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AF-S NIKKOR 50mm f/1.8G + Z 8 レンズレビューVol.1 外観・操作・AF編

ニコン「AF-S NIKKOR 50mm f/1.8G」のレビュー第一弾を公開。低価格のレンズとしては十分な質感の外装、若干のバックラッシュがあるフォーカスリング、適度なAFやフィルター操作が容易なデザインなど外観やAFについてレビューしています。

AF-S NIKKOR 50mm f/1.8Gのレビュー一覧

まえがき

2011年に発売したニコンFマウント用の交換レンズ「AF-S NIKKOR 50mm f/1.8G」をベースとして、アルミ製のシルバーのリングやマニュアルフォーカスレンズのラバーローレットを再現したフォーカスリングを採用。Dfと相性の良い外観となっています。

  • 発売日 通常版:2011年6月2日
  • 発売日 SE版:2013年11月28日
  • 初値:¥21,599
  • 公式ウェブサイト
  • 公式ウェブサイト SE版
  • データベース
  • マウント:Nikon F
  • フォーマット:フルサイズ
  • 焦点距離:50mm
  • レンズ構成:6群7枚
  • 開放絞り:F1.8
  • 最小絞り:F16
  • 絞り羽根:7枚
  • 最短撮影距離:0.45m
  • 最大撮影倍率:0.15倍
  • フィルター径:58mm
  • 手ぶれ補正:-
  • テレコン:-
  • コーティング:SIC
  • サイズ:72×52.5mm
  • 重量:185g
  • 防塵防滴:-
  • AF:SWM
  • その他:-
  • 付属品:キャップ・レンズフード

ダブルガウス発展型の6群7枚のレンズ構成に1枚の非球面レンズを採用。キヤノンの「EF50mm F1.8 STM」よりも大きく重く、少し複雑な光学設計となっています。非球面レンズを使用した現代的な光学性能を期待できる一方、最短撮影距離はキヤノンの「0.35m」よりも長い「0.45m」で、当然ながら撮影倍率は低め。MTFを確認してみると、非点収差はよく抑えられているように見えますが、フレーム隅のほうで大きく崩れていることが分かります。比較してミラーレス世代の廉価レンズ「NIKKOR Z 40mm f/2」は隅まで安定感のある描写を維持している模様。

価格のチェック

発売当時は2万円ちょっとでしたが、物価の変動や世界情勢なども影響して現在は3万円前後。SE版は既に生産完了品となっており、新品の在庫を見つけるのは難しくなっています。中古であれば2~3万円で流通しています。

外観・操作性

箱・付属品

ニコンFマウントらしいデザインの箱にレンズの焦点距離が大きくプリントされています。個人的にはZマウントのブラックを基調としたデザインよりも好み。現在はプラスチック包装をできるだけ省略した梱包となっていますが、Fマウント時代のレンズはプラスチック製のカバーに覆われた状態で収納されています。レンズ本体のほかにレンズフードとポーチ、説明書が付属。レンズフードすら付属していないキヤノンEF50mm F1.8 STMと比べると十分なアクセサリと言えるでしょう。

外観

外装は全体的にプラスチックパーツを採用。プラスチックと言っても剛性は十分にあり、光沢を消したマットな塗装で質感は良好。また、金属製のシルバーリングが程よいアクセントとなっています。シルバーリングには被写界深度が示されていますが、実用的とは思えません。

製造国は中国。シリアルナンバーを含めて外装にプリントされています。

ハンズオン

185gとキヤノンよりも重いものの、驚くほどの重量差ではありません。50mm F1.8としては適度な重量であり、大部分のズームレンズよりも軽量。一日中の撮影で苦になる可能性は低い。

前玉・後玉

前玉は外装の内部に隠れており、フォーカシングで前後したとしても外装からはみ出して伸びることはありません。前方の58mmフィルターを装着すると、インナーフォーカスのような状態で使うことが出来ます。

C-PLや可変NDなど、操作が必要となるフィルター装着時でも、外装に固定するので扱いやすい。競合のキヤノンレンズEF50mm F1.8 STMは伸びる内筒にフィルターを装着するので操作性が悪いのです。

最短撮影距離付近では前玉が前方へ移動。この際はフィルターと前玉の間隔が短くなるため、不要光の反射が写りこむ可能性が高くなるかもしれません。このあたりは逆光耐性のレビュー時に確認予定。

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金属製マウントは4本ビスで本体に固定されています。AFはレンズ内SWM駆動のため、Dタイプのような(ボディ側モーター駆動を受ける)スクリューカップリングは無し。ただし、Eタイプと異なり絞りはメカ式となっています。

