「VILTROX AF 35mm F1.2 LAB」のレビュー第一弾 外観・操作・AF編を公開。拡大AFと低照度のAFに改善の余地あり。しかし外装の作りは良好で、日中屋外でのAFは良好かつ非常に高速。
製品提供について
このレビューは映像嵐株式会社より無償提供された製品を使用しています。
金銭の授受やレビュー内容の指示は一切ないことを最初に明言しておきます。購入した製品ではないことに対する無意識のバイアスは否定できませんが、できるだけ客観的な評価を心がけています。
簡易的なまとめ
F1.2の大口径ながら、許容範囲のサイズと重量と実現したVILTROX LABシリーズレンズ。外装の作りは良好で、VILTROX初期のレンズと比べると洗練されたものとなっています。ただし、独特の絞りリングは慣れが必要で、誤操作防止のためにも「A」ポジションでロックできる機能があると良かった。
AFはボイスコイルモーターを使用しており、特にAF-Cモードで非常に高速。精度も問題なく、カメラ側の追従性能次第。拡大AFや低照度での動作に課題を残すものの、ファームウェアでの改善に期待。
Despite having a large aperture of F1.2, the VILTROX LAB series lenses have achieved a size and weight within acceptable limits. The exterior is well-made and more refined than the company's earlier lenses. However, the unique aperture ring requires some getting used to, and it would have been good to have a function that allows it to be locked in the “A” position to prevent accidental operation.
The AF uses a voice coil motor and is very fast, especially in AF-C mode. The accuracy is also fine, depending on the camera's tracking performance. There are still issues with expanded AF and operation in low light, but we hope that these will be improved with firmware.
Index
VILTROX AF 35mm F1.2 LABのレビュー一覧
まえがき
- 発売日:2025.4.16
- データベース
- 管理人のFlickr
「VILTROX AF 135mm F1.8 LAB 」に続く二本目のLABシリーズレンズ。LABシリーズはVILTROXブランドの最高級ラインで高画質・高規格のレンズ。販売価格は高めながら、多数のEDレンズや非球面レンズを使った贅沢な光学設計に加え、防塵防滴や情報パネル、VCM駆動のAFが特徴的。
また、VILTROXとしては初となる、フルサイズ対応のF1.2 AFレンズ。ソニーEマウントにおける競合製品はほとんど存在しておらず、唯一のライバルだったシグマ「35mm F1.2 DG DN」は既にディスコン。現在はVILTROXが唯一無二の選択肢となっています。(ただし、シグマは後継モデルの開発を発表しています)
主な仕様
シグマの競合製品よりも小型軽量で、フィルター径も1段階小さなサイズ。また、ニコンの35mm F1.2よりも軽量で短め。シグマやニコンと比べると最短撮影距離がやや長めです。
発売日 | 2025.4.16 |
初値 | 169,200円 |
レンズマウント | E |
対応センサー | フルサイズ |
焦点距離 | 35mm |
レンズ構成 | 10群15枚 EDレンズ5枚 高屈折率レンズ3枚 非球面レンズ2枚 |
開放絞り | F1.2 |
最小絞り | F16 |
絞り羽根 | 11枚 |
最短撮影距離 | 0.34m |
最大撮影倍率 | 不明 |
フィルター径 | Φ77mm |
手振れ補正 | - |
テレコン | - |
コーティング | 不明 |
