ソニー「Sonnar T* FE 55mm F1.8 ZA」・キヤノン「RF50mm F1.8 STM」・ニコン「NIKKOR Z 50mm f/1.8 S」の比較レビュー第一弾を公開。まずは恒例の撮影位置で遠景撮影での解像性能を比較。
レンズのおさらい
Sonnar T* FE 55mm F1.8 ZA
レンズの仕様 | |||
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マウント | ソニーE | 最短撮影距離 | 0.5m |
フォーマット | フルサイズ | 最大撮影倍率 | 0.14倍 |
焦点距離 | 55mm | フィルター径 | 49mm |
レンズ構成 | 5群7枚 | 手ぶれ補正 | - |
開放絞り | F1.8 | テレコン | - |
最小絞り | F22 | コーティング | T* |
サイズ・重量など | |||
サイズ | φ64.4×70.5mm | 防塵防滴 | 配慮 |
重量 | 281g | AF | LM |
付属品 | |||
フード・ポーチ・説明書・保証書 |
2013年登場に登場した標準単焦点レンズ。当時のフルサイズ(FF)市場はまだまだ一眼レフが主流の時代であり、その中でFFミラーレス専用設計としては初めて登場した明るい50mm。これまで定番だったダブルガウスタイプでは無く、バックフォーカスが短いことを活かしたレンズ構成が特徴的。「Sonnar」を冠しているものの、従来のSonnarとは一線を画す光学設計となっています。比較的古い設計ながら、定評のある光学性能を備え、多くのユーザーに愛され続けています。
RF50mm F1.8 STM
レンズの仕様 | |||
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マウント | キヤノンRF | 最短撮影距離 | 0.3m |
フォーマット | フルサイズ | 最大撮影倍率 | 0.25倍 |
焦点距離 | 50mm | フィルター径 | 43mm |
レンズ構成 | 5群6枚 | 手ぶれ補正 | - |
開放絞り | F1.8 | テレコン | - |
最小絞り | F22 | コーティング | SSC |
サイズ・重量など | |||
サイズ | φ69.2×40.5mm | 防塵防滴 | - |
重量 | 160g | AF | STM |
付属品 | |||
説明書・保証書 |
FE55mm F1.8 ZAから遅れること7年後、2020年に登場したキヤノンRFマウントの標準単焦点レンズ。従来のダブルガウス派生からクセノター派生のレンズ構成に変化し、従来のEF50mm F1.8 STMのサイズ・重量を維持しながらショートバックフォーカスを実現しています。2021年5月現在、フルサイズミラーレス用の標準F1.8としては最もコンパクトなレンズに仕上がっているのが特徴的。フォーカスは繰り出し式ですが、最短撮影距離が0.3mと短く、撮影倍率も0.25倍と高いのが強み。
NIKKOR Z 50mm f/1.8 S
レンズの仕様 | |||
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マウント | ニコンZ | 最短撮影距離 | 0.4m |
フォーマット | フルサイズ | 最大撮影倍率 | 0.15倍 |
焦点距離 | 50mm | フィルター径 | 62mm |
レンズ構成 | 9群12枚 | 手ぶれ補正 | - |
開放絞り | F1.8 | テレコン | - |
最小絞り | F16 | コーティング | N/フッ素 |
サイズ・重量など | |||
サイズ | φ×mm | 防塵防滴 | 対応 |
重量 | g | AF | STM |
付属品 | |||
フード・ポーチ・説明書・保証書 |
ニコンZシステムが始動した2018年に登場した標準単焦点レンズ。ショートバックフォーカスのミラーレス専用設計ながら、マスターレンズ部にはガウスタイプを採用。前後にレンズを追加して凹凸凹構成の9群12枚と贅沢な作りとなっています。さらに「S-line」のレンズとして、ナノクリスタコーティングやフッ素コーティングを採用し、さらに外装は防塵防滴処理が施されています。レンズサイズは最も大きいですが、それだけ力の入った光学設計と言えるでしょう。
サイズ比較
「フルサイズミラーレス初の専用設計な標準 F1.8」「最軽量最小の標準 F1.8」「プログレードの標準 F1.8」と、それぞれ登場時期やコンセプト、ターゲット層や価格が異なっています。当然サイズも異なります。これらを比べることにどれほど興味を示す人がいるのか気になるところですが、数回に分けて比較レビューをしていきたいと思います。
