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LUMIX S 40mm F2 レンズレビュー完全版

このページでは「LUMIX S 40mm F2」のレビューを掲載しています。

LUMIX S 40mm F2 のレビュー一覧

レンズの評価

ポイント 評価 コメント
価格 高すぎず安過ぎず
サイズ 比較的小型
重量 比較的軽量
操作性 絞りリング以外は充実
AF性能 欠点なし
解像性能 F2から安定感のある性能
ボケ ニュートラル・口径食の影響目立つ
色収差 良好な補正状態
歪曲収差 穏やかな糸巻き型
コマ収差・非点収差 F2の四隅で発生
周辺減光 全体的に少し目立つ
逆光耐性 良好な性能
満足度 使い方を選ばない40mm

評価:

ポイント

使い方を選ばない40mm

小型軽量かつ高い耐候性・操作性・画質を実現した40mmレンズ。フォーカス性能も良好で、全体的にバランス良くまとまっています。没個性的な描写ではありますが、被写体やシーンなど撮影条件に左右されない安定感が強み。価格は競合製品より少し高いものの、それだけの価値がある。おススメしやすい優等生レンズ。

A 40mm lens that’s compact, lightweight, and offers excellent weather resistance, ease of use, and image quality. It also delivers solid focusing performance and is well-balanced overall. While its rendering may lack distinct character, its strength lies in its reliability—it delivers consistent results regardless of the subject, scene, or shooting conditions. Although it’s slightly more expensive than competing products, it’s well worth the price. An all-around excellent lens that’s easy to recommend.

まえがき

2026年6月に発売した40mm単焦点レンズ。
標準域の単焦点レンズは2021年発売の「LUMIX S 50mm F1.8」から久しぶりの登場。

重量約144g、全長約40.9mmと非常に小型軽量で「LUMIX S 18-40mm F4.5-6.3」とよく似た形状。LUMIX S9のような小型ボディと相性が良く、小さなカメラバッグでの運用が可能。フルサイズながら携帯性の高いシステムです。

側面にはAF/MF切替スイッチやフォーカスボタンを備え、防塵防滴・耐凍結に対応。小型ながら実用的なレンズとなっています。動画用途にも配慮されており、フォーカスブリージングを抑制、マイクロステップ絞り制御により滑らかな露出変化を実現。写真と動画双方に適した設計のレンズ。

S 26mm F8に次ぐ低価格レンズであり、キットレンズに追加する最初の単焦点レンズとして導入しやすい製品と言えるでしょう。
追記:よく調べてみると「LUMIX S 50mm F1.8」とよく似た価格設定でした。)

主な仕様

レンズマウント ライカL
対応センサー フルサイズ
焦点距離 40mm
レンズ構成 6群7枚
開放絞り F2
最小絞り F22
絞り羽根 7枚
最短撮影距離 0.3m
最大撮影倍率 0.17倍
フィルター径 62mm
手振れ補正 -
テレコン -
コーティング 情報なし
サイズ φ69.4×40.9mm
重量 144g
防塵防滴 防塵防滴・耐寒
AF STM
絞りリング -
その他のコントロール Fnボタン
AF/MFスイッチ
付属品 前後キャップ

価格のチェック

売り出し価格は量販店で5.6万円。
他社の低価格な「50mm F1.8」と比べると少し高めですが、機能強化で価格に説得力を持たせています。ライカLマウントでは「LUMIX S 50mm F1.8」「45mm F2.8 DG」が主な競合製品。

まだラインアップとして存在しませんが、Lマウントアライアンスに参加したVILTROXの「AF 40mm F2.5」「AF 50mm F2」は将来的に強力なライバルとなることでしょう。

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レンズレビュー

外観・操作性

箱・付属品

レンズを梱包している箱としてはコンパクト。
従来の黒を基調としたデザインではなく、梱包を含めて、環境配慮の取り組みにより簡素化。白をベースに深めのグレー一色でプリント、プラスチックの使用量も大幅に削減しています。