サイズ | Φ89.2mm×121.8mm |
重量 | 約920g |
防塵防滴 | 対応 |
AF | HyperVCM |
絞りリング | あり (クリック切替対応) |
その他のコントロール | AF/MF Fn1/Fn2 |
付属品 | レンズキャップ リアキャップ フ-ド 収納袋 |
価格のチェック
入手ルートは限られていますが、国内代理店経由では約16万円。シグマの実勢価格と比べるとやや高め。とはいえ、シグマよりも多くのEDガラスを使用しており、光学性能次第では価格差も許容範囲内となることでしょう。
外観・操作性
箱・付属品
これまでのVILTROX製品の箱は白を基調としたデザインでしたが、LABシリーズは重厚感のある黒を基調としたデザインを採用。外箱に余分な装飾は無く、高級感のある見栄え。
レンズ本体のほか、レンズフードやポーチ、保証書などが付属します。
外観
135mm F1.8 LABとは異なり、外装は金属製(だと思われます)。フォーカスリングと絞りリングはどちらも金属製で、ゴム製カバーは無し。
レンズを前後に倒すと「カタカタ」と音がしますが、これは通電していない時にボイスコイルモータ駆動のフォーカスレンズが固定されていないため。他社でよく見る仕様であり、特に不思議なことではありません。
コントロール以外の意匠は最小限。側面に「LAB」のバッヂを配置しているのみ。マウント付近にはシリアルナンバーなどのシールが張り付けられています。
ハンズオン
重量は約920g。35mmレンズとしては間違いなく重い。しかし、F1.2の開放F値を考慮すると、今のところ最軽量のAFレンズ。頑丈な金属外装や機能的で豊富なコントロール、防塵防滴を加味すると、よく1Kg未満に抑えたなと感心します。
前玉・後玉
前玉にフッ素コーティングが施されているという記載はありません。水滴や油汚れの付着、ダメージが予想されるシーンでは保護フィルターを装着しておくと良いでしょう。フィルターサイズはニコンやシグマの35mm F1.2よりも小さな77mm径を使用。
前玉周辺にはレンズ銘やイメージサークル、撮影距離などを白字で記載。個人的に、白字はフィルター装着時に反射で写りこむ可能性があるので好きではありません。ちなみに、135mm F1.8 LAB は前面にロゴ無し。このあたりは統一してほしかったところ。
金属製のレンズマウントが5本のビスで本体に固定されています。周囲には耐候性を確保するシーリングあり。また、ファームウェアアップデート用のUSB-Cポートも備えています。
フォーカスリング
適度な幅の金属製フォーカスリングを搭載。
回転の抵抗感はソニーと同程度で、やや緩め。バイワイヤですが応答性は良好で遅延は目立ちません。
ピント位置の移動速度はリングの回転速度に依存。素早く回転する場合、ピント全域を約180度のストロークで操作できます。逆にゆっくり回転させると、(ピントの全域の移動に)2回転ほど必要となり微調整が可能。
絞りリング
ソニーEマウント用としては珍しい無印の絞りリング。抵抗感はソニー純正ほど強くないものの、フォーカスリングと比べると強い。
一般的な絞りリングは「1クリック=1/3step」の目盛り付きで動作しますが、このレンズは異なる。リング操作時のレスポンスは「ノンリニア」となっており、回転速度によって動作が操作スピードが異なります。
ゆっくり回転すると、1/3stepの絞り調整に2~3クリックが必要。逆に素早く操作すると1~2クリックで操作することが出来ます。従来の絞り操作に慣れていると癖の強い操作と感じるはず。側面のスイッチで「クリックレス」に切り替えて使ったほうがしっくりときます。
スイッチ類
Fn1は初期設定でカメラ側のAFLボタンとして動作。Fn2はアプリ経由で事前に設定したレンズのカスタマイズが優先されます。テストした個体は初期設定でA-Bフォーカスがセットされていました。
レンズフード
プラスチック製の花形レンズフードが付属。135mm F1.8 LABと異なり、先端のゴムカバーや内側のフェルト生地はありません。とはいえ、VILTROXのレンズフードとしてはしっかりとした作り。
ソニー製レンズ・フードの装着しやすさと比べると見劣りしますが、135mm F1.8 LABよりも良好。フードは逆さ付けに対応。ただし、フォーカスリングがほぼ隠れてしまうので、MFによる微調整が難しくなります。
