Dustin Abbottがシグマ「50mm F1.4 DG DN」のレビューを公開。周辺減光と歪曲収差が補正必須となっているものの、良好な解像性能やボケ、サイズや価格設定のバランスを高く評価しています。
Dustin Abbott:Sigma 50mm F1.4 DG DN ART Review
外観・構造:
- とても良好なビルドクオリティで、G Masterとほぼ同等だ。
- 防塵防滴仕様で前面はフッ素コーティング加工が施されている。
- Artレンズらしくパッド入りの素敵なレンズケースが付属する。
- レンズフードはロック構造付きだ。
- 製造国は日本である。
携帯性:
- 一眼レフ用レンズと比べてサイズと重量が大幅に改善している。
- 85mm F1.4 DG DNほど劇的なサイズダウンではないが、50mm F1.4 DG HSMのようなサイズではない。
操作性:
- 1/3段刻みで動作する絞りリングを搭載している。クリックを解除したり、Aポジションでロックすることが可能だ。
- AF/MFスイッチとAFLボタンを搭載している。
- フォーカスリングは幅広く、良好な抵抗感の素晴らしい動作だ。電子制御だが、本物に近い操作性が得られる。
フォーカス:
- シグマが新しく導入したHLA方式のAF駆動を採用している。
- 大口径レンズながら瞬間的に動作し、ステッピングモーター駆動よりも確実に改善している。
- 様々な撮影距離で完璧な結果を得ることが出来た。
- 動画AFも滑らかに動作するが、フォーカスブリージングが目立つ。そして、ソニー純正レンズと異なりブリージング補正に対応していない。
- α1やα9の最高の連写速度には非対応だ(15fpsに制限される)。
- 最短撮影距離は0.45m、最大撮影倍率は0.15倍だ。50mmレンズとしては平均的で、G Masterほどではない。
手ぶれ補正:
- 記載なし。
解像性能:
- α1でテストした。
- F1.4からとても良好な中央性能、抜群の周辺性能、強力な四隅の性能だ。
- F2まで絞ると全体的に改善するが、最も顕著な改善は中央で見られる。
- ポートレートではF1.4から十分な解像感だ。
- 5000万画素のカメラでピークはF4となる。
像面湾曲:
- 記載なし。
ボケ:
- 口径食により玉ボケが変形しているが、F2まで絞ると改善する。
- 解像性能の良いレンズだが、ボケはとても良い感じだ。
- 後ボケは完璧な滑らかさとは言えないが、気が散るほどでもない。
- F1.2 GMほど魔法のような描写ではないものの、コストパフォーマンスは良い。
色収差:
- 軸上色収差がわずかに目に付いた。
- 倍率色収差はほとんど見られない。
球面収差:
- 記載なし。
歪曲収差:
- 糸巻き型歪曲が残っている。
- Lightroomのスライダーで-5の補正量が必要だった。
- G Masterよりも少し悪いが、極端に悪化しているわけではない。
周辺減光:
- 周辺減光はF1.4で目立ち、Lightroomのスライダーで+71の補正量が必要だった。
- 目立つが簡単に補正可能だ。
コマ収差:
- コマ収差は目立たない。
逆光耐性:
- 逆光耐性はとても良好だ。
- F11まで絞ると穏やかなフレアが見られる。
- 絞った際の光条は魅力的だ。
サムヤン AF 50mm F1.4 IIと比べて
- シグマは少し暖色寄りだ。
- 画角はシグマのほうが約1~2mm狭い。
- AFは間違いなくシグマが有利だ。
- 軸上色収差はサムヤンのほうが少し多い。
- サムヤンはとても軽量でコンパクトだ。
- 逆光耐性はシグマがとても良好だ。
- ボケはサムヤンと同程度だ。
総評
あらゆる点が一眼レフ用レンズから大幅に改善されている。ソニーG Masterレンズと比べて手ごろな価格で、非常に高速なAF性能、F1.4からシャープな光学性能を備えている。G Masterほどゴージャスなボケではないが、とても素晴らしい。さらにHLA駆動のAFはとても感銘を受けた。弱点は糸巻き型歪曲と周辺減光だが、どちらもボディ内・現像ソフトでの修正が難しくない。強くおススメできるレンズだ。
- 長所:
・コストパフォーマンスが良好
・防塵防滴
・ビルドクオリティ
・機能的
・HLAモーターのAF性能
・一眼レフ用よりも小型軽量
・色収差補正が良好
・F1.4のシャープネスが良好
・ボケが素敵な描写
・コントラストと色が良好
・逆光耐性が良好- 短所:
・若干の糸巻き型歪曲
・とても重い周辺減光
とのこと。
待望のシグマ製ミラーレス用50mm F1.4ですね。均質性を重視した11群14枚の本格的な光学設計に加え、新開発のHLA駆動を惜しむことなく採用。50mm F1.4としてはやや大きめなレンズですが、複雑な光学設計や操作性などを考慮すると妥協できる範囲内でしょうか。
Dustian Abbottのテストではシグマの宣伝通り、全体的に良好な解像性能を発揮しているようです。ただし、一部のレビューで見られるように軸上色収差の影響がある模様。致命的な影響ではないようですが、普段から輝度差が大きいシーンで撮影している場合は注意したほうが良さそう。
私も発売日にこのレンズを入手しました。確かに大口径レンズとしては周辺部まで安定した解像性能が得られ、絞ると全体的に改善します。ただし、軸上色収差の影響も確かにあり、絞り開放は細部のコントラストが低下します。F2くらいまで絞ると全体的に改善しますが、F1.4のの性能が必要であれば注意が必要かなと。HLA駆動のオートフォーカスは確かに超高速で、ステッピングモーター駆動との違いは明らかなので個人的にはおススメポイントです。
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50mm F1.4 DG DN Leica L | |||
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レンズの仕様
レンズの仕様 | |||
---|---|---|---|
発売日 | 2023年2月23日 | 初値 | 152,900円 |
マウント | E / L | 最短撮影距離 | 0.45m |
フォーマット | フルサイズ | 最大撮影倍率 | 1:6.8 |
焦点距離 | 50mm | フィルター径 | 72mm |
レンズ構成 | 11群14枚 | 手ぶれ補正 | - |
開放絞り | F1.4 | テレコン | - |
最小絞り | F16 | コーティング | F |
絞り羽根 | 11枚 | ||
サイズ・重量など | |||
サイズ | φ78.2×109.5mm | 防塵防滴 | 対応 |
重量 | 670g | AF | HLA |
その他 | 絞りリング | ||
付属品 | |||
レンズフード・ケース |
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