緩衝材は入っていませんが、段ボールによる間仕切りで衝撃を緩和する構造。

付属品は前後のキャップ、説明書・保証書のみ。
レンズフードは付属しておらず、対応する純正フードもありません。

外観

プラスチック製の筐体とフォーカスリングで、LUMIX Sシリーズらしい素材・塗装・デザイン。
よく見るとS 50mm F1.8を前後から潰したような外観。

堅牢さに不安はありませんが、5万円台の販売価格を考慮すると少し安っぽい(プラスチック感が強い)。グリップの良好なゴム製リングがあると良かった。

焦点距離やレンズロゴなどは基本的にプリントですが、大きく表示された焦点距離「40mm」の部分は刻印のうえから塗装されています。

ハンズオン

質感は価格を考慮すると少し安っぽいですが、防塵防滴・フッ素コーティングなど信頼性に不満はありません。

  サイズ 重量
S 40mm φ69.4×40.9mm 144g
S 18-40 φ68×41mm 155g
S 50 Φ73.6×82.0mm 300g
45 DG φ64.0mm×46.2mm 215g
VILTROX 50 φ65×56.5mm 220g

シグマ「45mm F2.8 DG」やVILTROX「AF 50mm F2」よりも小型軽量。これでF2の開放F値と防塵防滴仕様を両立しているのは強み。

前玉・後玉

前面の小さなレンズにはフッ素コーティングが施されています。水滴や油汚れの付着時にメンテナンスがしやすい。

とはいえ、物理的な接触による傷や粉塵などのダメージが予想できる環境であれば、プロテクトフィルターを装着したほうが良いでしょう。

対応フィルター径は62mmと珍しく、LUMIX Sシリーズでは本レンズと18-40mmのみ。
汎用性は低いものの、今後は62mmフィルター径で小型軽量なレンズが増えると期待したいところ。

前面にはレンズ名がプリントされていますが、反射を抑えたダークグレーのカラーリングでフィルター面への写りこみを抑制しています。

小さな前面レンズと比べて、最後尾のレンズは大きめ。フレアカッターはありませんが、反射防止のため周囲は適切な黒塗り仕様。

金属製のレンズマウントは5本のネジで本体に固定されています。マウントの周囲には防塵防滴用のシーリングあり。レンズマウントの製造国表示は中国。

フォーカスリング

プラスチック製フォーカスリングを搭載。競合他社の純正レンズよりもトルク感が重めですが、滑らかに回転します。ソニーのようなゆるゆるの操作性ではなく、キヤノンやニコンよりも使いやすい。

リングの応答性はカメラ側で調整可能。「ノンリニア」「リニア」を切り替えることができ、リニア時の操作角度も調整可能。リニア時の再現性はとても良好でした。

スイッチ

左側面にAF/MFスイッチとFnボタンを搭載。コントロールの少ないLUMIX S9で重宝します。

Fnボタンは厚手の手袋装着時は押しにくいかもしれません。AF/MFスイッチは適度な抵抗感でしっかり切り替えることが出来ます。

レンズFnボタンの登録機能を変更するにはカメラ側の「Fnボタン設定」ではなく、「レンズFnボタン設定」という設定項目を使います。AF停止やAF、AFポイントスコープなどを利用可能。

レンズフード

レンズフードは付属していません。純正別売りフードもありません。
必要に応じて社外製の62mmねじ込みフードを導入します。

私はF-Fotoの62mm円形フードを購入。
フード側にフィルターを装着できるため、全長の変化を抑えつつ前玉を保護することが可能。浅底のため、S 18-40mm用としてもケラレなく使うことができます。

