IMAGING RESOURCEがオリンパス「M.ZUIKO DIGITAL ED 150-400mm F4.5 TC1.25x IS PRO」のレビューを公開。野鳥撮影の作例と共に、操作性や画質について一通りレビューしています。
野生動物の撮影で検討する価値のあるレンズ
IMAGING RESOURCE:Olympus 150-400mm f/4.5 TC1.25x IS PRO Field Test
ビルドクオリティ・操作性
- 私がオリンパスのシステムで撮影を楽しんでいる主な理由は望遠・超望遠レンズの機動力だ。さらにOM-Dの強力な耐候性と優れたビルドクオリティと組み合わせることで、自然や野生動物の撮影でお気に入りのセットとなる。
- 画質もそれほど悪くなく、ISO感度に気を配っている限り、大部分の状況で印象的な結果を得られる。
- 数年前にフルサイズの600mm F4にとって代わる小型軽量な単焦点レンズ「M.ZUIKO DIGITAL ED 300mm F4.0 IS PRO」をリリースしたが、さらにオリンパスは野生動物の撮影で究極の超望遠レンズを投入した。
- マイクロフォーサーズ用レンズとしては最もハイエンドでプロフェッショナルなレンズである。エキゾチックな光学設計に加え、頑丈なマグネシウム合金構造、高速AF、そして内蔵テレコンバーターを搭載している。
- ご想像の通り、このレンズは安くない。希望小売価格は7,499ドルであり、これまでで最も高価なレンズだ。とは言え、内蔵テレコンを搭載した超望遠ズームと言えば、キヤノンやニコンが11,000?12,000ドルの相場で販売している市場である。
- キヤノン「EF200-400mm F4L IS USM エクステンダー 1.4×」や、ニコン「AF-S NIKKOR 180-400mm F4E TC1.4 FL ED VR」はどちらも非常に重く、大きく、非常に高価なレンズである。そう考えると、オリンパスの150-400mm F4.5は比較的手ごろな価格設定だ。
- 言うまでもないが、このレンズはマイクロフォーサーズ用レンズとしては最も大きい。サイズは古いZUIKI 300mm F2.8と同程度である。
- 物理的な寸法はさておき、手に取った際に印象的だったのは重量だ。このクラスとしては驚くほど軽量である。メーカーから送られてきた箱からレンズを取り出した時、その軽さには驚かされた。ズームレンジと開放F値固定の光学設計を考えると、もう少し重いと思っていた。これは嬉しい驚きだ。
- このレンズを開発する際に、頑丈で耐久性のある構造を維持しつつ、できるだけ軽量にすることを目標としていたようだ。鏡筒は主にマグネシウム合金とカーボンファイバーで構成されている。フルサイズと比べるとレンズが小さく軽いため、鏡筒を軽量化しつつ、頑丈かつ防塵防滴仕様を維持できたようだ。
- 重量配分にも気を配っており、三脚や一脚が無くても、驚くほど持ちやすい。そして長時間使用できる。大きく扱いにくく見えるが、何時間もハイキングで手持ち撮影することができた。実際、E-M1Xと組み合わせで重量はわずか6.7ポンドである。
- E-M1Xと組み合わせるのが適切だが、E-M1 Mark IIでも非常にバランスが取れているので快適だ。
- 持ちやすいレンズではあるが、サイズが大きいことには違いない。価格はさておき、私は小さな300mm F4 PROとテレコンバーターを持ち歩きたいと思う。ただ、ズームレンズとしての柔軟性と、さらに長い焦点距離を楽しめないはずがない。必要に応じて内蔵テレコンでさらに長焦点を利用することも出来る。
- フォーカスリングはバターのように滑らかに回転し、ズームリングは軽量で回転させやすい。ズームリングの回転角は90度で、誤操作しない程度の抵抗量があるが、指2本で簡単に操作可能だ。
- 300mm F4 PROのように三脚リングから取り外すことはできない。ただし、必要に応じて足の部分だけ取り外すことは出来る。三脚リングは90度ごとに戻り止めがある。
- 4つのL-Fnボタンは初期設定で「AF停止」が設定されている。L-Fnからフォーカスプリセット機能へ変更することも可能だ。ボタンを押すと、ほぼ一瞬で設定したフォーカス位置に回帰する。
- ズームレンジ全域で1.3mの最短撮影距離を利用可能だ。フォーカスリミッターを使うことでピント位置を制限することも可能だ。
- レンズ構成は18群28枚だ。そのうち2枚のHRレンズ、1枚のHDレンズ、2枚のEDレンズ、4枚のSEDレンズを使用している。特にEDレンズはオリンパスレンズの中では過去最大のものを使用している。
- コーティングは反射を低減するZコーティングに加え、水・油に耐性のあるフッ素コーティングを採用している。
- 外装の白色塗装は単なる塗装ではなく、複数のコーティングが層になっている。内部温度の上昇を抑えるベース層に加え、次に耐熱コーティング、そして最後に赤外線を反射するオーバーコート層からなる。
画質
- 絞り開放からとてもシャープなレンズであり、ズームレンジ全域で優れたパフォーマンスを発揮する。色収差はほとんどなく、周辺減光は最小限だ。
- 開放F値がF4.5のため、他のレンズと比べて取り込む光量が多く、ISO感度上昇を抑えるのに役立つ。このため、大部分の状況でISO1600~3200に抑えることが出来た。
- 開放F値は明るいものの、曇天や日陰では高感度ISOを利用する機会がしばしばあった。幸いにも、E-M1XのISO3200は良好で、鳥や動物のディテールを損なわずにシャープな写真を撮ることが出来る。
- MC-14テレコンバーターを装着しても画質の低下は極僅かだ。
- 内蔵×1.25テレコンバーターも優れた性能だ。画質低下はほとんど、全くない。
