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ソニー「Sonnar T* FE 55mm F1.8 ZA × α7R IV」徹底レビュー 完全版

このページではソニー「Sonnar T* FE 55mm F1.8 ZA」を6100万画素のα7R IVと組み合わせてレビューしています。

管理人の評価

ポイント 評価 コメント
価格 割高感は拭えない
サイズ 光学性能を考慮すると小型軽量
重量 同上
操作性 価格を考慮するとシンプル過ぎる
AF性能 十分高速だがブリージングが目立つ
解像性能 必要十分だが四隅は厳しい
ボケ ガウスタイプとは一線を画す後ボケ
色収差 価格を考慮すると軸上色収差が目立つ
歪曲収差 文句ナシ
コマ収差・非点収差 価格を考慮すると補正不足
周辺減光 無限遠でも最短撮影距離でも目立つ
逆光耐性 隅の逆光でフレアが目立つ可能性あり
満足度 高価だがボケ描写に価値あり

ガウスタイプとは一線を画す後ボケ

登場時期(2013年)を考慮すると良好な解像性能ですが、2021年現在で強みと言うほどのパフォーマンスではありません。諸収差の補正も価格を考慮すると完璧とは言えない。このレンズの強みはガウスタイプとは異なる「滑らかな後ボケ」で、この描写に心を奪われてしまうと、標準 F1.8レンズで変わりとなる選択肢はそう多くないはず。

まえがき

レンズのおさらい

概要
レンズの仕様
マウント ソニーE 最短撮影距離 0.5m
フォーマット フルサイズ 最大撮影倍率 0.14倍
焦点距離 55mm フィルター径 49mm
レンズ構成 5群7枚 手ぶれ補正 -
開放絞り F1.8 テレコン -
最小絞り F22 コーティング T*
サイズ・重量など
サイズ φ64.4×70.5mm 防塵防滴 配慮
重量 281g AF リニア
付属品

フルサイズEマウントカメラシステム最初の単焦点レンズの一つ(もう一つは「Sonnar T* FE 35mm F2.8 ZA」)。当時はまだ一眼レフが主流だった時代であり、50mm単焦点と言えばダブルガウスが一般的。そんな中で、バックフォーカスが短く、「Sonnar」を冠したこのレンズはまさに異次元のレンズ。

レンズ構成は5群7枚と比較的シンプルながら、非球面レンズを3枚も使用。当時としては珍しい第一面を凹面とした香華く設計を採用。全体的な構成はダブルガウスとは大きく異なり、従来のSonnarタイプとも異なります。敢えて言えば第1・2レンズと第3・4レンズが張り合わせとなっており、枚数の割に群数が少ないという点で「Sonnar」を称しているのでしょうか?(と言っても、それほど張り合わせレンズが多い訳でも無さそうですが…)

フォーカスレンズは第5レンズ1枚を動かすインナーフォーカス方式で、アクチュエータにはリニアモーターを採用しています。繰り出し式フォーカスと比べてユニットが小さく、高速かつ静音性の良好なフォーカスを期待できそうです。ただし、リニアモーター駆動のレンズは通電していない時にフォーカスレンズを固定することが出来ません。レンズを振ると異音がなる点に留意が必要です。

レンズはZAシリーズらしく金属鏡筒を採用し、堅牢性と高級感を実現。今でこそFE 28mm F2やFE 35mm F1.8も似たような作りと感じますが、競合他社のプラスチック製外装と比べるとしっかりとした作り。「防塵防滴に配慮した設計」ですが、明確にシーリングが施されている記述は無く、過信は禁物。
今では一般的となりつつある「絞りリング」や「AFLボタン」に全く対応していないうえ、「AF/MF」スイッチも存在しないので使い勝手は悪い。

価格のチェック

新品価格は7~8万円を推移。キャッシュバックキャンペーンの対象製品となることが多く、その場合は6万円程度で購入することも可能。正直に言うと少し高めの価格設定。

Sonnar T* FE 55mm F1.8 ZA
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ソフトキャリングケース LCS-FEA1
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レンズフロントキャップ ALC-F49S
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レンズレビュー

