OMデジタル「M.ZUIKO DIGITAL ED 90mm F3.5 Macro IS PRO」のレビュー第五弾を公開。今回は色収差や歪曲収差など各収差を恒例のテスト環境でチェックしています。
90mm F3.5 Macro IS PROのレビュー一覧
- M.ZUIKO DIGITAL ED 90mm F3.5 Macro IS PRO レンズレビュー 完全版
- OM SYSTEM ED 90mm F3.5 Macro IS PROレンズレビュー Vol.7 マクロ編
- OM SYSTEM ED 90mm F3.5 Macro IS PROレンズレビュー Vol.6 周辺減光・逆光編
- OM SYSTEM ED 90mm F3.5 Macro IS PROレンズレビュー Vol.5 諸収差編
- OM SYSTEM ED 90mm F3.5 Macro IS PROレンズレビュー Vol.4 ボケ編
- OM SYSTEM ED 90mm F3.5 Macro IS PROレンズレビュー Vol.3 遠景解像編
- OM SYSTEM ED 90mm F3.5 Macro IS PROレンズレビュー Vol.2 外観・操作・AF編
- OM SYSTEM ED 90mm F3.5 Macro IS PROレンズレビュー Vol.1 解像チャート編
Index
像面湾曲
像面湾曲とは?
中央から四隅かけて、ピントが合う撮影距離が異なることを指す。例えば、1mの撮影距離において、中央にピントが合っていたとしてもフレームの端では1mの前後に移動している場合に像面湾曲の影響が考えられる。
最近のレンズで目立つ像面湾曲を残したレンズは少ないものの、近距離では収差が増大して目立つ場合もある。ただし、近距離でフラットな被写体を撮影する機会は少ないと思われ、像面湾曲が残っていたとしても心配する必要は無い。
無限遠でも影響が見られる場合は注意が必要。風景など、パンフォーカスを狙いたい場合に、意図せずピンボケが発生してしまう可能性あり。この収差は改善する方法が無いため、F値を大きくして被写界深度を広げるしか問題の回避手段がない。
実写で確認
中央・フレーム端それぞれにピントを合わせて撮影したところ、結果に大きな違いはありませんでした。像面湾曲は良好に補正されているようです。
倍率色収差
倍率色収差とは?
主にフレームの周辺部から隅に現れる色ずれ。軸上色収差と異なり、絞りによる改善効果が小さいので、光学設計の段階で補正する必要があります。ただし、カメラ本体に内蔵された画像処理エンジンを使用して、色収差をデジタル補正することが可能。これにより、光学的な補正だけでは難しい色収差の補正が可能で、最近では色収差補正の優先度を下げ、他の収差を重点的に補正するレンズも登場しています。特にミラーレスシステムでは後処理に依存する傾向あり。
実写で確認
ゼロではないものの、良好な補正状態。これと言って問題はありません。
軸上色収差
軸上色収差とは?
軸上色収差とはピント面の前後に発生する色ずれ。ピントの手前側は主にパープルフリンジとして、ピントの奥側でボケにグリーンの不自然な色付きがあれば、その主な原因が軸上色収差と考えられます。F1.4やF1.8のような大口径レンズで発生しやすく、そのような場合は絞りを閉じて改善する必要があります。現像ソフトによる補正は可能ですが、倍率色収差と比べると処理が難しく、できれば光学的に収差を抑えておきたいところ。ただし、大口径レンズで軸上色収差を抑える場合は製品価格が高くなる傾向があります。軸上色収差を完璧に補正しているレンズは絞り開放からピント面のコントラストが高く、パンチのある解像感を期待できます。
実写で確認
遠側の微ボケで目につく場合もありますが、接写、近距離における軸上色収差は良好に補正されています。
歪曲収差
歪曲収差とは?
歪曲収差とは、平面上で直線的に写るはずが直線とならずに歪んでしまうこと。特に直線が多い人工物や水平線が見えるような場合に目立ちやすく、魚眼効果のような「樽型歪曲」と中央がしぼんで見えてしまう「糸巻き型歪曲」に分かれています。
比較的補正が簡単な収差ですが、「陣笠状」など特殊な歪みかたをする歪曲は手動での補正が難しい。この場合はレンズに合わせた補正用プロファイルが必要となります。
実写で確認
目視では知覚できないくらいには良く補正されています、
球面収差
前後ともにアウトラインがやや目立つものの、質感に差はありません。良好な補正状態と言えるでしょう。
コマ収差
コマ収差・非点収差とは?
コマ収差・非点収差とは主にフレーム四隅で点像が点像として写らないこと。例えば、夜景の人工灯や星、イルミネーションなど。日中でも木漏れ日など、明るい点光源で影響を受ける場合あり。この問題は後処理が出来ないため、光学的に補正する必要あり。
絞ることで改善するものの、夜景や天体撮影など、シャッタースピードが重要となる状況では絞ることが出来ず、光学的な補正が重要となる場合もあります。
実写で確認
望遠レンズらしく、隅まで良好な点像を維持しています。絞りによる大きな変化は無し。
まとめ
全体的に収差は良好に補正されています。マクロレンズらしくフレーム周辺部まで一貫性のある、安定したパフォーマンスです。収差が厄介と感じるシーンは少ない。
敢えて指摘するのであれば、縁取り強めの微ボケに残存する色収差が発生。これが「騒がしいボケ」の原因となる可能性あり。たいていの場合はボケが小さく目立ちません。また、テレコンバージョンレンズ装着時は軸上色収差のみ影響が強くなります。
歪曲収差は良好に補正され、JPEGでもRAWでも歪みを認識することはないでしょう。今回は作例を用意していませんが、テレコンバージョンレンズ装着時は糸巻き型に僅かな変形が見られます。
購入早見表
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