Lesnumeriquesが富士フイルム「X-S10」のレビューを公開。コントロールレイアウトが富士フイルムのアイデンティティを損なっているとしつつ、多くの人にアピールできる高性能な小型カメラと評価しています。
高水準にまとまった小型ミラーレス
Lesnumeriques:Test Fujifilm X-S10 : un petit hybride compact et léger bon à tout faire
- 2020年に富士フイルムから様々な種類のミラーレスが登場している。「X-T200」はエントリーモデル、「X-T4」は防塵防滴とボディ内手ぶれ補正を搭載したハイエンドモデル、そして「X-S10」はX-T30とX-T4の間に位置する非常にコンパクトなミラーレスだ。
- ボディ内手ぶれ補正を搭載し、クロップ無しで最大20コマ秒の連写に対応。そしてオートフォーカスはさらに速くなっていると言われている。そして4K 30p DCIでもフル画角で利用可能だ。
- 優れたカメラグリップを備えているのは嬉しい驚きだ。小型軽量なカメラだが、グリップがしっかりとしており、快適に握ることが出来る。大きな手で握ると小さく感じるかもしれないが、それでも良いグリップだ。個人的にもう少しサムレストがあると良かった。
- 従来富士フイルムの強みでもあり、弱みでもあるマニュアル操作(絞り・シャッタースピード・ISO感度)ではなく、専用のモードダイヤルを搭載している。操作性が異なとユーザーを混乱させることになるかもしれないが、富士フイルムはより幅広い顧客を獲得したがっているように見える。
- コントロールレイアウトはX-T200を彷彿とさせるものだ。左肩には初期設定でフィルムシュミレーションを変更できるダイヤルを搭載している。右肩にはモードダイヤルの他にISO感度ボタンとQボタンを搭載。これら2つのボタンは使いやすいので気に入っている。
- 大部分のフジフイルム機に搭載しているAFジョイスティックを備えている。AFエリアを操作するのに便利と感じる人もいれば、不快と感じる人もいると思う。
- AFジョイスティックの操作性や左肩ダイヤルのカスタマイズ性、SDカードスロットが下部にあるうえUHS-Iまでであることは不満と感じる。必須ではないが防塵防滴仕様ではない点も残念だ。
- 大きく快適なファインダーは従来通りの仕様だ。236万ドットの0.62倍ファインダーを備えている。良好だが、特に優れているわけではない。
- USB-Cポート経由で給電操作に対応している。
- 起動時間は1秒を超える。
- 0.02秒の優れたAF性能を確認するのは難しいが、実際にテストしてみると非常に優れた性能であるのは確かだ。十分な光があれば基本的に優れたAFを利用できる。低照度では速度が低下するものの、精度に問題は無い。
- シャッターボタンを素早く押すと、設定変更なしで一種の連写モードへ切り替わる。最初は少し扱い辛いが、これが便利な時もある。
- 実際にメカシャッターで7コマ秒、電子シャッターで20コマ秒の連写が可能となっているが、SD UHS-Iのため書き込み速度に制限があり、バッファも限られている。
- 瞳検出は非常に効果的だ。検出は一瞬のラグがあり、距離が開くと検出し辛いが、ポートレートの撮影距離ではとても良好だ。
- 従来通りX-Trans CMOS 4とX-Processor 4を搭載しているので画質について驚くべき点は無い。結果はほとんど同じだ。ISO800で僅かなノイズが発生するものの、ISO1600までは画質を維持できる。ISO3200からノイズが徐々に増え始め、出来ればISO6400を超えないように使いたい。
- ダイナミックレンジもX-Trans CMOS 4世代のカメラと同等だ。-3EVの回復からノイズが出始め、-4EVで顕著となる。パフォーマンスはα6600のほうが優れている。
- 手ぶれ補正はX-H1より良好で、X-T4より少し劣ると言われている。
- 動画機能はボディ内手ぶれ補正の実装で強化されている。X-T4にある4K 60pが非対応となっている点には注意が必要だ。
- 4K 30p UHD/DCIでフル画角の動画撮影が可能だ。内部記録の場合は4:2:0 8Bitを利用する必要がある。外部出力時は4:2:2 10Bitとなる。
- 動画は優れた画質だが、ALL-Iには非対応でヘッドホンジャックも存在しない。さらにローリングシャッターの影響には注意したほうが良いだろう。
いくつか物議を醸すポイントがあり、富士フイルムのラインアップでは際立った存在のカメラだ。このモデルで行われたエルゴノミクスの変更はブランドのアイデンティティを裏切るものであると感じる人がいるかもしれない。しかし、より握りやすく、使いやすいレイアウトは多くの人にアピールできるデザインと言えるだろう。静止画・動画はどちらも高水準で、非常に良好なポジションにあると思う。ボディ内手ぶれ補正を搭載して富士フイルムらしいコンパクトなデザインは大きな強みと言える。
長所:小型ながら基本的なエルゴノミクスを備えたカメラ・静止画でも動画でも瞳検出対応・1/32000秒の電子シャッター対応・動画機能・4K DCI・クロップ無しの4K・ボディ内手ぶれ補正・給電撮影・バリアングルモニタ
短所:バッファが限られている・4Kのローリングシャッター・防塵防滴非対応・メモリーカードスロットは下部アクセス・UHS-I
とのこと。
従来の富士フイルムユーザーからすると、X-T200似のコントロールレイアウトは受け入れにくいかもしれませんね。逆にX-T200やX-A7ユーザーは乗り換えやすいミドルレンジモデルと言ったところでしょうか。競合他社からの乗り換えもしやすそうです。
個人的に富士フイルム独特の操作性も悪くないと思うのですが、他社と違って素早いモード変更が出来ないのは難点。X-S10のようなミドルレンジモデルが存在するのもアリかなと。とは言え、他のラインアップとどのようにバランスを取るのか、今後のカメララインアップの展開が気になるところです。
購入早見表
- 2020年11月19日発売予定
- 2020年10月20日予約開始
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