外観・操作性

箱・付属品

ソニーαのブランドカラーであるインターナショナルオレンジを全面に採用。ビビッドな配色で遠くから見ても「ソニー製レンズの箱」と分かるので、クローゼットに箱を画したとしても見つかる可能性が高い(実談)。箱にはZAレンズを示す「ZEISS」のロゴと「Sonnar T*」以外は無印レンズのデザインと同じ。

箱の中にはレンズ本体、レンズフード、前後のキャップ、レンズポーチ、説明書、保証書、ツアイス関係の書類が入っています。

外観

仕上がりに多少の差はあるものの、基本的に無印「FE 28mm F2」「FE 35mm F1.8」などと同じ質感の金属外装。手触りが良く、頑丈な質感の外装に仕上がっています。プラスチック外装を採用した「G」「GM」シリーズのレンズと比べると機能性では劣るものの、質感は良好。全体的に凹凸の少ない直線的なデザインで、シンプルながら高級感のある外観がGood。

ハンズオン

全長70.5mm、重量281gと、モダンな光学設計の50mm F1.8としては小型軽量。日常的な使用を躊躇させないサイズ感であり、使う気が無くても気軽に持ち運ぶことが出来ます。金属外装のため質感は良好ですが、手に伝わる冷感は冬場だと少し堪える可能性あり。

前玉・後玉

前面は49mm径の円形フィルターに対応。このレンズはフッ素コーティング処理が施されていないので、前玉に汚れが付着する可能性がある現場ではプロテクトフィルターを装着したいところ。幸いにも49mm径は比較的小さく、72mmや82mmと比べると遥かに手頃な価格で入手することが出来ます。このレンズ以外にも49mm径のフィルターを使用するEマウントレンズは多く、NDフィルターやC-PLフィルターを揃えておいても損はしないはず。

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前面にはレンズの外観を損ねない工夫が施されたレンズフード用のバヨネットを搭載。レンズ本体とフードの繋がりが良く、ソニー製ながらもツアイスのようなデザインと感じます。

金属製レンズマウントは4本のビスで固定。
後玉はマウント付近で固定されており、フォーカシングで動くことはありません。後群がマウント付近で固定され、周囲には不要な光を遮るフレアカッターを搭載。製造国はタイで、G Masterに多い中国製では無い模様。

防塵防滴に配慮した設計ですが、レンズマウントに手助けとなるシーリングは施されていないように見えます。フォーカスリングなど可動部にシーリングがあるのかどうか不明。このレンズの防塵防滴に過信しないほうが良いかなと。価格を考慮するともう少し頑張って欲しかったところ。

フォーカスリング

幅20mmの金属製フォーカスリングを搭載。G Masterのようなゴム製リングでは無いので見た目は良好。ただし、指の係が悪く滑りやすいです。MFを重視する場合は気を付けたほうがいいかなと。フォーカスリングは滑らかに回転しますが、バイワイヤ式のためか抵抗が少し弱く感じます。
ピント移動量は回転速度に応じて変化し、素早く回転させると約45度程度でピント全域を移動。逆に遅く回転すると1回転以上の高い精度で操作が可能です。

レンズフード

プラスチック製の花形レンズフードが付属。50mm F1.8としては適度なサイズで、逆さ付けに対応していますが、ロックボタンはありません。フード先端はゴム製ではなく、おそらく反射対策と思われるマットな塗装が施されています。

プラスチック製ながら、本体の金属鏡筒と仕上がりが似ているので装着時に違和感がありません。なかなか秀逸なデザイン。

装着例

α7R IVと組み合わせた際のバランスは良好。コンパクトなα7CやAPS-Cボディと組み合わせても問題ないはず。レンズはマウント部から直径に大きな変化が無く、とてもスリムな印象。グリップとレンズの間の空間を広く保てるのはソニーEマウントで貴重な存在。

