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シグマ「65mm F2 DG DN」は歪曲収差以外がほぼ完璧な光学性能のレンズ

Dustin Abbottがシグマ「65mm F2 DG DN」のレビューを公開。歪曲収差が目立つものの、それ以外は完璧で議論の余地がないと高く評価しています。私も購入しましたが、確かに良いレンズです。

小型ながら優れたビルドと光学性能のレンズ

Dustin Abbott:Sigma 65mm F2 DN Review

  • レンズの紹介
    ・2019年にレビューした45mm F2.8 DG DNは従来のシグマレンズとは完全に異なるデザインのレンズだった。当初は混乱したが、2020年に「Iシリーズ」ラインアップの一部であることが判明して腑に落ちた。
    ・同シリーズはビルドクオリティと官能的な描写を好む人向けに設計されている。
    ・焦点距離は目新しいが、コシナのAPO65mm F2を使う限りでは信じられないほど便利な焦点距離であることが分かっている。
  • ビルドクオリティ
    ・Iシリーズのビルドクオリティは個人的に大ヒットだ。総金属製の鏡筒は細部にこだわりを感じ、ハンドリングは素敵である。ツアイスと共通するような高級感のあるレンズだ。
    ・62mmのフィルターソケットは唯一指摘できるネガティブなポイントだ。この径のフィルターサイズは非常に珍しく、対応しているレンズは少ない。
    ・この「Iシリーズ」がContemporaryラインに属しているのは驚くべきことだ。同シリーズのビルドクオリティは間違いなくArtラインよりも優れている。
    ・レンズフードも金属製だ。美しい加工が施されており、グリップしやすい。
    ・通常のレンズキャップに加えて、金属製のマグネット式レンズキャップが同梱されている。フード装着時に脱着するのは難しいため、フード無しでの運用が前提となる。
    ・レンズ内部は防塵防滴構造となっていないが、レンズマウントに簡易防滴のガスケットがある。
    ・9枚の絞りは絞っても円形を維持している。
  • 携帯性
    ・直径が74mm、全長が76.7mmと非常にコンパクトである。
    ・密度が高いので、405gと多少重めだ。
  • 操作性
    ・絞りリングを搭載しているが、「A」ポジションでカメラ側での制御も可能である。リングは1/3段ごとにクリックストップがある。非常に正確で明瞭な動作と感触が得られる。
    ・動画撮影であれば無段階の絞りリングが好ましいと思うが、静止画で使う場合はクリックストップがあるほうが望ましい。
    ・側面のAF/MFで素早くフォーカスモードを切り替えることが出来る。横方向では無く、縦方向に切り替えるスイッチを搭載しており、使いやすく誤操作が少ない。
    ・バイワイヤ式のマニュアルフォーカスリングは良好なフィードバックを得られる。
  • オートフォーカス
    ・最短撮影距離は55cm、最大撮影倍率は0.15倍と一般的なものだ。
    ・ステッピングモーター駆動の静かなフォーカシングだ。
    ・駆動音は動画撮影中に聞こえてしまうが、フォーカスは正確で滑らかに動作する。
    ・フォーカスブリージングが大きいのは残念だ。
    ・瞳AFは良好に機能する。
  • マニュアルフォーカス
    ・記載なし。
  • 手ぶれ補正
    ・記載なし。
  • 解像性能
    ・最短撮影距離におけるコントラストは良好だが、F2.8まで絞ると優れた水準まで向上する。マクロレンズでは無いが、強力なパフォーマンスを得ることが出来る。
    ・解像性能とコントラストは絞り開放からフレーム全域で優れている。
    ・中央はF4まで絞るとコントラストは少し向上するが、絞り開放から解像度は非常に高いので、絞っても僅かに改善するだけだ。
    ・F4?F5.6でもう少しコントラストとディテールを向上することが出来るが、F2でほぼ完璧に近い。非常に強力な光学性能である。
    ・F22は回折の影響があるため、どうしても必要な時以外はおススメしない。
  • 像面湾曲
    ・最短撮影距離でもフラットだ。
  • ボケ
    ・玉ボケに明らかな色づきは見られない。これは素晴らしいことだ。
    ・ボケ味は本当に素晴らしいと感じている。
  • 色収差
    ・実写で倍率色収差を見つけることは出来なかった。
    ・実写で軸上色収差を見つけることは出来なかった。
  • 球面収差
    ・記載なし。
  • 歪曲収差
    ・最大の光学的弱点だ。
    ・顕著な糸巻き型歪曲が発生する。これは修正しないと明らかに悪影響を及ぼす量だ。
    ・Adobe Camera Rawに早く対応することを期待したい。
  • 周辺減光
    ・減光は大きな問題とならない。
  • コマ収差
    ・記載なし。
  • 逆光耐性
    ・逆光時にフレアの兆候は見られなかった。かなりフレアに強いレンズのようだ。
  • 作例集

総評

レビュー中、このレンズには本当に愛着がわいた。この焦点距離のファンであり、Youtubeの撮影では頻繁にこのレンズを利用している。小さな作業スペースで自然なフレーミングの撮影をする際に65mm F2は丁度良いレンズだ。

とは言え、万人向けの焦点距離では無いと思う。人によっては長すぎると感じるかもしれないし、短すぎると感じるかもしれない。50mmや85mmの焦点距離が定番なのには理由がある。どちらの定番焦点距離が不向きな場合はこのレンズを試してみるといいだろう。どちらの焦点距離の代わりにもなる素敵なポートレートレンズである。

奇妙な焦点距離以外で、議論の余地はほとんど残されていない。美しいビルドクオリティ・高速で滑らかなAF・非常に強力な光学性能を備えている。700ドルの値付けに躊躇する人はいるかもしれないが、小型軽量ながら間違いなくプレミアムなレンズだ。ビルドと性能を考慮すると価格は適正だと思う。これを見過ごすのは実に勿体ない。

とのこと。
「65mm F2」の数値を考慮するとやや高めの価格設定ですが、ビルドや光学性能はそれを正当化できるだけのクオリティを備えているみたいですね。実写作例は確かにシャープでボケも綺麗な描写に見えます。

私も発売日に購入しており、似たような印象を持ちました。35mm F2 DG DNや45mm F2.8 DG DNと比べて高いだけのことはあり、Iシリーズの中では最高のシャープネスとボケ描写と感じています。特殊な焦点距離であることも含めて存在価値の高いレンズではないかなと。

敢えて言えば、歪曲収差が目立つのでプロファイルが無いとRAW現像が面倒であること。そして、フォーカスブリージングが大きいのでピント移動の大きな動画撮影には適していないこと。さらに、最短撮影距離の周辺や四隅はパフォーマンスがグッと低下するので注意が必要です。

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