装着例

LUMIX S9に装着。
S9用に開発されたレンズと言っても過言ではない携帯性。これをカメラと同時にリリースしてほしかったところ(できればレンズキットとして)。

ボディからレンズの突出は最小限。LEICA Qのようなレンズ固定式カメラに見えなくもない。

LUMIX S5IIと組み合わせてもコンパクトです。

AF・MF

フォーカススピード

フォーカスユニットはステッピングモーター駆動。
18-40mmよりもキビキビとしたAF速度で動作します。開放F値が小さく、低照度でも比較的安定して合焦します。

(画質が低下しやすい)近距離フレーム隅でも大きな問題はありません。

ブリージング

ブリージングとはピント位置によって画角が変化することを指します。画角の変化が大きいと、フォーカシングで画角が広がったり狭くなったりするので気が散ったり、AFが不安定化する原因となります。出来ればフォーカシングブリージングは無い方が良い。今回はブリージングの影響を確認するために、レンズを最小絞りまで絞り、最短撮影距離・無限遠で撮影した結果が以下の通り。

この価格帯の明るい単焦点レンズとしてはフォーカスブリージングが良く抑えられています。画角の変化がほとんど無いため、フレーム隅を使ったAFが安定しているように感じました。

精度

LUMIX S5II・LUMIX S9との組み合わせで問題はありません。合焦位置の再現性も良く、結果に大きな乱れはありません。

MF

前述したように、カメラ側で応答性を調整可能。好みの操作感に設定することが出来ます。

マクロ

最短撮影距離 最大撮影倍率
S 40 0.3m 0.17倍
S 50 0.45m 0.14倍
45DG 0.24m 0.25倍

シグマ 45mm F2.8 ほど「寄りやすいレンズ」ではありませんが、S 50mm F1.8 よりもクローズアップしやすい適度な撮影倍率・最短撮影距離です。

解像力チャート

撮影環境

テスト環境

  • カメラボディ:LUMIX S5II
  • 交換レンズ:LUMIX S 40mm F2
  • パール光学工業株式会社
    【HR23348】ISO12233準拠 8K解像力テストチャート(スチルカメラ用)
  • オリンパス HYRes 3.1 解析ソフト
  • 屋内で照明環境が一定
  • 三脚・セルフタイマー10秒・電子シャッター
  • RAW出力
  • ISO 100 固定
  • Adobe Lightroom Classic CCでRAW現像
    ・シャープネス オフ
    ・ノイズリダクション オフ
    ・色収差補正オフ
    ・格納されたレンズプロファイル(外せない)
  • 解析するポイントごとにピントを合わせて撮影
    (像面湾曲は近接で測定が難しいので無限遠時にチェック)
  • 近接でのテストであることに注意(無限遠側はさらに良好となる可能性あり)

補足

今回はRAW出力を元にしてシャープネスをオフの状態で検証。ボディ出力のJPEGやRAW現像でシャープネスを整えるとより数値が向上する可能性あり。今回の数値はあくまでも「最低値」とお考え下さい。

テスト結果

2400万画素

中央から隅に向かって画質の低下があるものの、極端ではなく、弱点と指摘するほどソフトな部分はありません。絞ることにより改善はほとんど無く、絞りに関わらず描写は一定。この価格帯の標準レンズとしては安定感のある性能です。

ハイレゾモード

ハイレゾモード時も傾向は同じ。絞っても大きな変化はありません。被写界深度や露出の調整で絞りを使えば良さそうです。

中央

周辺

四隅

数値確認

2400万画素
Center Mid Corner
F2.0 3183 2707 2373
F2.8 3183 2841 2373
F4.0 3385 2809 2425
F5.6 3481 2912 2604
F8.0 3450 3091 2618
F11 3284 3014 2527
F16 3464 2879 2399
F22 2707 2677 2614
9600万画素
Center Mid Corner
F2.0 4386 3472 3481
F2.8 4536 3984 3555
F4.0 4436 3932 3542
F5.6 4538 4097 3529
F8.0 4633 4166 3968
F11 4592 4269 4084

競合製品比較

当ブログにおける40mm関連レンズのテスト結果を掲載。テスト機が異なるので直接の比較はできませんが、傾向について推し量ることは出来ます。

LUMIX S 40mm F2 はF2から全体的に安定しています。安価な標準レンズに多い「近距離で周辺画質の大幅低下」はありません。価格は若干高めですが、価格差を正当化できる性能だと思います。