フォーカスリング

ゴム製のフォーカスリングを搭載。緩すぎず適度な抵抗で回転しますが、ミラーレス用の電子制御リングと比べるとざらついた感触の操作性です。心地よい操作とは言えませんが、接写時でも微調整は可能。操作方向を切り替える際にわずかなバックラッシュがあるので、切替し操作が多いと不快と感じるかもしれません。

鏡筒にはピント距離と被写界深度の指標あり。被写界深度は実用的とは言えませんが、F16まで絞ってパンフォーカスで撮影する際に使うことが出来ます。また、キヤノンで言うところのフルタイムマニュアルに対応。

スイッチ

側面にはフォーカスモードスイッチを搭載。アダプター経由で使用する場合もスイッチ操作が有効です(カメラ側での切替も可能)。

装着例

FTZアダプター経由でミラーレスのZ fに装着。正直に言うと、Z f・FTZ・レンズの外装デザインがちぐはぐで違和感を覚えます。せめてFTZがもう少しZ fよりのデザイン・質感だとバランスが良かったかもしれません。デザイン重視であれば、迷わずZマウントのSEモデルを買うべきでしょう。

ちなみにMonster AdapterのLA-FE2アダプター経由でソニーカメラにも装着可能。AFと絞りが動作し、レンズ情報も記録可能となっています。

AF・MF

フォーカススピード

Z 8にFTZ経由で装着してテスト。最短撮影距離付近から無限遠まで程よい速度で移動します。リニアモーター駆動で動作する最新レンズと比べると物足りなさを感じますが、ストレスが溜まるほど低速ではありません。素早く動く被写体を近距離で撮影する際は力不足と感じる可能性あり。

ブリージング

ブリージングとはピント位置によって画角が変化することを指します。画角の変化が大きいと、フォーカシングで画角が広がったり狭くなったりするので気が散ったり、AFが不安定化する原因となります。出来ればフォーカシングブリージングは無い方が良い。今回はブリージングの影響を確認するために、レンズを最小絞りまで絞り、最短撮影距離・無限遠で撮影した結果が以下の通り。

スライドショーには JavaScript が必要です。

繰り出し式フォーカスと言うこともあり、最短撮影距離が長いわりには画角が大きく変化します。実写でこれが問題となるシーンは限られてくると思いますが、低照度でコントラストAFが動作するようなシーンではピントを合わせにくくなるかもしれません(特に周辺部)。

精度

Z 8装着時は中央・隅どちらでも良好な精度で再現性の高いフォーカスが可能でした。ただし、低照度・低コントラスト時に隅でピント合わせをしようとすると合焦に失敗することがあります。

MF

前述したとおり、快適とは言えませんが微調整は可能。ただし、バックラッシュがあるので回転方向を切り替える時に反応がワンテンポ遅れます。これが個体差なのか、レンズの問題なのかは不明。

まとめ

低価格の50mm単焦点、いわゆる「撒き餌レンズ」としては十分良好な質感とAFに仕上がっています。販売価格はキヤノンよりも高めですが、外装の質感やフードやポーチの付属、フード無しでも鏡筒が伸びないなど、長所が多い。外装にフィルターを装着するため、C-PLや可変NDなどを操作しやすいのもGood。 光学性能についてはテスト中ですが、古い設計で低価格の50mm F1.8としては良くまとまっています。F1.8から完璧とは言えないものの、解像性能・ボケ・色収差などのバランスが良い。目の肥えた人でも妥協点が少なく、日常的に使うことができるレンズなのかなと。個人的にはキヤノンの50mm F1.8よりも好み。EF50mm F1.8 STMはF2.4まで絞って使うことが多かったものの、このレンズはF1.8から気兼ねなく使える印象。周辺部のボケが少し目に付く場合もF2-2.2まで絞るとほぼ改善します。Z 40mm F2と比べてどうか?
ミラーレスで使うなら40mm F2で良いと思います。FTZを経由する必要がなく、小型軽量で収納性や携帯性は遥かに良好。レンズマウントはプラスチック製ですが、AFはステッピングモーター駆動で静か・滑らかな動作。少なくとも遠景は50mm F1.8Gよりも周辺部が僅かに安定しています。
ただし、接写時は球面収差の変動が大きく、50mm F1.8Gよりも滲みやすいので注意が必要。それが強みとも言えますが。

購入早見表

作例

オリジナルデータはFlickrにて公開

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