- 内蔵テレコンとMC-20を組み合わせると、開放F値はF11まで大きくなる。集光性の観点で理想的とは言えないが、強力な手ぶれ補正に助けられてISO感度を抑えることが出来た。
- F8で回折が始まるものの、開放F値「F11」の画質には感銘を受けた。ディテールとコントラストはいくらか失われるかもしれないが、画質の大幅な低下は見られない。私の目にはまだ十分すぎるほどの画質だ。
- 回折のソフトさが目立つのはF16-22くらいである。
- 絞り開放でもフレーム四隅はかなりシャープだ。150mmの絞り開放は中央と四隅どちらも優れている。絞ってもあまり改善しないほどだ。400mmでは四隅が少しソフトになるが、じっくりテストしてみないと分からない程度の差である。
- 色収差は極端な状況でも極僅かだ。
- 周辺減光は150mmと400mmの絞り開放で目に付くが、少し絞ると解消する。
手ぶれ補正
- 言うまでもなく、手ぶれ補正は良好に機能する。
- OM-Dと組み合わせることでシンクロISを利用できる数少ないレンズの一つだ。
- 光学手ぶれ補正は単体で4.5段分と悪くない性能である。
- さらにE-M1XやE-M1 Mark IIIと組み合わせることで、150mmで8段分、500mmで6段分の補正効果を利用することが出来る。
- この補正効果は上記2台のカメラの場合である。他のカメラについて言及はされていない。この2台は高度なジャイロセンサーを搭載しているので、高い補正効果を実現しているのだと思われる。
- 実写では非常に良好に機能し、ファインダー像を安定させるのに役立った。とは言え、MC-20と組み合わせて、換算2000mmの画角を利用すると難易度は高い。
- 大部分の状況でシャッタースピードに悩まされる心配はなかった。
フォーカス
- 焦点距離が長いにも関わらず、非常に高速なAF性能と接写性能を実現している。
- オリンパスによるとこのレンズは300mm F4 PROよりも高速なフォーカス性能を発揮するという。確かに、信じられない程のフォーカス速度だ。フォーカスレンズが軽量なため、大部分の状況で非常に高速で正確なAFを実現できたそうだ。
- 接写から無限遠まで移動するのに約1秒だ。その逆も非常に高速である。
- 多くのPROレンズと異なり、マニュアルフォーカスクラッチに対応していない。ただし、今後のファームウェアアップデートでピント距離指標がカメラ側に追加される予定だ。
- 実写でフォーカスの問題に遭遇することは無かった。大部分の状況でピントは瞬間的に移動する。追従性能も高速かつ正確だ。
- 無限遠から接写へ移動する際はテンポが悪くなる可能性があるため、フォーカスリミッターを使うと良いだろう。
本格的な野生動物のフォトグラファーであり、このレンズを買う余裕があるのであれば、買うべきレンズだ。価格はさておき、素晴らしいレンズである。素敵な画質はテレコンバーターの有無にかかわらずズームレンジ全域でとてもシャープである。オートフォーカスは非常に高速で、信じられない程の接写性能も備えている。超望遠らしからぬクローズアップ性能だ。
全体的なビルドクオリティは期待通り、そして驚くほど軽量である。戦車のように頑丈で、非常に良くできている。
非常に高価なレンズではあるが、それに見合う価値のあるレンズだ。高価ではあるが、フルサイズシステムと比べると手ごろな価格であり、とても汎用性の高いズームレンズである。野生動物の撮影システムをスリム化し、三脚や一脚から解放されたい場合はこのレンズを検討すると良いだろう。
とのこと。
IMAGING RESOURCEは以前から野鳥撮影でオリンパスシステムを使う頻度が高く、今回のレビューもユーザーらしいしっかりとした評価となっているように感じます。非常に高価なレンズですが、その分野の人には面白い選択肢となりそうですね。
実写作例は高感度ISOを使ったものが多く、レンズの光学性能を確かめるには不向きですが、実写でどのような写りとなるのか確かめやすいと思います。それなりにノイズはありますが、大きくトリミングしなければ十分良好な画質に見えます。狭い画角で余すことなくクローズアップするのは技術が必要だと思いますが…。
IMAGING RESOURCEのサンプルギャラリーではRAWも公開しているので、気になる人はダウンロードして実際に確認してみると良いでしょう。
あとはボディ側の高感度ISO耐性やオートフォーカス性能次第と言ったところでしょうか。今でもISO3200までは十分な画質とは言え、目の肥えたフルサイズユーザーを取り込もうと思うと、さらなる改善に期待。
ひとまず12月3日にはE-M1Xに鳥認識AFが追加されます。150-400mm F4.5と組み合わせてどのような使い勝手となるのか気になるところ。
オリンパス「M.ZUIKO DIGITAL ED 150-400mm F4.5 TC1.25x IS PRO」交換レンズデータベース
購入早見表
M.ZUIKO DIGITAL ED 150-400mm F4.5 TC1.25x IS PRO | |||
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ソフマップ | e-BEST | ノジマ | PayPay |
ビックカメラ | ヤマダ | PREMOA | |
M.ZUIKO DIGITAL 1.4x Teleconverter MC-14 | |||
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M.ZUIKO DIGITAL 2.0x Teleconverter MC-20 | |||
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