DPReviewがニコン「NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S」のレビューを公開。微ボケが少し騒がしく、AFが一眼レフよりもやや遅いと指摘しているものの、期待に応えてくれる素晴らしいレンズと評価しています。
DPReview:Nikon Z 24-70mm F2.8 S field review
外観・構造:
- とても洗練されたデザインでZマウントカメラと相性が良い。
- 外装はプラスチックと金属パーツで作られている。
- ズームリングとコントロールリングの間にOLEDパネルを搭載している。焦点距離や絞り、ピント位置を表示することができる。ピント位置には被写界深度も表示される。
- 防塵防滴仕様だ。前面にはフッ素コーティングも施されている。
- フィルター径は24-70mm F2.8で一般的な82mmを採用している。
携帯性:
- 決して小さなレンズではないが、一眼レフ用よりもはるかに小さくて軽量だ。ミラーレス用レンズの中でも小型軽量なほうである。
- 全長126mm、直径89mm、重量805gだ。
- Z 24-70mm F4 Sははるかにコンパクトで軽量なレンズだ。
操作性:
- マウント付近には絞りやISO感度、露出補正を割り当てることが出来るコントロールリングを搭載している。ただし、クリック感のある操作はできず、無段階で滑らかに回転する機能しかない。
- ズームリングはフォーカスリングやコントロールリングよりも大きな力で回す必要がある。焦点距離の微調整は難しいが、動かし始めると滑らかに回転する。ストロークはズーム全域で1/4回転だ。
- フォーカスリングは回転速度に応じて移動距離が変化する。素早く回転するとピント全域を1/4回転で操作でき、ゆっくり回転すると1/2回転必要となる。静止画には便利だが、動画撮影では操作し辛い特性だ。
- カスタマイズ可能なL-Fnボタンを搭載している。
フォーカス:
- マルチフォーカス構造を採用してパフォーマンスを向上させている。ただし、最近のソニー製レンズのようなリニアモーター駆動ではなく、ステッピングモーター駆動を使用している。
- その結果、洗練されたAFシステムにも関わらず、フォーカス性能はニコン一眼レフ用レンズよりも少し遅いと感じた。
- マクロレンズではないが、70mmで0.38mの最短撮影距離を利用でき、この際の最大撮影倍率は0.22倍である。
- 14-24mm F2.8 Sと同様に、フォーカスブリージングが良く抑えられている。ビデオグラファーに朗報だ。
手ぶれ補正:
- 光学式手ぶれ補正は搭載していないが、効果的なボディ内手ぶれ補正を利用することができる。
解像性能:
- ズームレンジの広範囲で中央はF2.8から優れたシャープネスだ。隅は少しソフトだが、それでも非常に良好だ。
- F5.6まで絞っても中央に改善は見られないが、隅のシャープネスが向上する。これはZ 5ではなくZ 7に装着すると顕著である。
- 望遠でもF2.8から中央はとても良好なシャープネスだ。F5.6まで絞ると少し改善する。やはり隅は少しソフトだが、それでも許容範囲内だ。F5.6まで絞ると広角側よりも少しシャープになる。
- 全体的にとてもシャープなレンズであり、絞り開放から広角端~望遠端で非常に高い中央解像を得ることが出来る。4570万画素の高画素機でも問題ないだろう。
像面湾曲:
- 像面湾曲の影響は小さいように見える。
ボケ:
- 全体的に心地よい描写だ。特に玉ボケはF4ズームと比べて明らかに改善している。
- 玉ボケは口径食の影響を受けやすいが、気が散るほどの影響量ではない。F5.6まで絞ると大きく改善するが、ボケが角ばり始める。
- 背景の微ボケで非球面レンズ特有の騒がしさが見られる。ただし、これは今回のレンズに限った話ではない。
色収差:
- 倍率色収差・軸上色収差はどちらもとても良好に補正されている。
- 実写で色収差が問題になることは無かった。
- 一眼レフ用で軸上色収差が問題となることはなかったが、このレンズは等倍でチェックしても気になることはない。
球面収差:
- 記載なし。
歪曲収差:
- 記載なし。
周辺減光:
- 記載なし。
コマ収差:
- 記載なし。
逆光耐性:
- 逆光耐性で問題は何もない。ゴーストもうまく抑えられている。
- 光条は平均よりも良いが、競合他社にはより良好な描写もある。
- ニコンレンズによくあることだが、光条が中心から分散する傾向がある。我々が評価するのは先細りするタイプの光条だ。この点でキヤノンは良好な描写である。
総評
期待に応えてくれる素晴らしいレンズだ。一眼レフで人気の高い「AF-S 24-70mm F2.8E ED VR」と比較するとピント合わせが若干遅いかもしれないが、ニコンの24-70mm F2.8ズームの中では最も優れた光学性能だ。また、耐候性に優れた堅牢な構造で、動画やマクロにも対応しており、24-70mmズームに求められる多様性がある。
このクラスでは最も軽く、最も小さいレンズに近いため、その携帯性に感心した。もちろん、大きさや重さを重視し、F2.8の開放値がなくても構わないというのであれば、より携帯性に優れた24-70mm F4 Sを検討したほうがいいだろう。
