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ニコン Z f レビュー Vol.5 メニュー・カスタマイズ編

ニコン「Z f」のレビュー第五弾を公開。今回はカメラのメニューシステムの操作性やボタンカスタマイズなどをチェックしています。

Z f のレビュー一覧

メニューシステム

動画でメニュー一覧を確認する

操作性について

スライド式で1ページが長い

Zシリーズではお馴染みのメニューシステム。様々な機能を調整可能ですが、項目が多いにも関わらず階層構造は基本的に1段目のメインと2段目のサブのみ。このため、撮影メニューや動画メニューは1ページに大量のコマンドが配置されています。おまけにページ化されていない(スライド方式)ため、下部に配置された項目を選ぶ際に手間がかかります。3層構造となっているのはカスタムメニューのみ。中間にカテゴライズされた階層があるため、探し物が見つかりやすい構造となっています。
撮影メニューや動画メニュー、セットアップメニューもそろそろ中間層を作ってほしいところ。幸いにもメニューシステムは(比較的)応答性の高いタッチ操作に対応。素早くドラッグすることで目的の機能までボタン操作よりも早くたどり着くことが可能です。

オンオフの切替を素早く操作可能

EXPEED 6世代との違いとして、単純に「オン / オフ」の機能がメインメニュー画面で操作できるようになりました。操作したい機能にカーソルを合わせて右ボタンを押すことで切替可能。従来の操作方法になれていると少し混乱しますが、すぐ慣れるはず。

メニューの「戻る」機能に統一感がない

少し厄介と感じたのは「戻る」機能。
Z fのメニューシステムでは基本的にマルチセレクターの「左」を押すことで「一つ戻る」ことが可能。「右」を押すと選択した設定の詳細へ移行できる操作とセットで便利。素早く操作することができます。一方、「左」で一つ戻ることができない設定もあります。例えばボタンカスタマイズ。このような場合に設定画面から戻りたい場合はカメラの「MENU」ボタンを押す必要があります。

ただし、MENUボタンを押して戻る場合h「第一階層まで戻る」となってしまいます。例えば、カスタムメニューからボタンカスタマイズ画面に入り、MENUボタンを押して戻ると、カスタムメニュー一覧を飛び越えて第一層(撮影メニューや動画メニューの選択)まで戻ってしまいます。間違えて戻ってしまった際は第一層から、カスタマイズ一覧の第二層、そしてカテゴリ別の第三層まで戻る必要あり。非常に不便と感じました。

画面右上のタッチパネルボタンで「一層戻る」ことができるものの、ボタン操作とタッチ操作を使分けるのは地味に不便と感じました。それに、横幅がZ 8と同程度あるため、右手親指でタッチ操作は難しい。

撮影メニュー一覧

43種類の機能を有する静止画撮影時のメニューシステム。動画撮影とは設定が分離しているため、静止画向けの調整で問題なし。画質全般やファイルの設定、撮影におけるカメラの諸設定などを変更することができます。HDRやタイムラプス、多重露光など特殊な撮影に対応。

前述したように、撮影メニューの中間や下部に配置された機能はメインメニューから素早くアクセスするのが難しい。必要であればマイメニューを積極的に活用したいところ。

また、Z 9やZ 8のような「管理メニュー」が無いうえ、Z 7IIなどのユーザーモードもありません。このため、カメラが記憶できる設定は1通りのみ。設定を切り替えたい場合は全てを操作する必要があります

動画メニュー一覧

35種類の設定に対応。静止画メニューと同じくカテゴリ分けされていません。画質全般から画像処理、出力設定、音声などが全て含まれています。

カスタムメニュー一覧

従来通りカスタムメニューのみ第二層・第三層に細分化されています。

  • フォーカス 13種
  • 露出・測光 5種
  • AEロック・タイマー 3種
  • 撮影/記録/表示 18種
  • フラッシュ・BKT 8種
  • 操作 14種
  • 動画 17種

全78項目あり、第二層はカテゴリ分けされていますが、各機能のある第三層は83種類全てが(スライドする)1ページに収まっています。マルチセレクターの左右ボタンで2層と3層を行き来できる場合は問題ありませんが、前述したようにMENUボタンで戻る必要がある場合は1層まで戻ってしまうのが残念。意識的にタッチパネルの「戻る」ボタンを使う必要があります。