情報パネル
AF 16mm F1.8 FE あたりから導入が始まった情報パネルを搭載。絞り値・ピント位置を同時に表示できるほか、Fnボタンの動作状況も確認可能。面白い機能として、起動時のロゴを任意の画像に差し替えることができます。(スマートフォンアプリ経由)
VILTROX Lens App
AndroidとiOSに対応。レンズがBluetooth接続に対応しており、スマートフォンと連携することでアプリによるカスタマイズが可能となります。画期的ですが、レンズが通電状態でないと接続できない点に注意。
135mm F1.8 Zでは、フォーカスリングの校正やFnボタンのカスタマイズ、情報パネルのカスタマイズに対応。また、最新ファームウェアにアップデートすることも可能となっています。
装着例
α7R Vに装着。
35mmの単焦点レンズとして間違いなく大きいものの、F1.2の大口径を考慮すると許容範囲内。とはいえ、1Kg近い重量があるのは間違いないので、左手でレンズを支えるのはほぼ必須。片手で保持できなくもないですが、水平や構図を維持するのは難しい。
グリップとレンズの間には十分なスペースがあります。ただし、厚手のグローブを装着すると窮屈と感じるかもしれません。
AF・MF
フォーカススピード(FW Ver1.0)
VILTROX独自のHyperVCMで動作。F1.2のレンズとしてはキビキビとAFが動作します。AF-Sモードでは合焦直後にピントが前後するものの、AF-Cモードでは迷いがなくなり、VCM駆動らしい初速の速いAFが利用できます。
注意点として、拡大AF利用時は合焦率が目に見えて低下します。成功しないこともないですが、失敗する回数が予想よりも多い。(下部の動画最後でテストしています。)
ファームウェアでの改善に期待。
ブリージング
ブリージングとはピント位置によって画角が変化することを指します。画角の変化が大きいと、フォーカシングで画角が広がったり狭くなったりするので気が散ったり、AFが不安定化する原因となります。出来ればフォーカシングブリージングは無い方が良い。今回はブリージングの影響を確認するために、レンズを最小絞りまで絞り、最短撮影距離・無限遠で撮影した結果が以下の通り。
他の35mm単焦点レンズと同じく、ピント移動による画角の変動が強い。特にAF-Sモードのようにピント面が前後するとフォーカスブリージングが目立ちます。この特性のためか、フレーム周辺部でピントを合わせようとすると苦労しました。
精度
前述したように、拡大AFでピントの山を外す場合があります。また、低照度・低コントラストな撮影でも苦労しました。日中屋外で拡大AFを使わない限り、問題なく動作。AF-Cでの被写体追従でも問題ありませんでした。
MF
ゆっくりとフォーカスリングを操作することで微調整に対応。これと言って大きな問題はありませんでした。
まとめ
F1.2の大口径ながら、許容範囲のサイズと重量と実現したVILTROX LABシリーズレンズ。外装の作りは良好で、VILTROX初期のレンズと比べると洗練されたものとなっています。ただし、独特の絞りリングは慣れが必要で、誤操作防止のためにも「A」ポジションでロックできる機能があると良かった。
AFはボイスコイルモーターを使用しており、特にAF-Cモードで非常に高速。精度も問題なく、カメラ側の追従性能次第。拡大AFや低照度での動作に課題を残すものの、ファームウェアでの改善に期待。
光学性能は現在チェック中。ざっと使った限りでは非常に高性能です。EDガラス5枚は伊達ではなく、色収差をとても良好に補正。F1.2を気軽に使うことができ、ピント面はシャープでコントラストが高い。
解像性能も非常に良好。6100万画素のα7R Vの性能を活かすことができるレンズです。F1.2でも十分な結果が得られますが、しっかり絞るとフレーム隅までシャープな結果。
ボケはやや硬いと感じる場合があるものの、収差が良く抑えられているので悪目立ちはしません。使い勝手は良好。全体的に見て、光学性能は価格に見合うものとなっています。課題は前述した「絞りリングの操作性」「拡大AFの動作」くらい。
購入早見表
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作例
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