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FE 70-200mm F4 MACRO G OSS II レンズレビューVol.1 外観・操作・AF 編

ソニー「FE 70-200mm F4 MACRO G OSS II」のレビュー第一弾を公開。今回はレンズの外観や操作性、カメラに装着してAF/MFの使いやすさなどを確認しています。

FE 70-200mm F4 MACRO G OSS IIのレビュー一覧

まえがき

2023年7月に発売された第二世代のF4 望遠ズームレンズ。全く新しい光学設計と伸びるズーム構造を採用することで、従来の「FE 70-200mm F4 G OSS」よりも短い縮長を実現。収納性が良くなり、スリングバッグなど小さなカメラバッグで携帯しやすくなっています。小型軽量化と同時に、前モデルの欠点であった最短撮影距離と最大撮影倍率も改善。ズーム全域で0.5倍の撮影倍率と大幅に進化しています。単に接写できるのみならず、フローティング構造で近接時も高い光学性能を維持しているのが特徴。

さらにXDリニアモーターによりズーム全域で静止画のAF速度が最大20%高速化。フォーカスブリージングを抑えた設計。テレコンバージョンレンズ対応により最大400mmまで拡張可能。2.0X装着時は「140-400mm F8」でズーム全域1.0倍の等倍マクロに対応できるのだから驚異的。

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  • 仕様表
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  • 発売日:2023年7月28日
  • 初値:224,730円
  • フォーマット:フルサイズ
  • マウント:E
  • 焦点距離:70-200mm
  • 絞り値:F4-F22
  • 絞り羽根:9枚
  • レンズ構成:13群19枚
  • 最短撮影距離:0.26(W)-0.42(T)
  • 最大撮影倍率:0.5倍
  • フィルター径:72mm
  • サイズ:φ82×149mm
  • 重量:794g
  • 防塵防滴:対応
  • AF:XDリニア
  • 手ぶれ補正:搭載
  • コーティング:
    ・フッ素コーティング
  • その他機能:
    ・テレコンバージョンレンズ対応
    ・フルタイムDMF
    ・ズームロックスイッチ

価格のチェック

売り出し価格は224,730円。高性能・高機能化した第二世代のF4望遠ズームレンズですが、付加価値が加わったぶん価格も大幅に上昇しています。2023年7月現在、キヤノン「RF70-200mm F4 L IS USM」を抜いて最も高価なF4 望遠ズームレンズと言えるでしょう。

外観・操作性

箱・付属品

従来通りインターナショナルオレンジを基調としたソニーαシリーズらしいデザイン。表面にはレンズ名や付属品などが表示されていますが、意匠は最小限でシンプル。


従来からの変更点として、環境配慮と省資源化を意識した内装を採用しています。紙製の包装が若干臭いものの、環境負荷低減の取り組みを評価。

レンズ本体の他、レンズフード、前後キャップ、三脚リング、説明書と保証書が付属。G Masterシリーズのようなレンズケースはありません。

外観

ざっと触った質感は全体的にプラスチッキーですが、素材の詳細は不明。表面はオフホワイトのマットな塗装で指紋が付きにくい。しかし塗装が傷つきやすく、塗装が剥げた部分が目立ちやすいのは残念。購入初日の半日でフード・本体どちらも部分的にスレが発生しました。

パッと見はキヤノンのような白レンズですが、ソニーは少し乳白色寄り。シリアルナンバーやCEマークなどのロゴはシールではなく表面にプリントされています。ちなみに製造国は中国。

伸びるズーム構造を採用しており、200mmで最大5.5cmほど伸びます。おそらくプラスチック製、伸ばした際のガタツキはありません。

ハンズオン

従来のF4ズームと比べると小型軽量…とは言うものの、手に取った印象としては前モデルとそれほど変わりません。実際には2.6cm短く、46g軽量ですが、キヤノン「RF70-200mm F4 L IS USM」を触った後だと(小型軽量の意味では)感動が薄い。

前玉・後玉

フィルター径は従来通り72mmに対応。前モデルでは対応していなかったフッ素コーティングを採用しているのでメンテナンス性が向上。とは言え、前玉に汚れやダメージが想定される場合はプロテクトフィルターを装着したほうが良いでしょう。

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レンズマウントは金属製で、4本のビスで固定されています。周囲には防塵防滴用のシーリングあり。

マウント付近はテレコンバージョンレンズを装着できるように空けられています。周辺は反射を抑えるために黒塗りされ、特に光を反射するようなパーツはありません。

フォーカスリング

幅2cmのゴム製フォーカスリングを搭載。フォーカス操作時のストロークは0.5倍~∞で180度あり、焦点距離全域で一貫しています。リニアレスポンスで動作するため、再現性の高い操作が可能。リングは滑らかに回転しますが、個人的な好みよりもかなり緩め。180度のストロークがあるものの、無限遠側の微調整は緩々なリングを操作するため少し難しい。

