Dustin Abbottがタムロン「35-150mm F/2-2.8 Di III VXD」のレビューを公開。大きく重いレンズながら、全体的にシャープで、コントラストの高いレンズに仕上がっていると評価しています。
Dustin Abbott:Tamron 35-150mm F2-2.8 VXD (A058) Review
レンズの紹介:
- 24-70mm F2.8と70-200mm F2.8の2本を一つにまとめることが出来る、これまでに無いズームレンズだ。24-70mmほど広くなく、70-200mmほど長くないレンズだが、どちらの場合にも十分に機能するものだ。
- 小型でも安価でもなく、いくつか欠点があるものの、致命的なものは無いと確信している。
ビルドクオリティ:
- USB-Cポートを搭載している。レンズドック無しでレンズのカスタマイズが可能だ。
- 珍しくロック構造を備えたレンズフードが付属する。
- 82mmと大きなフィルター径を採用している。
- 最新レンズで外観を改善している。少し光沢のある仕上がりで、指紋やスレに耐性があるように見える。
- 一見するとアルマイト処理の金属外装に見えるが、プラスチックパーツを使用していると思う。
- レンズマウントの防塵防滴仕様に加え、内部にも耐候性を備えている。さらに前面はフッ素コーティング処理され、メンテナンスが簡単だ。
- 三脚リング・三脚座には対応していない。問題は無いが、ズームすると重心が前方へ移動し、雲台や三脚にストレスがかかる。
携帯性:
- 多くの人が予想していたよりも大きなレンズだ。
- 確かに大きなレンズだが、劇的なサイズではない。70-180mm F2.8と比べて少し長く、かなり重い。
- 実際、「FE 70-200mm F2.8 GM OSS II」よりも120g重いが、かなり短い。
- このレンズはトラベルズームではなく、2本のレンズの一つにまとめて、イベントやポートレートなど多目的に使えるレンズである。
- 重いレンズだが、何時間もの手持ち撮影で不快と感じることは無かった。(念のために付け加えておくと、私は重い機材に慣れている。)
操作性:
- 縦位置・横位置どちらでも使いやすいように、3カ所にAFLボタンを配置している。
- AF/MFスイッチのほか、カスタマイズ可能な2つ目のスイッチを搭載している。
- カスタムスイッチはUSB-Cポート経由でカスタマイズ可能だ。A-Bフォーカスやプリセットフォーカス、絞りリングへの切替などに設定変更が可能だ。
- ズームレンズのロック機構を備えているが、ロックせずとも自重落下の兆候は見られなかった。
- ズームリングとフォーカスリングを搭載しているが、他のタムロンレンズと配置が逆になっている。
- ズームリングは少し重いがとても滑らかに回転する。4.5cmほどの内筒にガタツキは見られない。
- フォーカスリングはズームリングよりも幅広い。位置だけでなく、サイズも異なるので混乱しやすい。
- フォーカスリングのレスポンスはUSB-C経由でのカスタマイズでリニア・非リニアを変更することが可能だ。
オートフォーカス:
- リニアモーター駆動を採用したオートフォーカスはとても良好だ。
- 瞳AFや動物瞳AFも良好に機能する。
- カジュアルなスポーツ撮影でも問題なく機能した。
- 動画撮影でも信頼性のあるフォーカスが可能だ。
- フォーカスブリージングの量は平均的だ。ある程度は発生するが、目立たない。
- 最短撮影距離は広角側と望遠側で異なる。
- 最大撮影倍率は広角端で0.18倍、望遠端で0.17倍だ。どちらも抜群のクローズアップ性能では無いが、十分に役立つ撮影倍率だ。
マニュアルフォーカス:
手ぶれ補正:
- 光学手ぶれ補正は搭載していない。
解像性能:
- 35mmの中央はとても良好で、F2.8まで絞るとさらにシャープとなる。この際は中間域まで完璧だが、隅はMTF通り低下する(それでもきちんとした性能だ)。F5.6まで絞ると全体的に見栄えが良くなる。
- 50mmの中央はF2.2の絞り開放で良好だが、F2.8まで絞ると際立ったシャープネスとなる。これは中間域にも当てはまり、隅も少しシャープだ。
- 70mmの絞り開放はF2.5となり、中央は少し低下するが、端は逆に改善する。
- 85mmの絞り開放はF2.8となるが、全体的に絞り開放から並外れたシャープネスだ。
- 100mmでも非常に良好だ。隅は少しソフトになるが、F4で見栄えが良く、F5.6で非常に良好だ。
- 135mmも引き続き良好だ。
- 150mmの結果も良好で、70-180mm F2.8の望遠端よりも良好に見える。
- 驚く程シャープで、高コントラストなレンズだ。
- 接写時の解像性能は広角・望遠どちらも良好だ。
像面湾曲:
- 記載なし。
ボケ:
- 9枚の絞り羽根は2段絞るとまで円形と言われており、実際に私もそう思う。
- 全体的にボケは心地よいが、いくつかのショットでは周辺部が渦巻き状となった。
色収差:
- ハイライトでも軸上色収差の痕跡はほとんど無い。
球面収差:
- 記載なし。
歪曲収差:
- 35mmでは穏やかな糸巻き型となる。
- 70mmでは歪曲が増加する。
- 150mmも70mmと同じ歪曲収差だ。
周辺減光:
- 35mmで2段弱の光量落ちが発生するが、本当に補正が必要とは感じなかった。
- 70mmでは光量落ちが減少する。
- 150mmの光量落ちは35mmと似ている。
コマ収差:
- 35mm F2でわずかにコマ収差が見られるが、全体的に肯定的な評価となる。
逆光耐性:
- 絞ると見栄えの良い光条が発生する。
- 逆光耐性はこのレンズの弱点だ。BBAR-G2コーティング処理されているが、一定方向の太陽光が入るとフレアが発生する。一部のポートレートフォトグラファーにとって大きな問題となるかもしれない。
総評
このレンズが大好きだ。大きく重く高価なレンズだが、ジャンルを超えた絞りとズームレンジは、ウェディングやイベント、ポートレートフォトグラファーにとって全く新しい可能性が開かれる。また、オートフォーカスや機能性が素晴らしく、ビルドクオリティや耐候性も良好だ。逆光耐性は一部の状況で弱点となるが、それでも良くなる場合もある。
問題は「28-75mm F/2.8 Di III VXD G2」「70-180mm F/2.8 Di III VXD」が差額200ドルで手に入ることだが、それでも二つのレンズを一つにまとめることが出来るのは魅力的だ。多くの人が歓迎するレンズとなるだろう。
- 長所:
・画期的で実用的なズームレンジ
・大口径
・11点の防塵防滴
・フッ素コーティング
・新しい外装デザイン
・強力なVXDモーター駆動
・USB-C経由のカスタマイズ性
・ビルドクオリティと操作性
・高速で静かなAF
・全域で強力な光学性能
・並外れたコントラスト
・優れた色収差補正
・見栄えの良いボケ- 短所:
・大きく重い
・ズームリングとフォーカスリングの配置
・三脚リング非対応
・手ぶれ補正なし
・逆光耐性
とのこと。
大きく、重いレンズながら、優れた光学性能を備えた大口径ズームレンズに仕上がっている模様。6100万画素のα7R IVを使用してテストしたSony Alpha Blogよりも解像性能の評価が全体的に高い。5000万画素のα1や4200万画素のα7R IIIであれば、絞り開放から快適に使うことが出来そう。
確かに重いレンズですが、24-70mm F2.8と70-200mm F2.8を交換しながら撮影するよりも、刻々と変わるシャッターチャンスに柔軟な対応が出来そうです。ボケ味もかなり良さそうですね。
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