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OM SYSTEM 20mm F1.4 PROは期待していたよりも欠点が目立つ

LenstipがOM SYSTEM「M.ZUIKO DIGITAL ED 20mm F1.4 PRO」のレビューを公開。中央解像やビルドクオリティなどを評価しつつ、周辺解像や色収差の補正状態などが期待外れだったと言及しています。

Lenstip:OM System M.Zuiko Digital 20 mm f/1.4 PRO

外観・構造:

  • レンズマウントは金属製だ。
  • 直径20mmの後玉は固定されている。マウント側は完全な防塵防滴構造に見える。
  • 製造国は日本である。
  • 筐体は全体的に金属製だ。
  • レンズ前面はほぼフラットで直径28mmだ。
  • レンズ構成は10群11枚でSHRレンズ2枚、非球面レンズ2枚、低分散レンズ4枚を使用している。
  • レンズフードやポートが付属する。

携帯性:

  • 17mm F1.2や25mm F1.2よりもはるかに小さく軽いレンズだ。
  • しかしパナソニックの20mm F1.7 IIや25mm F1.4 IIよりも大きなレンズである。

操作性:

  • ピント距離や被写界深度の表示が無い、幅29mmのフォーカスリングを搭載している。
  • フォーカスリングはとても滑らかに回転し、ピント全域のストロークは120°を超える。非常に正確な操作が可能だ。

フォーカス:

  • E-M5 IIとの組み合わせでノイズレス・電光石火で動作する。
  • ピント全域を0.2?0.3秒で移動する素晴らしい結果だ。
  • 精度に関して些細な問題はなにもない。

手ぶれ補正:

  • 記載なし。

解像性能:

  • E-M5 IIのRAWファイルで測定している。
  • 良像の基準値は48-50lpmmだ。
  • 最高のレンズで96lpmm近くである。
    ・45mm F1.2 PRO:96lpmm
    ・17mm F1.2 PRO:98.6lpmm
  • 中央は絞り開放からすでに60lpmmを超えている。F4で85lpmmに達する、優れた単焦点レンズらしい結果だ。それでも17mm F1.2 PROのレコードには及ばない。
  • フレーム端は状況が一変する。F1.4は43lpmmを超える程度で良像以下の画質である。F1.8まで絞ると基準値に達する。F4~F5.6のピークで63~64lpmmであり、中央と比べると遥かに見劣りする。
  • 解像性能は中央・周辺ともにF1.2 PROほどではない。

像面湾曲:

  • 記載なし。

ボケ:

  • 非球面レンズを使用しているレンズのわりにとても綺麗な描写である。
  • 玉ねぎボケの兆候はないが、縁取りと口径食が見られる。
  • マイクロフォーサーズ用レンズとしては口径食が思っていたよりも強い。

色収差:

  • 特殊レンズの枚数を考慮すると良好な補正状態を期待していた。しかし、軸上色収差は非常に目立ち、無視できる状態ではない。1段絞っても目に付く。
  • 倍率色収差は絞り値によらず0.13~0.14%となる。この結果はF1.2 PROよりも悪い。
  • 個人的な見解として、軸上・倍率どちらの補正状態も非常に残念だ。多くのフルサイズ用レンズはより少ないレンズ構成でより良好な補正状態を実現している。

球面収差:

  • とても良好に補正され、フォーカスシフトの兆候は見られない。
  • ただし、完全には補正されていない。これは意図的に残された収差なのか、コスト面で妥協の結果なのか分からない。

歪曲収差:

  • JPEGでは-0.11%だ。
  • RAWでは-1.60%と樽型歪曲となる。
  • 標準レンズの画角を考慮すると心配する必要のない影響量だ。

周辺減光:

  • F1.4で-1.35EVだ。F1.4のレンズと考えると比較的良好である。

コマ収差・非点収差:

  • コマ収差に大きな問題は無い。フレーム隅でわずかに変形しているが、1段絞ると顕著な改善が見られる。
  • 非点収差は平均差で17.7%と中~高水準の数値だ。

逆光耐性:

  • 絞り開放の場合はどのような状況でもフレアの心配がない。
  • 絞った際に光源をフレーム外に配置すると、かなりのゴーストが発生する。

作例集

総評

結論を書いている間、私の気持ちは複雑だった。見栄えがよく、よくまとまっていて、防塵防滴のレンズであり、中央部で優れた画質と適度な周辺光量を実現している。オートフォーカスの性能も申し分ない。

一方で、さまざまなカテゴリーで多くの平凡な結果を出しており、このようなタイプのレンズではまったく予期していなかった2つの手痛い欠点が見られる。特に、11枚のレンズ構成中に4枚も低分散ガラスを使用しているにも関わらず、なぜ色収差の補正状態が中程度なのか理解できない。

新ブランドの製品を発売する場合、市場で大成功を収め、自社の強みを最大限に発揮してほしいと思うものだが、OMデジタルソリューションズはそのような効果を得ることができなかったように感じる。さらに、価格が800ドルと高いこともあって、すべての評価が難しくなっている。LEICA DG 25mm F1.4の価格よりも高く、LUMIMX G 20mm F1.7の価格の3倍、LUMIX G 25mm F1.7の価格の5倍である。このレンズが市場で大ヒットするとは思えない。

  • 長所
    ・頑丈な防塵防滴の筐体
    ・中央画質
    ・適度な歪曲収差
    ・きちんと補正されたコマ収差
    ・周辺減光
    ・ボケ
    ・静かで電光石火のAF
  • 短所
    ・色収差
    ・フレーム端の画質
    ・目立つ非点収差

とのこと。
ボケの表現に力を入れた小型軽量なPROレンズですが、解像性能や収差の補正状態で気になる部分があるみたいですね。特にLenstipのように官能的な表現の評価軸がないレビューとは相性が悪いように見えます。少なくとも光学性能にコストパフォーマンスを求めるようなレンズではなさそう。

私も発売日から使い続けていますが、大部分は同意できるレビュー内容。中央の解像性能やAFはPROレンズらしい性能であり、特に逆光耐性はPROレンズの中でも優秀なほうだと思います。ただし、非点収差が強めに残っているので、隅に向かって解像性能が低下し、PROレンズとしては色収差も目立ちます。独特の「柔らかいボケ」を重視しないのであれば、LEICA DG 25mm F1.4 IIのほうが無難な選択肢なのかなと。

他にも「フォーカスブリージングが良く抑えられている」「絞るとシャープな光条」など地味な長所もありますが、価格を考慮すると癖が強くておススメし辛いのは確か。悪くないレンズだとは思いますが、好みは分かれるかなと。

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