このページではニコン「NIKKOR Z 50mm f/1.8 S」の解像性能に関するレビューを掲載。
Index
まえがき
レンズのおさらい
レンズ概要
- 2018年12月 7日?発売
- 商品ページ
- データベース
- 管理人のFlickrアルバム
- レンズ構成:9群12枚(EDレンズ2枚、非球面レンズ2枚、ナノクリスタルコートあり)
- 開放絞り:F1.8
- 最小絞り:F16
- 絞り羽根:9枚(円形絞り)
- 最短撮影距離:0.4m
- 最大撮影倍率:0.15倍
- フィルター径:φ62mm
- レンズサイズ:φ76.0×86.5mm
- 重量:415g
- ステッピングモーター駆動
- 防塵防滴
- ナノクリスタルコート
ニコン初のフルサイズミラーレス「Z 6」「Z 7」と共に発表され、遅れること数か月後に発売されたZマウント用の50mm F1.8です。一眼レフ用の50mm F1.8と比べると、大きく重く、そして高価となっていますが、「S-Line」に属するグレードの高いレンズであることが示されています。
実際、レンズはインナーフォーカス駆動を採用し、防塵防滴仕様で堅牢性はバッチリ。ステッピングモーター駆動により静音性・高速性に優れ、動画撮影にも適しています。競合他社とは一線を画す高級路線の50mm F1.8です。
レンズは9群12枚と複雑な光学設計を採用し、EDレンズ2枚と非球面レンズ2枚を使用しています。さらにナノクリスタルコートも使用している模様。モダン設計の50mm F1.4並に贅沢なレンズですね。
レンズ構成を見る限り、基本はガウスタイプのレンズですが前後に補正レンズで挟み込んでいます。対称型の光学設計で、ニコンZマウントらしいコンセプトのレンズに仕上がっている模様。
価格のチェック
価格設定はAF-S 50mm F1.8Gの倍以上。正直に言うと高いです。とは言え、モダンな光学設計の50mm F1.8としては高くもなく、安くもなく。「ニコンのZマウント用最新設計を味わえる」と考えるとお手頃感はあります。「Zマウントとは何ぞや?」を味わってみたいのであれば買う価値があるはず。
NIKKOR Z 50mm f/1.8 S | |||
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解像力チャート
撮影環境
テスト環境
- カメラボディ:Z 7
- 交換レンズ:NIKKOR Z 50mm f/1.8 S
- パール光学工業株式会社「【HR23348】ISO12233準拠 8K解像力テストチャート(スチルカメラ用)」
- オリンパス HYRes 3.1 解析ソフト
- 屋内で照明環境が一定
- 三脚・セルフタイマー10秒・電子シャッター
- Z 7のRAWファイルを使用
- ISO 64 固定
- Adobe Lightroom Classic CCでRAW現像
・シャープネス オフ
・ノイズリダクション オフ
・色収差補正オフ - 解析するポイントごとにピントを合わせて撮影
(像面湾曲は近接で測定が難しいので無限遠時にチェックしています) - 近接でのテストであることに注意(無限遠側はさらに良好となる可能性あり)
補足
今回はRAW出力を元にしてシャープネスをオフの状態で検証しています。ボディ出力のJPEGやRAW現像でシャープネスを整えるとより数値が向上する可能性があります。今回の数値はあくまでも「最低値」とお考え下さい。
テスト結果
中央・周辺
中央から像高5割まで開放から4000本を超えるとても良好な解像性能。近距離の解像力チャートでこれほどの数値が出るのは正直に言って凄い。一般的なガウスタイプの50mm F1.8であればF8付近まで絞りたいところ。
F2.8まで絞るとさらに解像力が向上し、Z 7で回折が影響し始めるF8まではパフォーマンスを維持しています。この解像力チャートで測定できる限界値に到達しているため、もう少し伸びる可能性あり。回折の影響があるとはいえ、F16まで絞っても良好な性能です。
四隅
四隅も良好なパフォーマンスを維持。中央と比べて数値は低いものの、等倍で確認しない限りほぼ均質。目に見える解像差はありません。やはりF2.8まで絞ると大きく改善し、中央と変わらない解像力を発揮します。
ピークのパフォーマンスはF2.8からF5.6ですが、F8-F11までは高水準なパフォーマンスを維持しています。F16では回折の影響が大きくなるものの、実用的な画質と言えるでしょう。
全体
相場6万円台のフルサイズ用標準単焦点レンズとしてはとても良好なテスト結果です。特にフレーム全域で安定したパフォーマンスは特筆すべきポイント。近接の解像チャートでこれだけの数値が出るのであれば御の字。
数値確認
Nikon Z 7 4575万画素 |
中央 | 周辺部 (50%) |
四隅 (70%) |
F1.8 | 4323 | 4241 | 3486 |
F2.0 | 4245 | 4480 | 3506 |
F2.8 | 4303 | 4780 | 4577 |
F4.0 | 4750 | 4800 | 4420 |
F5.6 | 4479 | 4800 | 4479 |
F8.0 | 4245 | 4359 | 4499 |
F11 | 4128 | 4359 | 4342 |
F16 | 3688 | 3765 | 3856 |
実写確認
遠景解像力
テスト環境
- 撮影日:2020-1-06(実は今年の初めに作例は撮っていたのであった!)