ただし、「中央から隅まで一貫した画質」という観点では絞っても改善しません。使いやすいレンズですが、絞りによる描写の変化を期待していると肩透かしとなります。

遠景解像力

テスト環境

  • 撮影日:2026.6.19 晴れ 微風
  • カメラ:LUMIX DC-S5M2
  • 三脚:SIRUI AM324
  • 雲台:アルカスイスZ1+
  • 露出:ISO 100 絞り優先AE
  • RAW:Adobe Camera RAW
  • シャープネスオフ
  • ノイズリダクションオフ
  • レンズ補正オフ

テスト結果

中央

絞り開放から非常に良好ですが、コントラストが若干低い。F2.8まで絞ると改善、回折の影響を受けるまでピークの画質を維持しています。

周辺

中央とほぼ同じ傾向。F2で諸収差の影響を僅かに受けているように見えます。実用的な画質ですが、細部のピークはF2.8-4.0まで絞ったとき。

四隅

絞り開放から非常に良好です。周辺と同じくF2.8で画質が少し改善します。

像面湾曲

像面湾曲とは?

像面湾曲とは、本来は平らなはずのピント面が、レンズの特性によって曲面になってしまう収差。

理想的なレンズでは、平らな被写体を撮影した際に画面全体へ同じようにピントが合う。しかし、像面湾曲があると、中央にピントを合わせたときに周辺がぼやけたり、逆に周辺へピントを合わせると中央がぼやけたり。

例えば、壁や新聞、建物の正面など平面的な被写体を撮影すると、中央はシャープなのに四隅だけ甘く見えることがあります。この場合、レンズの解像性能が低いのではなく、ピント面が湾曲していることが原因の可能性あり。また、像面湾曲には内側へ曲がるものと外側へ曲がるものがあり、レンズによって傾向が異なる。

像面湾曲は画面の隅に向かうほど影響が大きくなるため、風景や建築写真では重要な性能項目の一つ。一方、ポートレートや近接撮影では必ずしも欠点とは限らず、被写体の立体感や独特の描写に寄与することも。

なお、像面湾曲はピント位置の問題であり、色収差や歪曲収差とは異なります。また、レンズを絞ると被写界深度が深くなるため影響が目立ちにくくなる。レンズレビューで「像面湾曲が少ない」と評価される場合、画面中央から周辺まで均一なピント面を維持しやすく、風景や建築物をシャープに撮影しやすいことを意味する。

参考:ニコン 収差とは

ピント面が分かりやすいように加工しています。

実写で確認

F2の絞り開放から大きな問題はありません。ピント面はフラットで使いやすい結果が得られます。

倍率色収差

倍率色収差とは?

倍率色収差とは、レンズが光の色によって異なる倍率で像を結んでしまう現象。その結果、画像の色ごとの大きさがわずかに異なり、被写体の輪郭部分に色のずれが発生。

軸上色収差がピント位置の前後で起こるのに対し、倍率色収差は主に画面周辺で目立つ。例えば、建物の輪郭や電線、木の枝などの境界部分に、赤や紫、青、緑などの色の縁取りなど。画面中央ではほとんど見えないものの、周辺へ行くほど目立ちやすくなるのが特徴。

倍率色収差は絞りを変えてもほとんど改善しないため、レンズ設計による補正が重要。一方で、軸上色収差と異なり、デジタル補正との相性が良く、多くのミラーレスカメラや現像ソフトでは自動補正容易。そのため実際の撮影では大きな問題になりにくい場合も多い。

ただし、高解像モデルで風景や建築物を撮影する際には解像感の低下につながる可能性あり。レンズレビューで「倍率色収差が良好に補正されている」と評価される場合、画面周辺でも色の縁取りが少なく、被写体の輪郭をより正確かつシャープに描写できることを意味しています。

参考:ニコン 収差とは

実写で確認

倍率色収差は良好に補正されています。

軸上色収差

軸上色収差とは?