レンズフードが大きいので、収納時は邪魔になる可能性あり。幸いにも逆さ付けに対応しているので大きな問題となることは無いでしょう。最大径がほぼEマウントと同じであるため、小型軽量ボディに装着しても底面を飛び出すことはないと思われます。

AF・MF

フォーカススピード

XDではないリニアモーターを採用。どのような違いがあるのか不明ですが、オートフォーカスはまずまず高速に動作します。「フォーカスレンズ1枚」「インナーフォーカス」と考えると、もう少し速いフォーカスを期待していましたが、2013年登場のレンズと考えると妥協すべき部分かも。至近距離から無限遠までの移動は「FE 35mm F1.8」と比べると遅いものの、ストレスを感じるような速度ではありません。

ブリージング

ブリージングとはピント位置によって画角が変化することを指しています。最小絞りまで絞り、最短撮影距離と無限遠で撮影した結果が以下の通り。

最短撮影距離では画角が狭くなり、無限遠で最も広くなる。画角変化が極端に目立つわけではありませんが、「最短撮影距離 0.5m」で特に寄れるレンズでは無いことを考えると画角変化が少し大きいように感じます。分かりやすいように無限遠の作例に最短撮影距離時のフレームを赤枠で表示しました(下図)。

精度

α7R IVと組み合わせる限り精度に問題はありません。

MF

前述した通り、回転速度に応じたピント移動のフォーカスリングを操作します。グリップが良好と言えないので、MFはあくまでも補助的な操作に留めておいたほうが良いかも。とは言え、素早く回転するとワンアクションで至近距離から無限遠まで操作でき、ゆっくり回転することで微調整できるのでフルマニュアルでも使いやすい。

解像力チャート

撮影環境

テスト環境

  • カメラボディ:α7R IV
  • 交換レンズ:FE 55mm F1.8 ZA
  • パール光学工業株式会社「【HR23348】ISO12233準拠 8K解像力テストチャート(スチルカメラ用)
  • オリンパス HYRes 3.1 解析ソフト
  • 屋内で照明環境が一定
  • 三脚・セルフタイマー10秒・電子シャッター
  • α7RIVのRAWファイルを使用
  • ISO 100 固定
  • Adobe Lightroom Classic CCでRAW現像
    ・シャープネス オフ
    ・ノイズリダクション オフ
    ・色収差補正オフ
  • 解析するポイントごとにピントを合わせて撮影
    (像面湾曲は近接で測定が難しいので無限遠時にチェックしています)
  • 近接でのテストであることに注意(無限遠側はさらに良好となる可能性あり)

補足

今回はRAW出力を元にしてシャープネスをオフの状態で検証しています。ボディ出力のJPEGやRAW現像でシャープネスを整えるとより数値が向上する可能性があります。今回の数値はあくまでも「最低値」とお考え下さい。

テスト結果

中央

絞り開放から「4000」を超えるとても良好な性能を発揮。僅かに軸上色収差の影響が見られるものの、無視できる程度に抑えられています。開放から良好ですが、絞るとさらに改善し、F4でこのチャートの解像限界に到達。パフォーマンスはF8まで続き、以降は回折の影響で急速に低下します。

周辺

絞り開放から中央と同じぐらい非常に良好な結果。ただし絞っても中央のように改善せず、絞り開放から回折の影響があるまで同程度のパフォーマンスを維持しています。数値で見るとあまり変化がないものの、実写ではF2.8以降でわずかなコントラストの向上が見られます。

四隅

中央や周辺と比べると解像性能がワンランク低下します。しかし、絞り開放から良好な性能を発揮してることに違いありません。絞っても大きな変化はありませんが、F5.6~F8にかけてピークを迎えます。ガウスタイプのような絞りによる変化は見られず、価格を考慮するともう少し健闘して欲しかったところ。

数値確認

中央 周辺部 四隅
F1.8 4059 3849 3047
F2.0 4372 4012 3100
F2.8 4489 3745 3236
F4.0 4739 3767 3025
F5.6 4686 3943 3220
F8.0 4686 3914 3398
F11 4323 3898 3416
F16 3669 3423 2911
F22 2822 2717 2506