- 快晴・無風(だったと思う)
- Leofoto LS-365C(だったと思う)
- Leofoto G4(だったと思う)
- Z 7のRAWを使用
- Adobe Lightroom Classic CC
・シャープネス「0」
・ノイズリダクション「オフ」
・その他初期設定で現像
テスト結果
中央
開放から非常に良好な解像性能を発揮。像の甘さは極僅かで、画像処理次第でなんとでもなってしまうレベル。少し絞ればその甘さも消え、F2.8までにレンズはピークのシャープネスを発揮しています。
さらにF4で若干改善するものの、概ねF2.8?F8までピークの性能を維持していると思って間違いないはず。F11以降は回折の影響を受けていますが、最小絞りのF16まで実用的な画質。
周辺
中央と同じく開放からとてもシャープ。開放に残る極僅かな甘さはF2.8まで絞ると解消します。画質のピークと感じるのはF5.6からF8。一般的なガウスタイプも絞ればシャープな描写となりますが、F1.8~F4でここまでの解像性能を得られるのは流石の光学設計。
四隅
絞り開放から良好ですが、僅かに非点収差・コマ収差の影響があります。やはりF2.8まで絞るとグッと改善して容赦ない切れ味を発揮。F2.8以降に大きな改善は見られませんが、画質のピークはF4からF8にかけて。
周辺減光が問題なければ、F1.8を使った遠景や夜景でも使いやすいと思います。像面湾曲もほぼゼロに抑えられているように見えます。
全体
高価な50mm F1.8ですが、それだけの価値はあると感じさせてくれる光学性能。特に絞り開放のパフォーマンスは一般的なガウスタイプと一線を画しており、サイズと価格せていを加味すると理想的な50mmに最も近いレンズと言えそう。
実写で確認
ガウスタイプF1.8の最終形態
肯定的見解
ココがポイント
- 絞り開放から良好な中央・周辺解像
- 少し絞ると良好な四隅解像
- 絞り値全域で良好な性能
- フレーム全体の均質性が高い
特筆すべきは非常に高い均質性。絞り開放からフレーム全域で良好なパフォーマンスを発揮し、少し絞れば間違いなく全域で非常に良好な解像性能を発揮できるのは強み。
シグマなどに存在するアポクロマート設計のような抜群にヌケの良いレンズではありませんが、このようなサイズの明るいレンズとしては珍しい性能であるのは明らか。
批判的見解
ココに注意
- 特に無し
- 敢えて言えば開放の非点収差・コマ収差が僅かに残存
- 敢えて言えば接写時のフォーカスシフト
敢えて言えば四隅に残存する非点収差・コマ収差が解像性能に若干影響しているような気がします。とは言え、影響は微々たるものであり、一般的なガウスタイプの標準単焦点と比べると遥かにマシ。
接写時の解像力テストではフォーカスシフトが気になったものの、一般的な撮影で影響は目立たないうえ、ZカメラはF5.6まで実絞り測距なので問題となる可能性は非常に低い。
総合評価
レンズサイズ・価格・光学性能のバランスが非常に高水準なガウスタイプ「50mm F1.8」の最終形態。今のところ理想に最も近い位置に存在する50mm F1.8と言っても過言では無いでしょう。
このようなレンズが買い方によって6万円チョイで手に入るのは凄い。50mm F1.8としては高価ですが、個人的には強くおススメできる一本。「Zレンズとは?」を味わってみたいのであれば手っ取り早くコレを選ぶのが良し。
購入早見表
NIKKOR Z 50mm f/1.8 S | |||
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作例
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