撮影環境
- 撮影日:2021-05-10・微風・晴天
- FE 55mm F1.8 ZA+α7R IV
- NIKKOR Z 50mm F1.8 S+Z 7
- RF50mm F1.8 STM+EOS R5
- 三脚:Leofoto LS-365C
- 雲台:Leofoto G5
- 絞り優先AE・ISO 100・RAW・色温度 5400
- ベースとなる露出はISO 100・F1.8・1/5000秒
- Adobe Lightroom Classic CC
・シャープネス「0」
・その他初期設定
撮影結果
中央
F1.8の結果は「Z > FE >> RF」
キヤノンRFは開放が最もソフトで、シャープネス・コントラストが低い。球面収差が完璧には補正されていないように見えます。ソニーFEはキヤノンよりもシャープネスが良好で、完璧ではありませんが、コントラストもまずまず良好。そしてニコンZは最も優れており、絞り開放から甘さがほとんど見られない高いシャープネス・コントラストを実現しています。
F2.0?F2.8まで絞ることで3本のレンズの差は縮まり、特にソニーFEとニコンZの差は見られません。ただし、6100万画素のα7R IVと4500万画素のZ 7で撮り比べているので、同じ6100万画素センサーならばZにもう少し伸びしろが残っている可能性あり。(Zの作例をよく見てみるとモアレが発生するくらいには解像している)
キヤノンRFがソニー・ニコンに追いつくことはありませんが、F5.6まで絞るとほぼ同じパフォーマンスとなる。EOS R5のセンサーはローパスフィルターを搭載しているので、センサー側の影響があるかもしれません。どちらにせよ、F5.6以降で3本に顕著な差は見られません。
周辺
F1.8の結果は中央と同じく「Z > FE >>RF」
ソニーとニコンは僅差ですが、マイクロコントラストはZのほうが良好に見えます。将来的に6100万画素機でテストするとさらに差が開く可能性かあり。
絞ってもニコンはあまり改善しませんが、ソニーはF4でニコンに追いつき、キヤノンRFは色収差の影響が残るものの、F5.6で良好な結果を得ることが出来ます。
四隅
ここでの結果も中央と同じく「Z > FE >>RF」
どのレンズも周辺減光の影響は避けられませんが、その中ではZが最も良好なシャープネス・コントラストを実現しています。
ソニーはF2.8まで絞るとかなり改善しますが、それでも色収差の補正やコントラストはZに及びません。F4まで絞るとソニー・キヤノンがニコンの追いついてきますが、キヤノンは色収差を抑えるためにもう1段絞っておきたいところ。
F8まで絞った際の差は僅差ですが、6100万画素で撮影したFE55mmと4500万画素で撮影したRF50mmがほど同じ。RF50mmは色収差が目立つもののディテールはFE55mmより良好となる可能性あり。Z 50mmは絞り開放からF8までそう大きな変化が見られません。裏を返せば、開放からとても良好な性能です。
今回のおさらい
遠景解像はニコンが最も良好で、絞り開放から隅までとても良好な性能を発揮。ソニーやキヤノンと比べて、性能差が特に目立つのは絞り開放のF1.8付近。ソニーやキヤノンも絞るとニコンに近づきますが、F1.8の明るさと解像性能を活かしたいのであればニコンがベスト。
どのレンズもF8まで絞れば隅まで良好となりますが、その際のコストパフォーマンスで言えば小型軽量で安価なキヤノンが良い感じ。絞って全体的に伸びる傾向はガウスタイプのEF50mm F1.8と同じ。
ソニーFE55mmは絞り開放にしても、F8にしても価格に対して性能はパッとしない印象。決して性能は悪いものでは無く、むしろ良いくらいですが、このカテゴリではニコンの性能が際立っています。個体差でソニーの中央解像が良い場合もあるかもしれませんが、周辺や四隅のパフォーマンスでニコンをひっくり返すことは出来ないはず。
購入早見表
Sonnar T* FE 55mm F1.8 ZA
Sonnar T* FE 55mm F1.8 ZA | ||||
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RF50mm F1.8 STM
RF50mm F1.8 STM | |||
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NIKKOR Z 50mm f/1.8 S
NIKKOR Z 50mm f/1.8 S | |||
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