OMデジタル「M.ZUIKO DIGITAL ED 90mm F3.5 Macro IS PRO」のレビュー第四弾を公開。今回は前後のボケ質差や玉ボケの形状と絞り羽根の影響、撮影距離を変化した場合のボケ質などをチェックしています。
90mm F3.5 Macro IS PROのレビュー一覧
- M.ZUIKO DIGITAL ED 90mm F3.5 Macro IS PRO レンズレビュー 完全版
- OM SYSTEM ED 90mm F3.5 Macro IS PROレンズレビュー Vol.7 マクロ編
- OM SYSTEM ED 90mm F3.5 Macro IS PROレンズレビュー Vol.6 周辺減光・逆光編
- OM SYSTEM ED 90mm F3.5 Macro IS PROレンズレビュー Vol.5 諸収差編
- OM SYSTEM ED 90mm F3.5 Macro IS PROレンズレビュー Vol.4 ボケ編
- OM SYSTEM ED 90mm F3.5 Macro IS PROレンズレビュー Vol.3 遠景解像編
- OM SYSTEM ED 90mm F3.5 Macro IS PROレンズレビュー Vol.2 外観・操作・AF編
- OM SYSTEM ED 90mm F3.5 Macro IS PROレンズレビュー Vol.1 解像チャート編
Index
前後ボケ
綺麗なボケ・騒がしいボケとは?
ボケの評価は主観的となりがちですが、個人的には「滲むように柔らかくボケる」描写が綺麗と評価し、逆に「急にボケ始めたり、ボケの輪郭が硬い」描写は好ましくない(もしくは個性的な描写)と定義しています。ただし、感じ方は人それぞれなので、ひょっとしたら逆のほうが好ましいという人もいることでしょう。参考までに「滲むボケ」「輪郭の硬いボケ」のサンプルが以下のとおり。
描写傾向の違いは主に球面収差の補正状態によるもの、前後どちらかのボケが柔らかい場合はもう片方のボケが硬くなる傾向があります。
実写で確認
前後にボケ質の大きな違いはありませんが、わずかに後ボケの色収差による影響が目立つように見えます。実写でもボケが色づくと感じる機会があるので、これは少し残念なポイント。ボケの色づき以外では、縁取りが少し硬いことを除けば特に問題ないように見えます。
玉ボケ
口径食・球面収差の影響
口径食が強いと、フレーム四隅のボケが楕円状に変形したり、部分的に欠けてしまいます。この問題を解消するには絞りを閉じるしか方法がありません。しかし、絞るとボケが小さくなったり、絞り羽根の形状が見えてしまう場合もあるので状況に応じて口径食を妥協する必要あり。
口径食の影響が少ないと、絞り開放から四隅まで円形に近いボケを得ることが可能。できれば口径食の小さいレンズが好ましいものの、解消するには根本的にレンズサイズを大きくする必要があります。携帯性やコストとのバランスを取る必要があり、どこかで妥協が必要。
球面収差の補正が完璧では無い場合、前後のボケ描写に差が発生します(前後ボケのレビューで示した通り)。この場合はどちらかが滲みを伴う滑らかな描写になり、反対側で2線ボケのような硬い描写となってしまいます。
実写で確認
非球面レンズを使用していないため、玉ボケの内側は滑らかで綺麗。ただし、ボケの縁取りが強めで極上の質感からは程遠い。中途半端なサイズのボケでは少し騒がしく見えるかもしれません。
また、開放F値がF3.5であるにも関わらず、口径食の影響が目立ちます。F5.6くらいまで絞るとほぼ解消し、この際は円形をよく維持しています。
ボケ実写
接写
玉ボケのアウトラインが少し気になる場合もありますが、焦点距離が長く、ボケも大きいので基本的に悪目立ちすることはありません。被写界深度の調整で多少絞っても良好な描写を維持。ただし、F11を超えた付近で背景が騒がしくなります。
近距離
やや硬めで口径食もありますが、ボケが大きく悪目立ちしません。色収差の影響も軽微。F5.6まで絞ると口径食の影響を回避できますが、コントラストの高い背景では騒がしさを少し感じます。
中距離
ボケがさらに小さくなる中距離では縁取りの硬さ、口径食、色収差の影響が目立ち始めます。悪くはありませんが、マクロレンズっぽさのある硬めの描写。絞っても描写に大きな変化はありませんが、被写体と背景の距離、絞り値(被写界深度)のバランス次第と言ったところ。
撮影距離
全高170cmの三脚を人物に見立て、F3.5の絞り開放で撮影した作例が以下の通りです。
フレームに全身を入れても背景から分離可能。ただし、この際の後ボケは縁取りが強く、場合によって色収差も発生するので、好ましい描写には見えません。膝上くらいまで近寄っても厳しく、上半身くらいまで近寄って許容範囲内と言ったところ。バストアップや顔のクローズアップまで近寄ったほうが良いかもしれません。
まとめ
良くも悪くもマクロレンズのボケ。
ボケの縁取りが強めで、全体的に硬調であるため、撮影距離によっては少し騒がしく見える可能性あり。特に撮影距離が長く、微ボケが写りこむ環境には注意が必要。一方で、マクロレンズらしく被写体に近寄ることで、ボケが大きくなり、レンズの粗が目立たなくなります。その際はシャープなピント面と大きなボケを得ることができ、被写体を前景や後景から上手く分離することができるでしょう。
注意すべきはポートレートや大型生物を引きで撮影する場合。この際は後景のボケが小さくなり、微ボケに色収差が乗りやすくなります。大きな被写体でもクローズアップ時は問題ありませんが、全身をフレームに入れたい場合は色収差が発生する可能性が高い。
もしも大型生物で綺麗な後ボケを得たい場合は「M.ZUIKO DIGITAL ED 75mm F1.8」がおススメです。(上の写真は75mm F1.8で撮影したもの)
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