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FE 100-400mm F5.6-8 OSS レンズレビューVol.4 諸収差編

ソニー「FE 100-400mm F5.6-8 OSS」のレビュー第四回 諸収差編を公開しました。

簡易的なまとめ

完璧とは言えないものの、全体的にまずまず良好に補正されています。球面収差と軸上色収差が僅かに残っているため、絞り開放でピント面がぼやっとする場合は少し絞ると改善する可能性あり。

注意すべき点があるとすれば、今回は未実施の像面湾曲くらいでしょうか。近距離で平面的な被写体を撮影する際に、中央から隅までピントが合わない可能性があります。とはいえ、100-400mmレンズでそのようなシーンはほとんど無く、特に心配する必要はありません。

Whilst not quite perfect, the correction is generally quite good. As there is still a slight amount of spherical aberration and axial chromatic aberration, if the focal plane appears slightly blurred at maximum aperture, stopping down slightly may improve the result.
If there is one point to note, it would be field curvature—which was not tested on this occasion. When photographing flat subjects at close range, there is a possibility that the image may not be in focus from the centre to the corners. That said, such scenes are rare with a 100–400mm lens, so there is no particular cause for concern.

*当ブログのレビューは冒頭に断りが無い限り、自費購入です。

FE 100-400mm F5.6-8 OSSのレビュー一覧

倍率色収差

倍率色収差とは?

倍率色収差とは、レンズが光の色によって異なる倍率で像を結んでしまう現象。その結果、画像の色ごとの大きさがわずかに異なり、被写体の輪郭部分に色のずれが発生。

軸上色収差がピント位置の前後で起こるのに対し、倍率色収差は主に画面周辺で目立つ。例えば、建物の輪郭や電線、木の枝などの境界部分に、赤や紫、青、緑などの色の縁取りなど。画面中央ではほとんど見えないものの、周辺へ行くほど目立ちやすくなるのが特徴。

倍率色収差は絞りを変えてもほとんど改善しないため、レンズ設計による補正が重要。一方で、軸上色収差と異なり、デジタル補正との相性が良く、多くのミラーレスカメラや現像ソフトでは自動補正容易。そのため実際の撮影では大きな問題になりにくい場合も多い。

ただし、高解像モデルで風景や建築物を撮影する際には解像感の低下につながる可能性あり。レンズレビューで「倍率色収差が良好に補正されている」と評価される場合、画面周辺でも色の縁取りが少なく、被写体の輪郭をより正確かつシャープに描写できることを意味しています。

参考:ニコン 収差とは

100mm

色収差の影響は軽微で無視できる程度。さらに自動補正により綺麗に修正することができます。

200mm

100mmと同じく良好な補正状態。

400mm

100mmやズーム中間域と比べると色収差が少し強め。ただし軽微な問題に違いは無く、簡単に修正することができます。

軸上色収差

軸上色収差とは?

軸上色収差とは、レンズが光の色ごとに異なる位置へピントを結んでしまう現象。光には赤や緑、青などさまざまな色が含まれており、レンズを通ると色によって曲がり方がわずかに異なる。そのため、ある色にピントが合っていても別の色は前後にずれ、画像に色のにじみが発生。

軸上色収差は主にピント面の前後に現れ、ピントより手前では紫色やマゼンタ色、奥側では緑色のにじみとして見えることが多い。特に開放F値の明るいレンズや望遠レンズで目立ちやすく、金属の反射部分や白い文字、逆光の被写体など高コントラストな場面で確認しやすい。

また、画面中央でも周辺でも発生するため、絞りを開けた状態では画面全体の解像感やコントラストを低下させる原因となる。一般的にはレンズを1~2段ほど絞ると大幅に改善。近年の高性能レンズでは特殊低分散ガラスなどを使用して補正されているものの、完全にゼロにすることは難しい。レンズレビューで「軸上色収差が少ない」と評価される場合は、ピント面前後の色にじみが少なく、よりシャープな描写が期待できるという意味。

参考:ニコン 収差とは

100mm

絞り開放でピント面前後に若干の色収差が発生します。極端な環境では軽微な色づきが発生する可能性あり。F8.0まで絞るとほぼ解消します。

200mm

100mmと同程度。F8まで絞っても大きく改善しません。

400mm

100mmやズーム中間域より目立ちません。良好な補正状態です。

歪曲収差

歪曲収差とは?

