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NIKKOR Z 85mm f/1.8 S レンズレビュー Vol.1 外観・操作・AF編

ニコン「NIKKOR Z 85mm f/1.8 S」のレビュー第一弾 外観・操作・AF編を公開。土管のような野暮ったい外観に加え、シンプル過ぎるコントロールはS-Lineレンズとしてはやや残念なところ。

NIKKOR Z 85mm f/1.8 Sのレビュー一覧

今回のまとめ

野暮ったい外観とシンプルすぎるコントロール、十分だが電光石火とは言えないAFなど、高価な85mm F1.8としては不満を感じる作りとなっています。とはいえ、可動部が少ない防塵防滴の頑丈な作りと考えれば許容範囲内。

また、カスタマイズに対応する滑らかなフォーカスリングに問題はなく、手頃な価格のプロツールと思えばバランスよくまとまっているようにも見えます。

The unrefined exterior, overly simple controls, and AF that is adequate but not lightning-quick are all aspects of the lens that make it feel like a letdown for an expensive 85mm f/1.8. However, considering that it is a sturdy, dust- and splash-proof lens with few moving parts, it is within acceptable limits.

Also, there are no problems with the smooth focus ring that supports customization, and if you think of it as a reasonably priced professional tool, it seems to be well-balanced.

NIKKOR Z 85mm f/1.8 Sのおさらい

NIKKOR Zレンズの中では比較的早い時期に登場したS-Line単焦点レンズ。先立って登場した「NIKKOR Z 35mm f/1.8 S」「NIKKOR Z 50mm f/1.8 S」に加わる新しいF1.8 S-Lineで、単焦点レンズとしては定番の焦点距離となる「三種の神器」が完成。販売価格はF1.8としてはやや高めながら「S-Line」らしい高い光学性能と堅牢さを特徴としています。

発売日 2019年 9月 5日
初値 ¥92,846
レンズマウント ニコン Zマウント
対応センサー フルサイズ
焦点距離 85mm
レンズ構成 8群12枚
EDレンズ2 枚
開放絞り f/1.8
最小絞り f/16
絞り羽根 9枚(円形絞り)
最短撮影距離 0.8m
最大撮影倍率 約 0.12倍
フィルター径 67mm(P=0.75mm)
手振れ補正 -
テレコン -
コーティング ナノクリスタルコート
サイズ φ 75mm × 99mm
重量 約470g
防塵防滴 対応
AF STM
絞りリング -
その他のコントロール コントロールリング
付属品 レンズキャップ67mm LC-67B
裏ぶた LF-N1
バヨネットフード HB-91
レンズケース CL-C1

8群12枚のレンズ構成中には2枚のEDガラスを使用。一眼レフ時代の「AF-S NIKKOR 85mm f/1.8G」よりも力の入った光学設計となっています。MTFのピーク値が非常に高く、フレームの広い範囲で性能を維持しているのが特徴的。

価格のチェック

売り出し価格は9万円台で、現在は物価上昇の影響もあり10万円前後で推移。50mm F1.8Gの売り出し価格が5万円だったことを考慮すると倍近い値上がりとなっています。それだけのパフォーマンスを備えていると思いますが、手頃な価格の中望遠レンズを探している人にとって手を出しづらい値札であることは確か。

外観・操作性

箱・付属品

NIKKOR Zらしい、黒と黄色を基調としたデザインの箱。2018年のZシステム始動時から変化はありません。85mm単焦点レンズとしては箱のサイズが少し大きめ。50mm F1.8 S-Lineと同程度。

レンズ本体のほかに、レンズフードとポーチ、通常のつまみ式キャップ、説明書・保証書が付属します。

外観

NIKKOR Z レンズとしては古い世代のレンズデザイン。「NIKKOR」「S-Line」のロゴはまとめて側面に配置され、レンズ上部には焦点距離とF値のみ掲載。独立したコントロールリングは存在せず、驚くほど幅広いフォーカスリングが鏡筒の大部分を占めています。

鏡筒の素材はフォーカスリングの前後にプラスチックパーツを使用、フォーカスリングやマウント付近には金属パーツを使用しています。質感は悪くなく、幅広いフォーカスリングの存在で「頑丈な金属鏡筒」のような印象を受けます。

一見するとシンプルでモダンな外観にも見えますが、「土管」とも揶揄されているデザイン。幅広いフォーカスリングは使いやすいものの、全体的に見ると野暮ったい見た目。

何が原因でそう見えるのか?
一つの原因は「くびれ」が無いこと。85mm F1.8と言えば大口径で直径が大きく、レンズマウントに対して先端が大きくなる傾向があります。しかし、Zマウントは直径が大きく、レンズ先端に向かってサイズを大きくする必要がありません。結果的にずん胴のような見た目となってしまったのかなと。敢えてフォーカスリングに凹凸をつけても良かったのでは?と思うところ。