実写確認

全体的に見ると安定したパフォーマンスですが、細かくチェックしたり数値で確認すると中央と四隅に性能のムラがあることが分かります。「中央番長」とまでは言いませんが、均質性が良くなるのが回折後と言うのは残念。

レンズ比較

絞り開放から極めて良好な「FE 40mm F2.8 G」と比べると見劣りする結果。全体的に40mm F2.5 Gはワンランク上の解像感と言っても過言ではない。決して大口径レンズとは言えないものの、ピント面のパンチを重視するのであればFE 40mmも要検討。FE 55mm F1.8 ZAも絞ると中央は健闘しますが、周辺や四隅がFE 40mmに追いつくことはありません。
「FE 50mm F1.8」と比べると良好な結果で、特に絞り開放の画質が優れています。
シグマ「28-70mm F2.8 DG DN」の50mmと比べて開放付近の性能は遥かに良好。ただし、十分に絞るとシグマのほうが良好な周辺解像・四隅解像を得ることが出来ます(大きな差ではありませんが)。

遠景解像力

テスト環境

  • 撮影日:2021-05-10:晴天・微風
  • 三脚:Leofoto LS-365C
  • 雲台:Leofoto G4
  • カメラ:α7R IV ILCE-7M4
  • 非圧縮RAW・絞り優先AE・ISO100固定・電子シャッター
  • Adobe Lightroom Classic CCにて現像
    ・シャープネス「0」
    ・その他初期設定

テスト結果

中央

絞り開放では僅かに球面収差が残っているような描写。少しコントラストが低く見えるものの、あくまでもα7R IVで細部を確認した場合の話。1段ほど絞ると残存収差が改善し、シャープネス・コントラストがワンランク上昇。以降は絞っても大きく改善しません。

F11以降は回折の影響で画質が徐々に低下します。F11は許容範囲内ですが、F22は明らかにソフトとなるので、被写界深度が必要な場合を除いて避けるのがおススメ。

周辺

絞り開放F1.8から安定した画質で、基本的に解像度は中央と同程度か少し低い。1段絞ると周辺減光の影響は減りますが、画質に変化はありません。F4~F8にかけて少し改善しますが、中央と比べると少し悪い。ピークはF5.6~F8ですが、回折の影響が強くなるF11~F16も許容範囲内。

四隅

F1.8の場合、周辺減光が強いものの解像性能は悪くない(ベストとは言えませんが)。F2.8まで絞ると周辺減光が解消すると共に、解像性能も少し向上します。細部のコントラストがしっかりとするのはF4からで、F8までピークの状態が続く。F11~16で回折の影響が見られるものの、絞り開放付近と比べると良好な画質。

実写で確認

全体的に見て、このレンズが登場した2013年当時の「標準 F1.8レンズ」としては非常に良好なパフォーマンスだと思います。今でこそ、このレンズ以上にシャープなレンズが存在するものの、「神レンズ」と言われてきたのも納得の光学性能。

絞り開放付近で四隅の描写が僅かに甘いものの、F1.8でフレーム全体のパフォーマンスが要求されるシーンは少ないはず。特に心配する必要はないと思いますが、全体的な画質をベストにしたい場合は少なくともF2.8までは絞るのがおススメ。絞り値が許容できるのであればF4~F8がベスト。

撮影倍率

像面湾曲

像面湾曲とは?

ピント面が分かりやすいように加工しています。

中央から四隅かけて、ピントが合う撮影距離が異なることを指しています。例えば、1mの撮影距離において、中央にピントが合っていたとしてもフレームの端では1mの前後に移動している場合に像面湾曲の影響が考えられます。

最近のレンズで目立つ像面湾曲を残したレンズは少ないと思いますが、近距離では収差が残存している場合もあります。ただし、近距離でフラットな被写体を撮影する機会は少ないと思われ、像面湾曲が残っていたとしても心配する必要はありません。

無限遠でも影響が見られる場合は注意が必要です。風景など、パンフォーカスを狙いたい場合に、意図せずピンボケが発生してしまう可能性あり。この収差は改善する方法が無いため、F値を大きくして被写界深度を広げるしか手段がありません。

参考:Wikipedia 像面湾曲

実写で確認

特に大きな問題はありません。

倍率色収差

倍率色収差とは?