軸上色収差とは、レンズが光の色ごとに異なる位置へピントを結んでしまう現象。光には赤や緑、青などさまざまな色が含まれており、レンズを通ると色によって曲がり方がわずかに異なる。そのため、ある色にピントが合っていても別の色は前後にずれ、画像に色のにじみが発生。

軸上色収差は主にピント面の前後に現れ、ピントより手前では紫色やマゼンタ色、奥側では緑色のにじみとして見えることが多い。特に開放F値の明るいレンズや望遠レンズで目立ちやすく、金属の反射部分や白い文字、逆光の被写体など高コントラストな場面で確認しやすい。

また、画面中央でも周辺でも発生するため、絞りを開けた状態では画面全体の解像感やコントラストを低下させる原因となる。一般的にはレンズを1~2段ほど絞ると大幅に改善。近年の高性能レンズでは特殊低分散ガラスなどを使用して補正されているものの、完全にゼロにすることは難しい。レンズレビューで「軸上色収差が少ない」と評価される場合は、ピント面前後の色にじみが少なく、よりシャープな描写が期待できるという意味。

参考:ニコン 収差とは

実写で確認

完璧な補正状態ではないものの、F2から影響は軽微。実写でも極端に目立つシーンはありませんでした。

歪曲収差

歪曲収差とは?

歪曲収差とは、被写体の形そのものが変形して写る現象。レンズの解像力やピントとは別の問題で、直線であるはずのものが曲がって記録されるのが特徴。

代表的なものは「樽型歪曲」と「糸巻き型歪曲」。樽型歪曲では画面中央から外側へ向かって線が膨らみ、建物の壁や地平線が外側へふくらんで見える。一方、糸巻き型歪曲では線が内側へ引っ張られたように曲がる。また、ズームレンズでは広角側で樽型、望遠側で糸巻き型になることも多い。

歪曲収差は特に建築物や室内、風景写真など、直線が多い被写体で目立ちやすい。人物撮影では気付きにくい場合もありますが、画面周辺に人物を配置すると体形や顔の形がわずかに変形して見える可能性あり。

他の収差と異なり、歪曲収差は画面のシャープネスや色にじみにはほとんど影響しません。そのため、近年のミラーレスカメラや現像ソフトではデジタル補正が広く利用されており、多くのレンズで自動的に補正されています。

レンズレビューで「歪曲収差が少ない」と評価される場合は、建物や水平線などの直線を自然な形で再現できることを意味しています。一方、歪曲収差をソフトウェア補正する前提で設計されたレンズも多く、実写では大きな問題にならない場合も少なくない。

参考:ニコン 収差とは

実写で確認

未補正の場合は穏やかな糸巻き型歪曲です。修正前でも無視できる程度。修正後はほぼゼロ。

Before imageAfter image

コマ収差

コマ収差・非点収差とは?

コマ収差とは、画面周辺の点光源が彗星(Comet)のように尾を引いた形に変形して写る現象。名称の「コマ」は英語の Coma(彗星)に由来。

本来、星や街灯のような点光源は丸い点として写るべきところ、コマ収差が大きいレンズでは画面周辺で三角形や鳥が羽を広げたような形に崩れる。特に画面の隅に近づくほど目立ちやすい。

コマ収差は星景写真や夜景撮影で重要な性能項目。例えば、画面中央の星はきれいな点に写っていても、四隅の星が流れたような形に。昼間の撮影では気付きにくいものの、夜間の点光源では容易に確認可能。

一般的にはレンズを少し絞ることで改善。レンズレビューで「コマ収差が良好に補正されている」と評価される場合、画面周辺の星や街灯も点に近い形で再現できることを意味しています。

参考:ニコン 収差とは

実写で確認

F2のフレーム隅でやや目立つコマ収差が発生。これはF4まで絞ることでほぼ改善します。

球面収差

球面収差とは

球面収差とは、レンズの中心を通る光と周辺を通る光が異なる位置でピントを結んでしまう収差。その結果、ピントが合っているはずの部分でも像がわずかににじみ、シャープさやコントラストが低下。

