キヤノン「RF15-30mm F4.5-6.3 IS STM」のレビュー第二弾を公開。今回は恒例の撮影地点からレンズの遠景解像性能をチェックしています。
RF15-30mm F4.5-6.3 IS STMのレビュー一覧
- キヤノン RF15-30mm F4.5-6.3 IS STM 徹底レビュー 完全版
- RF15-30mm F4.5-6.3 IS STM 徹底レビューVol.6 ボケ編
- RF15-30mm F4.5-6.3 IS STM 徹底レビューVol.5 周辺減光・逆光編
- RF15-30mm F4.5-6.3 IS STM 徹底レビューVol.4 諸収差編
- RF15-30mm F4.5-6.3 IS STM 徹底レビューVol.3 解像チャート編
- RF15-30mm F4.5-6.3 IS STM 徹底レビューVol.2 遠景解像編
- RF15-30mm F4.5-6.3 IS STM 徹底レビューVol.1 外観・操作性・AF編
遠景解像力
テスト環境
- 撮影日:2022年8月28日 曇り 無風
- カメラ:EOS R5
- 三脚:Leofoto LS-365C
- 雲台:Leofoto G4
- 露出:絞り優先AE ISO 100 電子先幕 2秒セルフタイマー
- RAW:Adobe Lightroom Classic CC
・シャープネスオフ
・レンズ補正オフ
・ノイズ補正オフ
15mm
完璧とは言えないが、全体的に安定感のある解像性能だ。中央は絞り開放からシャープでピークの状態であり、周辺部は倍率色収差や非点収差の影響が抜けらないがソフト補正次第で良好な結果が得られる。隅は周辺減光の影響を受けるものの、安定した解像感で欠点とは感じない。
中央
絞り開放から非常に良好だ。絞りによる改善は得られず、F4.5からF8付近までピークの状態が続く。F11以降は回折による低下が見られ、特にF22はソフトな描写となるので出来れば避けたい。
周辺
中央と比べると倍率色収差などの影響で細部のコントラストが低下する。絞っても改善しないところを見ると、MTF通り非点収差が強めに残っているようだ。
四隅
周辺部と比べて極端な画質低下は見られない。安定感のある性能だ。やはり絞っても劇的な改善は期待できない。
20mm
15mmと同じく中央は絞り開放からピークの状態が続く。周辺部は画質が少し低下するものの、極端な収差は見られず専用のプロファイルで収差を補正すると多少の改善は期待できる。隅もやはり安定感のある描写だ。
中央
15mmとほとんど同じ傾向だ。特筆すべき点は無い。
周辺
15mmと同じく倍率色収差や非点収差がディテールに多少の影響を与えているが、全体像で見ると安定している。絞っても改善は見られない。
四隅
絞り開放から良好な画質だが、絞っても画質が大幅に改善しない点は周辺部と同じだ。絞っても周辺減光はしつこく残る。
24mm
全体的に見ると15mmや20mmと同じ傾向だが、周辺部や隅の非点収差に改善傾向が見られる。手ごろな価格の広角ズームレンズとしては立派な性能だ。
中央
F5.6から非常に良好だ。同時に登場したRF24mm F1.8と見比べても大きな違いは無い。
周辺
倍率色収差が僅かに残存し、非点収差の影響もいくらか見られるが、等倍でチェックしなければ良好な画質と言える。とは言え、24mm F1.8と同じ絞り値で確認すると違いは歴然としている。
四隅
解像度は高いと言えないが、コマ収差や非点収差の影響が抑えられた良好な画質だ。EOS R6やEOS RPなど、比較的解像度が低いカメラと組み合わせた場合は不満を感じることが少ないと思う。
30mm
ズームレンズの望遠端と言えば性能が低下するポイントだが、少なくともこのレンズには当てはまらない。解像度のピークは少し低下しているかもしれないが、周辺部まで安定感のある画質だ。
中央
他のズームレンジと同じく、絞り開放からピークの性能を発揮している。細部の解像度は単焦点レンズと比べると見劣りするかもしれないが、低解像度のセンサーであれば特に大きな違いは分からないかもしれない。
周辺
24mmと同じく倍率色収差が残存しているものの、まずまず安定した画質を維持している。ベストを尽くすのであれば単焦点レンズであるのは間違いないが、細部の解像度を重視しなければ十分に良好な結果を得ることができる。絞っても性能は改善しない。
四隅
ズームレンズの望遠端におけるフレーム隅は画質低下が顕著で弱点となりがちだが、このレンズは全く問題ない。高解像とは言えないものの、極端な画質の低下は見られず、色収差や非点収差も良く抑えられている。
まとめ
完璧を求めなければズーム全域で安定感のある結果を得ることができるレンズだ。全体的に周辺部や隅に非点収差が強めに残っている(特に広角側)ので、絞っても画質が大幅に改善することは無い。周辺部と比べて隅のほうが解像感が高いと感じる場合、それは周辺部よりも隅のほうが非点収差が小さいことが関連しているのかもしれない。
メモ
非点収差は同心円方向と放射方向で解像性能のピークとなるピント位置が異なる場合に収差が大きくなる。これを改善するには絞りで被写界深度を深くし、影響を緩和するしか手段がない。
非点収差がどうしても改善しないので、EOS R5など高画素機に装着すると15mmの周辺部に少し不満を感じるかもしれない。とは言え、極端に弱点と感じる部分は無く、特に低解像のセンサーでは満足度の高いレンズになると思われる。それに15mm以外はEOS R5でもまずまず良好な結果を得ることができる。ただ、望遠側でもある程度の非点収差が残存しているので、単焦点レンズの水準を期待するのは禁物だ。
単焦点レンズで絞った時のような性能を得ることは出来ないが、少なくとも中央はほとんど互角で、周辺部や隅にそこまでの解像度を求めない場合、小型軽量で手ごろな価格の広角ズームとして検討する価値がある。
購入早見表
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