DXOMARKがパナソニック「LUMIX S 35mm F1.8」のレビューを公開。色収差や歪曲収差の補正が極端なほどソフト補正に依存しているものの、解像性能はNIKKOR Zよりも良好と評価しています。
DXOMARK:Panasonic Lumix S 35mm F1.8 Lens test
総合 解像 歪曲 減光 透過 色収差 FE35ZA 44 36 0.5 -1.7 1.5 8 35DGArt 43 30 0.3 -1.8 1.6 6 SP35 42 29 0.2 -1.4 2.1 4 EF35F2 40 34 0.4 -1.8 2.0 6 LUMIX35 38 39 2.6 -2.1 1.8 23 Z35S 38 30 0.5 -2.0 1.9 5 LUMIX S 35mm F1.8を、Lマウントの最高画質カメラである4700万画素 LUMIX S1Rでテストした。このレンズとセンサーの組み合わせで、DXOMARKスコアで38点を獲得した。これは準広角レンズとしては良い結果で、主な理由はF1.8の開放でも高いシャープネスと、並外れた透過率によるものだ。
しかし、周辺減光や歪曲収差が予想以上に大きく、総合的なスコアがこれ以上上がらない要因となっている。また、11枚のレンズとEDガラスを使用しているにもかかわらず、色収差が大きいのも意外だ。しかし、RAWやカメラ内JPEGに埋め込まれたレンズプロファイルを有効にするソフトウェアで、歪曲はとても良好に補正することが可能だ。同プロファイルは、周辺減光と色収差の影響を軽減することはない。
詳細な比較
Z 7+NIKKOR Z 35mm F1.8 S、LUMIX S1R+LEICA APO-Summicron SL 35mm F2と比較した。
シャープネス
- 画質向上だけでなくAF性能を改善するために、絞り開放から高いシャープネスレベルが見られることが多くなっている。LUMIX S 35mm F1.8もそうだ。
- 少なくとも中心部は、開放から高いシャープネスを有している。
- 中心部から離れると、非点収差的な挙動によりシャープネスが少し低くなる。しかし、F2.8までに徐々にシャープネスが増す。
- 外周部も同様にシャープネスが低下しているが、F4までシャープネスはピークに達し、中心部のレベルに達する。ただし、まだ非点収差のような挙動が見られる。
- F5.6では均一性が向上するが、回折の影響か、シャープネスが低下傾向となる。
- NIKKOR S 35mm F1.8よりも開放からF4までシャープだ。
- LEICA APO-Summicron SL 35mm F2ほどシャープではないが、LEICAは像面湾曲の影響で周辺部で苦戦している。
色収差
- 倍率色収差が高い数値となっているのは(EDガラスと複雑な光学設計のレンズとしては)信じがたいものだ。
- 四隅のすべての絞りで20μmを超える色ずれは、現代のレンズでは異例である。
- プロファイル補正を適用していない結果だが、いずれにせよRW2ファイルには倍率色収差の補正データがない。
- 倍率色収差は通常、ソフトウェアで簡単に除去することができる。
- LEICAとNIKKORはどちらもプロファイル補正なしだが、光学的に非常によく補正されている。
歪曲収差
- 樽型歪曲は-2.6%と高く、エッジが直線的なシーンで目立ちやすい。
- 幸いなことに、埋め込みプロファイルにより(画角は狭くなるが)合理的に補正されている。
- この種のレンズでは普通のことで、この補正により、画角は一般的な35mmレンズと同じになる。
- 3本のレンズの中で最も光学的に補正されているのは、より大きく高価なライカAPOで、わずか-0.1%とごくわずかだ。
- NIKKORも-0.5%とよく補正されているが、それでも時々見えるかもしれない。
周辺減光
- 周辺減光も通常はプロファイルで補正される欠点だ。補正が激しいと明るくなった部分のノイズが見えてしまうことがある。
- パナソニックのRAWには補正データが含まれていないため、F1.8開放で四隅が-2.1EVと、この手のレンズとしては極めて典型的な周辺光量落ちとなっている。
- F2.8まで1段絞ると、大幅に減少するものの光量落ちは残り、F4ではごくわずか、F5.6で解消する。
- 一方、LEICAとNIKKORは、絞り開放ではごくわずかに低く、見た目も似ている。しかし、F2.8ではパナソニックよりも周辺減光が多い。さらに重要なのは、どちらもF4以降の絞り値でも、影響が完全になくならない。
透過率
- 高い透過率は、より高い露出値とイメージセンサーのノイズレベルの低減に役立つ可能性がある。
- このレンズはとても良好な透過率だ。
- 初期絞りと同じTストップ測定値を持つ、我々が見た中で数少ないレンズの1つだ。
- NIKKORでさえ、公称値のF1.8よりわずか-0.1EV低いT1.9で優れた透過率だ。
まとめ
LUMIX S 35mm F1.8は比較的コンパクトで、シャープネスや透過率などの主要な分野で非常に優れた性能を発揮する。しかし、RAWに補正データを含めることによって部分的にしか軽減されないトレードオフがある。価格(697ドル/659ユーロ)を考えると、ライカLマウントのレンズとして、予算に余裕がある場合は堅実な選択となる。
とのこと。
35mmレンズの中では抜群の解像性能(S1Rが4700万画素であることも考慮する必要あり)を叩き出しているものの、電子補正を前提とした歪曲収差や色収差などが足を引っ張っている模様。電子補正が前提のミラーレス用レンズが増えてきた現在、一眼レフ時代からの基準でテストしているDXOMARKで評価するのは難しくなっているように見えます。当のDXOMARKも現在は軸足をスマートフォン評価に移しているので、現在のデータベースを刷新することは無さそう。
そんな中でもミラーレス用レンズの評価を細々と続けており、NIKKOR Z 35mm F1.8との比較が掲載されています。評価はボディとセットになっているのでセンサー性能(Z 7は4500万画素)の差は考慮が必要ですが、参考になると思います。
解像性能はニコン以上のパフォーマンスを発揮しているものの、光学的に歪曲・色収差を補正しているニコンと同等の総合評価。ソフトウェアの補正を積極的に活用することで、解像性能を優先したのでしょうか?詳細を確認してみると、中央のみならず、周辺部まで良好な結果が得られているように見えます。
さらに透過率がとても良好。ニコンとの差は僅かですが、ISOノイズを抑えるのに役立てることが出来そうです。さらに絞り開放の解像性能を考慮すると、F1.8を使った夜景や天体撮影などで使いやすいことを意味しています。高性能な35mm F1.8を探している人にとって面白い選択肢となりそうですね。
パナソニック LUMIX S 35mm F1.8 最新情報まとめ
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