しかし、より優れた操作性、超便利なOLEDディスプレイ、そして優れた画質を考えれば、差額を払ってもF2.8 Sがおススメだ。ZマウントレンズにはFマウントのような光学式手ブレ補正機能がないものの、ミラーレスはボディ内手ブレ補正機能が充実している。特にこの焦点距離で光学式手ブレ補正の必要性はほとんどない。
他のプラットフォームのミラーレス一眼と比較しても、価格的には不合理はない。このレンズが2019年のDPReview Awardsだけでなく、同年のReader's Choice Awardsでもベストズームレンズ(準優勝)を獲得したのには理由がある。風景からポートレートまで幅広く使える優れたレンズであり、予算に余裕のあるZマウントユーザーであれば、ぜひカメラバッグに入れておきたい一本だ。
おススメできないような大きな欠点がない。他システムにおける同様の製品について、同じことは言えない。
- 長所:
・同クラスでは小型軽量
・防塵防滴
・非常にシャープで、不快な光学的欠点がない
・きちんとした接写性能
・OLEDパネル
・動画にも適している- 短所:
・一眼レフ用よりも高価
・AFはそれほど速くない
・動画向けのリニアなMFリング非対応
・微ボケが少し騒がしい可能性あり
・倍率色収差
とのこと。
優れた光学性能を持つ小型軽量な24-70mm F2.8に仕上がっている模様。ニコンZマウントの中では大きめの標準ズームですが、F2.8ズームとしては携帯性を活かせるようです。特に大きく重かったAF-Sレンズ(約1070g)と比べると差があるかもしれませんね。光学性能の評判も良く、他のレビューサイトを確認しても概ね好評。
高い光学性能で汎用性が良好な大口径標準ズームですが、AF速度はイマイチとなっている模様(実際、Lenstip・Mobile01も似たような指摘をしています)
この点に関してカメラボディが原因なのか、ステッピングモーターが原因なのか、まだハッキリとはしていません。最新のAFアルゴリズムを搭載した「Z 9」と本レンズを組み合わせたレビューが増えてくることで、原因が明らかになると良いですね。
ニコンは「ステッピングモーターは省スペースでレンズの小型軽量化に役立つ」と言及しています。実際、Z 28mm F2.8は小型レンズながらマルチフォーカス駆動を採用。低価格ながら接写性能高いレンズに仕上がっています。ステッピングモーターを採用する利点は間違いなくあると思います。
とは言え、(特にF2.8ズームの用途を考慮すると)瞬発力のあるリニアモーター駆動を使ったほうが満足度は高いとは思います。わずかなピント距離の移動であれば気にならないものの、近距離から遠距離まで一気に移動させる場合は、リニアモーター駆動との差を感じることが多い。
現在、ソニーはDDSSMからデュアルXDリニアへ切り替えを進めています。第二世代のGMレンズが登場するとAF性能で厳しい戦いとなりそう。また、キヤノンは既に独自のNano USM駆動を使用し、パナソニックも必要に応じてリニアモーターを使うモデルが増えています。
ニコンNIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S 交換レンズデータベース
NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S | |||
楽天市場 | Amazon | キタムラ | Yahoo |
キタムラで中古在庫を探す |
関連レンズ
Zマウント
Fマウント
社外製レンズは要動作確認
- AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8E ED VR
- AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8G ED
- AF-S NIKKOR 24-85mm f/3.5-4.5G ED VR
- 24-70mm F2.8 DG OS HSM
- SP 24-70mm F/2.8 Di VC USD G2
- AT-X 24-70 F2.8 PRO FX
ニコンレンズ関連記事
- NIKKOR Z 35mm f/1.4 はヴィンテージライクな描写で好みが分かれる
- VILTROX AF 20mm F2.8 Zマウントを補完する優れた選択肢
- DPReviewがNIKKOR Z 50mm f/1.4のサンプルギャラリーを公開
- NIKKOR Z 50mm f/1.4 はAF-S 50mm F1.4 Gよりも優れた性能
- NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR ファームウェアVer1.02 配信開始
- NIKKOR Z 35mm f/1.4 はZ 50mm F1.4よりも妥協点が多い
- NIKKOR Z 85mm f/1.8 S レンズレビュー完全版
- NIKKOR Z 50mm f/1.4 多くのユーザーにとって十分なレンズ
- NIKKOR Z 85mm f/1.8 S 高価だが最高の選択肢
- NIKKOR Z 58mm f/0.95 S Noct は現実的ではないが究極のレンズ