Dustin Abbottがキヤノン「RF100mm F2.8 L MACRO IS USM」のレビューを公開。SAコントロールリングは飛び道具の域を出ないものの、優れたマクロレンズと評価。ただし、フォーカスシフトの問題がある模様。
Dustin Abbott:Canon RF 100mm F2.8L Macro IS USM Review
外観・構造:
- ビルドクオリティがとても良好だ。
- 12点の内部シールやマウント部のガスケット、前後レンズのフッ素コーティング処理を備えている。
- 開放F値はF2.8だが、等倍に近いと実効F値が変化し、2段ほど暗くなる。これは正常な動作であり、レンズに問題があるわけでは無い。
- 付属のレンズフードはEFレンズと比べて浅い。結果的に二つのレンズサイズは同じくらいに見える。
- レンズ外装はポリカーボネート製のマットな仕上がりだ。
携帯性:
- 当然のようにEFレンズよりも大きくなっている。(アダプターを装着すると同じ)
- 全長は148mmで、タムロンの70-180mm F2.8とほぼ同じだ。
- レンズサイズが大きくなったことで、収納できるカメラバッグにも変化がある。
操作性:
- 3つのリングを備えた珍しい単焦点レンズだ。フォーカスリングに加えて、コントロールリング、SAコントロールリングを搭載している。
- SAコントロールリングはサイズこそ小さいものの、手で触れやすい位置であり、好ましくない。
- フォーカスリングはきちんとしたトルクで滑らかに回転する。
- ローレット加工のこんtのロールリングは触感で簡単に判断することが出来る。有償でリングのクリック感を省略することも可能だ。
- 3系統のAFリミッターを搭載している。
SAコントロール:
- 個人的に、SAコントロールはEOS Rの「タッチバー」や5D Mark IVの「デュアルピクセルRAW」のようなものだと思う。
- SAコントロールを使った時の画質は80年代のソフトフォーカスレンズのようだ。
- リングを操作することで画角が大きく変化する。
- ポートレートの撮影距離ではボケ味への影響が全くない。にも関わらず、シャープネスへの影響は大きい。
- バブルボケは背景がとても騒がしくなる。
- SAコントロールリングをいじらなければ素晴らしいポートレートレンズだ。
- SAコントロールリングはロックすることが可能だ。おそらく、大部分の人はロックして使わなくなるだろう。
- 個人的な見解として、飛び道具以上のものではない。
オートフォーカス:
- フローティング構造のナノUSM駆動を採用している。
- オートフォーカスはとても良好だが、デフォーカス状態の前景にピントを合わせようとしても合わない場面が多かった。これはソニーと比べて見劣りするポイントの一つだ。
- 動画撮影での結果も良好だ。
- 絞った際にフォーカスシフトの傾向が見られた。絞ると少しバックフォーカス気味となる。
- 最短撮影距離は26cmと短いが、フォーカスブリージングが大きい。
マニュアルフォーカス:
- 記載なし。
手ぶれ補正:
- 5段分の光学手ぶれ補正を搭載している。
- 1/4秒で完全ではないが許容範囲内の結果を得ることが出来た。
- 手ぶれ補正は静かに動作する。
- 手ぶれ補正にモード選択は無いが、ISシステムは賢く、パン動作などを自動的に検出する。
解像性能:
- 絞り開放からフレーム全域で一貫した良像だ。
- EFレンズのほうが少し明るく写るが、コントラストやディテールはRFレンズのほうが優れている。
- F4まで絞るとコントラストさらに向上する。
- フォーカスシフトの影響でF4よりもF5.6のほうがソフトに見える。
- マクロ撮影でのパフォーマンスはEFレンズよりも良好だ。
像面湾曲:
- 記載なし。
ボケ:
- ボケ質はとても良好だ。
- 前ボケが少しだけ騒がしいと感じる場合もある。
- 発色はとても素晴らしい。
色収差:
- 僅かに軸上色収差が発生しているが過度な量ではない。アポクロマート設計のレンズと比べると見劣りする。
球面収差:
- 記載なし。
歪曲収差:
- 極僅かな糸巻き型だ。
周辺減光:
- 周辺減光はRFレンズとしては良く抑えられている。
コマ収差:
- 記載なし。
逆光耐性:
- 逆光耐性はとても良好だ。
総評
良好な「EF100mm F2.8L マクロ IS」を(ほぼ)アップグレードしたものだ。 より高い倍率、より優れた解像度、より速くて静かなオートフォーカスを実現している。?しかし、いくつかの問題点がある。 フォーカスシフトは、状況によっては画像のシャープネスに影響を与え、SAコントロールはほとんどのユーザーにとって飛び道具に過ぎないと感じる。 また、このレンズはEFバージョンに比べてかなり大きくなっているという現実もある。しかし、RFマクロレンズの中でも最も優れたものであり、その描写は非常に素晴らしい。 豊かな色彩、優れたコントラスト、被写体との距離に関わらず素晴らしいディテールが得られる。
LシリーズのほとんどすべてのRFレンズがそうであったように、歓迎できない価格上昇がある。しかし、それは予想の範囲内だ。 1399ドルという価格に見合うだけの性能、高品位な造り、そして高速で静かなオートフォーカスシステムを備えたレンズなのだから価格上昇も頷ける。 SAコントロールが好みであるかどうかにかかわらず、多様性と高性能を備えたマクロレンズであり、拡大するRFレンズのカタログに歓迎すべき一本だ。
- 長所:
・ハイグレードのビルドクオリティ
・プロフェッショナルな防塵防滴
・1.4倍の撮影倍率
・デュアルナノUSM駆動の高速で静かなAF
・効果的な手ぶれ補正
・優れたシャープネス
・美しい色とコントラスト
・良好な色収差補正
・良好な逆光耐性
・素敵なボケ
・ポートレートレンズとしても優れている- 短所:
・SAコントロールは飛び道具の域を出ない
・フォーカスシフトが大きな問題となる
・近距離の被写体にAFが合わない場合がある
とのこと。
EFレンズと比べると高価なマクロレンズですが、高性能・高機能なレンズに仕上がっているみたいですね。特にデュアルナノUSM駆動のAFや×1.4倍の撮影倍率は、マクロレンズとしての汎用性を高める魅力的なポイント。ただ、価格上昇は許容できるとして、レンズサイズやフォーカスシフトは注意が必要かもしれません。
私もEOS R5と組み合わせるために購入しましたが、フォーカスシフトに関する大きな問題には遭遇しませんでした。とは言え、The Digital Pitureなどもフォーカスシフトを指摘しています。個体差なのか、撮影環境なのか、原因は不明ですが、特に絞り開放が基本となるキヤノンのライブビューでは気を付けたいポイント。
このレンズのフォーカスシフトについては、以前の特集記事で取り扱っています。SAコントロールリングは球面収差を変動する機能であり、球面収差が発生した状態の場合は顕著なフォーカスシフトの影響があります。レビュワーが誤操作でSAコントロールリングを操作してしまっていたのか、それとも単純に補正不足でフォーカスシフトが発生してしまったのか、原因はわかりません。
とは言え、メカニカルに動作するSAコントロールリングが不調となれば、元の光学性能にも影響を及ぼすのは確か。個人的にSAコントロールリングを無理して搭載する必要は無かったのかなと思うのですよね。
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レンズ比較
RF100 | EF100 | |
焦点距離 | 100mm | 100mm |
開放絞り | F2.8 | F2.8 |
最小絞り | F32 | F32 |
絞り羽根 | 9 | 9 |
最短撮影距離 | 0.26m | 0.3m |
最大撮影倍率 | 1.4倍 | 1.0倍 |
フィルター | 67mm | 67mm |
サイズ | φ81.5×148mm | φ77.7mm×123mm |
重量 | 730g | 625g |
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