のレンズマウントは4本のビスで固定。周囲は簡易防滴用のゴム製シーリングが施されています。

ズーム操作により光学系は全体的に前方へ移動します。後玉を含めて移動するので、センサー周辺にて空気の動きが発生する可能性を否めません。

フォーカスリング

15mm幅のフォーカスリングを搭載。電子制御式のフォーカスリングとしては僅かにトルクが強く、滑らかに回転しますが、僅かにざらつきを感じます。

ズームリング

57mmのゴム製ズームリングは幅広く掴みやすい。回転操作はまずまず滑らかですが、望遠側と広角側でトルクが少し異なります。滑らかなズーム操作も可能ですが、トルクの違いでズーム速度を一定に保つのは難しい。

300mmまでズームすると内筒が6cmほど伸びます。堅牢性に不安はありませんが、撮影場所を移動する場合やカメラバッグに収納する場合は70mmに設定してレンズを短くする必要があるでしょう。ちなみにズームロック機能はありません。

焦点距離ごとの開放F値

70-86mm F4.5
87-113mm F4.8
114-138mm F5.0
139-174mm F5.3
175-209mm F5.6
210-262mm F6.0
263-300mm F6.3

70mmから300mmまで開放F値がF4.5からF6.3まで1段分大きくなります。この間のF値は通常よりも細かい1/6段刻みで徐々にF値が大きくなります。F値の変化は均質的で、200mmまではF5.6を維持しており、最も暗くなるF6.3は263mm以降と限定的。

レンズフード

プラスチック製の円筒型レンズフードが同梱しています。フィルター操作窓やロック構造の無い非常にシンプルなフードですが、本体の外観や質感を損なわないしっかりとした作り。

収納時に逆さ付けも可能ですが、その際はズームリングの大部分が隠れてしまいます。ズーム操作できないこともないですが…。

装着例

Z 7に装着。FTZ経由の一眼レフ用70-300mmを使用するよりもコンパクトで、ミラーレスらしい望遠ズームの撮影を楽しむことが出来そうです。この種のズームレンズを片手で扱うことは少ないと思いますが、片手のみでの撮影も可能。グリップとレンズの間には十分な空間があり、手袋を装着したままでもカメラグリップをしっかりと握ることが出来ます。

AF・MF

参考動画は完全版にて公開

フォーカススピード

「RXD」と呼ばれているステッピングモーター駆動を使用。リニアモーター駆動(タムロンで言えば「VXD」)ほど電光石火のフォーカス速度ではありませんが、適度に高速で滑らかなフォーカスを実現。望遠側の開放F値が6.3とやや暗めなので、低照度におけるフォーカス速度の低下は否めないものの、日中の良好な光環境では満足のいくフォーカス速度。

ブリージング

最短撮影距離が長いということもあるのか、ズーム全域でフォーカスブリージングは良く抑えられています。

精度

Z 7との組み合わせてAFの精度は良好です。ピント位置の再現性も良く、特に大きな問題はありません。ただし、接写時は広角側の周辺部がかなり甘くなるので、結果としてAFの精度が低下する可能性はあります。

MF

ステッピングモーター駆動のMFは段階的な動作が目立たず、とても滑らかに動きます。レスポンスはフォーカスリングの回転速度に応じて移動速度が変化。素早く回転すると約90度でピント全域を移動可能。ゆっくり回転すると360度以上のストロークで、高精度のMFができます。望遠側にズームすると全体的にストロークが長くなり、ピント全域を移動するのに素早く回転しても360度程度の操作が必要となります。

まとめ

なんてことは無い70-300mm望遠ズームレンズですが、ニコンZマウントでは初となる70-300mmであり、そして社外製レンズ初のZマウントズームレンズ。ニコン純正レンズとの違いはあるものの、違和感はほとんど無く、小型軽量で使い勝手の良いレンズに仕上がっています。今のところ、携帯性の高い望遠ズームレンズとして貴重な選択肢。

リバースエンジニアリングだったFマウントのタムロンレンズと比べると、動作は安定しており特にこれと言って不満はありません。オートフォーカスは思っていたよりも良好で、純正Zマウントレンズと遜色のない使い勝手で利用できます。Eマウント用レンズと比べてUSB-Cポートが追加されているものの、最新レンズのように豊富なコントロールやカスタマイズに対応していないのは少し残念。

購入早見表

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作例

オリジナルデータはFlickrにて公開

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