理想的なレンズでは、すべての光が同じ位置に収束。しかし実際のレンズは、中心付近を通る光と周辺部を通る光の集まり方が異なるため、一点に完全には集まりません。

球面収差が大きいレンズでは、開放F値で撮影した際に全体が少し柔らかく見えたり、光がにじんだような描写。特にポートレート用レンズでは、この特性を活かして肌をなめらかに見せる場合もあります。一方、風景や建築写真では解像感の低下につながるため、できるだけ少ないことが望ましい。

球面収差は前ボケと後ボケの見え方にも大きく影響。球面収差の補正状態によってボケの柔らかさや輪郭の強さが変化するため、レンズごとの描写の個性を生む要素の一つ。

一般的にはレンズを絞ることで周辺光線が制限され、球面収差は大幅に改善。レンズレビューで「球面収差がよく補正されている」と評価される場合は、開放F値から高い解像感とコントラストを得やすいことを意味します。一方で、あえて球面収差を少し残すことで、柔らかく自然なボケ描写を実現しているレンズも存在。

実写で確認

前後のボケ質に大きな差はありません(若干の違いはある)。解像性能などのテスト結果も考慮すると、球面収差を良好に補正していると言えるでしょう。

NIKKOR Z や TTArtisan、VILTROX の40mmよりも適切な補正状態。F2から癖が少なく、使いやすい描写となるはずです。

前後ボケ

綺麗なボケ・騒がしいボケとは?

綺麗なボケとは、輪郭が目立たず、背景がなめらかに溶けるような描写。被写体が背景から自然に浮かび上がり、見る人の視線を主題へ導きやすい。ポートレートや花の撮影で好まれることが多く、「柔らかいボケ」「なめらかなボケ」と表現される場合もある。

騒がしいボケとは、背景の輪郭や模様が強調されて見えるボケ。木の枝や葉、フェンスなど細かな模様が二重線になったり、ざわついた印象になったりする。背景が目立ちすぎるため、主題への視線が分散することがあります。

ボケの良し悪しは単純に明るいレンズほど優れるわけではなく、球面収差の補正状態やレンズ構成、絞り羽根の形状などによって変化します。また、撮影距離や背景との距離によっても印象は大きく変わります。

ボケの評価には好みも大きく関係。一般的にはなめらかなボケが高く評価されることが多いものの、被写体や作品の雰囲気によっては、少し騒がしいボケが独特の立体感や個性を生む場合もあります。そのため、ボケの質はレンズの性能だけでなく、写真表現の一部として捉えることが重要。

後ボケ

軸上色収差の影響が少しありますが許容範囲内。
ボケは縁取りが目立たず滑らか。球面収差を活かした滲むような描写ではないものの、癖が無く使いやすい。

前ボケ

後ボケより少し硬い部分があるものの、基本的にはニュートラル。前後のボケ質に大きな差がなく使いやすい描写です。気になる場合も少し絞れば問題ないはず。

玉ボケ

口径食・球面収差の影響

玉ボケとは、背景や前景にある小さな光源が、丸い光の円として写るボケ表現のこと。夜景のイルミネーションや木漏れ日、水面の反射などでよく見られる。一般的に、明るいレンズほど大きな玉ボケを作りやすく、背景を印象的に演出できるため、ポートレートやスナップ撮影で人気がある。

理想的な玉ボケは、円形で輪郭が目立たず、内部の明るさが均一な状態で。しかし実際にはレンズ設計の影響により、さまざまな特徴が現れることがある。例えば、輪郭が明るく縁取られた玉ボケは背景が騒がしく見えやすく、内部に同心円状の模様が現れるものは「玉ねぎボケ」と呼ばれる。

