このページではキヤノン製フルサイズミラーレス用交換レンズ「RF24-240mm F4-6.3 IS USM」の解像力テストとレビューを掲載しています。
RF24-240mm F4-6.3 IS USMレビュー 解像力編
撮影環境
テスト環境
- カメラボディ:EOS R
- 交換レンズ:RF24-240mm F4-6.3 IS USM
- パール光学工業株式会社「【HR23348】ISO12233準拠 8K解像力テストチャート(スチルカメラ用)」
- オリンパス HYRes 3.1 解析ソフト
- 屋内で照明環境が一定
- 三脚・セルフタイマー10秒・電子シャッター
- EOS RのRAWファイルを使用
- ISO 100 固定
- Adobe Lightroom Classic CCでRAW現像
・シャープネス オフ
・ノイズリダクション オフ
・色収差補正オフ
・格納されたレンズプロファイルオフ - 解析するポイントごとにピントを合わせて撮影
(像面湾曲は近接で測定が難しいので無限遠時にチェックしています) - 近接でのテストであることに注意(無限遠側はさらに良好となる可能性あり)
補足
今回はRAW出力を元にしてシャープネスをオフの状態で検証しています。ボディ出力のJPEGやRAW現像でシャープネスを整えるとより数値が向上する可能性があります。今回の数値はあくまでも「最低値」とお考え下さい。
焦点距離別テスト結果
24mm
F値 | 中央 | 周辺部 | 四隅 |
F4 | 3946 | 4105 | 2385 |
F5.6 | 3991 | 4055 | 3439 |
F8 | 3946 | 3855 | 4032 |
F11 | 4036 | 3751 | 4032 |
F16 | 3404 | 3556 | 3562 |
F22 | 2908 | 2965 | 2978 |
後日別の記事で投稿予定ですが、24mmは歪曲収差が大きいうえにイメージサークルが35mmフルサイズセンサーを満たしていません。ボディ内でソフトウェアによる歪曲収差補正は必須です。補正後はイメージサークルの外周部がトリミングされ、24mm相当の画角に整えられます。
ソフトウェア補正が強めに適用される焦点距離ですが、RAW(未補正イメージ)の解像性能を解析するとこのレンズで最もパフォーマンスが高いポイントであることが判明。
絞り開放F4では四隅がやや甘いものの、1段絞るとグッと解像性能が高まりF16までパフォーマンスが維持されます。フレーム全域での均質性は良好で、F5.6以降のパフォーマンスはRF24-105mm F4Lに匹敵します。
倍率色収差は目立つものの適切に補正することで高倍率ズームながら良好な広角24mmを楽しめるはず。
サンプル F4
35mm
F値 | 中央 | 周辺部 | 四隅 |
F4.5 | 3752 | 3202 | 2493 |
F5.6 | 3793 | 3701 | 3058 |
F8 | 3999 | 3833 | 3246 |
F11 | 3456 | 3479 | 3528 |
F16 | 3419 | 3220 | 3219 |
F22 | 3004 | 2831 | 2706 |
F25 | 2736 | 2756 | 2493 |
基本的に24mmと同傾向ですが、歪曲収差の影響は遥かに小さくなります。四隅の解像性能は24mmよりも少し高く、F5.6まで絞るとフレーム全域でとてもシャープな画質となります。解像性能のピークはRF24-105mm F4Lよりも良好。
やはり倍率色収差は若干目に付くのでデジタル補正を適用させておきたいところ。
サンプル F4.5
50mm
F値 | 中央 | 周辺部 | 四隅 |
F5.0 | 4030 | 3649 | 3025 |
F5.6 | 3954 | 3998 | 3262 |
F8 | 3960 | 3972 | 3350 |
F11 | 3910 | 3360 | 3556 |
F16 | 3211 | 3124 | 3083 |
F22 | 2962 | 2805 | 2750 |
F29 | 2646 | 2546 | 2468 |
24mmと同じく最も解像性能の高い焦点距離。中央や周辺領域は絞り開放から非常に良好で、四隅もそれほど悪くありません。(むしろ良好な水準)
3000万画素のEOS Rを使う限りでは絞り値による画質変動が小さく、画質の改善はあまり期待できません。被写界深度の調整として使うと良いでしょう。
F5.0サンプル
70mm
F値 | 中央 | 周辺部 | 四隅 |
F5.6 | 3516 | 3979 | 3554 |
F8 | 3623 | 3518 | 3370 |
F11 | 3569 | 3032 | 3406 |
F16 | 3317 | 3211 | 2839 |
F22 | 2972 | 2750 | 2616 |
F29 | 2520 | 2417 | 2320 |
解像性能のピークは低いものの、フレーム全域の均質性は開放からとても良好。絞っても全く改善せず、パフォーマンスはF11付近まで維持されます。RF24-105mm F4Lの85mm時と比べて周辺や四隅領域の画質がより良好な結果となっています。
F5.6サンプル
100mm
F値 | 中央 | 周辺部 | 四隅 |
F5.6 | 3505 | 3318 | 2967 |
F8 | 3701 | 3168 | 3038 |
F11 | 3790 | 3143 | 3014 |
F16 | 3220 | 3168 | 2877 |
F22 | 2857 | 2620 | 2538 |
F32 | 2443 | 2269 | 2133 |
基本的に70mmと同じ傾向ですが中央以外のパフォーマンスはワンランク低下。広角?標準域と比べて倍率色収差が目立たないので、シャープネスは低いですが良像と感じます。RF24-105mm F4Lと互角かそれ以上のパフォーマンスなので何も心配することはありません。
F5.6サンプル
150mm
F値 | 中央 | 周辺部 | 四隅 |