再生メニュー

12種類の機能に対応。再生操作や連写時のグループ設定など。このメニューからボディ内現像を操作することは出来ない模様。(再生時の「i」ボタンメニューから選ぶ必要あり)

セットアップメニュー

36種類の機能に対応。やはり第二層のカテゴリ分けはありません。多用するメモリーカードのフォーマットやセンサークリーニング、電子音の調整、ファインダーの調整などが点在しているので厄介。頻繁に使う機能はマイメニューに登録しておくと良いでしょう。

ネットワークメニュー

10種類の機能に対応。詳細は割愛します。

マイメニュー

他社と同じように頻繁に使うメニュー機能を一か所にまとめることができる「マイメニュー」機能を搭載。少し異なるのはページ化されないこと。Z 8の他のメニューと同様、数多くの機能を登録してもページ化せずに下方へ設定した機能が次々と登録されます。

このため、数多くの機能を登録すると下部へのアクセスが難しくなり、素早く機能を呼び出すことができるマイメニューとしての役割が少し損なわれてしまうのが残念。

ボタンカスタマイズ

割り当てることが可能な機能の紹介は割愛。ニコンZ f活用ガイドを参照してください。
主に「押して呼び出す機能」と「押しながらダイヤル操作する機能」の2系統に分かれています。

Fn1

ニコンZカメラではお馴染みのFn1ボタンを搭載。単体・ダイヤル併用どちらの機能も登録可能で割り当てる際の自由度が高い。特に頻繁に利用する機能を登録しておきたいところ。

AE-L / AF-L

カメラを握った際に自然と親指で操作できる背面コントロールの一等地。Fnボタンと同じく豊富な機能を登録可能で、操作頻度の高い機能を割り当てておくと便利です。押しながらダイヤル操作が必須の機能も登録できますが、当然ながら親指が使えなくなるのでリアダイヤルの操作は出来ません(フロントダイヤルのみで操作できる機能がおススメ)。

再生ボタン

Zカメラでは珍しく再生ボタンのカスタマイズに対応。AF・AE系の機能を割り当てることが出来ないものの、ダイヤル操作を併用する多くの機能を登録可能。左手を使えるシーン・レンズでは多用できるので、単焦点レンズなど携帯性の高いレンズと相性の良いボタン。

DISPボタン

Z 9でも対応していないDISPボタンのカスタマイズに対応(Z 8は可能)。
「DISP」を多用せず、一等地にあるDISPボタンの機能を変更したいと思っていた人は多いはず。ダイヤル操作を併用する機能には対応していませんが、それでも様々な機能を割り当てることが可能。DISPボタンと再生ボタンの位置を入れ替えることもできますが、ゴミ箱ボタンの位置は固定である点に注意。

OKボタン

従来通りOKボタンのカスタマイズに対応。従来機と同じく割り当てることができる機能は非常に少ない(RESETと拡大のみ)。個人的に解せぬポイント。ここはカメラ側で制限せず、自由にカスタマイズさせてほしかった。

動画撮影ボタン

ダイヤル操作の機能を含めた幅広い機能に対応。シャッターボタンに近いこともあり重宝すると思います。

コマンドダイヤルカスタマイズ

各モードで操作する設定値を前後どちらのダイヤルで操作するか設定したり、フォーカスモード機能呼び出し時のダイヤル役割、拡大表示中のダイヤル役割を変更することが出来ます。

(「露出補正」ボタンを使わない)サブダイヤルのみで露出補正を操作したい場合、初期設定では機能オフになっている設定の変更が必要です。初期設定のまま露出補正ダイヤルを「C」に設定しても操作できません。露出補正をサブダイヤルに割り当てるには、カスタムボタンの機能ではなく、カスタムメニューの「露出補正簡易設定(b2)」をオンに設定する必要あり。

レンズFnボタン

ダイヤル併用の機能は割り当て不可ですが、AF-ONボタンやDISPボタンと同じような機能を登録することが可能。今のところL-Fn2ボタンのカスタマイズには対応していません。

レンズFnリング(左回し・右回し)

左右で呼び出すことができる機能を分けることができる面白いコントロール。初期設定のように2種類のフォーカス位置を記憶させることも可能(登録時は「個別記録」を選択)。

