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ニコン NIKKOR Z 50mm f/1.4 レンズレビューVol.1 外観・操作・AF編

ニコン「NIKKOR Z 50mm f/1.4」のレビュー第一弾 外観・操作・AF編を公開。35mm F1.4と同じくAF速度はあまり速くないですが、フォーカスブリージングはより良好に抑えられているようです。

本日のおさらい

外装の質感こそ非S-Lineですが、サイズや重量、オートフォーカスやマニュアルの操作性に大きな違いはありません。「NIKKOR Z 50mm f/1.8 S」と価格もよく似てるので、どちらを購入すれば良いのか悩むと思います。金属外装の鏡筒や高い光学性能によるF1.8のAF精度などはS-Lineが上手。

一方のF1.4は独立したコントロールリングを備え、35mm F1.4と統一感のあるサイズやコントロールが強みとなります。フォーカスブリージングも良好ですが、それはS-Lineも同じ。また、大口径に興味があり、少し癖のある描写(結果に当たり外れがあり、状況によって絞りで調整する必要もある)が好みであればF1.4を検討してみると良いでしょう。

Although the exterior texture is not S-Line, there are no significant differences in size, weight, or the operability of the autofocus and manual. The price is also similar to the “NIKKOR Z 50mm f/1.8 S”, so you may be wondering which one to buy. The S-Line is good at things like the metal exterior of the lens barrel and the AF precision of F1.8 due to its high optical performance.

On the other hand, the F1.4 has an independent control ring, and its size and controls are consistent with the 35mm F1.4, which is a strong point. Focus breathing is also good, but the same is true of the S-Line. Also, if you are interested in large apertures and prefer a slightly quirky rendering (there are some hits and misses with the results, and you may need to adjust the aperture depending on the situation), you should consider the F1.4.

NIKKOR Z 50mm f/1.4のレビュー一覧

まえがき

2024年9月に正式発表したフルサイズ対応のNIKKOR Zレンズ。非S-LineながらF1.4の大口径レンズである「NIKKOR Z 35mm f/1.4」がまず最初に登場し、間髪おかず、よく似たコンセプトの50mm版が登場しました。世の中のZマウントユーザーを驚かせた1本。非S-LineのF1.4レンズをシリーズ化するのか今のところ不明ですが、35mm・50mmときたら、24mmや85mmがあるかもしれませんね。

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  • 発売日:2024年9月27日
  • 予約開始日:2024年9月12日10時
  • 希望小売価格:オープン
  • ニコンダイレクト:81,400円(税込)
  • フォーマット:フルサイズ
  • マウント:ニコン Z マウント
  • 焦点距離:50mm
  • 絞り値:F1.4-F16
  • 絞り羽根:9枚(円形絞り)
  • レンズ構成:7群10枚(非球面レンズ1枚)
  • 最短撮影距離:0.37m
  • 最大撮影倍率:0.17倍
  • フィルター径:62mm
  • サイズ:φ約74.5mm×86.5mm
  • 重量:約420g
  • 防塵防滴:配慮した設計
  • AF:ステッピングモーター
  • 手ぶれ補正:-
  • その他機能:
    ・コントロールリング

競合するのは同社のS-Line「NIKKOR Z 50mm f/1.8 S」であり、価格帯やレンズサイズが同程度。高性能なF1.8か、味のある大口径F1.4を選ぶのか悩ましい二択となります。シーンに左右されない光学性能が必要であればS-Lineを、何気ない風景もレンズの味付けによって雰囲気を醸し出したいのであればF1.4を選ぶのが良いかもしれません。小型軽量で低価格なZ 40mm F2も一つの選択肢。

価格のチェック

売り出し価格はカメラのキタムラなどで73,260円。メーカー純正品のF1.4レンズとしては手頃な価格を実現しています。フルサイズミラーレス4社を見渡しても、純正品でF1.4レンズを10万円以下で投入しているのはニコンのみ。S-Lineと被っている気がしないでもないものの、選択肢が増えるのは消費者にとって良いことです。

外観・操作性

箱・付属品

NIKKOR Zらしい、黒と黄色を基調としたデザインの箱。2018年のZシステム始動時から変化はありません。50mmのコンパクトな単焦点レンズとしては箱のサイズが少し大きめ。50mm F1.8 S-Lineと同程度。

レンズ本体のほかに、レンズフードと通常のつまみ式キャップ、説明書・保証書が付属します。

外観

外装は全体的にプラスチックパーツが多めで、フォーカスリングのみゴム製カバーを装着。表面は光沢を抑え、少しざらつきのある塗装が施されています。触った際の質感に安っぽさは無く、しっかりとした作り。ただし、S-Lineのような高級感もありません。全体的に35mm F1.4と同じ。

コントロールはフォーカスリング・コントロールリングのみ。L-FnボタンやAF/MFスイッチはありません。シンプルなデザインですが、50mm F1.8 S-Lineにはないコントロールリングを搭載しています。外装の表示はほぼプリントで、加工は施されていません。「NIKKOR」のロゴのみ加工あり。製造国は中国。