F6.3 | 3321 | 2842 | 2685 |
F8 | 3382 | 2930 | 2348 |
F11 | 3297 | 3007 | 2238 |
F16 | 3126 | 2697 | 2260 |
F22 | 2858 | 2465 | 2260 |
F32 | 2395 | 2211 | 2193 |
F36 | 2127 | 2183 | 1904 |
中央領域は依然として健闘している解像性能ですが、周辺や四隅領域の画質は苦しくなります。良像ギリギリの水準で絞っても改善しません。このあたりはデジタルレンズオプティマイザなどで画質をブーストしたいと感じます。
F6.3サンプル
240mm
F値 | 中央 | 周辺部 | 四隅 |
F6.3 | 3790 | 2962 | 2211 |
F8 | 3583 | 3053 | 2280 |
F11 | 3790 | 2956 | 2349 |
F16 | 3229 | 2541 | 2211 |
F22 | 2857 | 2564 | 2326 |
F32 | 2390 | 2078 | 1907 |
F36 | 2183 | 2024 | 1907 |
依然としては中央領域はとても良好。被写体を中央に配置するなら全く問題を感じません。高倍率ズームの望遠端と考えると評価できるパフォーマンス。
周辺領域もまずまず良好ですが、四隅はこのレンズで最も甘い領域となり、絞っても全く改善しません。
F6.3サンプル
領域別テスト結果
中央領域
中央領域に限ってみると、ズームレンジ全域で安定したパフォーマンスを発揮しているのが分かります。特に近接の解像力チャートでこの結果を発揮するのは凄い、
中央解像 | 24mm | 35mm | 50mm | 70mm | 100mm | 150mm | 240mm |
F4 | 3946 | 3752 | 4030 | ||||
F5.6 | 3991 | 3793 | 3954 | 3516 | 3505 | 3321 | 3790 |
F8 | 3946 | 3999 | 3960 | 3623 | 3701 | 3382 | 3583 |
F11 | 4036 | 3456 | 3910 | 3569 | 3790 | 3297 | 3790 |
F16 | 3404 | 3419 | 3211 | 3317 | 3220 | 3126 | 3229 |
F22 | 2908 | 3004 | 2962 | 2972 | 2857 | 2858 | 2857 |
F32 | 2736 | 2646 | 2520 | 2443 | 2395 | 2390 | |
F36 | 2127 | 2183 |
周辺領域
24?70mmまではとても良好なパフォーマンスですが、100?240mmはワンランク画質が低下していることが分かります。ただし、望遠端240mmでも顕著な画質低下が見られないのはGood。
周辺解像 | 24mm | 35mm | 50mm | 70mm | 100mm | 150mm | 240mm |
F4 | 4105 | 3202 | 3649 | ||||
F5.6 | 4055 | 3701 | 3998 | 3979 | 3318 | 2842 | 2962 |
F8 | 3855 | 3833 | 3972 | 3518 | 3168 | 2930 | 3053 |
F11 | 3751 | 3479 | 3360 | 3032 | 3143 | 3007 | 2956 |
F16 | 3556 | 3220 | 3124 | 3211 | 3168 | 2697 | 2541 |
F22 | 2965 | 2831 | 2805 | 2750 | 2620 | 2465 | 2564 |
F32 | 2756 | 2546 | 2417 | 2269 | 2211 | 2078 | |
F36 | 2183 | 2024 |
四隅領域
四隅領域は24?100mmの間で一貫性のある画質を維持し、150?240mmでワンランク・ツーランク画質が低下する模様。特に240mmの四隅はあまり期待しないほうが良いでしょう。
四隅解像 | 24mm | 35mm | 50mm | 70mm | 100mm | 150mm | 240mm |
F4 | 2385 | 2493 | 3025 | ||||
F5.6 | 3439 | 3058 | 3262 | 3554 | 2967 | 2685 | 2211 |
F8 | 4032 | 3246 | 3350 | 3370 | 3038 | 2348 | 2280 |
F11 | 4032 | 3528 | 3556 | 3406 | 3014 | 2238 | 2349 |
F16 | 3562 | 3219 | 3083 | 2839 | 2877 | 2260 | 2211 |
F22 | 2978 | 2706 | 2750 | 2616 | 2538 | 2260 | 2326 |
F32 | 2493 | 2468 | 2320 | 2133 | 2193 | 1907 | |
F36 | 1904 | 1907 |
雑感
完璧なレンズからは程遠い結果ですが、光学10倍の高倍率ズームレンズと考えると及第点以上の解像性能を維持していると感じます。特にRF24-105mm F4L IS USMの守備範囲は互角かそれ以上に良好なパフォーマンスを発揮しています。一部の収差は目立ちますが、補正しやすい収差を残しているので過度に心配する必要は無し。
歪曲収差や倍率色収差はソフトウェア補正に依存しているため、RAW現像は適切に補正出来るかどうかが鍵となります。ボディ内JPEG出力やプロファイルを適用できる現像ソフトなら問題ありませんが、手動補正を強いられる現像環境では注意が必要。
今回使用した機材
EOS R | |||
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