メモリーセットボタン

初期設定のようにフォーカス位置の登録で利用できるほか、他のボタンと同じようなカスタマイズも可能。

コントロールリング

画像が無かったのでZ 8のものを流用しています
レンズに電子制御のフォーカスリング、またはコントロールリングがある場合のみ表示されます(MFレンズやメカニカルなフォーカスリング搭載レンズを装着時は表示なし)。リングを操作することで露出補正・絞り・ISOを変更できる機能を設定可能。フォーカスリングの場合は社外製レンズだとカスタマイズに対応していない可能性あり(機能を変更してもフォーカス操作固定)。

iメニュー カスタマイズ

カメラの「i」ボタンを押すことで呼び出すことができる10種類の機能を自由に割り当てることが可能。静止画と動画で割り当て機能を分けることも出来ます。

他社のQメニューやFnメニューとよく似ていますが、AF-Cのカスタマイズやボタンカスタマイズのメニューへ直接移動することができるショートカット機能が個性的。撮影現場でAF-Cを調整しながら使いたい場合は重宝することでしょう。モニターの輝度やファインダーの見栄えを変更できる機能も地味に便利。

難点を挙げると、できることに対して登録枠が10と少ないこと。できれば15枠、もしくは2ページくらいは欲しかったです。(メインメニューが使い辛いため)

カスタマイズできないところ

  • 「i」ボタン
  • マルチセレクター
  • 拡大ボタン
  • 縮小ボタン
  • MENUボタン

右手親指で操作するコントロールの大部分はカスタマイズ不可、もしくはカスタマイズの自由度が低いボタンとなっています。融通が利くのは「AE-L / AF-L」「DISP」ボタンの2か所のみ。正直に言うと拡大縮小機能をあまり使わないので(代替手段も多い)、カスタマイズに対応して欲しかったところ。

タッチFn

Z fの新機能として、ファインダー使用時にタッチパネルを操作することで任意の機能を使用することが出来ます。初期設定ではオフとなっているので、使いたい場合はオンにして機能を選択しておきましょう。利用できる機能は「フォーカスポイント移動」「瞳の切替」「ガイドライン表示」「拡大」「水準器表示」の5種類。富士フイルムのタッチFnのように特定の方向へフリックすることで機能を呼び出すものではなく、タッチすると機能を直接呼び出す(操作)することが可能。

ガイドライン表示はオンオフのみで、パターンを切り替えることが出来るわけではありません。また、素早い操作が可能である一方、不意にモニタに触れてしまったり、鼻が当たってしまった場合に誤操作が発生しやすいので注意が必要です。誤操作を予防するため、タッチFnが反応する領域を制限することが可能。使いやすく、かつ誤操作が少ないと思われる領域を設定しておくのがおススメです。

まとめ

Z 8のレビューで指摘している部分の繰り返しとなりますが、そろそろメニューシステムの刷新が必要じゃないのかなと思います。長いスクロールが必要となるメインメニュー、戻る機能に一貫性のない操作性、カスタマイズの制限が多い背面ボタンなど。従来機の操作に慣れていればブラッシュアップする必要はないかもしれませんが、改善を続けている他社機も使っている身としては不便と感じる部分が多い。

Z f は快適さを求めるカメラではないと理解していますが、Z f の撮影体験として煩雑なメニューシステムは必要か?というと、そうでもないのかなと。とは言え、(従来機と比べると)カスタマイズの自由度は高め。一等地に配置されている「DISP」や撮影時には使わない「再生」のボタンカスタマイズが可能となり、設定できる機能も豊富。

ファインダー使用時のタッチパッド機能は数が少ないとは言え、機能が使えなかった従来機と比べると大きな前進。フルサイズZカメラの中ではボタン数の少ない機種ですが、初期のZ 7やZ 6と比べるとずっと良くなっています。メニュー編として、Z fで最も気を付けたいのは設定を記録したり呼び出す機能がないこと。Z 8のような管理メニューシステムもありません。メモリーカードへ一時的に記録することは可能ですが、他のカメラと設定を共有するための簡易的な機能です。撮影時に素早く設定を呼び出すユーザーモードのような機能ではありません。

このため、不意に訪れるシャッターチャンスにZ fの設定変更が追い付かない可能性あり。シャッターチャンスを重視するのであれば、ユーザーモード枠がある「Z 6II」などを検討したほうが良いでしょう。

参考情報

購入早見表

作例

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