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ニコン NIKKOR Z 26mm f/2.8 レンズレビューVol.2 外観・操作・AF編

ニコン「NIKKOR Z 26mm f/2.8」のレビュー第二弾を公開。今回はレンズの外観や操作性、カメラに装着してAF/MFの使いやすさなどを確認しています。

NIKKOR Z 26mm f/2.8のレビュー一覧

レンズのおさらい

2023年2月に発表された非常にコンパクトなフルサイズ用の広角単焦点レンズ。2021年に「Z 28mm F2.8」がリリースされたにも関わらず、似たような焦点距離・F値の単焦点が立て続けに投入されたことに驚いた人もいることでしょう。ただし、28mmよりも倍近い販売価格から分かるように、Z 28mm F2.8とはコンセプトが異なります。

概要
レンズの仕様
発売日 2023年3月3日 初値 65,340円
マウント Z 最短撮影距離 0.2m
フォーマット フルサイズ 最大撮影倍率 0.19倍
焦点距離 26mm フィルター径 52mm
レンズ構成 6群8枚 手ぶれ補正 -
開放絞り F2.8 テレコン -
最小絞り F16 コーティング SIC
絞り羽根 7枚
サイズ・重量など
サイズ φ70.0×23.5mm 防塵防滴 配慮設計
重量 125g AF STM
その他 繰り出し式フォーカス
付属品
レンズフード・キャップ

全長は28mmと比べて半分ほど。より広い画角であることを考慮すると驚きのコンパクトサイズ。ただし、インナーフォーカスの28mmと異なり、26mmは全群繰り出し式フォーカス、そしてカメラ起動時に鏡筒が少し伸びる沈胴構造)を採用しているので、レンズ全長に変化がある点に注意が必要です。

構成を見ると、28mm F2.8よりも使用する非球面レンズを増やし、6群8枚と少ないレンズ枚数を実現。小型化のためにコストをかけていることが分かります。光学性能の両立にも力を注いでいたらしく、MTFを見る限りでは、特に中央やその周辺は28mmよりも優れた解像性能を備えている模様。隅に向かって落ち込みは顕著ですが、それでも非点収差はよく抑えているように見えます。

コンパクトながら防塵防滴に配慮した設計で、各所にシーリングが施されています。携帯性と耐候性を両立しているのは有難いですね。

価格のチェック

売り出し価格は6.5万円ほど。Z 28mm F2.8が3万円ちょっとで入手できることを考えると倍近い高値です。ただし、レンズの作りや小型化、光学性能などで区別化されているようです。この価格差が本当に価値のあるものなのかどうかは、今後のレビューで見ていきたいと思います。

NIKKOR Z 26mm f/2.8
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外観・操作性

箱・付属品

NIKKOR Zらしい、黒と黄色を基調としたデザインの箱です。2018年のZシステム始動時から変化はありません。

レンズ本体のほかに、レンズフードとかぶせ式キャップ、説明書・保証書が付属します。S-Lineのレンズと異なり、レンズポーチは付属していません。

外観

プラスチッキーなZ 28mm F2.8と異なり、このレンズは外装に金属パーツを多用。コンパクトながら質感はとても良好です。ただし、前面のレンズ周辺部はプラスチックパーツで構成。操作系はコントロールリングのみで、AF/MFスイッチなどはありません。レンズフードはバヨネットタイプで、本体にフィルターソケットは無し。

外装のデザインはシンプルで、「NIKKOR」のロゴ以外はほぼプリントです。

ハンズオン

ニコン自ら「パンケーキレンズ」と称しているだけあって、手のひらサイズのコンパクトなレンズです。重量も125gと軽く、APS-Cと組み合わせてもバランスが崩れることはありません。金属外装を採用しているため、手に取ると冷っとしつつも高級感のある感触が得られます。ただし、レンズフードがプラスチック製で、本体との質感にギャップがあり少し残念。

前玉・後玉

広角26mmのレンズとしては非常に小さな前玉です。これで開放F値が「F2.8」となっているのは驚き。バックフォーカスが短いミラーレス用レンズらしい設計と言ったところでしょうか。ちなみに、フォーカスは繰り出し式で、前玉付近の内筒が前方へ延びます。

前玉は小さすぎてメンテナンスが難しそう。フッ素コーティング処理が施されている記述は無いので、汚れの付着には注意したほうが良いかもしれません。

前玉とは打って変わって、最後尾は大きな非球面レンズ。レンズマウントのギリギリまで寄せているので、指などで触らないように気を付けたほうが良いでしょう。

レンズマウントは金属製で、4本のビスで固定されています。プラスチックマウントの28mmや40mmと比べてしっかりとした作り。周囲にはゴム製のシーリングを配置した防塵防滴仕様。シーリングの代わりにプラスチックパーツでマウントを覆うZ 28mmやZ 40mmとは異なるデザインです。

フォーカスリング

小さいながらも、しっかりとグリップできる(おそらく金属製の)コントロールリングを搭載。初期設定ではフォーカス操作が可能ですが、カメラ側の設定で絞りやISOの操作にも利用可能。程よい抵抗感と滑らかさで快適に操作することができます。これはレンズの強みになるのではないかなと。