ズームリング

2.5cm幅のゴム製ズームリングを搭載。70mmから200mmまで90度未満の回転角で操作可能。フォーカスリングと比べると遥かに重く、135mmあたりから200mmにかけてトルクが少し強くなります。悪くない操作性ですが、インナーズームと比べるとやや見劣りする可能性あり。

ズームリングは70mmでのみロック可能。

スイッチ

上から順に「AF/MF切り替え」「フルタイムDMF」「フォーカスリミッター」「OSS」「OSSモード」を操作する五種類のスイッチを搭載。フルタイムDMF機能により、AF前でもMFによるフォーカス操作が可能となっています。誤操作を嫌う場合はオフにしておくと良いでしょう。フォーカスリミッターは3系統の操作が可能で、F4 望遠ズームながらマクロ域のリミッターを備えているのが特徴的。3系統のスイッチは中央にセットし辛いと思いきや、程よいトルクで誤操作する可能性が低い。

AFLボタン

従来通り3か所にAFLボタンを配置。操作性は従来通りと思いきや、少しカメラ側に寄ったためか操作しやすい印象あり。

レンズフード

プラスチック製の花形レンズフード。前モデルのように垂直に立てた際に安定する円筒型のフードが良かったです。また、本体と同じくオフホワイトの塗装で、スレに弱いのが悩ましいところ。フードの内側に反射防止用のフェルト生地は張り付けられていませんが、光の反射を抑えたマットブラックの塗装が施されています。フードは逆さ付けに対応。

三脚リング

レンズには脱着可能な三脚リングが付属。リングの内側には摩擦抵抗と傷防止の意図があると思われるフェルト生地が張り付けられています。固定用のノブが緩んでもリングが脱落しない設計。ただし、三脚リングの中ではノブが緩みやすい印象あり。

三脚座はアルカスイス互換ではありません。サードパーティ製の三脚リング・三脚座アクセサリーが必要です。

三脚座の固定は1/4ネジ穴とダボ用穴の二つ。3/8の大型ネジには対応していません。

カメラ装着時の重心はカメラ寄り。

F-Foto レンズプレート

F-Fotoより本レンズの対応レンズプレートを提供していただきました。
専用設計ではなく、あくまでも「対応品」であり、レンズ三脚座の底面からはみ出る形状。ただし、ビデオボスと1/4ネジに対応しているのでプレートの回転ズレを防ぐことが可能。

装着例

α7R Vに装着。フロントヘビーとならず、手持ち撮影でも快適に使用可能。カメラグリップとレンズの間はやや狭く、素手で握った状態でギリギリ。厚手のグローブを装着すると窮屈と感じるかもしれません。また、三脚リングをグリップ側へ回転すると干渉しやすい。

 

AF・MF

フォーカススピード

レンズはフローティング方式で2つのユニットをそれぞれ2基のXDリニアモーターで駆動。ソニー曰く、最大で20%の高速化を実現しているとのこと。

実際に動作を確認してみたところ。確かに高速AFを実現しているように見えます。特にAF-C時の無限遠→近距離への動作がXDリニアモーターらしい超高速。ただ、マクロ域に近いとAF性能は少し低下します。

ブリージング

ブリージングとはピント位置によって画角が変化することを指します。画角の変化が大きいと、フォーカシングで画角が広がったり狭くなったりするので気が散ったり、AFが不安定化する原因となります。出来ればフォーカシングブリージングは無い方が良い。

ズーム全域で0.5倍の高い接写性能を備えているレンズですが、全体的にフォーカスブリージングはよく抑えられています。

精度

α7R Vとの組み合わせで特に問題ありません。

MF

前述したように、リニアレスポンスのフォーカスリングで操作します。フォーカスリングが緩々のため、上質な体験とは感じません。

まとめ

高価なレンズとしては剥げ易い塗装や花形レンズフードがマイナスポイント。カメラバッグから取り出す際、バッグの金属パーツに触れると簡単に傷つきます。また、特に小型でもない花形フードや、キヤノンほどコンパクトでないレンズサイズ、緩々のフォーカスリングも惜しい。外装だけで言えば、高価な値付けを正当化できるほどのクオリティではないように感じます。もう少しお金を積むと「FE 70-200mm F2.8 GM OSS」を買えてしまうと考えると、さらに悩ましいところ。

幸いにも光学性能はとても良好で、ズーム全域0.5倍の撮影倍率も重宝します。XDリニアモーターによるAF性能も良好。実用面では大いに満足のいく性能に仕上がっています。(後日レビュー予定)

購入早見表

作例

オリジナルデータはFlickrにて公開

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