ハンズオン

他社が気合の入りすぎている50mm F1.4ばかりのため、同じクラスのレンズとしては驚くほど小型軽量。35mm F1.8 Sや50mm F1.8 Sとほぼ同じサイズ・重量を実現しています。絶対的に見るとコンパクトでも軽くもないレンズですが、50mm F1.4をこのサイズで扱うことが出来るのは嬉しい。

前玉・後玉

前面は62mm径のねじ込み式フィルターに対応。フルサイズでは比較的珍しいフィルター径のため、このまま他のレンズとフィルターを共有しにくいのが悩ましいところ。ただし、35mm F1.4と共通のフィルター径を採用しています。

レンズ前面はフッ素コーティング対応のため、過度にプロテクトフィルターを装着する必要はありません。しかし、C-PLやNDフィルターで光線や光量を調整したい場合は活用したほうが良いでしょう。

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レンズ最後尾は大口径Zマウントらしい大きな後玉を搭載。レンズマウントは金属製かつ4本のビスで固定されています。後部のデザインは35mm F1.4とよく似ています。

フォーカスリング

ゴム製カバーの幅広いフォーカスリングを搭載。適度なトルクと滑らかさはS-Lineとほぼ同じ。応答性は良好で、細部のピント合わせでも滑らかな動作で合わせやすい。

フォーカスリングはノンリニアレスポンスで、回転速度に応じて移動が制限されます。ピント全域のストロークは素早く回転して約90度、ゆっくり回転すると約180度くらいになる。どちらも適度なストロークで微調整は容易。35mm F1.4と同じデザイン・配置のため、動画撮影に最適。

コントロールリング

プラスチック製のコントロールリングを搭載。フォーカスリングと比べて抵抗が強く、回転時に少しざらつく感触があります。従来通りクリックはありません。誤操作を防ぐには適切。コントロールリングの機能はカメラ側でカスタマイズ可能。

装着例

Z 8に装着。50mm F1.8 Sや35mm F1.8とほぼ同じ。バランスを崩すことなく、片手持ちで撮影することが出来ます。Z 7など比較的小さなミラーレスでも利用でき、APS-Cカメラに装着しても違和感ありません。

AF

フォーカススピード

35mm F1.4と同じく、フォーカスは2基のステッピングモーターユニットがそれぞれのフォーカスレンズを駆動します(マルチフォーカス)。この方式のレンズはAF速度が高速化する傾向がありますが、このレンズは特に高速には見えません。ストレスを感じない十分なフォーカス速度ではあるものの、近距離で素早い被写体を追いかける場合は力不足となる可能性あり。

ブリージング

ブリージングとはピント位置によって画角が変化することを指します。画角の変化が大きいと、フォーカシングで画角が広がったり狭くなったりするので気が散ったり、AFが不安定化する原因となります。出来ればフォーカシングブリージングは無い方が良い。今回はブリージングの影響を確認するために、レンズを最小絞りまで絞り、最短撮影距離・無限遠で撮影した結果が以下の通り。

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ピント位置による画角の変化はほとんどありません。フォーカスブリージングの抑制はとても良好であり、35mm F1.4よりも優れています。

精度

Z 8と組み合わせた状態で中央は良好な精度で、再現性も問題なし。ただし、本レンズは絞り開放付近の周辺・隅がややソフトで、状況によっては収差が目立ちます。コントラストも低く、状況によってはピントの山を外す場合があります。精度の高いAFを期待する場合、中央から像高5割くらいを目安に使うのがおススメ。もしくは、F2~F2.8まで絞ると収差を抑えた状態でAFが可能。

MF

前述したように、使いやすいフォーカスリングを搭載しており、MFによるピントの微調整は容易。

まとめ

外装の質感こそ非S-Lineですが、サイズや重量、オートフォーカスやマニュアルの操作性に大きな違いはありません。「NIKKOR Z 50mm f/1.8 S」と価格もよく似てるので、どちらを購入すれば良いのか悩むと思います。金属外装の鏡筒や高い光学性能によるF1.8のAF精度などはS-Lineが上手。

一方のF1.4は独立したコントロールリングを備え、35mm F1.4と統一感のあるサイズやコントロールが強みとなります。フォーカスブリージングも良好ですが、それはS-Lineも同じ。また、大口径に興味があり、少し癖のある描写(結果に当たり外れがあり、状況によって絞りで調整する必要もある)が好みであればF1.4を検討してみると良いでしょう。

光学性能は現在チェック中。S-Lineと比べると欠点がちらほらと見え隠れしますが、致命的な問題はありません。癖が強いと感じた場合はF2-2.8まで絞るとS-Lineに近い結果を得ることが可能。

得意とするのは、やはり大口径らしく低照度の撮影。F1.4を活かしてISO感度を抑えたり、シャッタースピードを速くすることが出来ます。夜景や星空にも使えるかというとそうでもなく、F1.4の絞り開放では周辺のコマ収差がかなり目立ちます。気になる場合は少し絞ると改善します。

購入早見表

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作例

オリジナルデータはFlickrにて公開

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