歪曲収差とは、被写体の形そのものが変形して写る現象。レンズの解像力やピントとは別の問題で、直線であるはずのものが曲がって記録されるのが特徴。

代表的なものは「樽型歪曲」と「糸巻き型歪曲」。樽型歪曲では画面中央から外側へ向かって線が膨らみ、建物の壁や地平線が外側へふくらんで見える。一方、糸巻き型歪曲では線が内側へ引っ張られたように曲がる。また、ズームレンズでは広角側で樽型、望遠側で糸巻き型になることも多い。

歪曲収差は特に建築物や室内、風景写真など、直線が多い被写体で目立ちやすい。人物撮影では気付きにくい場合もありますが、画面周辺に人物を配置すると体形や顔の形がわずかに変形して見える可能性あり。

他の収差と異なり、歪曲収差は画面のシャープネスや色にじみにはほとんど影響しません。そのため、近年のミラーレスカメラや現像ソフトではデジタル補正が広く利用されており、多くのレンズで自動的に補正されています。

レンズレビューで「歪曲収差が少ない」と評価される場合は、建物や水平線などの直線を自然な形で再現できることを意味しています。一方、歪曲収差をソフトウェア補正する前提で設計されたレンズも多く、実写では大きな問題にならない場合も少なくない。

参考:ニコン 収差とは

100mm

未補正で極わずかな樽型、補正適用で歪曲収差は知覚できないレベルとなります。

200mm

未補正で全く問題ありません。

400mm

未補正と補正の違いが分からない程度。

コマ収差

コマ収差・非点収差とは?

コマ収差とは、画面周辺の点光源が彗星(Comet)のように尾を引いた形に変形して写る現象。名称の「コマ」は英語の Coma(彗星)に由来。

本来、星や街灯のような点光源は丸い点として写るべきところ、コマ収差が大きいレンズでは画面周辺で三角形や鳥が羽を広げたような形に崩れる。特に画面の隅に近づくほど目立ちやすい。

コマ収差は星景写真や夜景撮影で重要な性能項目。例えば、画面中央の星はきれいな点に写っていても、四隅の星が流れたような形に。昼間の撮影では気付きにくいものの、夜間の点光源では容易に確認可能。

一般的にはレンズを少し絞ることで改善。レンズレビューで「コマ収差が良好に補正されている」と評価される場合、画面周辺の星や街灯も点に近い形で再現できることを意味しています。

参考:ニコン 収差とは

実写で確認

ズーム全域でフレーム隅に軽微な影響。1段絞るとほぼ解消します。

球面収差

球面収差とは

球面収差とは、レンズの中心を通る光と周辺を通る光が異なる位置でピントを結んでしまう収差。その結果、ピントが合っているはずの部分でも像がわずかににじみ、シャープさやコントラストが低下。

理想的なレンズでは、すべての光が同じ位置に収束。しかし実際のレンズは、中心付近を通る光と周辺部を通る光の集まり方が異なるため、一点に完全には集まりません。

球面収差が大きいレンズでは、開放F値で撮影した際に全体が少し柔らかく見えたり、光がにじんだような描写。特にポートレート用レンズでは、この特性を活かして肌をなめらかに見せる場合もあります。一方、風景や建築写真では解像感の低下につながるため、できるだけ少ないことが望ましい。

球面収差は前ボケと後ボケの見え方にも大きく影響。球面収差の補正状態によってボケの柔らかさや輪郭の強さが変化するため、レンズごとの描写の個性を生む要素の一つ。

一般的にはレンズを絞ることで周辺光線が制限され、球面収差は大幅に改善。レンズレビューで「球面収差がよく補正されている」と評価される場合は、開放F値から高い解像感とコントラストを得やすいことを意味します。一方で、あえて球面収差を少し残すことで、柔らかく自然なボケ描写を実現しているレンズも存在。

100mm

完璧な補正状態ではなく、軽微な残存収差があるように見えます。絞り開放で僅かな滲みを感じる場合、1段絞って見比べると良いかもしれません。

400mm

100mmよりも顕著な残存収差があります。ボケの観点から言えば、滑らかな後ボケに良く作用する残り方。ピント面が少し滲むような場合は1段絞ったほうが良いかもしれません。

まとめ

完璧とは言えないものの、全体的にまずまず良好に補正されています。球面収差と軸上色収差が僅かに残っているため、絞り開放でピント面がぼやっとする場合は少し絞ると改善する可能性あり。

注意すべき点があるとすれば、今回は未実施の像面湾曲くらいでしょうか。近距離で平面的な被写体を撮影する際に、中央から隅までピントが合わない可能性があります。とはいえ、100-400mmレンズでそのようなシーンはほとんど無く、特に心配する必要はありません。

作例

オリジナルデータはFlickrにて公開

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