主にフレーム四隅に現れる色ずれです。絞り値による改善効果が小さいため、この問題を解決するにはカメラボディでのソフトウェア補正が必要となります。ボディ側の補正機能で比較的簡単に修正できます。

参考:Wikipedia 色収差

実写で確認

完璧な補正状態ではありませんが、多くの撮影環境で問題とはならないでしょう。隅でも僅かに残存する程度で、カメラや現像ソフトの自動補正で簡単に修正可能。

軸上色収差

軸上色収差とは?

軸上色収差とはピント面の前後に発生する色ずれを指しています。手前側で主にパープルフリンジとして、奥側でボケにグリーンの不自然な色付きがあれば、その主な原因が軸上色収差です。簡単な後処理が難しく、できれば光学的に収差を抑えて欲しいところですが、大口径レンズでは完璧に補正できていないことが多いです。

参考:Wikipedia 色収差

実写で確認

絞り開放でピント面前後に緑と紫の色付きが発生しています。高コントラストな領域で目立つ可能性あり。実写の全体像で色収差が目立つシーンは稀だと思いますが、拡大する場合は比較的簡単に色収差の影響を見つけることが出来ます。
色付きはF2.8までやや目立ち、F4~F5.6で徐々に改善します。極端に悪い補正状態では無いものの、価格を考慮するともう少し健闘して欲しいところ。

前後ボケ

綺麗なボケ・騒がしいボケとは?

ボケの評価は主観的となりがちですが、個人的には「滲むように柔らかくボケる」描写が綺麗と感じます。逆に、「急にボケ始めたり、ボケの輪郭が硬い」描写を好ましくないと感じています。

描写傾向の違いは主に球面収差の補正状態によって変化し、前後どちらかのボケが柔らかい場合はもう片方のボケが硬くなる傾向があります。また「アポダイゼーション光学素子」などを使って強制的に滲むボケ描写を実現しているレンズも存在します。

実写で確認

後ボケが少し滑らかで、前ボケが少し硬調な描写。マスターレンズにダブルガウスを採用する50mm F1.8と比べると、滑らかで柔らかい後ボケは好ましいと感じるはず。その一方で前ボケは少し硬く、状況によっては騒がしくなる可能性あり。と言っても50mm F1.8で前ボケが荒れるシチュエーションはそう多くないはず。ただし、状況によっては軸上色収差の色付きが強調される可能性あり(パープルフリンジとして)。

玉ボケ

口径食・球面収差の影響

口径食が強いと、四隅が楕円状に変形したり、部分的に欠けてしまったりします。これを解消するには絞りを閉じるしかありません。しかし、絞ると羽根の形状が見えてしまう場合もあるので状況に応じてF値を変化させる必要あり。

逆に口径食の影響が少ないと、絞り開放から四隅まで円形に近いボケを得ることが出来ます。これは玉ボケに限った話ではなく、一般的な四隅のボケ描写の質感にも繋がります。口径食が強いと、ボケ量が少なく感じたり、四隅のボケが荒れてしまう場合もあるため、口径食の小さいレンズが好ましい。

球面収差の補正が完璧では無い場合、前後のボケ描写に差が発生します。この場合はどちらかが滲みを伴う滑らかな描写になり、反対側で2線ボケのような硬い描写となってしまいます。

実写で確認

「F1.8」の標準単焦点レンズとしてはやや強めの口径食が発生します。円形を維持しているのは中央1/3程度で、像高5割から外側では変形が目立ちます。F4まで絞ると口径食は解消しますが、ボケは小さくなるので注意が必要です。