フォーカス操作時のストロークは回転速度によって変化。ゆっくり回す場合はピント全域で約180度、素早く操作する場合は約90°で全域を移動可能。微調整と素早い操作に適したバランスの良いストロークで、フルマニュアルでも使えそうな印象あり。微調整時にピント位置がジャンプする傾向は目立たず、思いのほか滑らかに動作します。

レンズフード

プラスチック製のドーム型レンズフードが付属。本体と比べると質感は大幅に劣りますが、フォーカス時に内筒が伸びるため、これを保護する意味でもフードの常用がおススメ。

注意点として、フードは「NIKKOR」が真上に来るように装着しないとロックすることが出来ません。真上にこないような方向で装着することもできますが、ロック出来ないので簡単に脱落してしまいます。装着時の指標が無いのは厄介ですが、脱着を繰り返しているうちに慣れると思います。

全群繰り出し式フォーカスはフード内で完結するので、保護フィルターを装着することで、実質的にインナーフォーカスとなります。

前方には52mm径のフィルターソケットを備えています。前玉はフッ素コーティングに対応していないので、汚れの付着が予想されるシーンでは保護フィルターを装着したほうが良いでしょう。ただし、この場合にレンズフードが意味をなしていないのは残念。

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レンズキャップ

通常のつまみ式キャップは付属しておらず、レンズに被せるプラスチック製のキャップが付属。レンズフードと同じく、質感は本体と比べると劣る。内側には滑り止め用のフェルト生地が張り付けられており、適度な抵抗感で簡単に脱落しないようになっています。

本体に装着する場合はコントロールリングを覆うまで被せることが可能。レンズフード装着時、さらにほご フィルター装着時でもキャップを被せることが出来ます。

装着例

Z 7とZ 30に装着。Z 28mmよりもコンパクトで、ボディだけで撮り歩いているような感覚で携帯することが可能。カメラグリップ以上にレンズが突き出さないので、最小限のサイズで携帯性・収納性が高いのは間違いなく強みと感じます。

AF・MF

フォーカススピード

ステッピングモーター駆動の繰り出し式フォーカスを採用。ゆっくり動作するのだろうと思いきや、思いのほかキビキビと動作します。インナーフォーカスやマルチフォーカス駆動のレンズと比べると遅いものの、近距離で接近してくる被写体にも十分な追従速度を実現しています。ただし、それなり駆動音が発生するので動画撮影時や静粛性が求められる撮影シーンでは注意が必要。

ブリージング

ブリージングとはピント位置によって画角が変化することを指します。画角の変化が大きいと、フォーカシングで画角が広がったり狭くなったりするので気が散ったり、AFが不安定化する原因となります。出来ればフォーカシングブリージングは無い方が良い。今回はブリージングの影響を確認するために、レンズを最小絞りまで絞り、最短撮影距離・無限遠で撮影した結果が以下の通り。

ピント位置における画角の変化は非常に大きい。特に良く抑えられたレンズが多いNIKKOR Zシリーズとしてはかなり目立ちます。主に動画撮影で厄介な特性ですが、静止画でも周辺部にピントを合わせたい場合に気になる場合があります。

画角の変化はピント全域でリニアに変動する印象。このため、撮影距離が長い場合でも画角の変化が目立ちます。結果として、周辺部にピントを合わせたい場合に合焦失敗、ピントのズレなどが発生する可能性あり。中央や中央周辺でAFを動作させたほうが良いでしょう。

精度

前述したように、中央付近では問題ありませんが、周辺部や隅を使ったAFでは合焦に失敗する場合があります。

MF

「パンケーキ・繰り出し式フォーカス」で扱いづらいかと思いきや、滑らかな動作で細かい調整にも対応することが出来ます。

まとめ

コンパクトながら良くできたレンズです。高いだけはある。Z 28mmやZ 40mmとは一線を画すビルドクオリティで、フォーカスリングの操作性も良好。APS-Cと組み合わせても全く違和感がなく、扱いやすい約40mm相当の画角で利用することが出来ます。AFは思っていたよりもキビキビと動作するので、スナップ撮影にも使えそう。

あえて指摘するとしたらレンズフードの質感とデザイン。本体のみだと繰り出し式で伸びる内筒が非常に無様に見えるので、基本的にはフードは常用になるのかなと。本体の質感にここまでこだわるのであれば、常用するレンズフードも高級感のある金属製が良かったというのが正直なところ。

さらに、装着する位置によってロックできないこと、コントロールリングの滑り止めと意匠が同じで特に手袋装着時は間違いやすいことなど、Z 26mmの撮影体験としてはややマイナス。(これがディテールブレーカーになるとは思いませんが)

全体的に見て、フード以外は概ね満足のいくレンズに仕上がっています。Z 28mmと比べると間違いなく高価ですが、個人的には28mmよりもおススメ。フードに関しては、そのうち社外製でクールなデザインの製品が登場するかもしれません。

購入早見表

NIKKOR Z 26mm f/2.8
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作例

オリジナルデータはFlickrにて公開

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