また、画面周辺では玉ボケが円形を保てず、楕円形や猫の目のような形に変形することがある。これは周辺部で光が一部遮られるためで、「口径食」と呼ばれる現象によるもの。

実写で確認

F2の絞り開放で縁取りが少し目立つ描写。四隅に向かって縁取りが強くなります。気になる場合、F2.8まで絞るとほぼ解消。

口径食は隅に向かって目立つものの、小型軽量な明るいレンズとして予想の範囲内。過度に目立つことはありません。

ボケ実写

至近距離

至近距離では粗が目立たず、全体的に滑らかな描写。至近距離でも球面収差は穏やかで、被写体をにじませるような収差はありません。ピント直後の描写が少し柔らかいくらい。

近距離

フレーム周辺部のボケが部分的に硬くなりますが、広い範囲は滑らかで綺麗な描写です。隅が気になる場合も少し絞れば解消します。

中距離

縁どりが強くなる領域が広くなりました。
それでも色収差の影響が少なく、縁どりが極端に強いわけでもありません。許容範囲内。

ポートレート

全高170cmの三脚を人物に見立て、絞り開放(F2.8)で距離を変えながら撮影した結果が以下の通り。

フレームに全身を入れても背景を少しぼかすことが出来ます。この際のボケ質は良好と言えませんが、ボケが小さいので粗が目立ちにくい。膝上あたりまで近寄った際はボケ質とサイズのバランスから悪目立ちする可能性あり。少し絞るのも一つの手。上半身やバストアップまで近寄ると、問題は緩和します。

問題を感じる領域が狭く、この価格の標準レンズとしては使い勝手が良好。

周辺減光

周辺減光とは?

周辺減光とは、画面の中央に比べて四隅や周辺部分が暗く写る現象。英語では「ビネッティング(Vignetting)」とも呼ばれる。

本来は画面全体が同じ明るさで写るのが理想ですが、レンズの構造上、周辺部へ届く光の量が中央より少なくなることがあります。その結果、写真の四隅がわずかに暗くなり、特に青空や白い壁など均一な被写体を撮影すると目立ちやすい。

周辺減光は広角レンズや大口径レンズで発生しやすく、開放F値付近で最も強く現れることが多い。レンズを1〜2段ほど絞ると改善する場合が多く、近年のミラーレスカメラではソフトウェア補正によって自動的に軽減。

一般的には欠点として扱われるものの、必ずしも悪い現象とは限りません。画面の四隅が暗くなることで視線が中央へ集まりやすくなり、ポートレートやスナップ写真では雰囲気作りに役立つ場合もあります。そのため、あえて補正せずに利用する写真家もいるくらい。

ソフトウェアで簡単に補正できる現象ですが、露出不足を後処理の補正(増感)で補うため、センサー由来のノイズが発生する原因となる点には注意。特に夜景や星空の撮影などで高感度ISOを使う場合はノイズが強く現れる可能性あり。

最短撮影距離

F2で少し目立ちますが、F4まで絞るとほぼ改善します。

無限遠

最短撮影距離よりも影響が強く、四隅はさらに暗い。F4まで絞っても影響が少し残ります。

逆光耐性

逆光耐性とは

逆光耐性とは、太陽や強い照明が画面内、または画面のすぐ外にある状況で、画質をどれだけ維持できるかを示す性能。

逆光下では、レンズ内で光が反射・散乱することで「フレア」や「ゴースト」が発生。フレアは写真全体が白っぽくなってコントラストが低下する現象で、ゴーストは光源の形をした模様や色付きの像が画面内に現れる現象。

逆光耐性が高いレンズは、強い光源が画面内にあってもコントラストや色の再現性を維持しやすく、フレアやゴーストの発生も少ない。近年のレンズでは特殊コーティングの採用により大幅改善。

ただし、逆光耐性が優れていても完全にフレアやゴーストをなくすことは難しい。特に超広角レンズやズームレンズでは光学設計上の制約から発生しやすい場合があります。

レンズレビューで「逆光耐性が優秀」と評価される場合、太陽を画面に入れた撮影でも画質の低下が少なく、安定した描写が期待できることを意味しています。

中央

完璧ではないものの、強い光源を正面から撮影してもフレア・ゴーストの影響は僅か。絞るとゴーストが増えるものの、許容範囲内に見えます。

光源を隅に移動すると、絞り値に関係なく問題ありません。逆光耐性はとても良好です。

光条

光条とは

光条とは、太陽や街灯などの強い点光源から放射状に伸びる光の筋のこと。英語では「サンスター(Sunstar)」とも呼ばれる。

光条は主にレンズを絞ったときに発生しやすく、絞り羽根の枚数や形状によって見え方が変化。例えば、夜景の街灯が星のように見えるのは光条の効果によるもの。

光条がシャープで均一なレンズは、風景写真や夜景写真を好む撮影者から高く評価されます。一方、光条が太かったり不揃いだったりすると、見栄えがやや不自然。

一般的に開放F値では光条はほとんど目立たず、F8〜F16程度まで絞ると現れやすくなる。ただし、絞りすぎると回折の影響で解像感が低下するため、光条の強さと画質のバランスを考慮する必要があります。