非球面レンズの研磨状態が良いとは言えず、玉ボケの内側にいわゆる「玉ねぎボケ」と言われる非球面レンズのムラが目立つのは残念なポイント。さらに軸上色収差の補正も完璧ではないため、コントラストが高い場合はボケの縁取りに緑か紫の色付きが発生する可能性が高い。

玉ねぎボケ

ボケが大きい場合は目立ちませんが、中程度の玉ボケをよく見てみると、同心円状のムラが目立ちます(ソニーでは輪線ボケと呼称している模様)。これは非球面レンズの研磨状態が影響している可能性あり。最近のG Masterには輪線ボケが発生しにくい「XAレンズ」を使用していますが、2013年登場のZAレンズにこの技術は使われていません。

ボケ実写

前景・前後・背景

やはり後ボケがとても滑らかで、ダブルガウスの描写とは一線を画す。解像性能や色収差など、他のカテゴリの評価は置いておくとして、このボケ描写に惚れてFE 55mm F1.8 ZAを買うのはアリ。
前述した通り、口径食が強く、隅でボケが騒がしくなる傾向は注意しておいたほうが良いでしょう。ですが、それでもダブルガウスな描写と比べると良好に見えます。

撮影距離1m

中央

撮影距離が近い場合、多くの絞り値で満足のいく後ボケを得ることが出来ます。

四隅

口径食が目立つ四隅も、色収差が目立たず、荒れにくいように見えます。

撮影距離2m

中央

後ボケが少し小さくなっていますが、それでも滑らかな描写に変化はありません。絞っても騒がしくなりにくく、非常に好感の持てるボケに見えます。

四隅

口径食によってボケがさらに小さくなり、場合によって色収差が目に付きます。完璧からは程遠いですが、これ以上に四隅の描写が悪い50mmはいくらでも存在します。

撮影距離5m

全高170cmの三脚を人物に見立てて撮影。絞り開放でボケ量は十分に確保できているように見えます。55mmの全身ポートレートでは自ずと顔がフレーム周辺部となり、背景には少し騒がしいボケ描写が入ります。極端に悪くありませんが、このあたりのボケ質を重視する場合には価格ほどの価値を感じることが出来ないかもしれません。

歪曲収差

歪曲収差とは?

歪曲収差とは、平面上で直線的に写るはずが直線とならずに「歪む」収差です。特に直線が多い人工物や水平線が見えるような場合に目立ちやすい。主に魚眼効果と似た形状の「樽型歪曲」と中央がしぼんで見えてしまう「糸巻き型歪曲」に分かれています。

参考:Wikipedia 歪曲収差

実写で確認

極僅かな樽型歪曲で良好に補正されています。カメラ側の自動補正を適用せずに問題となるシチュエーションは少ない。もともと50mmは歪曲収差が少ない単焦点レンズが多いものの、ミラーレス化である程度の樽型歪曲を残すレンズもあります。その中では積極的に光学補正で歪曲収差を補正しているように見えます。

周辺減光

周辺減光とは?

周辺減光とは読んで字のごとく。フレーム周辺部で発生する不自然な減光のことです。中央領域と比べて光量が少なく、フレーム四隅で露出不足となっていることを指します。主に大口径レンズや広角レンズで強めの減光が発生、ソフトウェアで簡単に補正できる現象ですが、露出不足を増感でカバーするのでノイズ発生の原因となる点には注意が必要。特に夜景で高感度を使う場合にはノイズが強く現れる可能性があります。

実写で確認

最短撮影距離

絞り開放でかなり目立ち、F2.8~F4まで絞ってもいくらか残存しています。光学的に光量落ちを抑えるためにはF5.6まで絞る必要あり。

無限遠

最短撮影距離よりも少し光量落ちが強くなっています。F5.6まで絞っても僅かに光量落ちが残っているので、完璧に抑えたい場合はF8まで絞る必要があります。

コマ収差

コマ収差とは?