焦点距離やF値の表示のみ加工され、その他の表示はプリントでレンズ下部に記載。製造国は中国。

ハンズオン

サイズ φ 75mm × 99mm
重量 約470g

一般的な85mm F1.8と比べると全長が長く、やや重たい。レンズ構成枚数が多く、防塵防滴のプロ仕様と考えると妥協できる範囲内。驚くほどの重さではありません。

前玉・後玉

85mm F1.8らしい大きな前玉で、このクラスでは一般的な67mm径の円形フィルターに対応しています。前玉がフッ素コーティング処理されている記載がないため、水滴など汚れが付着しやすい環境ではプロテクトフィルターを装着したほうが事後のメンテナンスが楽。

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金属製レンズマウントは4本のビスで本体に固定。マウント周辺に防塵防滴用のシーリングあり。後玉はマウントから少し奥に配置、周辺は不要は反射を抑えるために黒塗りされています。

フォーカスリング

金属製の幅広いフォーカスリングを搭載。滑らかに回転しますが、期待よりも少し緩め。応答性は機種によって変更でき、リニアレスポンスで操作角度の調整が可能。変更できない機種はノンリニアレスポンスで、リング回転速度に応じで90-360度くらいのストロークで操作可能。

ここまで幅の広いフォーカスリングは冗長と感じますが、厚手のグローブを装着しても握りやすいのは確か。他のコントロールが無いので誤操作の心配もありません。ただ、個人的には独立したコントロールリングやFnボタンを配置してほしかったところ。

スイッチ類

左側面にはA/Mスイッチのみ搭載。
前述したようにFnボタンなどはありません。

レンズフード

円筒形のレンズフードが付属。機能性のないシンプルなデザインで、野暮ったい鏡筒のデザインをさらに強調する結果となっています。フードを逆さ付けにした状態でもフォーカスリングを操作できるほど幅広いのは、このデザインで唯一の救い。

装着例

Z 8 に装着。レンズの見た目はともかく、バランスは良好。ボディが大きいので特に問題はありません。ただし、比較的コンパクトなZ 7 / Z 6 やAPS-Cに装着する際は少し大きめと感じるかも。ボディがそもそも大きく、レンズの全長は長いため、収納性が良いとは言えません。

レンズとグリップの間には余裕があり、前面Fnボタンは操作しやすい。幅広いフォーカスリングに触れてしまいそうですが、マウント付近でに僅かな「くびれ」があるので、ここに指をひっかけておくことが可能。

AF・MF

フォーカススピード

ステッピングモーター駆動のマルチフォーカス方式を採用。
リニアモーターを使った電光石火のAFと比肩する性能ではないものの、このレンズを必要とする撮影には十分な速度。近距離の動体撮影で使う場合は力不足と感じるかもしれません。

ブリージング

ブリージングとはピント位置によって画角が変化することを指します。画角の変化が大きいと、フォーカシングで画角が広がったり狭くなったりするので気が散ったり、AFが不安定化する原因となります。出来ればフォーカシングブリージングは無い方が良い。今回はブリージングの影響を確認するために、レンズを最小絞りまで絞り、最短撮影距離・無限遠で撮影した結果が以下の通り。

スライドショーには JavaScript が必要です。

公式では「フォーカスブリージングを抑制」とありますが、少なくとも最短撮影距離と無限遠では画角に大きな違いがあります。

精度

Z 8との組み合わせで大きな問題はありませんでした。ミスショットがあるとすれば、カメラ側の問題であることが多い。(特に被写体検出が途切れたり、意図しない場所を検出したりした時)

MF

前述したように、フォーカスリングは少し緩めで滑らかに回転。
機種によっては応答性を調整できるため、好みの操作性で利用することが可能。

撮影倍率

最短撮影距離 0.8m
最大撮影倍率 約 0.12倍

一眼レフ時代と同程度の数値であり、大きな変化はありません。他社の85mm F1.8も同程度であることが多く、一般的な仕様。キヤノンRF85mm F2のようなハーフマクロには非対応。

今回のまとめ

野暮ったい外観とシンプルすぎるコントロール、十分だが電光石火とは言えないAFなど、高価な85mm F1.8としては不満を感じる作りとなっています。とはいえ、可動部が少ない防塵防滴の頑丈な作りと考えれば許容範囲内。

また、カスタマイズに対応する滑らかなフォーカスリングに問題はなく、手頃な価格のプロツールと思えばバランスよくまとまっているようにも見えます。

肝心の光学性能はと言うと、まだテスト中ですが「S-Line」らしい優れた結果。開放から非常にシャープで、色収差は効果的に補正されています。F1.8から隅までシャープで、被写界深度以外で絞る必要性を感じません。滲みを伴う柔らかいボケからは程遠いものの、悪目立ちする収差が良く押さられ、使い勝手の良い「綺麗な」ボケに仕上がっています。

購入早見表

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作例

オリジナルデータはFlickrにて公開

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