レンズレビューで「美しい光条が得られる」と評価される場合、夜景やイルミネーション撮影で点光源を印象的に表現しやすいことを意味しています。逆に「光条が不規則」と評価される場合、光の筋の長さや形が揃わず、やや雑然とした印象になることを示しています。

実写で確認

F8.0から光条が徐々に発生し始めています。F11で既に先細りするシャープな描写。7枚羽根のため、9枚羽根よりも光条の筋が密集しておらず見栄えが良い。

まとめ

良かったところ

ココがおすすめ

  • LUMIX S シリーズとしては手頃な価格
  • 防塵防滴・フッ素コーティング仕様
  • 小型軽量
  • 良好かつ豊富なコントロール
  • 十分に高速なAF
  • フォーカスブリージングが目立たない
  • 絞り開放から安定した解像性能
  • 像面湾曲の問題なし
  • 色収差が穏やか
  • 歪曲収差が無視できる程度
  • 球面収差を良好に補正
  • ニュートラルで滑らかなボケ
  • 逆光時にフレア・ゴーストが穏やか
  • 絞った際の光条が綺麗

小型軽量かつ(LUMIX S としては)手頃な価格の40mm F2であると同時に、F2から安定した光学性能を実現。個性的・特徴的な性能・スペックではないものの、実用的で使い勝手の良いレンズです。

描写に癖が無いので、被写体やカラー・トーンの相性を気にせず使うことができます。

良くなかったところ

ココに注意

  • レンズフード非対応
  • 絞っても解像性能の均質性が向上しない
  • フレーム隅のコマ収差が少し目立つ
  • 周辺減光が少し目立つ

良好な光学性能であるがゆえに、個性が控え目なレンズです。「何気なく撮ったらハッとした写り」「夢のようなボケ」「パンチのある解像性能」など強い特性を持つレンズではありません。人によっては「平凡な写り」「飽きる」と感じるかもしれません。それほど使いやすいレンズです。

結論

小型軽量かつ高い耐候性・操作性・画質を実現した40mmレンズ。フォーカス性能も良好で、全体的にバランス良くまとまっています。没個性的な描写ではありますが、被写体やシーンなど撮影条件に左右されない安定感が強み。価格は競合製品より少し高いものの、それだけの価値がある。おススメしやすい優等生レンズ。

LUMIX S 40mm F2 ブラック
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LUMIX S 40mm F2 シルバー
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購入を悩んでいる人

45mm F2.8 DG DN

開放F値は1段暗くなるものの、絞りリングを搭載した高級感のある外装が特徴の45mmレンズ。LUMIX Sよりも撮影距離による収差変動が大きく、近距離でやや低下気味。そのぶん、背景を柔らかくぼかせる性質を備えています。これはこれでアリ。

新モデル

45mm F2.8 DG Leica L Black
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45mm F2.8 DG Leica L Silver
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45mm F2.8 DG Sony E
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旧モデル

45mm F2.8 DG DN Leica L
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45mm F2.8 DG DN Sony E
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TTArtisan AF 40mm F2

スペック的に直接の競合製品。
比較的安いものの、シグマと同じく近距離でパフォーマンス低下が目立ちます。それ以外はまずまず良好。防塵防滴非対応やAF性能、逆光耐性など、LUMIX S と比べると見劣りする点が多いものの、価格を重視する場合は一つの選択肢となります。

TTArtisan AF 40mm F2
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焦点工房 PERGEAR    

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購入早見表

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作例

オリジナルデータはFlickrにて公開

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