コマ収差とは主にフレーム四隅で点像が点像として写らないことを指しています。例えば、夜景の人工灯や星、イルミネーションなど。日中でも木漏れ日などが影響を受ける場合があります。後処理が出来ないため、光学的に補正する必要がある収差。絞ることで改善するものの、夜景や天体撮影など、シャッタースピードが重要となる状況では絞り開放のコマ収差補正が重要となります(絞るとシャッタースピードかISO感度に影響があるため)。

参考:Wikipedia コマ収差

テスト結果

古いガウスタイプの50mm単焦点レンズとくらべると良好ですが、ミラーレス用の少し高価な標準単焦点レンズと考えるともう少し健闘してほしかったところ。ソフトウェアによる補正が難しく、光学的に収差を抑えるためにはF2.8~F4まで絞りたい。

逆光耐性・光条

中央

レンズ枚数が少ないためか、フレアは少なめ。ただし、薄っすらとフレアが発生しているので、シャドウを持ち上げすぎると問題となる可能性あり。さらに絞ると徐々にフレアが顕在化し、風景撮影で多用するであろうF8~F16は注意が必要。

絞り開放はフレアの影響が強く、部分的に低コントラストとなる可能性あり。フレアはF2.8まで絞ると改善するものの、細長く伸びるゴーストは解消せず、絞り値全域で影響を及ぼしています。

光条

光条が発生し始めるのはF4と早いものの、シャープな描写となるのはF8以降。回折の影響も考慮すると最適な絞り値はF8~F16あたり。

総評・作例

肯定的見解

ココがポイント

  • 専用設計の50mm F1.8としては小型軽量
  • スタイリッシュな金属鏡筒
  • スタイリッシュなレンズフード
  • 49mmと小さなフィルター径
  • 静かで十分速いAF
  • 近距離でも良好な中央~周辺の解像性能
  • 絞った際の遠景解像性能
  • 倍率色収差補正が良好
  • 滑らかな後ボケ
  • 光学的に問題の無い歪曲収差
  • 絞ると綺麗な光条

このレンズが登場した2013年当時としては画期的なパフォーマンスの標準 F1.8レンズだったはず。今でこそ解像性能はパッとしないものの、現代の高画素機でも必要十分な性能は備えていると感じるはず。個人的におススメしたいのは、ガウスタイプとは一線を画す滑らかな後ボケ。絞り開放から良好なシャープネスとコントラストを実現しつつ、心地よく滑らかな後ボケは2021年現在でもこのレンズを選ぶ理由となるはず。

批判的見解

ココに注意

  • 比較的高価
  • 絞りリングやAFLボタンなし
  • シーリングなし
  • フォーカスブリージングが目立つ
  • 近距離は絞っても隅の解像性能が伸びない
  • 最短撮影距離が長い・最大撮影倍率が低い
  • 軸上色収差が目立つ
  • 前ボケが少し硬い
  • 玉ねぎボケが場合によって目立つ
  • F1.8としては口径食が強い
  • 周辺減光が目立つ
  • コマ収差の補正が完璧ではない
  • フレーム隅からの逆光でフレアが目立つ

過去のレビューでは解像性能に定評あるレンズでしたが、2021年現在、解像性能目当ててFE 55mm F1.8 ZAを購入するのはコスパが悪い。新品で8万円前後と高価なレンズながら、防塵防滴非対応・絞りリングやAFLボタンが無いなど、操作性が良いとは言えません。高価なレンズながら色収差は残存しており、さらに非球面レンズの影響と思われる輪線ボケが目立ちます。コマ収差も完璧には補正されていないので、夜景で使う場合はいくらか問題を感じるかもしれません。また、比較的構成枚数が少ないものの、逆光耐性は完璧と言えず、状況によってフレアが目立つのはマイナス。

総合評価

管理人
満足度は85点。
後ボケが強みと感じる小型軽量でバランスの良い標準単焦点レンズ。ただし、光学性能や機能性を考慮すると、コストパフォーマンスが良いとは言えない。万人におススメするレンズではありませんが、特徴的な後ボケに価値を見出したら買うしかない。

購入早見表

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作例

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