シグマ「56mm F1.4 DC DN X-mount」のレビュー第三弾を公開。今回は恒例の近距離における解像チャートで実写・数値からレンズの性能をチェックしています。
56mm F1.4 DC DN Xのレビュー一覧
- シグマ 56mm F1.4 DC DN X-mount 徹底レビュー 完全版
- シグマ56mm F1.4 DC DN X-mountレビューVol.6 周辺減光・逆光編
- シグマ56mm F1.4 DC DN X-mountレビューVol.5 諸収差編
- シグマ56mm F1.4 DC DN X-mountレビューVol.4 ボケ編
- シグマ56mm F1.4 DC DN X-mountレビューVol.3 解像チャート編
- シグマ56mm F1.4 DC DN X-mountレビューVol.2 遠景解像編
- シグマ56mm F1.4 DC DN X-mountレビューVol.1 外観・AF編
解像力チャート
撮影環境
テスト環境
- カメラボディ:X-S10
- 交換レンズ:56mm F1.4 DC DN X-mount
- パール光学工業株式会社「【HR23348】ISO12233準拠 8K解像力テストチャート(スチルカメラ用)」
- オリンパス HYRes 3.1 解析ソフト
- 屋内で照明環境が一定
- 三脚・セルフタイマー10秒・電子シャッター
- RAW出力
- ISO 160 固定
- Adobe Lightroom Classic CCでRAW現像
・シャープネス オフ
・ノイズリダクション オフ
・色収差補正オフ
・レンズプロファイルオフ - 解析するポイントごとにピントを合わせて撮影
(像面湾曲は近接で測定が難しいので無限遠時にチェック) - 近接でのテストであることに注意(無限遠側はさらに良好となる可能性あり)
補足
今回はRAW出力を元にしてシャープネスをオフの状態で検証。ボディ出力のJPEGやRAW現像でシャープネスを整えるとより数値が向上する可能性あり。今回の数値はあくまでも「最低値」とお考え下さい。
テスト結果
隅に向かってパフォーマンスは低下するものの、手ごろな価格のF1.4の大口径レンズとしては良好である。絞り開放からシャープな広い範囲でシャープな結果が得られ、隅も極端な低下がない。全体的に絞っても劇的な改善は無いが、絞り開放から良好な結果の裏返しと言える。
同じような価格帯のVILTROX AF 56mm F1.4 STMと比べると、絞り開放のシャープネスやコントラストはシグマが少し良好だが僅差にとどまる。VILTROXの周辺部はF1.4で落ち気味だが、実写で驚くほどの差はない。隅の本当に端の画質はもう少し差が広がるものの、実用的な画質は同程度と言える。VILTROX AF 56mm F1.4 STMもなかなか良いレンズだ。(ただし、遠景テストではVILTROXの周辺・隅が落ち込む)
中央
数値的に大きな違いは無いが、細部を確認するとF1.4とF2・F2.8以降でコントラストの改善がハッキリと分かる。ディテールを重視するのであれば、少なくともF2までは絞ったほうが良いだろう。
周辺
周辺も中央とほぼ同じ画質を維持している。ただし、絞った際の目に見える改善はF2.8まで待つ必要がある。ピークはさらに絞った時で、出来るのであればF4~F5.6まで絞りたい。
四隅
中央や周辺と比べると少しソフトな画質であり、この領域に被写体を配置するのであれば、少なくともF2.8くらいまで絞ったほうが良いかもしれない。改善速度は遅いが、さらに絞ることで良好な結果を期待できる。
数値確認
中央 | 周辺部 | 四隅 | |
F1.4 | 3379 | 3099 | 2803 |
F2.0 | 3255 | 3200 | 2821 |
F2.8 | 3283 | 3338 | 2949 |
F4 | 3521 | 3221 | 3038 |
F5.6 | 3749 | 3494 | 2925 |
F8 | 3311 | 3231 | 2852 |
F11 | 3255 | 3073 | 2730 |
F16 | 2746 | 2521 | 2340 |
実写確認
画質の均質性が高まるのはF4以降で、ピーク性能はF8付近まで維持できる。F11以降は回折の影響を避けられないものの、後処理次第でF16まで実用的な画質だ。
まとめ
実売4万円台、買い方次第で3.5万円前後(楽天やYahooなどポイント還元を含む)で購入可能な大口径の中望遠レンズとしてはとても良好な解像性能だ。特に競合するVILTROXやTokina atx-mと比べると、全体的に絞り開放のシャープネスやコントラストが少し優れている。劇的な差では無いので、ボケ質など他の要素にこだわって選んで良いと思うが、あくまでもシャープネスを重視する場合はシグマがおススメである。
絞り開放から良好な性能だが、Contemporaryラインらしい少し柔らかさの残った描写には違いない。ポートレートではこれが強みとして作用すると思うが、切れ味を意識する場合は少なくともF2~F2.8まで絞るとことでコントラストが改善される。個人的にはボケの量と質のバランスを取ったF1.8~F2.2を多用することが多い。
購入早見表
作例
オリジナルデータはFlickrにて公開。
関連レンズ
- XF50mmF1.0 R WR
- XF50mm F2 R WR
- XF56mmF1.2 R
- XF56mmF1.2 R APD
- atx-m 56mm F1.4
- 50mm F1.2 AS UMC CS
- TTartisan 50mm f/1.2
- KAMLAN 50mm F1.1 II?
- VILTROX AF 56mm F1.4 STM